何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「きさらぎ駅」感想 アイデアは面白いけど なんか雑

どうもきいつです


ホラー映画「きさらぎ駅」観ました

インターネット掲示板2ちゃんねる発祥の都市伝説をモチーフに作られたホラー映画
とある女子大生が異世界の謎に迫る姿を
一人称視点の映像を交え描かれていきます

監督は「真・鮫島事件」などの永江二朗
主演を務めるのは恒松祐里です

 

あらすじ
民俗学を学ぶ大学生の堤春奈は
インターネット上で話題になっていた都市伝説“きさらぎ駅”を卒業論文の題材に決める
そして、噂の当事者であるという葉山純子にたどり着き
彼女から詳細な体験談を聞くことになるのだった


感想
アイデアはとても面白いと思います
ただ、細かい部分がとても雑でそれがノイズに感じてしまう
B級ホラーだからそれはそれでありなのかと思いつつも
この題材ならもっと面白くできたようにも思う

 

あの有名な都市伝説を映画化
ということで観てきました

僕は“きさらぎ駅”についてはそんなに詳しいわけでもなく
なんとなく知っている程度です

とは言え
あの“きさらぎ駅”がどう映画になるのか気になっていたので
本作には前から注目していました

 

本作はレビューサイトとかではなかなか好評ですね

実際にアイデアはとても面白いし
構成も少し斬新で
最後まで飽きずに観れる作品だと思います

僕もそんなに嫌いな映画ではないけど
正直、ちょっと評価が高すぎるような気もする

個人的には
この映画が特別抜きん出てる作品とは思えなくて
普通って印象ですかね

悪くはないけど雑な部分が目立ってる映画だと思いました


まず、本作の面白いところは
2部構成が上手く活用されているところですね

前半部分が前フリになっていて
それを踏まえて後半が面白く展開していきます

「カメラを止めるな!」とかに似た構成だと思います

で、本作の場合は
ゲームで言う“強くてニューゲーム”みたいな

前半で体験談を聞くことにより
後半で全く同じ経験をする主人公が無双してしまうという
ホラーとしては掟破りのような
でも、それが面白かったりします

後半はホラーと言うよりも
ほぼコメディみたいな感じです

そして、そんな“強くてニューゲーム”みたいな映画の作りを上手く逆手に取ってラストも面白く展開していきます
オチのつけ方もすごく良かったと思う

言ってしまえば
タイムリープものをチープなB級ホラーでやってみました
って感じの映画でした

それを“きさらぎ駅”を題材にやるというアイデアはとても面白かったと思います
“きさらぎ駅”の異世界感とその設定が上手くマッチしていました

 

ただ、面白いと思える反面
それと同時に雑さがとても気になる映画でもありました

やっぱり細かい部分の詰めが甘いと言いますか…

B級ホラーだからと言ってしまえばそれで終わりなのかもしれないけど

この映画に関しては
完成度が高ければもっと面白くなっただろうな
と思えるんですよね

所詮B級映画で終わってしまっている本作がちょっともったいない


特に気になるのが
一人称視点の必然性のなさですよね

映像としてはこの一人称視点はとても面白く機能してるんですけど
物語の流れの中では一人称視点の場面が異質すぎるかと思うんです

一人称視点である必要がないと言うか…
むしろ一人称視点が足を引っ張ってるようにも思えてしまう

本来なら一人称視点の作品って
主人公目線でリアルタイムな体験を表現していたり
カメラで撮影しているという設定でリアリティを表現していたりするわけですが

本作の場合は
主人公が体験談を聞いてる時の回想シーンが一人称視点になっています
これがなんか違和感なんですよね

別に主人公が体験しているわけでもなく
誰かが撮影していた映像ってわけでもないのに
一人称視点になるのが不自然に感じる

この一人称視点の場面は主人公が想像しているという事だろうけど
それにしてもやり方があったんじゃないかと思うんですよね

例えば
主人公が2ちゃんねるの掲示板を読んでその状況を一人称視点で想像している
とかの方が自然に感じれると思う
一番自然なのが主人公が映像を見ることですけど

直接誰かから体験談を聞いているという状況が変に乗っかっているから
一人称視点の映像がノイズになってしまってる気がします

一人称視点から普通の映像に戻ることも多くて
臨場感が損なわれてるようにも感じてしまった

やりたいことは理解できるんですが
一人称視点の映像を撮りたいというのが先走っていて
結果的に整合性が取れていなかったように思いました


それと、後半の主人公目線できさらぎ駅に着いたときは
何故か一人称視点でなく普通の映像になっていて
そこが無駄な引っ掛かりになってましたよね

どうせならここも一人称視点で良かったのじゃないかと

前半と後半で違いを表現したのかとは思うけど
前半の赤の他人目線が一人称視点で
後半の主人公目線が二人称視点というのは
なんかちょっと変じゃない?

 

あと、一人称視点の延長線上の話で言うと
タイムリープみたいな物語の展開にはやはり無理を感じてしまいました

あくまでも主人公は体験談を聞いただけであって実際は体験してないわけです
それを後半ではあたかも自分が体験してきたかのように振る舞うのは
さすがに違和感がありますよね

これも一人称視点の弊害かもしれませんね
一人称視点で前半部分を見せていなければ
ここの細かい部分は気にならなかったかもしれない

 

それと、メリハリが弱かったようにも思いました

前半はホラー後半はコメディみたいな作りではあるけど
前半のホラー部分は良くも悪くもチープなホラーでコミカルささえ感じます
そこが後半の展開のギャップを弱めてしまってる気がしました

後半は後半で中途半端に真面目だったりもするので
途中までどんな見かたをすればいいのかなかなか定まらないんですよね

笑っていいのか真剣に観ればいいのか…

後半の主人公が岩で人を殴り倒すところで
やっとコメディなんだと気づかされました

これはやはり前半のホラーがもっと怖いほうが良かったですね
前半にシンプルな王道ホラーをやってれば
後半のコメディがより笑えたと思います

ホラー表現がワンパターンだったりもしたし
もっといろんな手法で怖がらせてほしかったというのもありました


それと同時に主人公のギャップも弱いかな

主人公に関しても前半と後半で変化があり
そこが笑いのポイントでもあるんですが

いかんせん前半の主人公がほぼいないような存在感の薄さなので
後半の主人公の変貌ぶりがあまり伝わってこない

ここもメリハリがあれば
後半はもっと笑えたんだろうけど
単に主人公が酷い女に見えてしまうことが多かったのでもったいなかったです

だから、ラストのオチもちょっと弱くなってましたよね

前半でもう少し主人公をまともで正義感のある人間に見せていれば
後半の主人公のサイコっぷりには最高に笑えたと思います

 

アイデアや物語の流れはとても良くて
それなりに面白く観れる映画だとは思います

でも、もっと完成度の高さがあればな…
と思ってしまうのは否めない

まあ、最近の日本のホラー映画の中では
かなりましな部類の映画でしたかね
全然悪い映画ではないです