何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「血を吸う粘土 派生」感想 2作目にして早くもマンネリ

f:id:kiitsu01:20210530210713p:plain

どうもきいつです


ホラー映画「血を吸う粘土 派生」観ました

呪いの粘土がもたらす恐怖を描いた「血を吸う粘土」の続編
今回は美術作品制作キャンプに参加した女性たちが
呪いの粘土カカメに襲われます

監督は前作と同じく
特殊メイクアーティストの梅沢壮一が務めています

 

あらすじ
呪いの粘土カカメによって殺された伏見の娘の果林は
警察から父の死を知らされる
火葬場で焼かれた父の遺骨を渡されるが
そこにはカカメの一部も含まれていた
美術作品制作キャンプに参加する果林は
その場にカカメを持ち込んでしまい
キャンプの参加者が次々とカカメに襲われていくのだった

 


感想
前作とやってることがほぼ変わらず
2作目にしてマンネリになっていました
本作の中だけでも同じことの繰り返しが続いて
さすがに面白味が無いかな…
あと、よくわからん変な演出の意図は謎

 

前作がなかなか独特な作風で魅力的な映画だったというのもあり
続編である本作も観てみました

前作と同様に
とてもチープなB級映画で
バカバカしいホラー映画なのは間違いない

なのでハードルを上げて観るのは禁物です

前作と同じで
特殊メイクにとても力を入れていて
そこがこの作品の最大の魅力でもある

続編の本作でも
面白い造形や表現は楽しむことができました

 

ただ、前作に比べるとかなり微妙かな
という印象が強かったのは否めません

前作は特殊メイクに全振りで
完全に力業だけで最後まで見させられ
そこが面白さであり魅力
個人的にはとても好感が持てる映画でした

で、続編の本作も
そんな映画なのは間違いなくて
何を中心に見せたいのかは全くブレてないし
この映画に対する熱量も感じられる

その点では嫌いな映画ではないです


でも、さすがにやってることが同じすぎるかな…

前作ではその勢いに心を掴まれたけど
今回の場合は2作目というのもあって
ちょっとそこまでは気持ちを持っていかれなかった

だから、前作以上に悪い部分も目立っていたように思います

 

まずは前作よりも良くなっていた部分の話

今回は登場人物の見分けがつきます
前作は誰が誰だかわかりませんでしたが
本作は見た目で区別がつきやすくなってる

見た目だけでなんとなく個性が見えてきて
主人公も明確に誰なのかもわかります

そこは改善されていたので
前よりは見やすくなっていました


そして、造形に関しても
前作よりもクリーチャー感が増していて
より特殊メイクの面白さは感じることできた

顔面を地面に這わせて鳥を補食する場面は
なかなか気持ち悪くて面白い

顔の崩れ具合も
前作以上にめちゃくちゃやってました

そういうのは観ていて面白いし
この映画の魅力だなと思います

 

と、良い部分もあるんですが
やっぱり短所のほうが気になってしまいましたかね…


特に気になったのは
ホラー演出がワンパターン過ぎるところ

この映画の怖さの表現は
あまりに幅が狭すぎるなと思わされます

基本的に怖さの表現方法が
特殊メイクの造形の怖さだけに頼りきってしまってると思うんです

確かに特殊メイクはこの映画の最大の魅力であって
そこを全面に押し出しているのはわかるんですけども

さすがにそれだけでは観てる側は飽きてくる

しかも、本作は2作目でもあるので
結構、お腹いっぱいの状態でスタートしてるのもあります

前作でもたくさん見せられた特殊メイクを
本作でもさほど捻りなく見せられる

それだとやっぱり
もう、お腹いっぱいだな…
って気持ちになってしまいますよね…


その上、毎回襲われて逃げるってパターンの繰り返しでもありますし
襲われた時は
相手の攻撃をギリギリ受け止めて恐怖の表情
と、同じことばかりやってたような気がする

最初のうちはその勢いが良い効果を生んでるけど
繰り返されると尻すぼみでちょっとつまらなくもなってきます

ホラー映画特有の
不穏な空気でゾクゾクさせるとか
急に現れて驚かせるとか
意表を突いた展開で精神を掻き乱すとか
そんな表現は全くと言っていいほど無かったですかね

ひたすら見た目の気持ち悪さで怖がらせようとしてるのだけなので
それだけでは恐怖を感じることができませんでした


あと、これは前作と同じですが
誤魔化してる場面も多かったです

映像の勢いやカット割りでそれっぽくは見えるけど
直接的な表現から逃げてる気はしてしまいます

顔を切りつけるシーンなんかも前作と同じで
速い動きで誤魔化してますよね

直接的な表現をすれば手間も時間もかかるとは思うけど
そこに力を入れてくれれば
質の高い映画になるのは間違いないと思うので
もっと細かいところまで力を入れてほしかったです


そして、本作は変な演出がちょくちょくあって
それの意図がよくわからない

主人公を含めた女の子たちが作品制作をしている場面なんですけど
画面を六角形で区切って見せたり
変な音楽にノリノリで絵を描いてる映像を見せたり

いまいち何がしたいのかよくわからん

なんかオシャレな映画っぽい雰囲気は漂ってたりはするけど
ホラーに必要ない気がしますし

てか、そもそも絵画制作の過程を
そんなにダラダラと見せる必要は無いと思うんですけどね

そこに時間をかけるのなら
別の部分にかけてほしかったです

 

さらに、これも前作で思ってたことなんですが
やはりストーリーや人間ドラマが薄すぎると思う

前作はカカメが誕生した原因を描いていたので
薄いながら面白さを感じることができました

しかし、本作はそこが無くなってしまってるので
本当にストーリーが全く無い映画になっている

主人公の父親や義理の姉妹のエピソードがあったりはするけど
全然掘り下げていないですし

前作から登場する予備校の先生なんかも
いまいち目的や行動原理がよくわからなくて
意味不明になってたりもする

登場人物が結構多いんですけども
感情移入できる人間は全くいません

登場人物の見た目の違いは出せてるけど
内面などの魅力は全然出ていません

そんなのがあるから
薄っぺらい映画になってるのは間違いなくて
深く映画に引き込まれることはないです

感情移入できるキャラがいれば
その人が死んだときのショックは大きいし
逆に嫌いで腹立たしいキャラがいれば
そいつが死んだときにカタルシスが生まれます

そんな要素はホラーには重要で
そこがあれば
それだけでも面白い映画になると思う

そんな点でも
ストーリーや人間ドラマは必要かなと思います

 

特殊メイクに対するこだわりは大きくて
そこを大事にしているのは伝わります
ただ、それ以外にはあまり力を入れていなかったのかなと…

特殊メイク以外にももっと力を注いでいたら
すごく面白い映画になっていたかもしれない

ちょっともったいない映画でした

 


血を吸う粘土~派生 [Blu-ray]