何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「スキン あなたに触らせて」感想 普通とはなにか 美しさとはなにか 価値観の傲慢さに気付かされる

f:id:kiitsu01:20200328212011p:plain

どうもきいつです


社会派コメディー映画「スキン あなたに触らせて」観ました

奇形であるために社会から拒絶された人々を
メルヘンチックなビジュアルでコミカルに描いた
2017年スペインの作品
健常者と異なる容姿を持つ人々にとって
冷たい現実や世の中との距離感が描かれたダークな社会派コメディーです

監督は本作で長編監督デビューを果たした
スペインの新鋭エドゥアルド・カサノバ

 

あらすじ
口と肛門が逆さまになっているサマンサ、目の無いローラ、変形した顔を持つアナなど
奇形であるために社会から拒否された人々と
それを取り巻く健常者たち
そんな人間たちが独特な人間関係を築き
数奇な運命をたどっていく

 

感想
物語に掴み所がなく
面白いかどうかで言うと微妙な気がする
でも、そんな中で描かれる人間たちを見ていると
自分達の価値観が如何に傲慢なのかを気付かされた
普通や美しいということの疑わしさを突きつけられる


Netflixで配信されているのを見つけ
なんとなく気になったので観てみました

設定やビジュアルのインパクトで引き付けられたわけなんですが
実際に観てみると
いろんな意味で衝撃を受けた

とにかくクセが強い作品だと思います
人によってはホラー的な怖さを感じるかもしれないし
コメディーとして笑って見れる人もいると思う
単純につまらないと思う人もいるでしょうね

一筋縄ではいかないような映画

メッセージ性を強く感じるし
アート的に作られてる映画でもある
でも、結構笑わせにきたりもするし

そして、ストーリーはあまり無い
結局、なんの話だったんだろう?
と見終えたときに思ってしまった

全体的には掴み所がなくて
正直言って
よくわからない映画です

ファンシーで美しい背景であったり
独特の演出であったりで
雰囲気を楽しむ系の映画にも見える


感想に困るような
面白いのかつまらないのかわからない映画なんですよね

面白いと言えば面白いし
つまらないと言えばつまらない

この監督の長編デビュー作というのもあるので
荒削りな作品なのかも

 

でも、この映画を観て感じるものはたくさんある

特に普通の価値観、一般的に常識だと思っていることの
疑わしさや危うさをストレートに突き付けられてるように思う

この映画はいわゆる奇形の人々を主役に描かれます
簡単に言えば障害者ですよね

先天的に普通の姿ではない人
後天的に普通の姿ではなくなった人

そして、そんな奇形の人たちを取り巻く健常者たち

この登場人物たちを通して
如何に自分たちの考えや価値観が
傲慢で浅はかなのかを思い知らされます

 

一般的によくある障害者への考え方は

普通じゃなくて可哀そうな人
助けてあげなければならない弱い人
自分はこんな姿形になりたくない
だから、そんな弱くて普通じゃない人が頑張っているのを見ると感動する

某テレビ局の24時間なんちゃら
みたいな番組がモロにそれですよね

障害者を頑張らしてお涙頂戴
みたいなやつですよ

まあ、この番組自体を完全には否定しませんが…
社会に貢献している一面もありますしね

ただ、やっぱり僕はこういう系のテレビ番組とかは
昔からあまり好きじゃなかった

 

そして、本作なんですが
そんな固定概念をぶっ壊してくれた

それには爽快感さえ感じることができました

この映画を観てかゆいところに手が届いたような気がします


この映画は障害者を可哀そうな人間として描くのではなく
1人の人間として描いている

むしろ、この映画の登場人物たちは
普通という固定概念から解放された人たちだとも思える
普通の人たちよりも深く人生について考えてるし
自分らしさを求めている人たちなんですよ

だからこそ思い悩み自分らしく生きようと戦っている


例えば
口と肛門が逆になっている女性サマンサは
父親からはその顔を隠せと言われ
外に出れば笑われてしまったり
バカされたりしてしまう

彼女自身も普通の姿に憧れてるし
自分がおかしいと気づいている

でも、それ以上にありのままの自分で
生きていきたいという気持ちが強い人なんです

だから、自分の顔は絶対に隠すことはせずに
ひきこもることも無く外出する
インスタで自分の自撮りを公開しようとしたりもする

そんな彼女だから
父親の優しさに逆に傷つくわけです

父親はサマンサの存在を受け入れているし
彼女の幸せを願っている
普通に幸せになってほしいと思ってるんですよね

ただ、その普通の幸せというのが
サマンサにとっては一番の障害でもある

世間一般の言う普通というのは
サマンサの存在自体を否定してしまう言葉

父親が優しさで良かれと思ってやっていることは
全てサマンサを否定してしまうことなんです

健常者たちは障害者たちを自分たちの常識の世界まで引っ張ってきて
自分たちのように普通の状態に近づくことが
その人たちの幸せだと勝手に思い込んでいる

そんな、固まった価値観の危うさを
このサマンサのエピソードを観て感じました


それと、サマンサの描き方は挑戦的だと思った
障害者をイジるというタブーに挑戦してる

サマンサの口と肛門が逆になってるというのは
架空の障害ではあるものの
それをコミカルで滑稽に描いてます

インスタの自撮りが不適切だと削除されたり
スープをお尻から食べたり
ケーキのロウソクの火を消す時はおならだったり
お尻の口でアソコを噛みちぎったり

結構ギャグ的な描写が多い


いくら架空の障害だからと言っても
これを不謹慎だと思う人もいるかもしれない

ましてや実際の障害をイジってしまった日には
バッシングの嵐だと思います

でも、この腫れ物に触るような現状もどうかと思うわけですよ

ハゲやデブをイジっても笑いで許されるのに
目が見えない、足が無いをイジるのはダメ
この線引きは何なのか?

障害をバカにしたら傷つく人がいる
というのはわかります

ただ、ハゲやデブもバカにされたら傷つきますからね

障害だからイジっちゃダメ
っていうのは逆に差別だとも思える

本当の意味で差別がなくなるのは
この線引きが曖昧になったときなんだと思います

この映画はそんな線引きをぶち壊すような挑戦的なこともしてました

 

あと、顔半分が変形してしまっている女性アナのエピソードも印象深かった

アナは2人の恋人がいて
その2人を通してアナの価値観が描かれます

1人は健常者だけど普通の見た目の人を愛せない男
もう1人は火傷で顔がただれた普通の姿に戻りたい男
この2人とアナとの恋愛ドラマが描かれます

結局は
見た目でしか自分を愛していない男には愛想を尽かし
普通の姿に戻ろうとする男とは価値観が合わず別れてしまいます

その彼女の心境は
見た目だけを愛されるのは嫌
でも、見た目を否定されるのも嫌
という複雑な感情だと思う

このエピソードでも
障害者だからと言っても価値観は千差万別で
一概に一つの答えは出せないということ

なかなか難しいですね

 

他のキャラやエピソードも興味深く
固定概念を崩すような内容になってます

美しいパステルカラーの色彩も
この物語ではとても異質で
美しさの曖昧さを感じる

この映画は美しさや幸せといった
当たり前と思い込んでいる価値観をぶち壊すような作品でした

 

 

映画「バタフライ・エフェクト3/最後の選択」感想 方向性がかなり変わった それなりに面白いサスペンス

f:id:kiitsu01:20200326220239p:plain

どうもきいつです


サスペンス映画「バタフライ・エフェクト3/最後の選択」観ました

カオス理論の1つでおるバタフライ効果をモチーフに
過去に戻り未来を変えようとする人間の苦悩を描いた人気シリーズ「バタフライ・エフェクト」 の第3弾である2009年の作品
過去に遡ることができる能力を持った男が
10年前に恋人を殺した犯人を突き止めるため
幾度となくタイムスリップを試みるサスペンスドラマ

監督はセス・グロスマンが務めています

 

あらすじ
サムは過去に戻る特殊能力を使い
過去の殺人現場を目撃し警察の捜査に協力することを生業にしていた
ある日、サムのもとにかつての恋人の姉が現れ
妹を殺した真犯人を見つけてほしいと頼まれる
そして、サムは過去を変えないというルールを破り
真相を突き止めるために動き出す

 

感想
前作があまりにもクソ過ぎて
この映画がかなりまともに見える
シリーズの設定を生かしたサスペンス重視の物語はなかなか楽しめた
でも、「バタフライ・エフェクト」の続編としては
なんか違う気もする


「バタフライ・エフェクト2」を観たので
せっかくならと3作目の本作も観てみました

2作目がかなり酷い出来の映画で
よくその続編が作られたな
っと思ってしまうほど
3作目が作られたのが不思議ですね

だから、本作にも全然期待してなかったんですが

それもあってか
面白く感じた
結構楽しんで観れました

前2作とはかなり作風が変わっていて
違った印象の映画になっていました

1作目は人間ドラマ重視の物語
2作目はうんこ
3作目はかなりサスペンス重視の映画になっています


簡単に言うと

前2作は過去を変えることで
今よりいい人生にしたい
大切な人を守りたい
という、主人公の心の部分を中心に描いていた人間ドラマ

本作は
主人公が過去に戻ることを利用して
殺人事件の犯人に迫っていくサスペンスドラマになっている

本作はかなり方向性を変えてきましたね


でも、これは続編としては成功だったのかも

1作目があまりにも名作過ぎて
同じ作風だと絶対に比べられるし
越えることなんてまずできない

そんな中で作られた2作目は
1作目をただなぞっただけのような内容で
やってることはほぼ同じ

それだけでも失敗するような映画だろうに
その上、クオリティはめちゃくちゃ低く稚拙な出来
1作目のよかった部分も引き継いでいない
本当に酷い映画でした


それに比べて本作は
1作目と違う面白さを生み出そうとしている

完全にサスペンス全振りにシフトチェンジしてます
人間ドラマなんかよりも
いかにサスペンスとしてハラハラさせるか
誰が犯人なのかという部分でストーリーを引っ張っていくか
そこがかなり重視されています

で、実際に
先の展開はなかなか読めないし
主人公が翻弄されていく姿にはハラハラさせられる
ショッキングなシーンもあったりします
結構グロいです

普通にサスペンス映画として楽しめました


それに「バタフライ・エフェクト」の設定をちゃんと引き継いで
それをちゃんとサスペンスにも生かせてるんですよ

主人公は一度、妹を助けるために過去を変えているんですが
それによって生じる不具合に気付き
それ以来、過去に戻っても変えることはしない
というルールを作ってる

そして、主人公はその能力を利用して
探偵みたいな仕事をしているわけです
過去に戻り犯罪現場を直接見て
事件の真相を何回も突き止めている
みたいなキャラ設定


前作の設定を引き継ぎつつも
アレンジを加えてマンネリを回避しています

タイムリープの設定が謎解きサスペンスとの相性もよく
いろいろと面白い展開にも広がっていく

特に面白いのが

昔の彼女を殺した犯人を見つけようと
タイムスリップするわけですが
それを繰り返す度に段々と悪い方向へ未来が進んでいく

これは今までの「バタフライ・エフェクト」の
お約束展開なわけですけど

ただ、本作にはその部分に違和感があって
主人公が過去に関与するまでにも過去が変わっていくという点
主人公が何もしてないのに過去が変わっていく
それがさらに謎を呼ぶんですよ

これがなかなか面白い仕掛けでした
この仕掛けにも前作の設定が生かされていて
面白い方法だと思いました


それと、本作は何故かスプラッター要素が強かった
これは賛否が別れそうですね
もともとそんな映画じゃないし
前作のような作品を期待していたら驚くかもしれません
てか、不快にすら思うかも

B級ホラーみたいになってますからね

個人的には
これもありかと思いましたが

 

タイムリープの設定も生かせてたし
面白いサスペンスに仕上がっていると思います

ここまですごく絶賛した感じになりましたが
これは2作目があまりにもクソだったために
その温度差で本作の面白さがちょっと増してるんだと思います

冷静に考えると普通のB級サスペンス以上ではないと思う
サスペンスとしてすごく練り込まれているストーリー
ってわけではないです

まず、犯人ですが
かなり後出しじゃんけんって感じです
最後まで隠して隠して
で、最後の最後に犯人はこいつでした
みたいな

犯人につながる伏線などもあまり散りばめられてなく
犯人に繋がるヒントなんてほとんど無い
そりゃ最後まで犯人わからないですよ

でも、犯人がわかっちゃうんですよね…
何故わかるかというと
登場人物が少ない上に主要人物がほぼ死ぬ
もう犯人はこいつしかいねーな
ってなる

ここももっと上手くできたような気がします
ミスリードとか
怪しい人物を用意するとか

全体的に細かい部分の詰めが甘い
設定だけに頼りすぎだったと思います


それと、主人公が馬鹿だしカッコ悪すぎますね
探偵みたいなことやってる人なのに
狼狽えてばかりだし
何も考えず猪突猛進に突っ込んでいったり

最後まで犯人にも全然迫れてない
あんなのたまたま犯人に気づけただけですしね
何故か犯人があっさり自白するという…
そう思えば犯人もちょっと馬鹿

もう少し主人公のいいところを見せてほしかった
主人公と犯人の知的な駆け引きがあれば
もっと面白くなったと思います

 

あと最後に
この映画「バタフライ・エフェクト」じゃなくてもいいよね

 

この映画を観てわかったのは
「バタフライ・エフェクト」に続編はいらない

1作目が最高で素晴らしい映画だから
それでいいでしょ
後の2作は無かったことにしましょう

まあ、本作はそれ抜きで観れば
それなりに面白いのサスペンスです

 


バタフライ・エフェクト3 / 最後の選択 無修正版 [DVD]

 

 

映画「弥生、三月-君を愛した30年-」感想 切ないラブストーリーは悪くない でも、ちょっとチグハグ

f:id:kiitsu01:20200326212413p:plain

どうもきいつです


恋愛映画「弥生、三月-君を愛した30年-」観ました

30年間の中の3月を舞台に
2人の男女が紡いでいくラブストーリー
運命に翻弄されながらも
お互いを愛し続けた2人の男女の半生が描かれています

テレビドラマ「家政婦のミタ」などの脚本を
手掛けてきた遊川和彦が監督を務め
波瑠と成田凌が主演を務めています

 

あらすじ
高校時代に出会った結城弥生と山田太郎は
互いに惹かれ合いながらも
親友のサクラを病気で亡くしたことから
想いを伝えられずにいた
それから、別々の道を歩む彼らは
それぞれ結婚し家庭を持つが
離婚やパートナーの死、災害に巻き込まれ
昔から抱いていた夢も破れてしまい
人生のどん底を味わっていく

 

感想
人生が全然うまくいかない主人公たちの姿に
すごく心を打たれた
人生ってこんなだよな…
と共感もできる
切ないラブストーリーも悪くない
ただ、全体的にチグハグで描写不足に感じた

 

恋愛映画は普段あまり観ませんけど
この映画は予告を見て少し気になっていたので
映画館まで観に行ってきました

波瑠と成田凌も結構好きなので楽しみに
観てきましたが
なかなか面白い映画だったと思います

内容はかなりベタな恋愛ドラマだと思いますけど
見せ方が面白かった

30年間という長い年月を描いた物語なんですが
その30年の中の3月だけにスポットを当てている

主人公の弥生と太郎が出会ったのも3月
卒業して道が分かれていくのも3月
2人の再会も3月
震災が起きたのも3月

30年間の中で様々なエピソードが描かれますが
全てが3月の中の出来事です

3月を舞台に
彼らの成長、挫折、恋愛などの人間ドラマを
時間とともに見せられていくという内容

この設定や表現方法が斬新だと思えましたし
最後まで面白く観ることができました


カレンダーや時計の数字で
実際の時間の流れを見せて
桜の木で弥生と太郎の2人の時間の流れを
表現しているのも面白いですね

桜の花が満開になる場面ははじめから予想できますが
実際に満開になった場面を観たときは
感動させられた

 

見せ方も面白かったんですが
人間ドラマも良かったと思います

弥生と太郎のすれ違いだらけの恋愛は
すごく切ないしモヤモヤさせられる
しかも、時間が経つにつれ
2人はおじさんおばさんになっていくので

切ないをとおりこして痛々しい
終盤になるとちょっと見ていられなくなってくる

恋愛が上手くいかないだけでなく
それ以外の人生もなかなか上手くいかなくて
見てるのが辛いレベル

でも、それが人生なんだよな
と心に刺さる
ちょっと自分を見てるような気持ちにもなってくる

希望にあふれる学生時代からの
大人になって夢が破れる姿
これは本当に切ない気持ちになりました


全体的に切ないし辛い人生を見せられますが
最終的には希望が見えてくる物語で
最後はハッピーエンド
だから、観終えた後は爽やかな気持ちで
モヤモヤ感は残りませんでした

ちょっと感動もしましたし

 

それなりに面白い映画ではありましたが
正直言って
これは2時間の映画よりも
連続ドラマで観たかった

短い時間にすごく詰め込んでしまってる気がする

いろんなエピソードが
それぞれの時代ごとに描かれるような作りなんですけど
全部のエピソードが短いし内容が薄い

もっと掘り下げてほしいようなエピソードも
いくつかありましたが時間的に無理でしょうし
映画ならこれが限界なのかも

太郎と息子のエピソードなんてほとんどないから
息子が登場するたびに唐突に成長し過ぎていて
なんかいまいち感情移入できない

息子が弥生の影響で先生になったというのも
あまりしっくりこないし…
あの2人一回会っただけだし


弥生と歯医者の旦那の関係性の描写も薄すぎて
どんな夫婦の関係性なのか掴み所が全然無い
仲が良いのか
愛し合ってるのか
お互いにどんな感情を抱いているのか
その辺は全然描かれない

だから、震災が原因で夫を亡くした弥生の気持ちが
いまひとつわかりづらかったりする


で、この個々のエピソードが薄くて感情移入しづらい影響で
中盤あたりの弥生と太郎の一晩の過ちの場面がすごく嫌に見えて
物語の終盤まで尾を引いてしまう

あの場面がただの浮気にしか見えないんですよ

あの場面って2人にとってかなり重要なエピソード
だと思います
2人が今までの気持ちが抑えきれなくなり
初めて素直になった瞬間だと思うし
この出来事で弥生が後悔と罪の意識を抱えてしまい
彼女の人生が大きく崩れて行く原因でもある

物語上も必要なエピソードだと思うけど
全体的に内容が薄いから
全然この場面が生きてこない
むしろ、これのせいで後の方まで
この2人、浮気したんだよな…
と悪い印象が残ってしまうんですよね


それと、震災の場面もあっさりしすぎなように思う
ちょっと扱いが雑だったような…
あんな使い方をするのなら震災の描写はいらなかった気がする

この物語の中で震災に重要な意味合いがあるのかと言うと
全然そんなことがなく
震災の代わりに別の要素でも補えると思います

 

あと、ストーリーの流れは時系列通りに
してほしかったですね

時間の流れ通りに進んでると思ったら
途中で過去の話に飛んだりするから
ちょっとおいてけぼりをくらってしまう

あれ、今時間戻った?
って混乱することが多々ありました

コンセプト的にも時系列の順番通りで
見せたほうがわかりやすいし
時間の積みかさねにもより重みが生まれたように思います

 

それぞれのエピソードがそれぞれ独立してますし
時系列も行ったり来たりで
全体的にチグハグになってしまってました
まとまりがちょっと悪かった

エピソードも描写不足で薄いし
それならテレビドラマでじっくりと
長い時間かけたほうが面白くなったと思う

これのドラマ版があればちょっと観てみたい
長い時間を描いた物語だし
連続ドラマと相性がよさそうですよね

 

最後に
賛否が分かれそう…
と言うか否が多いであろうエンドロールの歌

これはすごく唐突ですごく変
否定的な意見が多いのもわかるんですが
個人的にはこのエンドロールは結構好き

正直言って
この演出すごくダサい
でも、そのダサさがこの映画に合ってるような気がするんですよね

こんなダサくてちょっと変な演出は嫌いじゃない
妙にクセになりました

なんかわからないけど
このエンドロールには謎の感動を感じました

 


面白い要素はたくさんあって
感動できる内容でもありますが
ちょっと中身が詰め込みすぎで薄かった

ドラマでやれば絶対に面白くなりそう

ドラマならもっとエピソードを掘り下げられるし
細かいところまで感情移入できたと思う
本作のコンセプトにも相性いいでしょうし

この映画はドラマでリメイクしてほしいですね

 


弥生、三月 (徳間文庫)

 

 

映画「Fukushima 50」感想 エンタメ的な面白さは十分にある だからこそ引っかかる部分も…

f:id:kiitsu01:20200324180240p:plain

どうもきいつです


ドラマ映画「Hukushima 50」観ました

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所で起きた事故で
未曽有の事態を防ごうと現場で奮闘した人々の姿を描いたヒューマンドラマ
多くの関係者への取材を基に書かれた
門田隆将のノンフィクション「死の淵を観た男 吉田昌郎と福島第一原発」を原作に
実写映画化された作品です

「沈まぬ太陽」などの大作を手掛けてきた若松節郎が監督を務め
佐藤浩市、渡辺謙ら豪華俳優陣が出演しています

 

あらすじ
2011年3月11日、大地震が発生し
それに伴う巨大な津波が福島第一原子力発電所を襲った
善電源が喪失し原子炉の冷却装置が動かず
このままではメルトダウンの危機が迫る中
現場に残る作業員たちが
最悪の事態を防ぐために奮闘する

 

感想
エンターテイメント的に災害映画として
面白い出来の映画だったと思う
現場で必死に戦う人々の姿には
熱い思いにさせられました
だからこそ、リアリティティが損なわれていると思う
事実を基に…と謳っているぶん
この映画を鵜呑みにしてしまいそうになる
この問題はまだ終わってないよ

 

あれから9年経ちましたが
いまだに日本人の心にトラウマを刻み込んでいる
あの東日本大震災を描いた映画と言うことで

この映画は、日本人として観に行かなければならないんじゃないか
というちょっとした義務感も感じつつ
本作を観てきました

観る前から
いろんな意味で面倒くさそうな映画だな
って印象があって
いろいろ不安も感じていたんですけど

実際に観てみて
やっぱり思っていたことが的中していた部分もありました
いろいろ言いたいこともある

 

でも、普通に面白い映画でもあったので
素直にハラハラさせられましたし
感動もした

その点ではそんなに悪い映画ではありません
エンターテイメント的な面白さは十分にある

災害映画として出来の良い作品だったと思います


全体的にわかりやすい作りになっています

原発事故を防ぐために
現場の人たちが必死に奮闘する
そんな中で様々な障害が彼らたちに降りかかる

極限の状態でも
家族のため、周辺の町のため、日本のために
無理かもしれないけど
ひたすら最後まで戦い続ける現場の人たちが
戦う姿をヒーロー的に描いている作品です

そんな作風なので
現場で戦う人たちの姿を見て
胸を熱くさせられますし
人々の絆や友情に最後には感動させられる

ギリギリの状況の中で様々な障害に塞がれていく展開に
ハラハラドキドキもさせられます


映像的にも
巨大津波のシーンは迫力がありますし
セットもかなり頑張っていて
映像からも絶望的な状況が伝わってくる

地震や津波による危機的状況は
映像を通して実感できました


所々に専門用語が飛び交って
会話の内容とかは若干理解しがたかったりもしますが
現場の人たちが何をすべきか
目的は何なのか
という部分は明確に提示されるから
よくわからないなりにも物語にはついていけます

それに、重要な部分は
しっかりと解説するようなシーンが入っていたりもするので
親切な作りでわかりやすい


とにかく、それなりに面白い映画なんです
ちゃんとエンターテイメントにしようと
頑張っている作品だったと思います

この映画に心を打たれ
感動する人はたくさんいると思う

 

ただ、僕個人の感想としては
エンターテイメント性なんていらなかった

実際に起きた大災害による大事故だからこそ
面白さより事実を伝えることのほうが大事だと思うわけです

本作はエンタメなんてなげうって
リアリティ重視のドキュメンタリーのような作風に
するべきだったんじゃないかと思う


実際、現場では何が起こっていたのか
どんな問題が生じていたのか
そんな状況をリアルに見たかった

本作でもそんな部分は描かれていますけども
面白くするために脚色されたり誇張されているのは明らかで
素人が観ても明確にわかる

泣かせようと感動を誘うシーンや音楽
迫力重視の津波シーン
わかりやすく善と悪に分かれた構図

それらがリアリティを損なわせているし
思想の偏りも感じてしまう


特に
現場の人間たちはヒーロー
現場のこともわからず口だけの総理、東電本店は悪
という極端な描き方

これはさすがに引っかかる

総理大臣の描き方なんて
あまりにも傲慢で馬鹿に見せ過ぎですよね
これは悪意に満ちている

確かにそんな一面もあったかもしれないですよ
でも、それだけじゃないでしょ

この映画での総理大臣は
ただの邪魔者で馬鹿で滑稽な悪者にしか見えない


逆に現場の人たちはあまりにもクリーンすぎる気もします
家族のため、日本のために命をかけてくれた人たちですから
そりゃ聖人扱いしたくなりますが
その中ではいろんな問題も起きるだろうし
こんな単純な美談ですませていいのかな
と少し疑問に思う


エンタメ的にはわかりやすくヒーローがいて
わかりやすい悪がいれば
わかりやすく面白い映画にはなりますけども

この映画に関しては
そんな事よりも大切なことがあると思うし
単純に善悪を分けてしまうような描き方は
ちょっと違うように思います

本作の狙いとしては
無能な政治家であったり
現場を知らず無理難題を押し付ける企業の上層だったり
そんなのに対する警鐘の意味合いもあるのかもしれない

ただ、この映画では
そこよりも先にやらなきゃならないことが
あったんじゃないかと思うんですよね


それはやっぱり現実を伝えることです

あの大惨事が風化しないためにも
面白いエンタメなんかより
実際に何が起きたかを伝えるリアリティが
必要だったと思う


そう考えると
本作はリアリティを損なう演出がとても多い
過剰にいい話にしようとしすぎている節があります

例えば家族の描写とか
父と娘の関係性とかそんなに掘り下げる必要がないように思うし
家族の再会とかも必要なのかなって気がする
映画的にはそのほうが感動的だけど

やっぱり重要なのはそこじゃないと思うし
取って付けたような家族愛が嘘っぽくも見えてしまう


他にも
アメリカ大統領が登場するシーンはすごくチープ
アメリカ軍もすごくチープ
全部嘘っぽく見えてしまう

世界的にもこの災害が注目されている
ということの表現かもしれないけど
アメリカ人が登場するシーンは全部無駄にしか思えなかった
こんなシーンが無くても全然成り立つし

世界のニュース映像の場面とか
チープすぎてすごく変でした


あと、回想シーンの多さも気になりました

人間ドラマを見せたかったんでしょうが
回想シーンが映る度に
これって作り物なんだなって気持ちにさせられる

アメリカ軍のおっさんの回想シーンが始まった時は
さすがに、これ正気か?
って思った
こんなの必要ないでしょ


あからさまな観客に対する解説シーンや
総理大臣が佐野史郎だとか
他にも結構リアリティを消してしまってる要素が
とても多い

総理大臣なんてキャラとして登場させる必要が
あったのかなぁ?

実際のニュース映像を使って
総理がこんなこと言ってますって表現で
あとは、その他の登場人物の反応で見せる
みたいな方法もあったと思うんですけど

 

僕が思うに
本作はわかりやすさや面白さを捨ててでも
リアルにどんなことが起きていたのかを
ドキュメンタリーのように伝えるほうが
よかったんじゃないかと思うんです

如何に現場の人たちが危機的状況の中で
動いていたのか
地震や津波による恐怖はどんなものなのか

例え意味がわからなくても
感動できなかったとしても
実際に起きたことをリアルに伝えることに
意味があるんじゃないかと思う

世の中には面白くなくても心に刺さる映画はたくさんあるわけで
この映画もそんな映画であるべきだったんじゃないかと思います

しかし、本作の場合は
目先の感動、面白さ、わかりやすさを重視して
どこか嘘っぽくなってしまっていた


このエンタメ的な美談を
事実を基にしているということだけで
鵜呑みにしてしまう人もたくさんいると思うし
そこはちょっと危険にも感じる

ラストの桜並木の美しいシーンで
綺麗なハッピーエンドのように終わって見えてしまうけど

この問題はまだ解決してない
まだ終わってないんですよ

そこは絶対に忘れちゃいけないことだと思います

 

普通のディザスタームービーなら楽しんで観れたかもしれないけど
題材が題材だけに
この描き方は違うんじゃないかな?
と疑問に感じた

日本映画の悪い部分が出ていたようにも思いました

 


死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)

 

 

映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PRAY」感想 つまらなくはないけど 結局はいつものアメコミ映画

f:id:kiitsu01:20200323224812p:plain

どうでもきいつです


アメコミ映画「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PRAY」観ました

「スーサイド・スクワッド」でジョーカーの恋人として登場した
ハーレイ・クインを主人公にしたアメコミアクション映画
悪のカリスマ、ジョーカーと別れ
全ての束縛から解放されたハーレイ・クインが
裏世界を支配するブラックマスクと対決する姿を描いています

監督はキャシー・ヤンが務め
ハーレイ・クインを演じるのは「スーサイド・スクワッド」と同じくマーゴット・ロビーです

 

あらすじ
ジョーカーと別れたハーレイ・クインは街中で天真爛漫に暴れまくり
街にはびこる悪党たちから恨みを買っていた
そんな中、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって
ハーレイ・クインは裏世界を支配する残忍でサイコパスなブラックマスクと対立することになる

 

感想
ハーレイ・クインのキャラは魅力的
ただ、結局はいつものよくあるアメコミ映画の内容とほとんど変わらず
いまいち面白味に欠ける印象でした
悪役を主役にする意味を感じられない

 

ハーレイ・クインが主役の作品ということで
前から期待していた作品でした

「スーサイド・スクワッド」は微妙な映画でしたけど
ハーレイ・クインの存在感は輝いていたし
今回そんな彼女が主役なので楽しみにしてました
マーゴット・ロビーも好きですし


そして、実際に観てみると
みんなが好きそうなやつだなって感じの印象

ポップな作風でコミカルな演出が多く
ストーリーはわかりやすくてアクションもそれなりに派手で楽しめる
ビジュアル面もカラフルだったり可愛い雰囲気だったり
見た目だけでも楽しい感じはします
音楽はノリノリで気分も上がってきます
ハーレイ・クインのキャラも生き生きとしている

とにかくアメコミ映画大好き
みたいな人なら
十分楽しめる内容だと思います

ただ、個人的には微妙だった
つまらなくはないけど
そこまで乗れなかったですね

むしろ、こんなタイプの映画にはちょっと飽きてきている

 

でも、普通に楽しめる部分もあったし
まずは良いと思ったところから

なんといってもハーレイ・クインが魅力的だし
とても可愛い

この映画は彼女の魅力だけで
観ていて楽しい気持ちにさせられます

あの喋り方とかすごく可愛いですね
表情も豊かで可愛い
自由気ままで天真爛漫
その上、自己中

面白いキャラクターです
自分勝手で支離滅裂な言動ばかりなので
嫌なキャラクターにも見えてしまいそうですけど
それを補うほどの愛嬌がある

むしろ、そんな自分勝手なところも可愛く見えてくるんですよ

で、可愛いだけでなく
アクションシーンではカッコよかったり
ちょっと残酷な面が見えてきたり

ギャップもあってとても魅力を出せていたと思います

自分のことを棚にあげて他人を分析したりするのも
なかなかいい味が出てて好きです

 

ストーリーに関しても
シンプルでわかりやすく
単純に楽しめる内容になっている

ダイヤを盗んだ少女を悪い奴らから守って戦う
っていうかなり王道なストーリーですしね

それをいろんなキャラクターや面白い演出で彩っている
って感じの映画で
普通に面白く観れると思います

 

そんな感じで
別にそんなに悪くない映画ではあるんですけど

やっぱり個人的には物足りない
と言うか、こんなプロットのアメコミ映画には
ちょっと飽き飽きしてきている

言ってしまえば
この映画でやってることは
他のアメコミヒーロー映画とほぼ同じ

ただ登場人物の立場や目的、世界観の設定など
ストーリーの細かい部分が違うだけで

基本のプロットは同じです

主人公の前にヴィランが現れてそいつを倒して終わり
毎回そんなパターンがほとんど

でも、僕はそれがダメだとも思っていなくて
むしろアメコミ映画にはそれを求めてしまってる部分は大いにあります
それを観たいからアメコミ映画を観ているといっても過言ではない

しかし、その反面
そろそろこんなのに飽きてきたな
って気持ちが芽生えてきているのも否めない


そんな時にヴィランが主役のアメコミ映画が公開されると知るとすごく期待してしまうわけです

悪役をメインにすることで
今までとは違った切り口のアメコミ映画が見れるんじゃないかとか
王道でマンネリ気味のプロットをぶち壊した新しいアメコミ映画が見れるんじゃないかとか

今までとは違うものが観れるんじゃないかと
ワクワク感に駆られる


でも、蓋を開けてみると
他のアメコミ映画とプロットは全く同じで
ただ悪役を主人公にしてみましたってだけのが多い
「スーサイド・スクワッド」や「ヴェノム」とかも同じで
最終的にはヒーローっぽくなってたりするんですよ

これじゃあ悪役を主人公にしている意味が感じられない

こんな普通のアメコミ映画にするのなら
まだ掃いて捨てるほどいる正義のヒーローを主役にしてやりゃいいじゃん
って思うわけですよ

これは、人気ヴィランを主役にすればとりあえずヒットするだろ
くらいの安易な考えだけで作られているから
こんな普通のアメコミ映画になってしまってるのかもしれない
たぶん、悪役を主役にする意味とかまで考えが及んでいないんでしょうね

唯一「ジョーカー」くらいですよ
悪役を主役にすることの意味を感じれるのは

悪役を主役にするならば「ジョーカー」くらいのことをやってくれなければ
なかなか納得はできない


本作もただハーレイ・クインを主役にしただけの
普通のアメコミヒーロー映画で終わってしまっているので
これなら、別にハーレイ・クインが主役じゃなくても別に成り立つよな
と思って萎えてしまいました

 

あと、もう一つ思ったのが
この映画、ハーレイ・クイン以外のキャラにあまり魅力がない

仲間にしろ敵にしろ
いまいち印象に残りません

仲間たちは予告を見たときは魅力的に思ったけど
実際に映画を観てみるとみんないまいちぱっとしない
それぞれのキャラはあまり深掘りされないし
みんな印象が薄い

最後のいろんな立場のキャラが一丸となってチームを結成し1人の敵に立ち向かう
っていう展開はもっと熱くなりそうなもんですが
そこに至るまでに
他キャラにあまり感情移入できてないのもあって
いまいち盛り上がりに欠ける


敵のブラックマスクも同じで
敵としてさほど魅力がない
どこか小物っぽくてラスボス感が弱い

もっとこいつヤバいって思えるエピソードとかがあったらよかったんですけどね
ありがちな残忍でサイコパスなキャラで終わってしまっていて…

ブラックマスクが小物っぽく見えてしまっているせいで
終盤で対峙したときも盛り上がりに欠ける


この映画はいろんな要因で終盤がいまいち盛り上がらなかったですね

序盤はハーレイ・クインの魅力で引き込まれて持っていけてたけど
それ以降は尻すぼみの印象でした

 

それと、女性ヒーローが主人公の映画でありがちな
女性は強い
自立した女性
みたいなメッセージもありがちすぎて
そろそろいいかな…って思ってしまう

そんなメッセージは十分伝わってるから
そろそろ違った切り口から違ったメッセージを
発信するべきじゃないかと思うんですけどね


女性蔑視や男女差別の問題は
男側が理解できてないってこともありますけど
この問題に対する主張も同じことばかりで
停滞してしまってるように思う

これじゃあお互い様で進展なんかしない気がする
こんな時代だからこそ
そこから先のところも考えていかなきゃならないと思いますよ

 

いろいろと言いましたが
ハーレイ・クインの魅力はとても感じれる映画
マーゴット・ロビーもその魅力を十分引き出せていると思う
アメコミ映画としては普通に面白い出来ですし
楽しんで観れると思います

その反面、悪役のハーレイ・クインを主役にする
必要性を感じることはできなかった

ヴィランを主役にするならば
悪役とは何かをもう少し考えてから映画化してほしい

今のままでは
日本の漫画実写のノリとそんなに変わらないと思います

 


スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション ブルー レイセット(期間限定/2枚組) [Blu-ray]

 

 

映画「バタフライ・エフェクト2」感想 あの名作の続編にして 超絶チープなB級以下のクソ

 

f:id:kiitsu01:20200322002147p:plain


どうもきいつです


サスペンス映画「バタフライ・エフェクト2」観ました

大ヒット映画「バタフライ・エフェクト」の続編として製作された2006年のSFサスペンス映画
交通事故で最愛の女性と親友を亡くしてしまった男が
過去に戻る能力を身につけ愛する人を守ろうと
奮闘する姿を描いた作品です

監督はジョン・R・レオネッティが務めています

 

あらすじ
ニックは恋人のジュリーの誕生日に思い出の場所を訪れ
親友のトレバーたちとともに一緒に楽しい時間を過ごしていた
しかし、その帰り道で交通事故に遭いジュリーとトレバーたちを亡くしてしまう
それから1年、ニックはジュリーたちとの懐かしい写真を眺めていると
激しい頭痛に襲われタイムスリップする能力を身につける

 

感想
評判の悪さは知っていたけど
そのハードルをあっさり越えてしまうほどの
酷い映画でした
前作の面白かった要素をことごとく受け継いでいないスタイルにむしろ笑える
全く期待していなかったので腹はたちませんでしたけど

 

名作「バタフライ・エフェクト」の続編なんですが
評判の悪さが異常

僕も前作はかなり大好きなんですが
あまりの評判の悪さに本作はずっとスルーしてました

そんな本作ですが
怖いもの見たさもあり今回挑戦してみた

 

率直な感想を言うと
つまらねぇ

全然面白くない
評判どおり
と言うか、それ以下でした


何がダメなのかと言うと
全部がダメ
全てがチープでB級映画以下の出来の作品だと思います


細かい話をしていくと

まずストーリー
これが本当にダメ

やってることはほぼ前作と同じ

本作の場合は死んでしまった彼女を救うために
過去を変えようとする物語なんですけど

前作を劣化させたような内容なんですよ


前作の面白かったところは
今の現状を良くしようと過去を変えれば変えるほど状況が悪くなっていき
最終的にはがんじがらめになっていく
そこをどうするのか?
ってところが面白かったんですけど

本作はトータル3回しか過去を変えない
その時点で終わってる…

前作の過去を変えすぎて複雑になっていく過程が面白かったのに
本作は全く複雑じゃなくてあっさりしすぎでつまらない

その少ない回数の中で
面白いドラマが描かれているのなら
全然いいですけど

その内容もすごく稚拙


死んだ彼女を助けるため事故を回避
仕事で出世したいから同僚の手柄を横取り
そして、最後は何故か自分を犠牲にして彼女を助ける

全て思った通りに物語が進んでいくし
最後のに関しては唐突すぎて意味がわからない

前作のような切ないラストをやりたかったんだと思うけど
必然性がなくて意味不明


この先どうなるんだろう?
というワクワク感やスリルも全然なくて…
てか、そもそも先の展開が気にならないくらいの
魅力の無いストーリーだったりする

ラストも本当に酷いです
普通ならここからあと2回くらい展開があっても
よさそうなもんですが、なんのひねりもなく
これで終わり!?
って終わりかた

すごく急に終わった感じがする
ラストになると、なんの前触れもなく急激に物語をまとめあげようとするんですよね

ここまでダラダラと進んでたけど
時間がなくなったから最後は詰め込みました
って感じ…


前作「バタフライ・エフェクト」の要素を
プールに一滴だけ垂らしたような
薄いというか、ほとんど水みたいな映画
その水も腐ってますしね
超不味い水です


そして、ストーリーだけでなく
主人公も全く魅力がない

なんと言えばいいのか…
とにかく魅力がない

行動原理が彼女を助けたい出世したい
みたいなアホな子供のみたいな発想で
しかも、それが最後まで続く

彼女を助ける目的で過去を変えてたのに
途中は仕事のことばかりで彼女は放ったらかし
その上、よくわからん女とセックス

コイツのことが全然好きになれません

主人公の目的がブレていて
結局、コイツは何をしたいんだよ
って思ってくる

そのくせ最後は彼女のためとか自己犠牲とかを
唐突に見せてきていい話にしようとするから
逆にムカつく


それに 他のキャラも全然魅力無いし

魅力の無いキャラの寄せ集めなので
コイツらが死のうが生きようが
マジでどうでもいい

唐突に出てくる主人公の母親なんて意味不明
誰これ?って状態
ゲイっぽい敵キャラみたいな奴も意味わからんし

とにかく、感情移入なんて全くできませんでした

 

さらに、演出も意味不明

たった90分ほどの長さなのに
無駄なシーンが多い

特にラブシーンですよね

2回もある上に
毎回無駄にクソ長い
一体何をしたいのかがわからない
セックスのシーンに何故こんなにも時間を費やすのか?
監督がエロいだけなのか?

でも、おっぱいはちゃんと見せてくれないというね…
ほんとにクソ


それと頭痛のシーンも無駄に毎回長いです
一回やりゃわかるのに
それを毎回見せられる

3回しか過去に戻ってなくて
頭痛のシーンもそんなに多くないはずなのに
また頭痛のシーンかよ… だりぃな…
って思ってしまってる


無駄なシーンに時間使いすぎなんですよ
そのせいで余計に内容が薄くなってる

 

この作品のテーマである
バタフライ効果って
たった1羽の蝶の羽ばたきが遠くの場所で竜巻を起こす
みたいなことですけど

本作の場合は
蝶の羽ばたきがそよ風を起こす
くらいの変化しかなくて
全然劇的じゃないんですよね

前作の場合は一つのことを変えるだけで
劇的に未来が変化していて
そこが面白さの一つでもありましたが

 

あと、はじめのタイトルの出し方もダサかったですね
このタイトルを見せられた時点で
先行きの不安をめっちゃ感じてしまうと思う

 

まあ、もともと評判は悪かったし
期待なんてしてないからダメージは少なく
むしろ、あまりの酷さに笑えました

この映画を作った人たちは
あの名作「バタフライ・エフェクト」を観ているのか?
もし、観ていたとしたら
こんな映画恥ずかしくて世に出すことはできないでしょ

ある意味すごい映画
この映画を公開した勇気には感動できる

 


バタフライ・エフェクト2 デラックス版 [DVD]

 

 

映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」感想 金、女、ドラッグ 倫理的に間違ってるけどカッコいい

f:id:kiitsu01:20200321235315p:plain

どうもきいつです


伝記映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」観ました

実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの劇的な半生を映画化した実録ドラマ
2013年の作品です
1980年代から1990年代のウォール街で
若くして大金を稼ぎ
その後、証券詐欺の容疑で逮捕された彼の
栄枯盛衰が描かれています

「タクシードライバー」などのマーティン・スコセッシが監督を務め
「シャッター・アイランド」でスコセッシとコンビを組んだレオナルド・ディカプリオが主演です

 

あらすじ
学歴も人脈も経験もないまま、22歳でウォール街の
投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォートは
巧みな話術で人々の心を瞬く間に掴み
斬新な発想を繰り出してどんどんと業績を上げ
猛烈なスピードで成り上がる
そして、26歳で証券会社を設立し
一気に富と名声を手に入れ
ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになっていく

 

感想
とにかくなんかすごい
金、女、ドラッグだらけのイカれた映像が
ひたすら続くような内容
主人公は詐欺師だし
やってることは倫理的に間違ってるけど
この男がカッコよく見える

 

以前に観たことがありましたが
久しぶりに観てみました

前に観たのは本作が公開されていた当時なので
もう7年ほどまえ
内容に関してもかなり忘れていたんですが
いろいろとすごい映画でショッキングな印象は
心に刻み込まれていました

そして、久しぶりに観ても印象は変わらず
やっぱりすごい映画


まあ、すごい映画ではあるけども
万人ウケはしないような気がします

そもそも、この映画の内容が基本的に下品だし
主人公のジョーダンは詐欺師です

その上、面白いストーリーなのかと言えば
そうでないようにも思う

ひたすら下品なお祭り騒ぎみたいな映像が続き
それが3時間も続くわけです
3時間もあるのに内容なんてほとんどないと思う

登場人物はほとんどラリってるし
セックスしまくりだし
人を騙してお金を稼ぎ大金持ちになってるし
倫理観なんて全く無い

そんな悪い奴らが痛い目を見るのかというと
そんな映画でもなく
そこに善悪をはっきりとつける作品ではないんですよ

ジョーダン・ベルフォートという男の生きざまを
ただひたすら見せつけられるような映画


そんな映画なので
嫌いな人は嫌いな映画だと思います

本作を観て嫌悪感しか抱かない人もいるでしょう

 

でも、僕はこの映画が好きです

ジョーダン・ベルフォートという男が
滑稽だけどカッコいい
愚かだけど羨ましい

この人が魅力的すぎて映画のなかに引き込まれてしまう


ジョーダンは全く誉められるような生き方はしていません

まず、人を騙して金儲けしてるんですから
その時点でアウトな人

さらに、薬物依存にセックス依存
どうしようもないほど酷い人間ですよね

いくら金持ちだったとしてもこんな生き方したくない
って思う人もたくさんいると思います
てか、ほとんどの人がそう思うでしょ


僕もそう思う気持ちがあります
でも、その反面
ジョーダンの生きざまが羨ましくもある
と言うか憧れる

自分もこんなに素直な人生を送りたいな
って思わされるんですよね
常識なんかからは解放されて生きてみたい


ただ、憧れるってだけでなく
ジョーダンが本当にいろんな意味で面白い人間
だから、すごく魅力的なんです

彼の魅力だけでこの3時間を最後まで魅せられてしまう

まず、彼の勢いがすごく好き
ラリってるのもありますけど
テンションがぶっ飛んでる

勢いがすごいから
彼の言うことや存在に謎の説得力があるんですよね
物語の中でもいつの間にかジョーダンの回りには人が集まって
最終的には大きな会社になるわけですけど
それに納得できる
そりゃそうだよなって思えます

ジョーダンは完全にサイコパスで道徳心は欠如してる
そして、内に秘めたる野心と巧みな話術を持ち
詐欺師になるために生まれてきたような人間

それだけじゃなくて
他者を扇動するカリスマ性も持ち合わせていて
終盤になると
まるで宗教団体の教祖のようになっている

彼がこうなることは必然だったのかもしれないですね


そんな話術やカリスマ性で大金を稼ぎ最終的には億万長者に成り上がるジョーダンですが

実は全然完璧な人間なんかではなく
愚かで滑稽でめっちゃバカなやつでもある
そこが人間らしくてさらに魅力的に感じます

笑えるんですよ
やってることがバカバカしくて

ラリってセックスばっかりですからね
本当にアホです

ドラッグに依存してるしセックスにも依存してるし
金儲けに関しても完全に依存ですよね

様々なものに依存してしまってるジョーダンなんですけど
それは、彼の弱さ故にだとも思える
人を扇動しカリスマ的な能力を見せつけていますが
実は小心者でとても弱い人間なんだと思うんです

急にぶちギレて感情だけで行動したりもするし
普段は言葉巧みに上手くやってるのに
全く論理的でない行動をとったりもしてしまう

そこが滑稽で笑えるところでもありますよね

レモンとかいうヤバいドラッグをキメる場面なんてフリとオチが完璧すぎてめっちゃ笑った
時間差でラリって窮地に追い込まれ
安全に車を運転してると思ったら
実は暴走しまくってたとか

ここは面白すぎますね


あと、ジョーダンを演じるレオナルド・ディカプリオの功績も大いにあります
ディカプリオのぶっ飛んだ演技が素晴らしい

ヤバい奴だけど愛嬌があるのは
ディカプリオだからだとも思います

ラリっててもセックスしまくってても
どこか憎めないと言うか

ただの嫌な奴ではなく
コミカルで滑稽でとても魅力的な人物に演じていたと思います

 


とにかく、この映画は自分の感情に正直に生き
自分の才能を最大限に活かして生きるジョーダン
当然、やっちゃいけないこともやりまくり
欲望の赴くままに生きる彼の生きざまを見せつけられるので

堅実に真面目に多くを望まないような人生を送っている人がこの映画を観ると
自分を否定される気持ちになるかもしれない

だから嫌悪感を抱いてしまうかも


でも、この映画には
何か試されているような気持ちにもなります

特にラストシーンでは
お前はこっち側にこれる人間か?
と問われているようです

それは詐欺師になれるかどうか
ってことではなくて
人生を成功させることができるかどうかを試されているような

この映画を観て
くだらないと吐き捨てるか
自分もこんな正直に生きてみたいと思うか

人によって感じかたはいろいろ違うと思うけど
ジョーダンの生きざまには学ぶべきところがたくさんあると思いました


それだけじゃなくて
この映画は単純にハイになれる映画でもありますね

普通に生きてちゃ観れないような世界が
テンポよく激しく見せつけられる

酒池肉林、ドラッグ、セックス
そんな派手な映像に多様な音楽
映像だけでも飽きさせられない

マジで頭おかしくなりそう
てか、こいつら頭おかしい

倫理的にもアウトな映像のオンパレードで
それが最高の映画だとも思います

 

観る人を選ぶ内容の映画だと思うけど
すごい映画なのは間違いない

とにかくジョーダン・ベルフォートが魅力的
映像も魅力的
音楽も魅力的
つまり最高な映画

 


ウルフ・オブ・ウォールストリート [Blu-ray]