どうもきいつです
アニメ映画「映画大好きポンポさん」観ました
杉谷庄吾【人間プラモ】による同名漫画を原作にしたアニメ映画
映画プロデューサーのポンポさんに監督として抜擢された青年の成長が描かれます
監督は平尾隆之が務め
声の出演は清水尋也、小原好美などです
あらすじ
映画プロデューサーのポンポさんのもとで制作アシスタントをする映画通の青年ジーンは
自分に映画を撮ることは無理だと諦めかけていた
しかし、ポンポさんはジーンを映画監督に大抜擢する
新人女優のナタリーを迎え波乱万丈の撮影がスタートするのだった
感想
映画の制作過程がシンプルでわかりやすく描かれていて
まるで教材のような映画
テンポよくとても観やすいです
ちょっと真面目すぎる映画な気もしたけど
映画は人生だと思わされる作品でした
原作の漫画は全く知りませんでしたが
この映画に興味が湧いたので観に行きました
映画を題材にした作品
という情報はありましたけども
実際にどんな作風でどんな内容なのかは見当がつかず
若干、不安もありましたが
観てみるとなかなか面白い
テンポがいいし勢いもあって最後まで見入ってしまいました
わかりやすく映画の制作について教えてくれるような作品でもあります
まず、この映画で気になるのは画風かなと思います
萌え絵と言うか
なんかすごく深夜アニメっぽいです
普段そんなアニメを観ない人は抵抗あるかもしれないし
映画しか観ない人も敬遠してしまいそうです
その上、実際に観てみても
アニメの表現やキャラのノリなどは
すごく深夜アニメっぽい
正直、そこに違和感がないと言えば嘘になります
舞台がハリウッド(厳密にはニャリウッド)で
登場人物はみんな外国人
作品のテーマが映画制作
というのもあり
深夜アニメっぽさはすごく相反してるように思えてしまう
観ていると慣れるかとも思いましたが
最後のほうまでその違和感はついて回りました
作品の内容も見た目そのままなので
苦手な人は苦手かもしれません
ただ、それがマイナスなのかと言うと
そうではないと思います
深夜アニメっぽさがわかりやすさにも繋がっていて
こんな作風だからこそ
ストレートに伝わってくるものがある
日本人にとってすごくわかりやすい表現なのかもしれません
もしこれが
外国人が出演する実写映画で
映画的な表現で作られたリアルな作品だとしたら
たぶん面白くないだろうなと思います
結果的に
違和感はあるけど深夜アニメっぽさが
映画制作という少し堅苦しいテーマを
上手く観やすい形に落とし込んでると思いました
それがこの作品の唯一無二の魅力になってるんじゃないでしょうか
そして、本作の内容はと言うと
主人公ジーンの監督としての成長と
映画の制作過程を描いただけの
かなりシンプルなストーリーです
その中で
監督には何が必要なのか描かれていたり
俳優やスタッフなどの必要性
映画に対する心構えなど
映画はどうやって作られているのか
そこにはどんな思いが込められているのか
そういうものを丁寧に見せてくれます
本当に教材みたいな映画で
これから映画を作りたいと思っている人への
入門編としてちょうどいいかもしれません
ただ映画作りの入門編というだけでなく
人生と映画を重ね合わせた物語はなかなか面白いです
主人公が素晴らしい映画を作るために四苦八苦する物語ですが
その過程で劇中劇である自身がつくる映画と自分を重ね合わせていきます
ここまではありがちな展開で普通なんですけど
そこから先は
映画の編集作業と人生が重なっていきます
ここがすごく面白いし納得もさせられる
膨大な素材の中から多くのものを削ぎ落とす取捨選択が
人生における取捨選択の重要性を表しています
素晴らしい映画=素晴らしい人生
が物語や映像で表現されてる
欲しいものを手に入れるには多くのものを捨てなければならなくて
それが大きければ大きいほど捨てるものも大きくなってしまう
映画の編集でそれを表現するのはすごく納得できます
撮影過程で思い入れのあるシーンや面白いアイデアが生まれたり
出演者やスタッフの思いを知ったり
作品に愛着が湧けば湧くほど
カットすることへの重みや責任が大きくなる
人生も同じで
捨てれない大切なものがあっても捨てなければならない時もある
取捨選択を繰り返すことで
結果的にそれが正解かどうかはわからないけど
よりよいものを作るには
それが必要不可欠なものだと痛感させられます
あらためて作品を制作することと人生の繋がりというものを感じさせられました
そして、そこからのオチはすごく良かったですよね
あのラストはめちゃくちゃカッコいいと思う
バシッと締まった素晴らしいラストでした
そして、90分というのもかなり重要
ポンポさんは90分の映画が1番いいと言いますし
本作自体が上映時間90分
この映画を観ると90分の良さにすごく共感できてしまいました
正直言うと
僕も2時間の映画はすごくなげーなと思うことはよくあって
90分の映画にはすごく好感が持てたりします
実際、2時間の映画と90分の映画が並んでいると
90分の映画を選びがちです
で、本作が90分で面白い映画に完成しているというのが
この映画の1番の説得力です
もし本作が2時間なら
は?って思ってしまいますし
90分でもつまらなかったら説得力に欠けてしまう
そこを上手く90分でまとめ上げたのは天晴れとしか言えません
90分の中でテンポよく進みますし
でも、描きたいもの伝えたいものはちゃんと入れている
おそらく90分にまとめるために
原作からの取捨選択にはかなりこだわっていると思います
本作が90分の面白い作品に完成してるからこそ
ラストのオチも強くなっていると思います
テーマがしっかりと伝わってくるし
映画としても面白い作りで
クオリティの高い作品だなと思わされました
かなりトントン拍子で全てが上手く行きすぎるストーリーだったり
ひねりがなく意外な展開なんかもないので
正直、ちょっと面白味は無いかなと思います
定型にハマってて真面目すぎる映画にも感じました
そこがちょっと気にはなるけど
変に斜め上の方向に物語が進んでは
やっぱり軸がブレるだろうし
今の形が正解なんだろうと思います
これ以上もこれ以下もない映画かもしれない
はじめはどんな映画なのか少し不安もあったけど
実際に観てみるとなかなか面白いことをやってる映画で
最後まで楽しんで観ることができました
映画とは人生
を上手く表現できている作品です