何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「女子高生に殺されたい」感想 変態映画かと思ったら斬新なサスペンス

どうもきいつです


サスペンス映画「女子高生に殺されたい」観ました

「帝一の國」などで知られる古屋兎丸による漫画「女子高生に殺されたい」の実写化映画
とある高校教師が女子高生に殺されたいという願望を叶えるための犯罪計画が描かれるサスペンス

監督は「アルプススタンドのはしの方」などの城定秀夫
主演は田中圭が務めています

 

あらすじ
女子高生に殺されたいという欲望を叶えるため高校教師になった東山春人は
人気教師として日常生活を送る一方で
理想的な殺され方を実現するため9年間をかけて完璧な計画を練り上げてきた
そして、平穏な学園内でその計画を実行していくのだった

 

感想
突拍子のない馬鹿げた設定から繰り広げられるしっかりとしたサスペンス
最後まで引き込まれました
殺されるための犯罪計画というのが斬新で面白かった

 

妙に評判が良く気になったので
原作は未読でしたが観てきました

タイトルだけを見ると
異常性癖を描いたサブカル系の気持ち悪い映画
って印象があったけど
実際に観てみるとなかなか完成度の高いサスペンスでした
普通に面白い

タイトルで敬遠してしまう人も多そうだけど
これはおすすめしたくなります


タイトル通り主人公は変態で
女子高生に殺されたいという異常性癖の持ち主です
そんな彼が如何にして女子高生に殺されるのかを描いている
その過程をサスペンス仕立てにしているわけです

これがやっぱり斬新で面白いですよね

サイコパスな殺人鬼が綿密な計画を立てて人を殺す
みたいな作品はたくさんあるけど

本作の場合は
自分を殺してもらうための計画を立て
それを実行に移します

自分を他人に殺してもらうための殺人計画なんてあまり見たことのない設定だったし
この設定だけで映画の中に引き込む力がありますよね

その上、その目的が自分の欲望を満たすためというキモさもなかなか良い


殺されるための殺人計画って設定自体は突拍子がなくて
主人公の目的も性的欲求を満たすためだし
“女子高生に殺されたい”って言葉がもはやギャグみたいで
下手したら寒いギャグ映画になってしまいそうではあるけど

中身はかなり練られた物語になっていて
真面目にサスペンスとして面白く作ろうとしている作品です
ギリギリのラインでシリアスな映画を貫いている

だから、最後までハラハラドキドキと飽きずに観ることができたんだと思います


サスペンスの作りはかなりしっかりしていて

最初は全貌が掴めず謎が多い中で物語が進んでいき
そこに興味を惹かれます

主人公の目的や気持ちがわかってきたところで
次は計画がどのように進んでいくのか
という部分で興味が持続する

さらにキャサリンというキーパーソンの存在で
謎が深まっていったりもします
4人の女子高生の誰がキャサリンなのか?
キャサリンとはいったい何者なのか
という部分でミステリーとしても引き込まれる要素になっていました

終盤はスリルのある展開で勢いが増して
どんどんと見入ってしまいます

ミスリードもそれなりにあったりするし
物語がどう転んでいくのか予測しづらいものもあって
最後まで全然飽きずに楽しめました

謎が散りばめられた物語がラストに向けて収束していくのも気持ちがいい


それと、主人公の春人のキャラクターもすごく良かったと思います

言ってしまえば
ただの変態なんですが
それを滑稽で気持ち悪い人間としては描かずに
いたってまともな人間として描いている

それが人間の深みにもなっていて
面白いキャラクターに仕上がっていました

自分の欲望のために行動している人間なのに所々で良識もうかがえて
悪人ではないんですよね

自分を殺した女子高生に罪を着せないために完全犯罪を計画しているわけですし
失敗したときの保険も用意してますし
なんか優しさを感じてしまう

だから春人の変態的な計画を
どこか応援してしまっている自分もいました

とは言え
結局やってることは自分の欲望のために他人を利用してるだけのサイコパスで
自分勝手な人間なのは間違いない

この二面性が面白いキャラクターでしたね

春人を演じている田中圭もすごくハマり役で
彼が演じてるからこそより面白いキャラクターになっていたと思う

やっぱり田中圭ってとても爽やかで
その爽やかさには嫌みもなく嘘っぽくない

その反面、その爽やかさの裏のヤバさにも説得力があって
実はヤバイ奴でしたとなっても
それはそれで嘘っぽくないんですよね

田中圭という存在が
変態だけどキモくないという絶妙なラインにぴったりだったと思います

「哀愁しんでれら」でも思ったけど
爽やかだけどヤバい奴を演じる田中圭って
最高にハマってますよね

 

サスペンスとしてとても面白い作品でしたが
ちょっと引っかかる部分もあって

それは
なぜ女子高生でなければならないのか
という部分が曖昧

そういう趣味趣向だと言われてしまえばそれで終わりだけど
無理矢理にでも女子高生でなければならない理由を語ってくれれば
もっと説得力が生まれたと思います

別に深い理由がなくとも
ただのロリコンでした
でもいいと思うんですよ

それらしい御託を並べてカッコつけてたけど
結局はただ可愛い女の子が好きなだけのロリコン女好きだった
ってだけのしょうもない理由でも面白くなったかも

女子高生ならだれでもいいのか
可愛い女子高生に殺されたいのか
そのあたりの言及があってもよかったかもしれませんね

本作はラストで主人公の本性が現れても
カッコつけてるのかダサいのかどっち付かずでちょっと曖昧

カッコつけるのならもっと哲学的な考えさせられるようなオチにすればいいし
ダサくするのならとことんダサくして笑い飛ばせるようなオチにすればいい

最後にはどちらかに振り切ってほしかったですかね


あと、不思議少女というか超能力少女?のあおいなんですが
彼女の特殊さがノイズに感じてしまいました

地震予知できたり動植物の声が聞けたり特殊な能力を持ってるんですけど
物語の中でその能力にさほど意味もなく
ただキャサリンの正体へのミスリードでしかない

ミスリードのためだけなら
わざわざそんな特殊な設定にしなくてもよかったのでは?

ただでさえちょっとブッ飛んだ映画ではあるので
さらに超能力まで出してしまうと
さすがに盛りすぎかなと思ってしまいました

 

多少、文句も言ってしまいましたが
そんなの気にならないくらいの面白さがありました

フレッシュな若手女優の演技を観れるという点でもこの映画は素晴らしかった

発想が斬新だし
最後まで楽しめるサスペンスでした

 


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