どうもきいつです
特撮映画「仮面ライダーオーズ10th 復活のコアメダル」観ました
平成仮面ライダーシリーズ第12作目「仮面ライダーオーズ」の10周年を記念した作品
古代オーズが復活し破滅する世界を舞台にオーズの新たな戦いが描かれます
監督を務めるのは田崎竜太
出演は渡部秀、三浦涼介など
オリジナルキャストとスタッフが再集結しています
あらすじ
2021年
突如として蘇った古代オーズとグリードにより世界は崩壊してしまい
人々は古代オーズから世界を守るため戦いを続ける日々を送っていた
そんな中、割れたコアメダルに異変が起きアンクが復活する
そして彼の目の前に仮面ライダーオーズこと火野映司が現れるのだった
感想
まさかの結末に呆然
そりゃ賛否両論にもなります
これは10周年の作品でやるべきことなのか?
と思いつつも
これが「仮面ライダーオーズ」の1つの答えなのかな…
とも考えさせられたり
「仮面ライダーオーズ」の最新作
ということで観てきました
「仮面ライダーオーズ」は平成仮面ライダーシリーズの中でも好きな作品で
10周年記念の本作が発表された時点でかなり楽しみにしていました
そして、期待もしていた
で、実際に観てみると…
これはなかなか
すごいものをぶっ込んできましたね
本作を観る前から
SNSでめっちゃ荒れてんな
とは思っていましたけども
そりゃ賛否両論になるのは納得
しかも、否がかなり多めかなって印象
本作に否定的な意見はめちゃくちゃ理解できて
自分もそんな気持ちは大いにあるんですけども
ただ、この作品を駄作と吐き捨てることもできないなと…
本作で賛否両論になる原因は
やはり結末で
これを語ればネタバレになるけど
これに触れなければ本作を語ることができない
それほど本作の結末は重要な要素です
もう言ってしまいますけど
本作の結末は
仮面ライダーオーズこと火野映司が死んでしまいます
映司が死ぬという
めっちゃ衝撃的な幕の閉じかたをしてしまう
映画が終わった劇場内には虚無感が漂っていました
嗚咽しながら泣いてる人までいた
やはり、この終わりかたは否定的な人が多くなると思います
そもそも、テレビ放送されていた「仮面ライダーオーズ」の作風って
かなり明るい印象でコミカルな要素も多かったですよね
シリアスな展開がありつつも
明るい未来へ進んでいく
みたいな物語でした
特に最終回では
消えてしまったアンクと再会するため
明日への希望を抱き進んでいく
ってラストだったわけです
で、そんな最終回からファンたちが求めるのは
映司とアンクが笑顔で再会するハッピーなものだと思うんですよ
僕もそういうものを求めていました
なんせ10周年記念作ですからね
みんなそんな「仮面ライダーオーズ」を見せてくれると思っていたはず
しかし、現実は
テレビシリーズで描かれた結末とは真逆のもの
もはや、テレビシリーズで行き着いた結論をぶち壊すような内容
そんなことされりゃ怒る人もいるでしょうよ
オーズが好きな人ほど納得できない結末だと思う
てか、10周年記念作でこれをぶっ込むなんて
なかなかクレイジーですよね
本来なら
この前の「テン・ゴーカイジャー」みたいな記念作品が求められてるわけです
ファンはああいうのが観たい
そうなってしまった原因は
ファンが求める「仮面ライダーオーズ」と
製作陣が向き合った「仮面ライダーオーズ」
この2つのギャップの大きさ
二者の間のこのズレですよね
本作を駄作だと言う人も多くいますが
僕はこの作品を決して駄作だとは思えないです
むしろ、1つの作品としては面白い作りだと思う
本作はファンサービスの映画でありつつ
完全にファンを突き放してる映画でもあって
良い言い方をすれば媚びてない
作ろうと思えば「テン・ゴーカイジャー」みたいなファンサービスもりもりでハッピーな記念作品も作れたはず
でも、それをあえてやらなかったのは
せっかくオリジナルのキャストやスタッフが集結して
「仮面ライダーオーズ」の続編であり完結編を作るのなら
真剣に作品に向き合い「仮面ライダーオーズ」を終わらしてやろう
という気概だと思います
それを踏まえて本作のような結末に至った理由を考えてみると
ファンが求めている「仮面ライダーオーズ」の明るい未来って
実は達成されてるんですよ
テレビシリーズの最終回に関して
アンクは消えてしまうけど
それはバッドエンドなんかではなく
この最終回の延長線上に
映司とアンクと比奈が3人で手を繋いでる姿が見えるわけです
だからハッピーな気持ちで終われる最終回だった
その後のオーズの劇場版やゲスト出演した作品などでも
ファンが求める映司とアンクの姿を見せてくれています
実際にアンクを復活させるという目的は果たせていないけど
未来への希望は十分に描ききっていると思うんです
本作でも同じように
ファンを喜ばせる
ファンを気持ちよくさせる
そんな路線の作風は選択肢にあったはずです
でも、それをやらなかったのは
結局同じことの繰り返しになってしまうから
だと思うんです
製作陣からすれば
オーズの新作を作るにあたって
やっぱりそこから先を描きたかったんじゃないでしょうかね
ファンは求めてないかもしれないけど
作品として一歩先へ進みたかったのかもしれないです
本作を観て既視感があったんですけど
「魔法少女まどか☆マギカ」の劇場版を観たときと似た感覚を味わいました
まどマギの場合も
テレビシリーズの結末をぶち壊すような続編で
まどかが出した結論をほむらが否定する
みたいな作品でしたしね
本作も構造が似てるなと思うんです
最終回でアンクは満足して消えてしまいますが
逆に映司はそこに納得できないわけです
「仮面ライダーオーズ」は欲望がテーマで
欲望を満たせたアンクと欲望を満たせなかった映司との対比にもなっています
映司の欲望は
手の届く人は全員助けたいというもので
最終回ではアンクを助けることができなかった
そして、本作
映司は自分の欲望を満たすために
自分の命と“いつかの明日”さえ捨ててアンクや少女を救う
アンクからすれば
満たされ消えたはずが再び呼び戻され絶望を味わうこととなり
“いつかの明日”を信じる比奈からすれば
これは裏切りでしかない
最終回でアンクが到達した答えを否定して自分のエゴのためにアンクを蘇らせる
映司の行動は身勝手で自己中心的ですよ
本作は映司の欲望の果てを描いていて
欲しいもののためなら自分の命までをも捨ててしまう
果てなき欲望の行く末の物語です
だから、この物語では映司の死は必然で
映司が行き着く先はここなんですよね
じゃあ、この映司が出した答えが間違ってるのかと言うとそうでもなく
これで映司の心は救われているし
これもまた「仮面ライダーオーズ」の答の1つかと思う
本作は映司ではなくアンクが主役というのも重要で
アンクの物語でもあります
映司の死を経てアンクは感情を手に入れます
だからこそ
映司の死には納得できないだろうし
それでも受け入れなきゃいけないこともわかってる
アンクの気持ちは完全に観客とリンクしていて
めっちゃ感情移入してしまいます
めちゃくちゃ辛いんですけど
それでも生きていかなければならないんですよね
アンクも観客も…
それがすごく残酷で
ただ、この映画は
“いつかの明日”のために生きてきた映司から
“それでも来る明日”を生きていくアンクへのバトンタッチなのかとも思える
映司がアンクに託したものは絶望だけだはないと思うので
そう考えれば
この結末はただのバッドエンドではなくて
ラストシーンでは少しの希望の光を感じられる
未来への明るい希望を感じさせるテレビシリーズのラストも間違いではないし
絶望から未来へ進まなければならない本作のラストも間違いではない
正直、こんなこと10周年作品でするべきことなのかな?
とは思ってしまうけど
「仮面ライダーオーズ」でやるからこそ意義があるのかとも思えます
本作の映司の生き様は仮面ライダーの終着点と言うか
ヒーローはそうだよな
と納得してしまいますし
死んででも他者を救う姿はやっばり格好いいですよね
それがヒーローであり仮面ライダー
本作は仮面ライダーの業であり美
本作の結末には衝撃を受けつつも納得もさせられました
それと、シンプルな不満点の話なんですが
やっぱり時間が短いですね
あと30分は欲しかった
本作は1時間程度しかなくて
その短さゆえに
やはり描写不足や説明不足は目立つし
アクションシーンも本当はもっと見たかった
説明不足に関しては
古代オーズがなぜ復活したのかわからないし
新しいグリードのゴーダが結局何をしたいのか不明だったり
その辺は引っ掛かりますね
映司とアンクの関係性や
そこに加わるゴーダとの関係性など
そういう描写をもっと深く見せてくれれば
本作に批判的な人たちを納得させることもできたかも
アクションでは
できればオーズの全フォームの活躍を見たかったですかね
今回はガタキリバ、ラトラータ、プトティラだけでしたし
終盤のバトルもちょっとあっさり
他にも
味方と敵みんなオリジナルキャストが揃ってるけど
あまり見せ場が無かったのはもったいない
グリードがもっと戦闘で動く姿なんかも見たかったかな
60分で全て詰め込むのは不可能だし
制限の中で60分に納めるしかなかったんだろうけど…
一応、Vシネマって位置付けですし
本作の結末はオーズが好きな人ほど残酷な結末
10周年記念作でやるべき内容ではなかったかもしれません
ただ、これは「仮面ライダーオーズ」だからこそ描けたものなのは間違いないし
ある意味、仮面ライダー史上に爪痕を残す問題作
普通のお祭り作品なら
ここまで思いを巡らすこともなく
ただのエンタメで終わっていたと思います
僕はこの作品を駄作だとは思えない
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