どうもきいつです
ドラマ映画「グリーンマイル」観ました
スティーブン・キングのよる同名小説を映画化した1999年の作品
1935年大恐慌時代の死刑囚が収容されている刑務所を舞台に
不思議な力を持つ囚人と看守たちとの交流が描かれます
監督は「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボンが務め
主演はトム・ハンクスです
あらすじ
大恐慌時代の1935年
刑務所の看守主任を務めていたポールの元に
黒人の大男の死刑囚ジョン・コーフィが送られてきた
ジョンは不思議な力を持っており
その力でポールの病気を治してしまう
それから看守たちはジョンと交流を深めていく
感想
長い映画だけど最後まで引き込まれる内容でした
罪とはなにか
命とはなにか
を考えさせられる
いい話のようでラストはちょっと怖かった
言わずと知れた名作
久しぶりに観てみました
以前にも観たことありましたけど
かなり昔なのでほとんど内容を忘れてたし
たぶん前に観たのはテレビ放送のような気もするので
フルで観たのは初めてかもしれない
断片的に覚えてるシーンもありましたが
ほぼ初見と言ってもいいと思います
ラストの展開も見終わるまで忘れてました
世間では泣ける映画とよく言われていますけど
あらためて観てみて
正直、そんな泣ける映画には思えなかった
確かに泣かそうとしてる演出もありますが
むしろ、そこに若干冷めてしまったり…
個人的には腑に落ちない部分もあったので
感動して涙を流すには至らないです
てか、この映画で泣く人は
最後の処刑シーンをスイッチにして涙を流してるだけで
映画全体を通してはそんなに泣ける映画ではないと思いました
かと言って
つまらないと言ってるわけではなく
3時間もある映画だけど最後まで飽きずに観れましたし
本作のテーマも面白いと思う
本作はかなり単純な物語で
わかりやすく勧善懲悪な話になっています
良い人は救われて
悪い人は痛い目に遭う
唯一ジョン・コーフィだけが例外ですけども
それが本作のテーマにも繋がってきます
そんなわかりやすい勧善懲悪なストーリーなので
エンターテイメント的に楽しめる内容です
本作の悪役のパーシーとウォートンは
それぞれめちゃくちゃ嫌な奴ですけど
だからこそ、最後に痛い目に遭うからすっきりします
そこに至るまでの前フリも完璧と言ってもいいです
パーシーは馬鹿な上に冷酷で卑劣
そして卑怯
こいつが登場する度にいちいちイライラさせられる
偉い人のコネがあるから好き勝手やってもお咎めなしだし
手が付けられないほどのクズ
ウォートンはと言うと
こっちはこっちで救いようの無い悪人
死刑囚だけど全く反省する気配もなく
看守に逆らってばかり
その上、終始ヘラヘラしてるのがやたらと癇に障ります
この2人には登場人物たちだけではなく
観ているこちら側もほんとにイラつかされるんですよね
このイライラが完璧な前フリになって
最後の展開はすごく気持ちがいい
悪い人間は懲らしめられて
良い人間は助けられる
なので、観ていてかなり爽やかな気持ちになれます
そして、刑務所を舞台にした看守と囚人を描いた作品ですが
意外と殺伐とはしていなくて
どこかほっこりした映画でもあります
看守と囚人の関係性には優しさがあり
死刑囚だからと蔑ろにするのではなく
1人の人間として命を尊重している
ちょっとしたエピソードもコミカルに描かれていて
ちょっと笑えたりもします
そういうのもあって
生死や罪をテーマにしてるわりに
そんなに重苦しくないのが本作のいいところこもしれません
ただ、ジョン・コーフィだけは別で
彼だけは善人にも関わらず
最後には悲しい結末を迎えてしまいます
本作はバッドエンドなわけです
この終盤の展開が嫌いな人もいると思います
良い人間な上に無実の罪で処刑されてしまうんですから
納得いかない人もいるでしょうね
でも、こんな結末にしているのには絶対に意味があって
ただバッドエンドだからこの映画が嫌い
となってしまうのはちょっともったいなくも思います
本作はかなり宗教的な意味合いもあって
ジョンの最期はイエス・キリストをモチーフにしてると思います
と言うか、この映画そのものが聖書をモチーフにしてる作品です
僕はキリスト教には全然詳しくないので
あまり深くはわかりませんけど
軽く知っている程度でも
本作を観ればなんとなくそれはわかると思う
そんなのがわからなくても
本作が描いているのは人間の愚かさ
だということはなんとなく理解できる
奇跡の力を持ち
人間を救うことができるであろう人物を殺してしまうんですから
それはとてつもなく愚かなことで大きな罪なんですよね
そんな人間の愚かさという罪を背負ってジョン・コーフィが死を受け入れる物語
この物語を通して
罪とはなにか?
赦しとはなにか?
を感じることができます
それに、刑務所が舞台でもあるので
死刑は必要あるのか?というところも考えさせられる
人間はどんなに酷い悪行を働いても
罪を償えば赦されるべきで
それを他人が勝手に判断して命を奪ってしまうのは
それもまた罪ではないのかと思わされる
死刑という制度や
人間が人間を裁くという行為自体も
人間の愚かさなのかなと感じました
そして、ラストのポールの境遇は
人間の愚かさ故に与えられた罰なのかと思える
ポールのこの先を想像すると少し怖くもあります
感動のラストのようで
実はなかなか怖くてちょっとしたホラーのようなオチですよね
すごくいい映画だとは思うけど
どうにも腑に落ちない部分があって
そこが素直に感動できなかった要因でもあります
それは、ジョンがパーシーをおかしくしてしまいウォートンを殺してしまうというところ
ここがどうも納得できない
ジョンが口から虫みたいなのをパーシーに移し
おかしくなったパーシーがウォートンを銃で撃つ
って展開なんですけど
直接的に殺してはないけど
ジョンの意思でそうなってるわけで
ここが終盤のジョンの処刑の場面から考えても
なんか納得できないんです
ジョンは本作の中では聖人のような位置付けです
イエス・キリストのような奇跡の人
そして、最期には罪を背負って死んでいくわけですが
いくら極悪人だからって
ジョンが人を殺してしまったらダメじゃないですか?
ジョンがやってることは完全に独断で裁きを与えていて
これってやってることは愚かな人間と同じなんですよね
映画的にはパーシーとウォートンが痛い目に遭えば
カタルシスがあってエンターテイメント的にすごく盛り上がるけど
本作のテーマを考えると
この展開はちょっと安易な気がします
処刑の場面でジョンが罪の意識を感じているのなら
この展開もわからんでもないんですけど
処刑のシーンもただの感動シーンで終わってしまってます
なぜ善人のジョンが死ななければならないんだ
って空気なんですよ
ジョン自身も人間の愚かさに嘆いてるだけで
自分のことは棚に上げてるんです
正直ここで
お前も人殺してるだろ
って思ってしまった
メッセージやテーマとやっていることが
ちょっとずれてるんですよね
ここって大事な所なだけに
すごく引っ掛かってしまった
あと、ちょっと長すぎるかなとも思った
もうちょいカットできたんじゃないですかね
原作にできるだけ忠実にしたのかもしれませんけども…
結果的に面白い映画にはなってると思います
感動して泣ける人もいるでしょうし
でも、テーマが少しブレてる気もして
個人的には素直に感動することはできませんでした
まあ、悪い映画ではないとは思いますけど