何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「THE GUILTY/ギルティ」感想 どんどんと想像力を掻き立てられる

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どうもきいつです


サスペンス映画「THE GUILTY/ギルティ」観ました

主人公が電話の声と音を通して誘拐事件の解決に挑む姿を描いた
2018年デンマークのサスペンス映画
第34回サンダンス映画祭で観客賞を受賞するなど話題を呼んだ作品です

監督は本作が長編初監督作となるグスタフ・モーラーが務めています

 

あらすじ
過去の事件をきっかけに警察官のアスガーは現場を離れ
緊急通報指令室のオペレーターとして勤務していた
交通事故の搬送を手配するなど小さな事件対応する日々を送っていたが
ある日、誘拐されていると言う女性から通報を受ける

 

感想
主人公たった1人の目線で繰り広げられるワンシチュエーションのサスペンスが斬新
見えないからこそ想像力を掻き立てられ
意外な展開に驚かされる
最後まで引き込まれ楽しめる映画でした

 

アマゾンプライムで見つけて
面白そうだったので観てみました


地味な映画ではありましたが
アイデアがとても面白い

ワンシチュエーションで主人公が映っているだけの映画ですけど
想像力を掻き立てられる作風が個人的にはとても好き

サスペンスとしても面白い内容で
最後まで飽きずにハラハラさせられる

アイデアだけでは終わっておらず
中身もしっかりと作り込まれている映画でした

 

まず、アイデアがすごく良くて

オペレーターとして電話対応しかできないという制限された状況を
上手くサスペンスとして取り入れています

相手から一方的にかかってくる電話の声や音を頼りにするしかなく
さらに、対応するにも自分では行動できず
警察を送り込む依頼をすることしかできない

そんな、行動を制限された状況で
主人公は事件解決に挑みます

この設定が斬新だし
制限されているからこそ
上手くいかないモヤモヤや危機的状況のハラハラで
最後まで心を揺さぶられてしまいます

サスペンスとしてめちゃくちゃ良い設定ですよね
このアイデアの時点でこの映画は勝ちです

 

さらに本作は
アイデアだけで終わらず
そこから面白さを広げています

電話ごしの相手の声や音しか情報がないところから
意外な展開や恐怖心などを生み出していて
設定を上手く活用しています

何もできない主人公の憤りなんかも
この映画の良いエッセンスになってますよね

主人公の勘違いなんて
電話だからこそ起きることで
この事件の真相の謎解きにも面白く作用している

サスペンスとしてはとてもシンプルで
そんなに捻った内容ではないんですが

この制限された状況が相まって
無理なく複雑になっているんです

冷静に考えれば王道なストーリーだし
オチもそんなに意外ではないんですけども

観ている側も主人公と同じく
この特殊な状況に翻弄されてしまう

電話ごしの言葉って
それしか情報がないので信用するしかない
そこに落とし穴があって

最終的にはすごく振り回されてしまってるんですよ

それがこの映画の面白さです

 

それに見せ方もすごく良くて

会話だけの地味な映画のはずなのに
本作を観終えたときには全然地味な印象がない

それの要因は会話シーンの上手さだと思います

この映画って
最初から最後までオペレーション室が舞台で
ほぼ主人公の姿だけが映されます
動きは全くありませんし
派手なシーンなんてゼロです

実際に事件に巻き込まれている登場人物たちは姿さえ見せられません
どんな顔、どんな風貌かもわからないわけです

でも、この映画を思い出したときに
存在しないはずの映像が浮かぶんですよ
見てない登場人物たちの顔さえ浮かんでくる

実際に見ていないはずの情景も思い返すと
それが浮かんできます

本当はオペレーション室の主人公しか見ていないのに
そんな情景を体感した気になっている

グロくないはずなのにグロいし
気持ち悪くないはずなのに気持ち悪い
スリリングなはずないのにスリリング

ここがこの映画のすごいところで
まるで小説を読んだ後のように
映像をすらすらと思い浮かべることができます


これができるってことは
かなり脚本が練られているということだと思う

想像させる会話が上手くて
情報を一気に出すんじゃなく徐々に順番に出してきたりだとか
声の強弱でその時の状況や精神状態を現したり

喋り方でこんな性格の人なのかな?と想像したりしてしまう
登場人物の表情なんかも見えてきます

赤ちゃんの場面なんて完全にホラーの見せ方で
かなりゾッとさせられてしまった
でも、鮮烈で残酷な映像が目に浮かぶけど
実際は見てないんですよね

とにかく
会話のやり取りだけで
電話の向こう側の状況や景色が見えてきます


それに、主人公の性格やバックボーンも
細かく説明するわけでなく
会話の中で自然と知ることができます

はじめから全てを語るのではなく
会話の節々からアスガーが訳ありなのは察することができる

そのトラブルの原因は性格からだったり
正義感が人一倍強いことなど
わかりやすい説明はないけど
映画を観ていると自然と彼のことを理解できてきます

これに関しても
全てを語らないからこそ想像力が膨らむ


全体的に会話で魅せるということに
かなりこだわってると思います

ただ喋らせるだけでは面白くなんてならないでしょうし
会話で伝える、想像させる
という部分にはかなり力を入れている作品だと感じました

 

そういう作風なので
マイナス面があるとすれば

想像することが苦手な人や好きではない人には刺さらない映画かもしれないですね

この映画は想像することが大前提で
それができなければ
やっぱりただ喋っているだけの映画で退屈に思うかもしれない

これに関しては
好みの問題でしかないので
ハマる人はハマるし
ハマらない人はハマらない
と、しっかり分かれてしまうと思う

僕の場合は大いに想像力が掻き立てられ
最後までハラハラドキドキで楽しむことができました

 

第一印象は地味な作品だけど
ハマってしまえば頭の中でいろんな映像が繰り広げられる

ワンシチュエーションだけどワンシチュエーションじゃない面白い映画でした

 


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