何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「佐々木、イン、マイマイン」感想 ラストの勢いはすごかった

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どうもきいつです


青春映画「佐々木、イン、マイマイン」観ました

売れない俳優の青年と
彼の高校時代の友達の佐々木の姿を描いた青春映画
過去と現在に向き合っていく若者の姿が描かれていきます

King Gnuや平井堅のミュージックビデオなどを手掛ける山内拓也が監督を務めています

 

あらすじ
俳優になるため上京した石井悠二は
俳優として鳴かず飛ばずで恋人との同姓生活もうまくいかない日々を送っていた
そんな中、悠二は高校の友達の多田と再開する
そして、高校時代に圧倒的な存在感を放っていた佐々木のことを思い出していく

 

感想
なんとなくノスタルジーを感じれる映画
自分に重なる部分も大いにあって心に刺さりました
ちょっと意味がわからないところも多いけど終盤の勢いはすごかった

 

前から気になっていた映画で観に行ってきました
どんな内容なのかあまり想像もつかないまま観てきましたが
なかなか不思議な映画

面白いのかどうかは正直わからないけど
心に刺さるものはありましたし
最後の怒濤の勢いには完全に気持ちを持っていかれた

自分の人生と照らし合わせても
どこか近いものを感じれました

しかも
楽しかったあの青春
ではなくて

あまり思い出したくないような
でも、思い返すといい思い出だった
みたいな
絶妙な青春の思い出を思い起こされました

それに
今の自分の現状や自分の弱さ
そんな部分をチクチクとつつくような
自分の痛々しさを間接的に見せられたような気もする

 

本作の中心となるのは
主人公の悠二と悠二の同級生の佐々木なんですが

この2人がとても共感させられる存在です

自分がこの2人と同じような境遇や経験を経てきたのかと言うと
別にそういうわけでもなくて

この2人に比べれば家庭環境はかなり恵まれている
それに、大人になってからも
この2人ほどくすぶって生きてはいない

でも、自分の中には悠二と佐々木がいるような気がするんですよ


特に悠二はこの映画の主人公で
観る人みんなが彼の目線で物語を見ます

なので、いつの間にか悠二に感情移入してるし
悠二のなんでも後回しにしてしまう性格は
自分の痛いところを突かれているような気もして痛々しい気持ちになります

悠二のくすぶっている様子は
とても自分と重なる部分もあって
観ていてなんかちょっと苦しくなる

なんとなく生きていて
本当に自分がやらなきゃならないことはわかっているのに
そこから目を背けてしまっている感じ

まるで自分の嫌な部分を見せられているようです


そして、佐々木なんですが
佐々木に自分を重ね合わせることもできるけど
自分と言うより
学生時代こんな奴いたよなってキャラ

これは、佐々木みたいに
すぐに服を脱ぐとか
おちゃらけていてハイテンションだとか
クラスの人気者だとか
そういうことだけではなくて

自分に無いものを持っていて
すごく充実して楽しい生活を送っているように見える人

学生時代ならちょっと羨ましくも思える存在


悠二や佐々木の高校時代の姿を見ていると
なんかノスタルジックで
自分の高校時代も思い起こされます

でも、それは楽しかった思い出と言うより
ちょっと痛々しくて寂しい思い出で
すこし嫌な思い出でもあります

本作の回想シーンも
すごく楽しかった高校時代の思い出でありながら
孤独ややるせなさも感じさせられる

そして、そんな過去があるから今の自分がある

何気ない出来事や何気ない言葉
そんなのが自分にとって大きな影響を与えている
そんなことが自分を作り上げているようにも思わされます


で、もう1つ思わされるのが
佐々木みたいな人間でも
実はいろいろと抱えて悩んでいる

いつも調子に乗ってしょうもないことを言ってる佐々木もやっぱり同じ人間で
実は悠二も佐々木もそんなに違わない

悠二は佐々木を思い出し
太陽のように明るい佐々木に憧れていたんだと思う
悠二の中では10年経っても佐々木は相変わらず全裸で踊っているんです


でも、悠二が見ている佐々木は
佐々木が悠二に見せている佐々木であって
全てを見せているわけではありません

高校卒業から5年後に再会したときに
悠二は佐々木が変わっていないと言ってたけど
それも佐々木があの頃の姿を悠二に見せていたからかも

実際は佐々木にも変化はあっただろうし
どうしようもない人生の中で足掻いたんじゃないかと思う

最後に悠二は
佐々木の友人の苗村の存在や佐々木の死に直面して
止まっていたと思っていた佐々木の時間が
実は動いていたと知る

そこで、やっと自分だけが取り残されていたと気づいたんじゃないでしょうか

だから、自分も前に進まなければと決断できたんだと思います

そして、自分が救ってあげなくちゃと思っていた佐々木に
実は自分が救われていたことにも気付くんです


どんな人にも佐々木みたいな存在がいると思うんですよね
そんな人の存在が意外と自分の人生を左右しているのかもしれない

 

そして、本作でなんかすごいなと思わされたのが
ラストのシーン

これは正直言って
どういうこと?
ってラストなんですけど

これに関してはいろいろと人によって解釈が違うと思います

でも、これって深く考えなくてもいいんじゃない?

単純にこのシーンで気持ちが奮い立たされる
最後の佐々木コールと全裸の佐々木の躍りが
自分を鼓舞してくれているような気持ちになる

それだけで十分だと思うんですよ

この場面を観ることで
なんか頑張ろう!!
って気持ちになる

このラストシーンだけのための映画と言っても過言ではないと思う

怒濤の勢いのこのシーンを見せ付けられれば
どんな人もスゲーものを見たって気持ちになるはず

最後には映画を観ている自分も
心の中で佐々木コールを叫んでいました

 

自分の学生時代を思い出し
ノスタルジーに浸れる作品ですが
これからの自分の未来についても考えさせられた
本作のラストシーンには
ここから先へ前進するための勇気を貰えたような気がします

製作陣の熱量や勢いも感じられる面白い映画でした