何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

ドラマ「呪怨:呪いの家」感想 いろんな意味で怖くて気持ち悪い これが呪怨の本質

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どうもきいつです


連続ドラマ「呪怨:呪いの家」観ました

人気ホラー「呪怨」シリーズをNetflixでドラマ化した作品
2020年7月より全世界で配信が始まっています
1980年代から90年代にかけてを舞台にし
郊外にある一軒の家に関わった人々の恐怖を描いています

監督はホラー作品を初めて手掛ける三宅唱です

 

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
心霊研究家の小田島はテレビ番組で共演した
タレントのはるかが体験した怪現象に興味を引かれ
彼女の相談に乗ることになる
そして、それにはとある一軒の家が関わっていたことを知る
同じころ、女子高生の聖美たちが
その家に訪れおぞましい体験をし
そこから聖美の人生は狂っていくのだった

 

感想
心霊的な怖さはもちろんの事
人間が狂っていく様が怖くて気持ち悪い
伽椰子と俊雄がいないからこそ
呪いの本質、おぞましさが伝わってくる
原点回帰のような作品でした

 

ドラマが配信されると話題になってましたし
個人的にもかなり期待していたドラマで
早速、全話観てみました


連続ドラマですけどかなり観やすかったですね
全部で6話しかないし
1話がだいたい30分弱くらい
普通に1日で最後まで観終えることができます

そして、1話1話がゾッとする怖さ、鳥肌が立つような気持ち悪さ
そんな内容なので恐怖に引き込まれ最後まで一気に観させられてしまうと思う

まあ、いろいろとすごいドラマで
ホラーが苦手な人だとたぶんキツ過ぎて
観るの無理なんじゃないですかね?
かなりグロいシーンがあったりもするし

でも、だからこそすごく面白かった
やっぱりこういう呪怨が観たかったよ

 

まず、本作は冒頭でも説明されますが
映画「呪怨」にはモデルとなった実際の呪いの家があります
という設定で始まります

実際はフィクションですけど
そういう設定にすることで
今までとは違った呪怨が描かれていますし
当たり前のように登場していた伽椰子や俊雄は出てこない

なので今まで「呪怨」シリーズに触れてこなかった人でも
全然理解できる内容で
その点でも観やすい作品になっています

ただ、根本にあるものは今までの「呪怨」と通じるものがあって
別物にはなっていなくちゃんと「呪怨」なので
ずっとシリーズを観てきた人でも楽しめるはず

むしろ、シリーズが進んでいくにつれ
「呪怨」が微妙になってきたと思ってた人も
これを観れば
やっぱり「呪怨」面白いじゃん
ってなると思いますよ

 

本作は普通に怖くてゾクゾクします

よくあるホラー的なビックリさせるような演出もあれば
日本らしい静かな恐怖も表現されている

ビジュアルもかなり鮮烈で
目を覆いたくなるような痛々しいシーンやグロテスクなシーンもあり
さらにオバケの見た目もなかなか怖くて
久しぶりに夢に出てきそうだなって思った

最近もいろいろと新作のホラー映画を観てきていましたが
全然面白くない、面白いけどなんか物足りない
って作品ばかりで
日本のホラー大丈夫か?
と不安にも思っていたんですけど

でも、本作はそんな痒いところに手が手が届いたような作品
てか、近年の日本のホラーの中でも
段違いに良かったと思います

こんなのが観たかったんだよ!!
ありがとう!!
と感謝すらしたくなります


で、心霊的な怖さだけでなく
人間の負の感情が生み出す恐怖や気持ち悪さも
存分に味わえます

人間が狂っていく様
もともと持っている狂った部分
そこから生まれる悲惨な事件はさらに狂っている

このドラマを観ていると
呪いによって人間が狂っていくのか
そもそも人間は狂っているのか
そこがわからなくなってくる

この狂気を鮮烈な映像とともに見せられ
恐怖にゾクゾクしてしまう

特に第4話なんてすごかった
やりすぎですよね
怖すぎる

これ観て狂気のスプラッターホラー映画「屋敷女」を思い出しましたよ
でも、本作のほうが人間の気持ち悪さは圧倒的に上ですね

これはグロが苦手 な人は絶対無理なやつです


他にも
怖さだけでなく
なかなか面白い映像演出もあったりします

終盤にある
時系列が曖昧になり現在と過去が入り交じってくる演出はとても面白いです

この混沌とした映像が恐怖を煽るだけでなく
ミステリアスな謎に満ちた魅力も引き出してくる

そして、今までバラバラだと思っていたものが
この映像で繋がってるようにも思わされます

これはストーリーが繋がると言うよりは
呪いの本質や人間の根本にある闇が繋がっていて
そこから呪いが生み出されていく
というように思えました

 

それから、本作で重要なのが
今まで定番だった伽椰子と俊雄が登場しないということ

「呪怨」と言えばこの2人で
それが登場しないって「呪怨」として大丈夫か?
と思うかもしれません

実際、この2人が出てこないから拍子抜け
と感じてしまう人もいると思います


ただ、伽椰子と俊雄が出てこないからこそ
本来「呪怨」で描かれていた恐怖の本質が見えてくる

本作は原点回帰の作品のようにも思えるんですよ

シリーズが続くにつれて
良くも悪くも伽椰子と俊雄がマスコット的になってしまっていて
「呪怨」はこの2人が理不尽に人を襲うだけのホラーになってしまっていたと思うんです

本作はこの2人を排除することで
ビデオ版「呪怨」で描かれていたような
呪いは人間が生み出すもの
というところが強調されている

今までは伽椰子と俊雄の存在自体が呪いみたいになってしまっていたけど

このドラマでは
呪いの根本なんて結局曖昧でわからなくて
でも、明らかにその呪いは人間の中から
生み出されているということは確実なんです


本作も今までの「呪怨」と同じように
呪われた家に足を踏み入れた人間は
呪われ狂っていくんですが

ただ、この家に入っても呪われない人もいたりする

今までの作品は無差別に理不尽に伽椰子に狙われていた訳なんですが
本作はそこが違うんですよね

そこから見えてくるのは
呪われる人間にも呪われる何かがある

さっきも言いましたけど
呪いのせいで人間が狂っていくのか
もともと人間が狂っているのか
ということなんですよね

呪いが呪いを引き寄せて
さらに大きな呪いになっていく
本作を観ているとそういう風にも感じれる


元凶は過去にその家であった大家の息子が女性を監禁した事件のようにも思えるけど
実はそれが全ての元凶だとは断言されていなかったりします

子供を抱いた女性の霊が誰なのかは
実は最後まで観ても謎のまま

そこを曖昧にすることで
呪いっていうのは不思議な何かではなくて
身近にある人間の闇だということがより伝わってくる

伽椰子や俊雄の存在が大きくなりすぎて
呪いがある意味ファンタジーなものになってしまっていたのを
その2人をなくしてしまうことで
本作は再び現実的なものとして表現していました


さらに、本作は社会の闇、人間の闇にも切り込んでいます

このドラマの中で起きている事件は
実際に起きた事件をモデルにしているようですし
ドラマの中でテレビに映っているニュースは
実際の起きた事件だったりする

そんな要素から80年代から90年代にかけての
時代の闇を感じることができるし

だからこそ
この作品がただのフィクションではなくて
どこか現実の世界と地続きで繋がっているようにも思えます

呪いというものがただのファンタジーではなくて
自分の身近にも存在するように感じる
それだけでなく
自分の中にも存在するんじゃないかとさえ思わされます

そこに恐怖を抱かされてしまうんですよね

本作はただ幽霊が怖いという
ファンタジーな恐怖だけでなく
人間の中に潜む現実的な恐怖も描かれていました

 

最近は日本のホラーにがっかりさせられることも多かったですが
このドラマは最高に楽しめました
とにかくいろんな怖さが詰め込まれていてゾクゾクします

こんなドラマを観ると
動画配信による作品の幅が広がってるように思えます
映画やテレビドラマではこんな作品は生まれなかったかもしれないです

Netflixさまさまですね

 


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