何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」感想 壮大なスケールの蛇足

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どうもきいつです


アクション映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」観ました

敏腕スパイのジェームズ・ボンドの活躍を描いた007シリーズの第25作目
ダニエル・クレイグの007としては5作目の作品です
スパイの世界から離れていたボンドの前に
新たな敵サフィンが現れます

監督は「ビースト・オブ・ノー・カーネーション」などのキャリー・ジョージ・フクナガ
ジェームズ・ボンドを演じるのは前作同様ダニエル・クレイグです

 

あらすじ
スペクターとの戦いの後
現役を退いたジェームズ・ボンド
ジャマイカで平穏な日々を過ごしていたが
旧友のCIAエージェントのフィリックスが彼のもとを訪れる
誘拐された科学者の救出を依頼され
ボンドはそのミッションを引き受けるのだった

 

感想
やっぱり映像はすごい
壮大なスケールは映画館では映えます
ただ、やはりストーリーがいまいち
悪くはないけど良くもない感じです
敵のサフィンが何をしたいのかよくわからん
結局、この映画を蛇足に思ってしまった

 

ダニエル・クレイグ版の007を過去5作を全て観て
満を持して新作を映画館まで観に行ってきました

せっかくならとIMAXで
しかも、大阪のエキスポシティにある109シネマズの1番巨大なIMAXで観ました

それもあって
本作の素晴らしい映像を
全身で体感し堪能することができました
それだけでも大満足な作品ではあります

やっぱりIMAX用に撮影されてる映画でもあるので
本作を100%楽しむにはIMAXで観るのがおすすめです


前作「007/スペクター」を観て感じたことは正しくて
映画館の大画面で観ると面白さは割り増しで
十分満足できてしまう

莫大なお金がかかっている映画なだけはあります


やっぱりアクションシーンは大画面で観ると最高です
これだけ壮大な世界観の中での派手なアクションは
大画面で観ると格別
映画の中に引き込まれていきます

特にOPが始まるまでの
イタリアでの戦闘やカーチェイス
ここは本当にたまらなく好きですね

明らかに車で走る場所じゃないだろって所を車で暴走するカーチェイスは
半端なく見応えがある

橋から落下したり
バイクで激走したり
車のガトリング砲ぶっ放したり
バリエーション豊かな場面も多くて
ここでは完全に心が捕まれてしまいます


その後も派手なアクションシーンはそこそこあって
中でも好きなのがキューバでの銃撃戦
ここはいろんな意味でテンションが上がる場面でした

CIAに協力するボンド、新しい007、敵の組織
この三つ巴のバトルがアガるポイント

さらに銃撃戦は激しいし
いろいろとぶっ壊れるし
派手なアクションの連続に興奮させられる

しかも、ここはユーモアも効いていて
観ていて楽しさもあるんでよね

なによりもアナ・デ・アルマスが演じるパロマがめっちゃいい
このキャラすごく好きです

可愛いし面白いしアクションはカッコいいし
最高ですよね

キューバでの戦いしか彼女が活躍しないのはもったいない
もっと活躍を見たかったです

是非、パロマ主役のスピンオフを作ってほしい

彼女を大画面で観れるのも映画館の利点です


あと、いつものごとく荘厳な風景を映す場面も多くて
大画面で観ると感動的ですらあります

巨大なスクリーンを通して観ることで
臨場感や空気感を存分に味わえ
改めて映画館で映画を観ることの素晴らしさを感じさせてもらえました

 

そんな壮大な映像だけで大満足な映画ではあるけれど

正直言って
本作はシリーズとして見ると蛇足のように思えてしまいました

そこが完全に楽しめなかった要因で
本作を観ることで
やっぱり最後までダニエル・クレイグ版の007には乗り切れなかったな…と思わされた


そもそも
「007/スカイフォール」では
人間味溢れるボンドを描いた本シリーズの集大成みたいな作品になっていたし
「007/スペクター」ではシリーズの大ボスとの対決と決着が描かれていた

この時点で全部出しきってるな
という印象で
本作ではあと何を描くのか?
やること残ってるのか?
と、疑問に思っていたけど

実際に本作を観てみると
まだこれ残ってたか…と少し関心もさせられた
ただ、これは正解なのかどうなのか


これを言ったらネタバレになりますけど

本作ではボンドに子供ができちゃうし
最後はボンドが死んじゃいます

これは賛否分かれるだろうなと思います
特に昔から007が好きな人はこのボンド像には納得できない人もいるかも

僕はもともと思い入れは全然ないし
本作のような作風も悪くないと思う

そもそも、ダニエル・クレイグ版の007は
これまで以上に人間味溢れるボンドを描いてきてましたし
そんなボンドの行き着く先はここなのかな
とも思えます


でも、問題は
ストーリーが薄いんですよね

この映画を最後まで観て
なんか安っぽいメロドラマのように感じました

表面的には感動的な物語なんですけど
ちょっと上辺だけかな…

2時間半以上もある映画だけど
重みや深みを感じない


原因はやはりキャラクターの描写不足かなと思います

序盤にマドレーヌと別れるボンドは
過去にいろいろと抱えているとは言え
さすがに薄情すぎるなと思うし
そこから先にこの過ちをフォローするエピソードはなく

マドレーヌと再会しただけで
なんとなくいい感じになって
なんか子供もできてたから家族っぽくなる

マドレーヌはマドレーヌで
前作同様にキャラクターが薄くて
いまいち彼女でないといけない理由はわかりません

この2人の恋愛描写は本作のメインであるはずなのに
全然深く描かれずに
感情移入ができなければ思い入れも生まれない

もう勝手にやっててくれよ
って感じですよね


そして、本作でもう1つ重要なのが
サフィンとの戦い

これに関してもかなり微妙で
敵としての存在感が薄くて
ボンドとサフィンの戦いに盛り上がりがありません

この2人の戦いを
宿命の対決、因縁の対決
のように見せてるんですけど
まず、そこに納得できない

この2人はコインの裏表のような対比をしてますけど
なんかあまりピンと来ないんですよね

確かに過去に大切な人を奪われたとか
マドレーヌの命を救ってるとか
共通点があって
そこから別々の道を歩んだとは言えるけど

そもそも行動原理が全然違うし
境遇も全然違うから
この2人に因縁が生まれてるようには思えない

てか、サフィンが何を考えてるのかがわからなすぎて
ボンドと対になってないような気がする

マドレーヌを助けた理由は不明だし
その何年後かに急にマドレーヌに執着しだすのも謎
ボンドに執着してるのもよくわからん

そういうことが巨大な組織を作って悪事を働く理由にも繋がってないし

一体サフィンは何がしたいんだよ

サフィンの行動原理や目的があやふやなまま
最終決戦が始まるので
結局、あまり物語が盛り上がっていかない

もっとサフィンに敵としての魅力があれば
ラストの展開も盛り上がったと思うんですけどね

 

あと、気になったのが
ダラダラと喋ってるシーンが多くて
ちょっと観てるのがしんどかったかも

アクションシーンは若干少なめで
会話の場面が多め
その会話シーンも動きが少なくて退屈でした

ラストの感動路線のボンドとマドレーヌの会話とかも
個人的にはあまり好きじゃないかな…
ちょっとクサすぎる

やっぱりシンプルにアクションメインの007を観たかったですかね

 

結果的に本作を観て思ったのは

わざわざボンドに家族を作って
最後にはボンドを殺してまでも
本作でシリーズを締め括る必要はあったのかな?

スペクターで終わっててもよかったんじゃない?

本作が蛇足のような気がしてならない

人によっては
こんなメロドラマに感動して満足かもしれないけど
僕はべつに感動なんて求めてないしね

映像に対する感動もスペクターの時とそんなに変わらないだろうし
もう1回スペクターをやってみた
みたいな映画になってました

 

それと、今までスルーしてましたけど
OPの歌長くない?

これがお約束なのは理解してるけど
そもそも僕はこれに全然ハマってないから
毎回長いなーと思ってました

これが好きな人は好きなんだろうけど

 

壮大なスケールの映像を観るという点では
本作を映画館で観て損はありません
スクリーンで観る意義を感じれる

ただ、ダニエル・クレイグ版の007シリーズとしては
この物語はやっぱり蛇足だろうし
無理やりラストとして作ったような内容でした

パロマという魅力的なキャラを生み出した功績はありますけどね

 


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