何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「イレイザーヘッド」感想 いくらなんでもシュールすぎる まるで悪夢のよう

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どうもきいつです


ホラー?映画「イレイザーヘッド」観ました

印刷屋の主人公の周辺で起こる不可解な出来事を描いた1977年の作品
シュールで難解なストーリーが不気味なモノクロ映像で表現されています

「エレファント・マン」などの鬼才デヴィッド・リンチのデビュー作です

 


あらすじ
フィラデルフィアの工業地域で働く印刷屋のヘンリーは
彼女のメアリーから子供が産まれたことを告げられる
しかし、その赤ん坊は異様な姿だった
やがて、生活に耐えれなくなりメアリーは家を飛び出してしまう
そして、残されたヘンリーは一人で赤ん坊を育てることになった

 

感想
正直言って意味がわからない
どういうこと?の連続です
ただ、シュールで独創的な映像は魅力的で
意味がわからないながらも伝わってくるものは確かにある
気持ち悪いし難解なので好き嫌いは極端に分かれそう

 

カルト映画の金字塔
ということで前から気になっていた作品
Netflixで配信されていたので観てみました

 

なんとなくヤバそうな雰囲気を感じていましたが
実際に観てみてもやっぱりヤバい映画

どんな気持ちで観ればいいのかな?って内容
不思議で独特で難解で
そして、めちゃくちゃ気持ち悪い

この映画が面白かったのかと言うと
面白い映画ではないと思う

この映画面白いから観てみて!!
とおすすめはできないですよね…

でも、つまらない映画かと言うとそうでもなくて
つまらないようで興味深い
なんだかわからないけど
なんかすごい映画なのかな?とも思わされる

結果的に最後まで観てもよくわからん意味不明な映画ではあるけど
ただ意味不明なだけの映画ではないとも思わされるんです

支離滅裂な映像の繋ぎ合わせのようで
この映画の芯のようなものはしっかりあって
伝わってくるものは間違いなくある

 

そもそも、この映画はストーリーが明確にあるわけではなく
一応、大まかな道筋はありますけども
ドラマが描かれるわけでもなくわかりやすいオチがあるわけでもない
なんとなく主人公が子育てに悪戦苦闘してるのかな?くらいのことしかわかりません

なぜこんなことが起きてるのか?や
今どんな状況なのか?など
そういうのは正直全然わからないと思います

基本的に
悪夢のような異様な世界を
淡々と気味の悪い映像で見せられるだけ

最後まで観ても全然すっきりしません
むしろ、モヤモヤする
今まで何を見せられてたんだよ
って気持ちになってしまう

 

そして、この映画で見せられる映像は
陰湿で気持ちが悪く
さらにやっぱり意味不明

よくわからない映像がずっと続きます
整合性もあまり感じれなくて
場面と場面の繋がりも唐突な時が結構あります
急に場所が変わったけどどういうこと?
みたいなことが多い

ほんとに悪夢を映像化したような作品なんですよね
終始、嫌な夢を見せられてるような不安感を感じてしまいます
恐怖というよりかは不安なんです

赤ん坊の風貌や気持ち悪い造形
グロい描写や暗めの映像
そんなものが多いけど怖さはそんなに感じない

ただ、居心地の悪さはすごく感じて
常に嫌な気持ちにさせられます

でも、そんな気味の悪い映像ですが
どこかセンスも感じれる

こんな映像を撮ってしまう発想力はすごくて
気持ち悪いけど引き込まれてしまう魅力がとてもあります

こんな悪夢みたいなものを映画として撮ってしまうのも変態的で嫌いになれないですし
それが映画として成り立っていますし
最後まで見せられてしまうのは魅力のある作品だということ

赤ん坊の風貌はキモいけどどこか可愛さがあったり
主人公の髪型が特徴的だったり
ほっぺたが腫れた女性、生首から消しゴムえんぴつを作る、暗めのモノクロ映像、不気味な効果音
インパクトのある映像満載で頭に焼き付いて離れない

狂った映像だけどそこがクセになってしまいます
また見たくなってしまう

 

で、散々意味不明と言ってきましたけども
テーマはなんとなくわかります

それはおそらく
男性の父親になる不安感や赤ん坊に対する恐怖心
そんなものを
この不気味な映像で表現しているんだと思う

実際、僕は父親でもないしまだ結婚もしてないですけども
なんとなくその気持ちはわかります

赤ん坊の扱いなんか
どうすればいいのかわからず
ちょっと怖いですし
自分が子供を育てられるのかを想像すると
とても不安に感じてしまう

本作の主人公は急に自分の子供ができたと知り
その不安は計り知れないもの

そんな不安や恐怖をこの映像で表していると思えば
支離滅裂で異常な本作に納得できる

むしろ、それを視覚的に上手く表現されている作品だと思うわけです

父親として自覚しそれを受け入れることができる状態なら
赤ん坊は可愛くて仕方のない存在だろうけど
そんな準備もできず理解もままならない状態ならば
赤ん坊を本作のような異様な存在に感じてしまうかもしれない

他にも意味深な要素はたくさんあって
全部は理解できませんでしたけど
でも、やっぱり意味は込められていると思う

その中心にあるのは
男性の不安定な気持ちなんだろうなと思います


それらを直接的にわかりやすく描かないのが
この映画の魅力です

やってることはシュルレアリスムの絵画と同じ

一見、現実離れした世界が広がっているけど
現実を超えた現実はもはやより現実的
無意識の中にある人間の本質的なものを描いている

悪夢を形にした夢の中の無意識を映像化したような作品だし
デヴィッド・リンチもシュルレアリスムを意識してこの映画を撮ったんじゃないでしょうかね

意味不明な映画のように感じるけど
実は深いものを描いた作品だと思います

 

意味がわからなくても
その独創的で気味の悪い映像は魅力的で
そのセンスに触れることができただけで
この映画を観た価値はあるかも

ちょっと深く考えてみればこの映画の意味にも気づけるだろうし
とても興味深い映画でした

 


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