何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「きみと、波にのれたら」感想 結局これ なんの話?

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どうもきいつです


アニメ映画「きみと、波にのれたら」観ました

サーフィンが好きな女子大生と消防士の青年の恋を
海辺の町を舞台に描いた青春ラブストーリー
監督は「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」などの湯浅政明が務め
声の出演は片寄涼太、川栄李奈などです

 


あらすじ
大学入学のため港町に引っ越してきた向水ひな子は火事に巻き込まれ
消防士の雛罌粟港に命を救われる
それをきっかけに2人は恋に落ち
互いにかけがえのない存在になっていく
そんなある日、港は溺れた人を助けるため海で命を落としてしまうのだった

 

感想
カップルがイチャイチャしてるだけで
話の筋が見えてこない
この映画は何の物語だったのか?
設定も曖昧だったりするしドラマも薄いし
つまらない映画でした

 

なんとなくアニメ映画を観たくなったので
アマプラで配信されていた本作を観てみました

湯浅監督の作品だということも観てから気づきました
監督の作品は特別好きというわけではないけど
好きな作品もある
才能のある監督だとは思うけど

本作に関してはなかなかひどい
お世辞にも面白い作品とは言えないです

 

まず、この映画に思うのは
一体どの層に向けられているのか
ということ

アニメ映画だけど
内容は甘いリア充のイチャイチャラブストーリー
そして途中からはファンタジー路線
ひたすら流れる知らない歌
主演キャストは若者に人気あるっぽい人たち

誰に観てもらおうとした映画なのか

アニメだけど全然子ども向けじゃないし
オタク向けでもない

かと言って
10代くらいの若者がわざわざこんなアニメ映画を観るとも思えない

主演キャストに関しても
このキャストに興味を引かれる人たちは
たぶん顔を見たいからアニメ映画じゃ満足できないだろうし

この時点で若干失敗してるような気がする

実際、興行成績も振るわなかったみたいだし
そこには納得ですよね
そりゃこんなの誰も観ようとしないと思います

世間の記憶からも消えてしまってますしね

 

でも、これは売り上げ的な問題で
映画の面白いかどうかは別

面白けりゃそんなことどうでもいいわけです


ただ、本作は内容も微妙
正直言って面白くなかった

 

恋愛がメインの物語ですが
まず、これがちょっと酷いかなと思います

基本的に ただただイチャついてるだけの恋愛です

僕が恋愛映画で一番クソだと思うのが
イチャイチャとデートするだけで恋愛を表現している作品

本作も完全にそれで
前半はイチャイチャしてるだけ
ラブラブな2人が歌う本作の主題歌をバックに
ラブラブなデートをひたすら見せられます

これの何がおもろいねん


これは嫉妬とかではなくて
シンプルにつまらないんですよ

大したドラマもさほど描かれず
波風もない平坦なリア充ラブラブカップルのデートが30分くらい

2人の絆が深まる過程も描かれないし
出会った時から運命だったみたいな…
薄っぺらい内容

もう一度言いますけど
なにがおもろいねん


もうね
恋愛の中身が空っぽ過ぎて
感情移入も共感も全然ない
観てるこっちの感情が無になる

この映画で見せられる恋愛は
カップルとはこういうもの
という記号でしかないんですよね

 

で、ここから先の
港が死んでしまってからは
さらに加速してつまらなくなる

ここからは目指してる方向が不明
着地点はどこなのか?

主人公の2人
ひな子と港が何をしたいのかもよくわかりません

港が幽霊的な何かとして現れるファンタジーな路線へとなりますが
生きているひな子と幽霊になった港が再会して
そこに何があるのか?
というものがずっと不明

中心にあるべき軸がないまま
ストーリーだけはなんとなく進んでいってる
って感じ

普通は残されたひな子の成長が描かれて
そこが中心になるんだろうけど
この映画では
何をもってひな子の成長なのか
ってのがよくわからないまま話が進んでいくんですよね


そして、水の中に港が現れてからのひな子が
ヤバすぎて怖い
もはやホラーなんです

端から見たら水に話しかけてるヤバい女で
あげくには水がたっぷりと入ったスナメリの風船と町中でデートしてるんですから

この状況がわかっている映画を観ている側も
さすがにこれには引いてしまう

映像的には明るいファンタジーなんですけど
不安や気持ち悪さをとても感じてしまい
違和感が半端ないんです

いっそのこと
狂った女を描いたホラーになってしまったほうが面白かったかもしれない

 

そこからの終盤の展開もいまいち方向性がわからず
盛り上がってる風には見せてるけど
全然盛り上がりもなくて
終始こいつらなにやってるんだよって状態

どのキャラも行動原理がよくわからん

ひな子がライフセーバーを目指すのとか
なんじゃそりゃですし
この辺から港も全然出てこない

港が消えるかもと思ってから
ひな子の心境に変化が起きますが
あまり理屈が通ってないというか…


港の妹がヤンチャな若者を追跡しようとする謎の正義感も
唐突すぎて理解できないし
そこがひな子の物語とも繋がってない


そこから
港が助けてくれて
ひな子がサーフィンをするクライマックス
ここで、なんか全部上手くいった感を出してるけど
別に何も解決してないし


ラストのクリスマスメッセージの場面は本当に謎

予約すればクリスマスメッセージを読み上げてくれるサービスに
実は港が一年前に予約していてラストで読まれる
という感動シーンです

でも、ツッコミどころが多い

なぜ一年前に予約をするのか?
これ自分が死ぬのわかってる奴がすることでしょ

ここは完全に泣かそうというのが先走っていて
おかしなことになってしまってる

ただ、このシーンがめちゃくちゃあっさりしてる
これが最大の謎

泣かそうとしてるから無理やりぶち込んだシーンなのに
なんで余韻もないほどスピーディーにあっさり流すのか
どこかカットされてるのかと思うほど

このシーンがサイコすぎで気持ち悪い
もう怖いです

 

そして、設定の話ですが
設定が曖昧すぎると思います

どこまでファンタジーなのか線引きとかもよくわからないし

幽霊として納得しようとしても
水を自在に操ったり
ひな子にしか見えなかったり
歌うと出てきたり
よくわからん設定が付け足されてるから
簡単には幽霊だからと納得できない

説明がいるレベルでいろいろやってるのに
説明も全くなくて理解できない

港が成仏する条件もわからないまま
最後は天に召されて
は?って感じですよね

途中で事故って死んだ人が天に召されてるシーンも謎だった
あれいる?

終盤にひな子以外の人にも港が見えるのも謎でしたね
なんで?
今まで見えてなかった上に
それといったきっかけも無いのに


もっとちゃんと設定を練れよ
と思わされました

設定が中途半端すぎで気持ち悪い

 

あとは
劇中で何度もリフレインされる歌
これも微妙

本作ではこの歌に重要な役割があるけど
何回も聞かされるこの歌は邪魔にしか思えなかった

そもそも、懐かしの歌扱いなのに
EXILE系のJポップで懐かしいどころか
ただの最近の量産型の曲
しかも、観てる側は全く聞いたこともない知らない曲なわけです

なので、この曲には違和感しかない

てか、この曲自体なんの必然性もなく
強引にぶち込まれているだけなので
ストーリー的にも噛み合ってないし違和感があります

それに、歌があまりにでしゃばりすぎて
この映画が歌のPVみたいにもなってるし

そのわりに
この歌が全然耳に残らず映画が終われば忘れてしまうという…

こんなクオリティじゃ
「君の名は。」の二番煎じな上、失敗してしまった映画
という印象しか残らないんですよね

すべてにおいて噛み合いが悪くて
後味が気持ち悪い


映像に関しては
湯浅監督らしい写実とデフォルメの間な表現が魅力的で
背景や水の描きかたも綺麗で見映えはとてもよかった

いいとこはそれくらい

 

いろんな意味で気持ち悪さの残る
何を目指してるのかわからない謎映画

中身の無いイチャつきバカップルなんて
現実だろうが創作物であろうが見たいと思わない
見たところで得るものなんて何もない

 


きみと、波にのれたら Blu-ray通常版