何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「浅田家!」感想 写真は思い出の具現化で心の支え

 

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どうもきいつです


ドラマ映画「浅田家!」観ました

ユニークな家族写真で注目を集めた写真家の
浅田政志の実話を基に作られた映画
浅田政志の著書「浅田家」「アルバムのチカラ」が原案
家族写真を撮りながら成長していく主人公の姿が描かれます

「湯を沸かすほどの熱い愛」などの中野量太が監督を務め
主演は嵐の二宮和也です

 

あらすじ
写真の専門学校を卒業した浅田政志は
卒業後が就職もせずフラフラしていた
再び写真を撮ること決意した政志は
自分の家族を被写体に
様々な状況を設定しコスプレした家族の写真を撮り出す
そして政志は写真家になるため上京する

 

感想
とてもコミカルで微笑ましくなる映画でした
若干お涙頂戴な雰囲気もあるけど
全体のバランスが保てているからそこまで気にならない
写真の大切さをあらためて感じさせてくれました

 

予告を見て気になっていたので
観に行ってきました

本作の基となっている写真家の浅田政志の写真作品は
実は以前どこかで展示されていたものを観たことがありました

とは言え随分前でしたし
作者の名前は完全に忘れていて
本作の予告を見たことで作品を観たことも思い出したくらい

でも、とてもインパクトのある写真でしたし
作品自体は記憶に刻み込まれていました

ということもありこの映画にとても興味を轢かれたわけです

 

あんな面白い家族写真を撮っている人だけあって
彼の半生はとても面白くて
そして家族もとても面白い

浅田政志の写真家としての姿や家族との関係性
それがとても面白く描かている映画でした
そこから人にとっての写真の大切さも伝わってきました


本作は大きく3つのパートに分かれると思います
政志が浅田家の写真を撮るまで
写真家として成功するまで
東日本大震災での活動

この3つで物語が成り立っている
なので若干長い映画です
2時間以上あります

これは正直長すぎだと思いましたし
もうちょいコンパクトにできたんじゃないかな…

物語も若干ばらつきを感じたのも否めない
浅田家のほのぼのハートフルコメディーから
政志のサクセスストーリーに進み
最後は震災を絡めた感動ストーリー

ちょっと詰め込みすぎかなとも感じてしまった

でも、全体に家族写真という大きなテーマが一貫してあるので
それぞれがめちゃくちゃバラバラになっている
ってことにもなっていなくて
意外とバランスが取れているようにも思いました


それに
そえぞれのパートで描かれている細かい部分は
面白く観ることができて
結果的に良い映画だったな
という感想になりました


特にはじめの方の
いろんなコスプレで家族写真を撮る部分は
とても笑えて微笑ましいです

家族のやり取りは笑えるものになってるし
浅田家の面々の個性も際立って
この家族すごく楽しそう
と思わされた

主人公である政志の
ほぼニートでフラフラしてる時の感じは
自分にも重なってすごく共感できる

何かやりたいけどいいのを思いつかないからまだややらない
みたいなのはすごくわかる

そこから自分の撮りたいもの見つけてからの
生き生きしている姿は羨ましくも思えました


家族写真を撮ることになってからは
お父さんとお母さんのノリノリっぷりが
バカらしくて面白い
ツッコミ役のお兄ちゃんですら結局ノリノリですし


それにやっぱり写真が面白いですよね

本物の写真を前に観たときにもすごく印象に残っていました
消防士とか極道とか
めっちゃ記憶に残っています

映画の中での写真も本物とほぼ同じに撮られています
再現度はかなり高いです


上京してから認められるまでは少し中だるみしますが
彼女との関係性は面白く見せてくれるし
そこまで退屈はしませんでした


後半になると感動的なエピソードが多いです
政志が家族写真を撮りに出向いた先の家族との交流や
東日本大震災でのエピソードなど

泣かそうとしてるのは少し感じますけど
そこまで不自然ではなく無理やりにも感じなかったので
嫌な印象は無かった

これらのエピソードから
思い出としての家族写真の大切さも感じることができます

特に被災地で汚れた写真を洗い持ち主に返す
という活動の部分は
個人的にとても共感できた

僕も震災があった時に少しだけボランティアに行きました
本当に短い期間ではあったけど
流されてしまった家の敷地内の瓦礫をかたずけたり草引きをしたり

その時に瓦礫の中からたった1枚のボロボロの写真が見つかったんですよね
するとその家の人がめっちゃ喜んでくれたんですよ

その時見つけたのは
その人の孫の写真だったんですけど
すごくお礼を言われたのが未だに強く記憶に残っている

この映画を観たらその時のことを思い出さされました

全てを失ってしまった人の心のよりどころって
思い出くらいしかないと思うんですよ
だからその思い出と直結している写真っていうのは
やっぱりとても大事なものなんだと思う

そんな写真は亡くなってしまった人との繋がりでもあると思うし
人にとってものすごく大事なもの

この映画からは人間の絆でもある写真の重要さをあらためて教えてもらったような気がします

 

あと、キャスティングがとても良かった
なんかみんな自然で無理のないキャスティングだったと思う

政志を演じる二宮和也も本作のキャラにハマってます
どこか飄々とした雰囲気がとても合っていて
やればできる人感もめっちゃある

奥にあるワイルドさみたいなのもいい感じで出ています
タトゥーやヒゲ面も意外と似合っている
長髪もオシャレではなく
切るの面倒くさいから切ってないんだろうな感が出ていていい

適当に生きてても上手くいく人なんだろうな
って風に見えて
写真が認められていく状況も
ご都合主義には思えなくて妙に納得できたりするんですよね

妻夫木聡や黒木華など
他の俳優もみんなナチュラルな雰囲気で
全体的に安定感があったと思う

特に菅田将暉はやっぱりすごいですね
いい意味で存在感を消すのが上手いというか
はじめ菅田将暉と気づかなかった

作品によっては濃い役をやったりもするのに
こういう時はちゃんと脇役になっている
ここまで使い分けできるのはなかなかすごいんじゃないでしょうか

この世代の役者では
やっぱり菅田将暉はトップクラスだと思わされました

 

笑えるし感動できるしいい映画だと思いました

まあ、すごいいい映画だったのかと言えば
そこまででもなくて
それなりに笑えてそれなれに泣ける
ってくらいの映画だとは思う

記憶に残る名作にはなっていなくて
普通に楽しめる普通の映画かも

それなりにいい映画
良作って感じですかね

 


浅田家