何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「マザー!」感想 目まぐるしく変化する世界に引き込まれる

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どうもきいつです


スリラー映画「マザー!」観ました

郊外に住む夫婦の身に巻き起こる異常な出来事を描いたスリラー
2018年に日本でも公開される予定だったが公開中止となった作品

「ブラック・スワン」などのダーレン・アロノフスキーが監督を務め
「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー主演女優賞を受賞したジェニファー・ローレンスが主演です

 

あらすじ
ある夜
郊外の一軒家に住むとある夫婦のもとに不審な男が訪れ
夫の意向でその男性を泊めることになる
翌日以降も次々と謎の訪問者が訪れるが
夫は拒むこともなく全て受け入れていく
そんな夫の行動に妻は不安と恐怖を募らせ
やがて、夫婦の穏やかな生活が一変していくのだった

 

感想
正直言って何が起きているのかわからない映画
ただ、ひたすらに不気味さや不快感はひしひしと伝わってきます
そして、どんどんと目まぐるしく変化するこの世界に引き込まれていく

 

前から気になっていた映画で
Netflixで配信されているのを見つけ観てみました


賛否が分かれている映画みたいですけど
実際に観てみると
確かにそれには納得できました

観終えた率直な感想は
意味わかんねーな

作風が独特すぎて
何が始まって何が終わったのか
てか、そもそも始まって終わってるのか
本当によくわからない映画だと思う

正直言って
ストーリーもわかりやすく存在するわけでなく
一方的に不思議な何かを見せつけられているよう


とは言え
宗教的なものを扱っているのはなんとなくわかって
深い意味やメッセージ性が込められているのは理解できます
しかも、ちょっとドギツいと言うか
トゲトゲしさの感じる尖った印象を受ける

 

少し小難しい映画のような気もしますが
個人的には普通に面白い映画だなと思えました

賛否が分かれてますが
シンプルに評価されてもいいんじゃないかと思えるほど

この映画でやってることはすごく面白いと思います

メッセージ性など深い意味を理解できるかどうかは置いといて
この映画には観客を引き込むような魅力があると思う


本作は聖書になぞらえて作られているのは間違いなくて
そういうものに詳しい人が観れば
本作の数々のメタファーには気づけると思います

てか、聖書をそのままこの映画のキャラや設定に当てはめているような映画です

そんな考察をするというのもありだと思うし
それについて解説や考察をしているサイトも多くあります

ただ、この感想ではそういうのはスルーで
なぜこの映画が面白かったのかの話をしたいです

 

まず、この映画が
宗教や聖書についての知識がなければ楽しめないのかと言うと
そんなことはないと思います

べつに知識がなくても
この映画の中で起きていることには興味をそそられ
最後まで飽きずに観させられてしまうのは間違いない

そして、この映画の伝えたいメッセージもなんとなくわかります
メッセージは結構シンプルだと思いますしね

 

冒頭は少し意味深な映像で始まりますが
そこから先は淡々とした夫婦生活を見せられます

ポツンと一軒だけある家に越してきた夫婦
夫は詩人で詩を作り
妻は家の壁を塗り新居を整えている

そこに1人の男が訪れてから物語が展開していくわけですが
いまいち掴み所がなく
この先どうなっていくのか
なかなか予想ができません

ストーリーも全く見えてこず
観てる側からすれば戸惑いも感じてしまう


でも、この掴み所のない中には
妙な不気味さや不快感が表現されていて
なんとも言えないゾクゾク感が個人的には好きでした

基本的に訪問者たちが厚かましくて
勝手に人の家に来て
物は壊すわ
ズカズカと夫婦の問題に口出しするわ

とにかく観ていてイライラさせられる

さらに、夫はそんな厚かましい人々を広い心で受け入れ
大切な物や家を壊されようが許してしまいます

これはこれでイライラさせられる
と言うか
もはや恐怖すら感じてしまいます

観ている側は
完全に妻に感情移入しているので
この一連の出来事には強く不快感や恐怖を感じてしまい
とてもモヤモヤと心を揺さぶられてしまうと思います

この感情の揺さぶりが本作の面白い要素ですよね

 

そして、本作がさらに面白いと思わされるのが
淡々としているのに
とても目まぐるしく展開していくところ

この映画はすごく違和感があって
その1番の理由が
時間経過を全く感じないのに
世界が目まぐるしく変化していくという変な作風

次々と人が訪れ何かが起きて
夫婦の間にも変化が起きているのに
時間が進んでいる様子は一向にない

これがとても不思議な雰囲気を生んでいて
気持ち悪さも感じてしまう


体感時間はゆったりしていて
起きている出来事もそんなに激しいわけではなく
地味に嫌なことの連続って感じなんですが
次から次へと押し寄せてくるようにやってくる

気付けば新しく訪問者がやって来て
いつの間にか家の中は人だらけ
そして、なんやかんやで妻が妊娠
夫の詩が売れて大人気
さらに人が押し寄せる

この目まぐるしさにどんどんと映画の中に引き込まれていくんですよね

 

で、終盤からラストにかけての怒濤の展開
ここはこの映画の目玉でもあると思うし
これだけでこの映画を好きになる人は多いと思います

ここまでも目まぐるしさはありましたが
あくまでゆったりとしていたんです

でも、結末へ向けてのラストスパートに入ると
もはや、目まぐるしさだけが押し寄せてくる

もう何が起きているのかもさっぱり
次から次へとカオスな世界を見せつけられ
めちゃくちゃなんですよ

一言で言えば
意味不明

ただ、この映像がやっぱりすごくて
圧巻と言える

全て一軒の家の中で起きていることですからね
監督の頭はおかしいんですか?
これはイカれてる映画です

意味はわからずとも勢いが半端なくて
どんどんと引き込まれていきます

ショッキングな描写もすごく多いし
あり得ない事の連続で
何故かテンションが上がってハイになる

こんな映像見たことないと思うほど
すごいものを見せつけられたような気がします

この終盤のものすごい映像を観れただけでも
この映画を観た甲斐があったと思わされました

 

そして、本作のメッセージですが
これはかなりシンプルに
人間の愚かしさを描いている映画です

夫婦の家に訪れる人々も傲慢で厚かましい愚かな人間たちなんですが
この映画の一連の流れが人間の愚かさそのもので

もはや、救いようがないな…
とさえ思わされてしまう

ここに監督の毒々しさやクセの強さが現れていて
とても面白いと感じさせられます

宗教の危うさ
破滅してもなお愚行を繰り返す人類
全てを受け入れ許す神と、その一方で蝕まれていく地球

そういうものをドギツくこの映画で表現している

ラストシーンを見たとき
おいおい、まだこれを繰り返すつもりかよ…
と、あきれてしまう

人間…と言うか
人類の歴史はひたすらこれの繰り返しで
いまだにそれを続けている

これは仕方のないことなのか…

この映画を観ても答えなんて見つかるわけはないけども
人間とはこういうものだと理解できた
てか、もとから知ってる

 

かなりクセの強い映画でハマらない人はいるのかなとは思います
でも、勢いはかなりすごくて
普通に面白い映画でもあると思う

エンタメ性が少ない映画のようで
意外とエンタメ性のある映画なのかもしれない

なんか、かなり変な映画でした
僕は好きです

 


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