何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ペット2」感想 散漫すぎて集中できない 短編3本とかに分けりゃいいじゃん

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どうもきいつです


アニメ映画「ペット2」観ました

「ミニオンズ」などのイルミネーション・エンターテイメントが手掛けた2019年のアニメ映画
飼い主がいない間のペットたちの騒動を描いた
2016年のアニメ映画「ペット」の続編
前作お馴染みのペットたちがまたしても大騒動を巻き起こします

監督は前作と同じく「怪盗グルー」シリーズを
手掛けてきたクリス・ルノー
日本語吹き替えにはバナナマンの2人、佐藤栞里、永作博美、中尾隆聖ら前作からのキャストが揃っています

 

あらすじ
マンハッタンの街で飼われているマックスは
相棒のデュークと共に飼い主ケイティのもとで平凡に暮らしていた
ケイティに赤ちゃんが生まれたことで
より一層にぎやかな生活を送る中
ある日、家族全員で旅行に行くことになる
そこから様々なペットたちが巻き起こす大騒動が始まる

 

感想
キャラクターは魅力的だけど
ストーリーがあまりにも散漫すぎる
何がメインなのか全くわかりません
子供なら楽しめるかもしれないけど
ただ楽しめるだけで記憶には残らないと思う…

 

前作の「ペット」を観たことがありましたし
なんとなく続編の本作も観てみました
アマプラで配信していたので

そもそも「ペット」自体そんなに好きじゃなくて
本作もそんなに期待はしていなかった

だから別にショックは無いです
こんなもんだろって感じの映画


でも、やっぱりもっと面白くできなかったのか?
と思ってしまいます

前作も本作もキャラクターはとても魅力的なんですよ

みんな可愛らしいし面白いし
ペットあるあるみたいなのもキャラを通じて
とても上手く表現できている


主人公のマックスも超可愛いです
飼い主に従順な感じなんて上手く表せてるし
過保護で心配性な性格がゆえの行動も面白くて可愛い

すごくしっかりした性格のようで
ミツバチのボールが大好きすぎるのも最高に可愛いですよね

犬が好きな人はマックスが可愛くて仕方なくなると思います

僕は吹き替え版で観ましたけど
マックスの声をやってるバナナマン設楽はすごくハマってると思いました

棒読みとか言われたりしてますけど
そのちょっと棒っぽいしゃべり方が可愛さを生んでると思う

それに棒読みだけど
設楽さんの声はなかなか良いし安心感がありますね
真面目な性格にもピッタリですし

他のキャラも動物らしさが可愛らしく表現されてるし
みんなどこか抜けてる言動があって
いつの間にか微笑ましく見てしまっています

 

それに、アニメのクオリティはやっぱり高くて
ペットたちの体の質感やその違いがしっかりと描き分けられています
フワフワ感がすごくあって触りたくなる

表情や顔の違いもわかりやすいし
動きなんかも細かく作られています
キャラによって走り方とかも違いますし
動物の見た目や動きなどをかなり研究してアニメとして表現しているんだろうな
と思わされる

背景なんかも本当に美しいですから

ただリアルに描いているだけでなく
「ペット」という作品の世界観をしっかりと確立しています
色鮮やかで楽しい雰囲気も醸し出せている


やっぱり世界で評価されているだけの事がある
レベルの高いアニメ作品
というのは間違いないです

 

とは言え、映像やキャラの魅力だけに頼りきってる作品でもあります

正直、ストーリーはかなり微妙
ストーリーに一貫性がなく散漫で
全然集中して見ることができません

3つのエピソードが平行して描かれていく作りなんですが
それらに繋がりは全くなく
別々のエピソードが交互に入れ替わり語られていく

そうすると、自分が何を見せられているのか
段々とわからなくなってくるんですよ

結局、この映画は何を伝えたいの?
って状態になってくる

こんなバラバラの関連性の無いエピソードを
詰め込むなら
短編のスピンオフでも作ったほうがいいと思う

それくらいエピソードのつながりが薄い


その上、そのエピソード単体だけを見ても
なんか一貫性がない

例えば
マックスが主体の牧場への家族旅行
ここではマックスの成長が描かれますが
そこがすごくブレている

過保護なマックスが見守ることの大切さに気付いて成長する話なのかと思いきや
マックス自身の臆病さを克服するという
ちょっとずれた方向に話が進んでいき
最終的にマックスがビビりじゃなくなった
って意味のわからない成長物語を見せられます

他のエピソードも
トラの子供を助けるとかミツバチのボールを取り返すとか目的は定まってるのに
途中からなんか方向がずれてくる

場面はコロコロと変わるし
目的もコロコロと変わるから
なんか観てるのにストレスすら感じてくる

無駄に頭を使わされるというか
いちいち自分の頭の中で整合性を保とうとして
グルグルと頭が回転しっぱなし

でも、結局は頭を使ったところで
そもそもブレブレな内容だからつじつまなんて合わない

終盤はその3つエピソードが繋がってる感じに見せてますけど
実際はそんなに繋がってなくて
無理やり1つにまとめたって感じになってます

マックスがトラの子供を助けに行く理由なんて全くなくて
なんで唐突に現れたトラの子供を必死に助けようとするんだよ
ってわけがわからん展開になる


そもそも、本作の初登場キャラが当たり前のように主役の位置にいたりするのも謎

このキャラが何者なのかもさほどわからないにも関わらず
物語の中心を担ってるから余計に混乱します


で、そんな新キャラはやたらとでしゃばるけど
前作で活躍した仲間たちはおまけみたいになってるのも不満です

特にデュークなんて
前作ではマックスと共に主役扱いだったのに
今回は完全に空気になってる

ぽっと出の牧場犬の方が目立っているという
かなり残念な扱い

個人的にデュークが好きなキャラというのもあるけど
さすがにこの扱いは謎過ぎる

謎の新キャラとか前作の敵のウサギとかはやたらと活躍するのに…

 

そして、前作同様
メッセージ性も薄いですね

薄いと言うか無いんじゃない?

ただペットたちが面白おかしく大騒動を巻き起こす
ってだけの空っぽな内容

子供向けだから楽しめればいいのかもしれないけど
子供向けだからこそ真面目なメッセージがある方がいいような気もするんですが…

むしろ、動物たちが良いことをやってる風で
実は自分勝手に暴れまわってるような身勝手な物語でもあるから
ちょっと子供に悪影響があるのでは?
みたいにも考えてしまう

トラが可哀想だからと助けますが
その後ノープランで街をつれ回し
トラも子供だから物を壊したり

で、住む場所がないからと言って
誰かに世話をしてもらおうという完全な他人任せ

最終的にはトラとネコの見分けもつかないボケ老人にトラを押し付けてめでたしめでたし

もう恐怖でしかない
子供向けだからってこの展開は安易すぎる


他にも悪人だからって車で轢く描写があったりして
暴力的すぎる
サーカスの団長もトラにキツい躾をやってるものの
車に轢かれるほどの悪いことをやってるようには思えない
少なくともオオカミたちは団長に懐いてるし

そして、車で轢いているのはボケ老人
こんなヤバい人にトラなんて任せられねーよ

この街に住む人々は恐怖に怯えながら過ごすはめになるでしょう

 

マックスが勇気を振り絞って敵と戦う美談のようで

実はかなり倫理的におかしくないか?って事を
この動物たちはやってしまっていて
しかも、それをただのドタバタ劇ですませてる

そんな感じのあまり子供に見せたくないなと思わされる部分もありました

 

イルミネーションの映画は評判が良かったりもするけど
ちょっと子供だましな映画が多いですね
特に本作は教育的にもよくないような…

でも、これを面白いと大絶賛している大人もいるわけで
確かに映像やキャラクターは素晴らしいけど

面白いってなんなのか?
なんかわからなくなってきた…

 


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映画「ジャッジ!」感想 いろいろ無理がある 外国人がチープ過ぎかな

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どうもきいつです


コメディー映画「ジャッジ!」観ました

世界的な広告祭に参加し審査員をすることになった新人広告マンが
自社のCMにグランプリを獲得させるために奔走するドタバタコメディー
華やかな広告業界の裏側をコミカルに描いた2014年の作品

ソフトバンクモバイルの「ホワイト家族」など
数々のヒットCMに携わってきた澤本嘉光が脚本を手掛け
CMディレクター出身の永井聡が監督を務めています
出演するのは妻夫木聡、北川景子などです

 

あらすじ
大手広告代理店のダメ社員、太田喜一郎は
上司の指示により
世界一のCMを決める国際広告祭に審査員として参加するはめになる
そして、ちくわのCMが賞を取らなければ
自分がクビになってしまうと知った喜一郎は
いろんな手を使いグランプリ獲得のため奔走するが
彼には様々な試練が待ち受けていた

 

感想
設定は面白かったし笑えるところもありましたが
全体的に無理がありすぎるかな…
ちょっとリアリティが無さすぎる
ギャグは若干スベり気味で
主人公以外の登場人物が薄すぎたりと
微妙な要素もとても多かった
あと、外国人がなんかショボい


以前からちょっと気になっていた映画だったので
アマプラで配信されているのを見つけ観てみました

 

めちゃくちゃつまらなかったわけではないけど
特別面白いわけでもなかった

好きなところがありつつ
あまり好きではないところも多かった印象です


まあ、設定は面白いと思います
無理やり審査員として参加させられた主人公が
忖度だらけのCMグランプリの中で
いかにして自社のCMを勝ち進めるか
って内容です

そんな世界に似合わない馬鹿正直な主人公だからこそ
その腐った業界を変えていくことができる
みたいな展開は
ちょっと「LIAR GAME」とかにも似てます

CM業界を舞台に「LIAR GAME」っぽいことをして
それをコメディータッチで描く
そんな設定は面白いけど
いまいちぱっとしない映画でもありました


まず、ストーリーを成立させるために
ちょっと無理なことが多すぎる
全体的にリアリティがないです

現実的な広告業界を舞台にした物語だけど
やってることは全部ウソですからね

そもそも、替え玉で世界的な広告祭の審査員に
英語も喋れないような主人公が参加する
ってのに無理がありすぎますよ

そうしなきゃ物語が始まりもしないのはわかっていますが
この時点で嘘っぽい映画に感じてしまう

コメディーだからなんでもあり
って感覚なのかもしれませんけど
もっと理由もほしいですよね

主人公が審査員になるのも
名前が似てるってだけじゃなくて
顔が似てるとか年齢が近いとか
納得できる理由がほしい

妻夫木聡と豊川悦司は似ても似つかないし

全く似てないのに替え玉が成功してしまう
というのを笑いどころにしてるのはわかるんですが
別にそんなに面白くないし
リアリティを削いでまでやることなのかな
とは思ってしまう


そして、肝心のグランプリの審査会も
まあリアリティがない
やってることが茶番なんですよ

それぞれの国の人たちが
自分のCMを優勝させるために駆け引きを繰り広げる
という展開になっていきますが

ここでやってることのレベルが低すぎる

子供がいるからと同情を誘ったり
妊娠しているふりをしていたり
ウインクしたら点を入れてくれとか

こんなのに騙されてたり
上手くまかり通ってたりするのがあり得ないしバカっぽすぎる
それらがコメディーとして面白いのかと言うと
そこまでは笑えないし

喜一郎がペン回しをした後に
適当な英語を喋るとすごい事を言ってる風に聞こえる
というのは面白くて結構好きでしたけど
こればかりに頼りすぎる展開もちょっとつまらない

ここぞというときにペン回しをやれば
笑えたり盛り上がったりすると思うけど
どうでもいいとこでも多用してしまうから
結局、このペン回しのシーンの価値が下がってしまってるんですよね


審査会の駆け引きは緊張感がある方が面白かったと思います
本当に「LIAR GAME」みたいな
騙し騙されで本気の駆け引きをやってほしかった
そんな鬼気迫る駆け引きの中で
要所的にギャグを入れればギャップで笑えるし

審査会の場面は基本的に空気が緩すぎで
いかにもコメディーやってます感が逆につまらなくなってしまってましたね

 

そして、コメディー描写ですけども
これは笑えるところは笑えるけど
スベってるところはとことんスベってます

本作はあまり狙いすぎてないところの方が面白かったです

例えば
序盤のきつねうどんのCMでキツネをネコにしろ
という無茶な要求とか
グランプリにきつねうどんのCMも出品していたとか
そんなのは普通に吹き出しちゃいましたけど

それとは違い明らかに狙ってるギャグがほんとに寒い

喜一郎とオネエのやり取りとか酷いですもん
普通にオネエの扱いが差別的にも感じるし

豊川悦司が登場するシーンはほとんど狙いすぎてて
すごくスベってる
これじゃあ豊川悦司がかわいそうです

他にも
ここ笑いどころですよって感じで
ドヤ顔でボケてくるような場面がとても多く
そんなシーンはことごとくつまらない

今から面白いこと言います
って言ってハードルを上げて
結局そんなに面白くない
みたいな感じのことめっちゃやってるんですよ

あからさまにギャグやってますよ感が少なければ
笑えるような場面もたくさんあったと思うんですけどね

 

それと、人物描写が薄すぎるのも気になります

主人公の喜一郎はすごくいいキャラで魅力的です
いい意味でダメ人間な人で
とても好感が持てるし応援したくなります

妻夫木聡のちょっと抜けてる雰囲気の演技がすごくハマってましたし
ナチュラルに馬鹿正直な男って感じがとても良かった
それがストーリーにもしっかり生きてきていて
最終的には喜一郎がすごく好きになっています

妻夫木聡はダメ人間かサイコパスを演じると本当に素晴らしいですよね


ただ、その他のキャラが薄すぎます

特に北川景子が演じるひかり
彼女に全然魅力がない
中身が空っぽ女です

言葉ではひかりはできるすごい人間
みたいなことを言ってるけど
実際は彼女の何が優れているのか全く理解できない

別にすごいことなんて全然してなくて
でも最終的にはひかりのおかげて上手くいった
みたいになってるのは納得できないです

最後の喜一郎とひかりがくっつきました
というのも唐突すぎ
そこまで恋愛描写なんて全然無いのに
なにそれって感じ

ひかりが可愛くもなければカッコよくもない
すごく印象が薄いキャラなのに
物語上は重要人物な扱いなので
観てる側からすれば全然気持ちが乗ってこないです


他は審査会にいる外国人たちもちょっと酷いですね
そもそも、みんなキャラが薄すぎて記憶に残らない人ばかり
荒川良々も荒川良々だから記憶に残るけど
キャラ自体は薄いし

キャストもとりあえず日本にいる外国人の俳優やタレントを寄せ集めた
みたいなショボい人ばかりなんですよ

邦画にありがちな外国人なら誰でもいい
ってのが出てしまってます
別にハリウッド俳優を起用しろとは思わないけど
もう少し演技できる人とか
無名だけどそれなりに存在感ある人とかを
選べばいいのにと思うんですよね


あと、一番引っ掛かるのは玉山鉄二ですよ

誰だよあいつ

ストーリーにまったく関わりがないし
ひかりとの関係性も謎だし

あいつの存在がノイズでしかない

あんなキャラ出す必要あったのか?
無理やり玉山鉄二を出したかったようにしか思えない
これは無駄ですよね
意味不明です

 

そんなにつまらなくないと思ってたけど
結果的に文句ばかり言ってしまった

設定と主人公が魅力的なので
そこでカバーできてる部分もあるけど
基本的には酷い部分が多い映画でした

ギャグはいかにもCMをやってた人のセンスで
一発ギャグや狙いすぎのシュールが多くて
スベってるところが目立ちます

まあ、軽い気持ちで観るなら
ありな映画かもしれません

 


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映画「モンスター上司」感想 笑えるけど爆笑ってほどでは… ラストもあまりすっきりしなかったし

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どうもきいつです


コメディー映画「モンスター上司」観ました

耐えがたい上司と顔を合わせ仕事をする男たちが
そんな上司を排除すべく復讐に乗り出す姿を描いた
2011年のコメディー映画

監督はセス・ゴードンが務めています

 

あらすじ
ニック、カート、デイルの3人は
それぞれが耐えがたい上司のもとで理不尽な仕打ちを受け
うんざりする日々を送っていた
そして3人はそんな上司を葬り去れば
そんな日々から解放されると考えるようになる
彼らは怪しい男の助言のもと上司を殺害する計画をたてるが
いざ実行に移すとその作戦は穴だらけだった

 

感想
笑えるっちゃ笑えるけど
基本、下品な笑いが最初から最後まで続くだけ
なので、段々と飽きてくる
復讐劇としてもいまいち面白みがなく
最後もあまりすっきりしませんでした

 

前から笑えるコメディーというのを耳にしていて
興味が湧いたので観てみました


確かに笑える映画ではありましたが
僕のツボにはあまりハマりませんでした

つまらないわけではないんですけどね…
かと言ってすごく面白いわけでもない

おバカコメディーのわりにそんなにぶっ飛んでもなかった


基本的に本作の笑いの表現は下品な下ネタが多め
あとは下品なブラックジョーク

いかにもアメリカのおバカコメディーって感じで
そんなに悪くはないと思うんですけど
個人的にはこんな下ネタばかりの一発ギャグ
みたいな笑いはあまり好みじゃない

これは下ネタに不快感を感じてるわけではなくて
むしろ下ネタは好きなくらいですが

最初から最後まで下ネタ任せで
ただ下品なことを言ってるだけで笑わそうとしてる笑いは
ちょっとレベルが低いなって感じてしまいます


本作の設定はとても面白くて
どうしようもない上司をから解放されたいから
計画を立てて殺そうとするって話で

その設定を生かしていろいろと笑いを生み出せそうな気がするんですが

あまり設定を生かした仕掛けとかは無くて
ただ主人公たちが無計画にバカなことをやって
それを滑稽に見せるだけの内容

綿密に計画を立てるけどしょうもないことをきっかけに崩れていく
みたいな展開になるわけでもなく

最初から計画なんて適当で
逆によくこれで殺人を実行しようと思えるな
ってレベルの稚拙な殺人計画

コメディーだからって全部が全部バカなことをやる必要なんてなくて
締めるところはしっかり締めれば
メリハリが生まれて
そのギャップで笑いも生まれると思うんですよ

 

他にも
モンスターな上司をテーマにしてるんだから
パワハラあるあるとかセクハラあるあるでも
笑いを作れたと思う

こんな奴いるよなとか
こんな仕打ちされたことあるわとか
共感から笑わせることもできると思います

でも、本作の場合は
この上司たちが常軌を逸してるんですよ
こんな奴いねーよってくらいのヤバい人たち

まあ、これはこれでぶっ飛んでて面白いですけど
ただめちゃくちゃな言動を繰り返すだけだから
やっぱり徐々に飽きてくる
最初のインパクトの強さだけで終わってます


全体的に笑いのバリエーションが少なかった気がします
アメリカらしい下品な言葉の応酬がメインで
あとは下ネタ

こういうのが好きな人は好きかもしれないけど
日本人の笑いの感覚にはちょっと合ってないように思う

妄想でビルの上から上司を投げ飛ばすシーンや
アレルギーで危険な状態の上司を注射で助けようとするのを
刺し殺しているのと勘違いするシーンとかは
普通に笑える面白いシーンでしたけど
こういうのは圧倒的に少ないんですよね

 

それに下品なおバカコメディーのわりには
バカをやり過ぎてない感じもしました
突き抜けてないと言うか…
これが一番笑えなかった要因かも

くだらなくてしょうもないことでも
めちゃくちゃやってくれたら笑えると思うんですよ

アホ過ぎるコメディーって例え笑いのレベルが低くても
爆笑してしまう作品なんていくらでもある

ただ、本作はちょっと中途半端
真面目におバカコメディーをやってる気がする

どこか真面目な部分が残っていて
頭のネジが外れてない

上司たちがみんなぶっ飛んでていいキャラしてるんだから
それを生かしてもっとめちゃくちゃやってくれてもいいのに

主人公たちも中途半端にアホなんじゃなくて
イカれてるくらいがよかった

頭おかしい上司と頭おかしい部下の全面戦争
くらいのことをやってくれた方がバカバカしくて爆笑できたかも

 

あと、コメディー部分を抜きにしても
あまり面白い内容じゃない

上司を殺そうとするクライム映画や復讐劇として見てみてもちょっと弱い内容です


まず、主人公たちが全然ちゃんと計画を立てない

計画を立ててるようで行き当たりばったりで
行動してるだけです

だからあまりハラハラドキドキしないんですよ

クライム映画って綿密に計画を立てても
それが上手くいくかいかないかのギリギリの感じが面白いのに

本作ははなから計画なんてまともになくて
思い付きで行動してるだけだから緊張感なんて全く無い
交換殺人をやろうとしてるのに3人でずっと行動してるのはアホすぎるし

こんな殺人なんて上手くいくわけなくて
そこで予想外のハプニングが起きました
ってなっても
ハプニングが起きなくても失敗するだろ
と思うだけ

バレないように人を殺そうとするストーリーなのに
スリルが全然無いんですよね
普通につまらない

 

復讐劇にしても
主人公たちが何かを成し遂げたわけでもなく
計画もまともに立てず
最終的にはなんか運だけで解決してしまうから
カタルシスも全くなくて気持ちよくない

上司たちも結局は自分で破滅していってるだけで
そこもちょっとモヤモヤする

この計画を経て主人公たちが成長してる感じもないですしね
テキトーにやってたら上手くいって平凡な日常を取り戻しました
で終わってしまいますから


それと主人公3人が薄い
上司のケヴィン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、コリン・ファレルの3人が
あまりにも存在感が強すぎて主役を食ってました
この3人が主役の映画が観たいくらい

 

おバカコメディーならもっとめちゃくちゃやってほしかった
もっと笑いのパターンに種類があれば
最後まで飽きなかったようにも思います
設定や上司のキャラが面白いだけに
そこを生かせば爆笑もできたかも

なんか中途半端なコメディーでした

 


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映画「アップグレード」感想 SFらしいSFでとても楽しめた アクションが面白い

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どうもきいつです


SF映画「アップグレード」観ました

体内に埋め込んだAIチップにより全身麻痺を克服した男が
妻を殺した組織に復讐する姿を描いた2018年のSFアクション映画

「パラノーマル・アクティビティ」のジェイソン・ブラムが製作を務め
監督は「インシディアス」シリーズに携わってきたリー・ワネルです

 

あらすじ
妻のアシャと平凡な生活を送っていたグレイは
突如現れた謎の組織に襲われ
妻は殺されてしまい、グレイは一命は取り留めるが
全身麻痺で動けなくなってしまった
しかし、ある科学者によって実験的に埋め込まれたAIチップ“STEM”の力で麻痺を克服する
そして、妻を殺した組織に復讐するために動き出すが
彼の脳内に謎の声が聞こえてくる

 

感想
シンプルでわかりやすいSFだけど
見所がたくさんあって面白かった
二転三転するストーリーには引き込まれるし
独特なアクションシーンも新鮮で楽しめました
あの感じのラストも好き

 

どんな映画なのかよく知りませんでしたが
アマプラで配信されているのを見つけ
少し気になったので観てみました


普通に楽しめるSF映画でした

SFにありがちなAIをテーマにした作品ではあるものの
AIの使い方がなかなか面白い

SFサスペンスとしても先の展開があまり読めず
最後までワクワクさせられましたし
アクションも少し独特で面白いアクションシーンになっていました


この映画は
たぶんお金はさほどかけられてないであろうB級映画って感じですが

そんなの気にならないくらい面白い

世界観も低予算だからか
派手でぶっ飛んだ未来都市を舞台にしてるわけではなく
現代の世界とそんなに変わらないような近未来で
SFとしては地味でインパクトは弱め

だからこそか
どこか現実的であったり
ダークでディストピアな空気感も生まれて
魅力のある世界観になっていると思います

 

そして、ストーリーが面白いですね

大まかな流れは
主人公が亡き妻の復讐に燃え事件の黒幕に迫っていくという
王道のサスペンスストーリーで
そんなに新鮮さはありませんけども

そこに追加されてくるSF要素の設定が面白い

全身麻痺で動けない主人公が
AIチップの力により体の動きを取り戻し
さらに超人的な身体能力を手に入れるという
アメコミヒーローみたいな設定

しかも、その埋め込んだAIが主人公に語りかけてくるという「ヴェノム」みたいな展開です

グレイとAIステムが協力しながら
困難を乗り越え真実に迫っていくという
バディムービーでもある


この2人の会話のやり取りがとても面白くて
笑えたりもします

人間的で人が傷つくのも見たくないグレイと
機械的に非情に行動して人も殺しちゃうステムとの
対比もストーリー展開に生きてきたり

そして、結果的にいいコンビになってくる

だからこそラストもすごく良い終わりかた
あんな終わりかたはすごく好き
こういうのSFらしいですよね

「ヴェノム」に似た設定だけど
こっちの方がダークで個人的には好き

 

なによりテンポがいいのも良かった

そもそも100分程度と短めの映画ですが
その短い時間でサクサクとスピーディーに進んでいくから
すごく楽しいです

次らか次へと物語が展開していって
終始ワクワクさせられます

冷静に考えてみれば
なんでAIで全身麻痺が治るんだよとか
身体能力が上がるんだよ
みたいなツッコミどころも多いですけど

スピード感があるから
そんな細かいことは気にならずに
映画の世界に没頭できます

てか、細かいことを気にする前に
次の展開に移っていくんですよね

先の展開もそこまで想定外なことは起きないですけど
予測する前に話が進むから驚かされたりもしました

いい意味で雑な部分を誤魔化せてる映画ですよね

シンプルなストーリーだからこそ
このスピード感でも描写不足になってないし
ちょうどいい

 

その上、この映画はバイオレンスアクション映画としても
とても面白かった
こんなタイプのアクション映画は最高に好きです

なかなか痛々しいシーンやグロいシーンも多く
刺激的なアクションで
ちょっとダークな世界観にとても合っています

それにステムの非情さを表すにも
このバイオレンスな描写は相性がとてもいい

その上、アクションもテンポがいいから
観ていて気持ちいいですしね
気分をハイにしてくれるアクションです


そして、本作独特のアクションも面白い

グレンがステムに体の機能を全てを委ね
超人的な力を発揮して戦う
という面白いアクションがあります

ここではロボットダンスみたいなカクカクした動きで敵を圧倒していく
こんな変な動きでめっちゃ強いのはなんか斬新だし
AIに身を委ねているという表現としてもわかりやすい

操作されてる感じがめっちゃ出ていて
どこかコミカルで笑えたりもするんですよね
とてもユーモラスなアクションだと思います

その時のカメラワークも独特で
グレンの体に視点を固定して回りの風景が動くという映像

これも機械的な動きの表現になってますし
単純に映像としても面白いです


ストーリー、アクションともに面白くて
最後まで全然飽きずに観ることができました

 

全体的にいろんなSF要素を詰め込んだ内容でとても楽しめました
低予算で地味な映画ではありますけども
それをカバーするほどアイデアや工夫が面白い

AIをテーマにしたダークなストーリーと
最後のオチも素晴らしいです

SF好きなら最高に楽しめる映画だと思います

 


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映画「キングダム」感想 実写としては上手くできてるんじゃない? でも、それだけ

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どうもきいつです


アクション映画「キングダム」観ました

中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久による漫画を
実写映画化した作品
大将軍を夢見る青年と中華統一をもくろむ若い王の運命が描かれるアクション大作です

監督を務めるのは「アイアムアヒーロー」「いぬやしき」などの佐藤信介
山崎賢人、吉沢亮、橋本環奈、長澤まさみなど
豪華なキャストが顔を揃えています

 

あらすじ
紀元前254年中華西方の秦
戦争孤児の少年の信と漂は大将軍を夢見て
日々、剣術の鍛練に励んでいた
ある日、漂が王都大臣に召し上げられ2人は別々の道を歩むことになる
その後、信の前に致命傷を負った漂が現れたことをきっかけに
信は戦いの中に身を投じていく

 

感想
漫画の実写化としては上手くいっていたんじゃないでしょうか?
でも、それ以上のものはない
つまらないとは思わなかったけど
特別面白いわけでもない
いろんな意味で薄っぺらい映画でした

 

原作を読んでいませんし
公開当時は完全にスルーしてたんですけど
評判がいいしテレビで放送されていたので
観てみました


絶賛してる人とかもいたりするので
それなりに期待して観てみましたが
個人的には微妙…

つまらなかったわけじゃないけど
別に面白くもなかった
よくあるお金をかけた邦画って感じでしたね

とは言え、漫画の実写映画としては成功じゃないですか
興業収入はすごく良かったみたいだし
批判的な声も少ないみたいだし
続編も決まってるらしいですし

実際に観てみても
無理やり漫画を実写にした感じはしなくて
一つの映画として観ることができると思います

原作を知らない僕でも全然理解して観れました


漫画実写の感想でよく見かける
「原作を知らなくても楽しめました」
みたいなのがありますが

本作もそんな感想をよく見る

ただ、一つ言いたいのは
それ普通ですからね

そもそも、原作知らなければ楽しめない実写映画なんてスタート地点にすらいないんですから

そこを誉めている時点で
ちょっと邦画はレベル低いんじゃないの?
と思ってしまう


そして、本作はスタート地点には立ってるけど
走ってないですよね

漫画を実写にしただけの映画で終わってます

原作を読んでない僕が観ても
原作のダイジェストを見せられてるような気持ちになる

原作の大まかなストーリーの流れや
キャラクター、エピソードなどをなぞってるだけ
なんじゃないですかね

中身が全然無くて薄っぺらく感じるんですよ

登場人物たちの名言っぽい台詞とかは
ただ臭いだけにしか聞こえないし
感動的なシーンや熱い友情のシーンなんかも
なんか嘘臭い

この映画を観て感じるのは
こんなストーリーの漫画がありますよ
ってことだけなんです

原作漫画のPVみたいですね


なんでこんなに薄っぺらいのか考えてみると

全体的に駆け足で物語が進んでいくからだと思います

長編漫画の実写化でありがちな
無理やり2時間くらいにまとめましたって感じ

とにかく原作のストーリーを消化するためだけに
物語を進めているんでしょう

そのせいで登場人物たちの描写が薄すぎるから
なんでこいつらこんなに頑張ってるんだよ?
って冷めた目で見てしまっています

行動原理が全然理解できないんですよ

例えば信とエイ政の関係性が深まっていく描写なんてほとんど無いのに
最終的に絆が深まってる感じになってたりする

観ている側からすれば唐突で全然ついていけない
そもそも2人が協力していることすらいまいち納得できてませんし


橋本環奈が演じていた奴とか
最後まで2人についてくるけど
なぜそんな危険な場所にまでついてくるのか謎
行動原理が不明です
理由なんて無いのについてくる

しかも、別に役に立つわけでもなく
わざわざ戦場にまで赴いて足手まといで邪魔だし
ストーリー上で重要な役割も担っていない

てか、アイツをずっと連れてること自体が理解できないですよ
邪魔なだけじゃん

原作では重要なキャラなのかもしれないけど
この映画を観る限りじゃ
こんな奴いたところで無駄な要素でしかない


それにこの映画は登場人物が全然印象に残らないですね
みんな存在感が薄い

これもやっぱり薄っぺらいからだと思います


主人公の信も熱血で猪突猛進なキャラってのはわかりますけど
中身が空っぽです

信が夢を叶えるために行動してたり
仲間のために戦ってたりはするけど
それってストーリーがそうだからって理由だけで
このキャラ自体には全然深さがありません

ぶちギレたりするシーンもありますが
ただでかい声を出しているだけで
なんか心を感じれない


エイ政も同じで
生きた人間が考えて行動しているというより
ストーリー上都合よくいくように動かされてるって感じ

言葉では色々と語ってるけど
根本的な行動原理は伝わってこない


メインの2人がこれですからね…
そりゃ作品自体の魅力も削がれます

これを演じる山崎賢人や吉沢亮は
別に演技は下手だと思いませんけど
オールマイティすぎるんじゃないですかね

いろんな役柄をそつなくこなせるけど
与えられたもの以上は発揮しないタイプなのかも

だから空っぽな役を演じてしまうと空っぽなままなのかもしれないです


他のキャラも魅力が全然なくて
印象が薄いキャラばかり

橋本環奈はもちろん薄いし
あまり知らない役者が演じてるキャラは
ことごとく記憶から消えていく

長澤まさみは結構絶賛されてたりするけど
それは長澤まさみが魅力的だからってだけ

大沢たかおは喋り方が変だから記憶に残ってるだけ

敵もみんな魅力が無かったですね
本郷奏多も結局は役者として能力が高いから印象に残ってるだけですし

この映画は本当に名前が覚えれないですから
単純に中国名だからってだけでもないですよ
キャラにインパクトがないから名前も入ってこない

 

そして、この映画で目玉とも言えるアクションシーン
これも微妙でしたね

派手なことをしようとしてるのはわかるけど
なんかつまらないアクション

基本的にワイヤーアクションを多用して
CGなんかも使いながら派手に見せてます
みんな超人的なあり得ない動きをしてる

いかにも漫画を映像化しましたってアクションが多いです

別にそんなぶっ飛んだアクションも悪くないけど
本作の場合はショボく見えますよね

ハリウッドの真似ごとみたいなアクションばかり
しかも一昔前の感じ
本場に比べるとやっぱりショボすぎる


それに結局戦ってるだけで
工夫したアクションとかも全然ないです

はじめはちょっと派手なアクションでカッコよく見えるけど
淡々としたアクションの連続なので
早い段階でアクションに飽きます

終盤なんてただの乱戦がひたすら続くだけで
本当につまらない


こんなことなら
ワイヤーアクションなんて少なくして
漫画っぽくないリアルな殺陣を見せてほしかった
そっちの方が絶対に面白くなったと思います

てか、ストーリー的にも世界観的にも
リアルなアクションの方がこの映画には合ってると思う

なんでもかんでも原作漫画に忠実にするより
実写にするならどう表現するのかを
もう少し考えてほしいですよね

実際に存在した時代を舞台にしている作品なんだから
現実的な泥臭いアクションを見せてくれた方が
戦争の痛々しさも伝わると思うし

何よりそんなアクションが邦画向きだと思う

中途半端にハリウッドっぽいあり得ない動きの派手なアクションをやるなら
どうせお金もかけれないんだから
逆に低予算でできる普通のアクションを
工夫を凝らして面白く見せてくれた方が全然いいですよ

だってCGとか超微妙でしたし
巨人みたいな敵なんてCGってまるわかりだし

あれも変に忠実に再現するより
現実的にでかい人をキャスティングするとか
特殊メイクで表現するとかでいいでしょ

日本の漫画実写はこういうところだけ
クソ真面目に忠実に再現したりしますよね


原作漫画はどうであれ
この映画に関しては絶対にリアルなアクションのほうが
臨場感が生まれてアクションシーンが盛り上がったと思います


あと、戦闘中にみんな棒立ちでベラベラ喋る
演説合戦みたいなのはそろそろ辞めてほしい
アクションのテンポは悪くなるし
なによりチープ過ぎますよ

セリフの内容も臭いだけで薄っぺらいし

邦画はいつまでこんなことやってるんですかね

 

絶賛する声が多い作品ですけど
僕はかなり微妙な映画だと思いました

漫画実写としては悪くない出来かもしれないけど
映画としてはやっぱりチープでそんなに出来はよくない

原作は面白そうだなと思えたので
原作漫画のプロモーションとしては良かったのかもしれませんね

 


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映画「田園に死す」感想 よくわからんけど独特な世界に引き込まれる

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どうもきいつです


ファンタジー映画「田園に死す」観ました

歌人の寺山修司が自身の同名歌集を基に映画化した1974年の作品
自伝的な要素がある作品ですが
劇中劇が用いられたり幻想的な表現が多く見られます
先行して刊行された歌歌集の短歌が映画の中でも朗読されます

監督、脚本を務めるのも寺山修司です

 

あらすじ
青森県の恐山の麓の寒村で
父親を亡くした少年が母親と2人で暮らしていた
母親との生活に嫌気がさしていた少年は
ある日、村にやって来たサーカス団から遠い町の話を聞かされる
そして、隣家の憧れの女性から
一緒に村を出ようと持ちかけられ村を出ることを決意する

 

感想
支離滅裂でよくわからない映画
一体どういうことだよ?
と疑問の連続で訳がわからなくなってきます
でも、独創的な世界観はとても魅力的で
映画の中に引き込まれました
最後まで見入ってしまう映画です


以前おすすめしてもらったんですが観れておらず
たまたまアマプラで配信されているのを見つけて観てみました


とにかく掴み所のない映画でしたね
ストーリーがよくわからないし
映像はシュールで奇抜

しかも、すごく哲学的なものも感じる映画で
ちょっと難しくもあります

だから、観終えた後はとてもモヤモヤしてしまいます
なんかよくわからないんですよね
意味不明です

独特すぎる
クセが強すぎる映画


どう感想を書けばいいのか…
そもそも、この映画を説明することすら難しいかも

意味深な演出や映像の描写がとても多くて
それらに意味が込められてるように思えるんですけど
それが一体何を意味しているのか…

とても難解


ストーリーに関しても支離滅裂で
どこを目指している物語なのかが一向に見えてきません

終着点はどこなのか?
どうなれば終わりなのか?
映画を観進めて終盤に差し掛かってもそこが見えてこない


結局この映画、意味不明なんですよ
何がしたいのか
何を伝えたいのかが謎

面白いか面白くないかで言えば
確実に面白くない映画だと思います


でも、すごく魅力的な映画なんですよね
意味不明だけど見入ってしまう
飽きずに最後まで観れるんですよ

この独創的な世界観は唯一無二だと思う
この世界はこの映画でしか観ることができないんじゃないでしょうか


そして、散々意味不明と言ってきましたが
この映画には確実に意味は込められています
難解だけど作者の哲学が溢れている

と言うか、この映画自体が寺山修司の頭の中を映像化した作品なのかもしれない

抽象絵画のように支離滅裂で掴み所のない作品ですけど
伝わってくる何かは感じることができます

この映画は狙っていろんな奇抜なことをしていると言うより
作者の感覚だけで作られてるのかもしれないですね
頭に浮かんだものを映像として残しているような

だから、夢のような妄想のような
何が現実で何が空想か
未来や過去の境界線も曖昧で
真実と虚構もごちゃ混ぜになっている

でも、そんなカオスでめちゃくちゃな世界の中に
寺山修司の哲学や思想がしっかりとあって
彼の作家、芸術家としての葛藤やこだわりなどが
これでもかとこちら側にぶつけてきてるような作品

特に印象的なのは
作品として自分の過去を美化することに思い悩む
という主人公の葛藤

この作品の中でも一番重要な要素だと思いますが

で、映画の中でその答えが見つかるのかというと
全くそんなことはなく
結局、最後まで答えは見つかりません

てか、答えなんて無いようなことで
作者自身もそれがわからないから
映画としてこれを表現したのだと思う

表現することで、その問いに向き合うことができて
答えが見つからなくとも
何か真実に近づけるのだと思います


そして、この映画を観た人たちは
その難解な問いかけに
それぞれが考え、それぞれが何かしらを見つけることができるんじゃないでしょうか

明確な答えは存在しないけど
考えることに意味があるんだと思います

考えることの先にあるのが芸術として作品を遺すことで
この映画はその形の一つだと思う

 

そして、哲学的で難解なだけでなく
やっぱりこの映画の魅力は溢れ出るセンスだと思います

ただ頭の中を映像化するだけなら誰でもできて
全然魅力なんて生み出せないと思うけど
本作は唯一無二の発想力の作品です

これは面白い映画を撮ろうとする人にはできないですよ
面白さなんてはなから考えず
とにかく表現することを重視しています

そして、その映像センスが本当に素晴らしい
世界観の作り方や色彩、造形など
映像の見せ方や演出も
全てが斜め上の方向

自分では全く想像できないようなものが
次から次へと見せつけられる

何より、あえて奇抜なことをやってやろう
というのが全く感じられない
ナチュラルにこれをやってると思うんですよね

寺山修司はヤバい人なんでしょうね


それに、奇抜なだけでなく
なんかカッコいいシーンも多いんですよ

劇中劇が終わって現実に移ったセピアな色調の映像で
タバコを吸いながら主人公と評論家が会話するシーンとかすごくカッコいい映像です

終盤の過去の自分と将棋を打つシーンは
すごくカオスで意味不明だけど
魅力しかないすごい映像


ラストシーンなんてカッコ良すぎる
よくあんなラストできますよね

普通なら怖くてあんなことできない
それをやってしまうのが本当にクール
あのラストシーンは脳裏に焼き付いて一生忘れないと思います

 

他にも音楽も独特で美しく
そして少し不気味
この世界観とマッチしていて
より映画に引き込ませてくれました


アングラなものなんかも描かれていますし
かなりダークで少しホラーな雰囲気も醸し出していたり
ドロドロとした人間関係が描かれ
気持ち悪さもあったりします

でも、この作品からは純粋さを感じることもできたりして

本当になんなんでしょうか
掴み所が全然ないのに
ビシビシと熱い何かは伝わってくる映画です

 

かなり昔の映画なのに斬新でとても刺激的
支離滅裂なのになぜか引き込まれてしまう
謎の魅力満載の映画でした

こんな映画は唯一無二ではないでしょうか

意味不明でつまらないと思う人もいるかもしれないけど
絶対に観て損はない映画だと思います

 


田園に死す [HDニューマスター版] [DVD]

 

 

映画「キュア ~禁断の隔離病棟~」感想 期待を膨らますだけ膨らませといてオチが弱い

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どうもきいつです


サスペンス映画「キュア ~禁断の隔離病棟~」観ました

秘密を抱える療養所に足を踏み入れた青年に襲いかかる恐怖と
その療養所の真実に迫る姿を描いた2016年のサスペンススリラー

監督は「ザ・リング」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどのゴア・ヴァービンスキー
「クロニクル」などのデイン・デハーンが主演を務めています

 


あらすじ
ウォールストリートの金融会社で働く
野心家でエリートのロックハートは
社長のペンブロークがスイスの療養所に行ったきり
帰ってこないため迎えにいくように命じられる
現地に到着した彼は面会を求めるが面会時間が過ぎていたため断られ
仕方なくホテルへ戻ることにしたが道中事故にあってしまい目覚めると療養所のベッドにいた
そこで治療を受けることとなったロックハートは
様々な恐怖に見舞われ療養所の真実を知っていく

 

感想
謎が謎を呼ぶ展開に映画の中に引き込まれていきました
この映画の結末に期待を煽られ
ワクワクして気持ちが盛り上がります
でも、その期待は裏切られ
結局どういうことだよ!?
ってツッコミどころが多すぎる
全然すっきりしないラストでした

 

Netflixで見かけて
前から気にはなっていたけどなかなか見れていなかった作品
主演のデイン・デハーンが好きというのもあって
観てみました


ほぼ知識がなくホラーなのかサスペンスなのか
それすらよくわからない状態で観ましたが
それなりに楽しめる映画だったと思います

日本では劇場公開されていない作品らしいですけど
なんとなくその理由はわかったかも…

この映画はとても面白いってわけではなく
つまらなくはないけどインパクトが弱いって感じの映画
なんかどこかで見たことあるような既視感もあります
そして、何よりオチが微妙

世界観や雰囲気は独特で魅力があって
いろんな謎や伏線がちりばめられているので
とても引き込まれる映画なんですけど

終盤の展開で全て台無しだと思うんですよね
そう思うともったいない映画です


まず、序盤から中盤にかけてはすごく面白いんですよ

一体この場所は何なのか?
療養所の所長や謎の少女ハンナの正体は?
何が現実で何が妄想なのか?

謎だらけの物語に好奇心が掻き立てられます
さらに謎が謎を呼ぶ展開にますます映画に引き込まれていく

物語の真相や結末が気になってしょうがない
色々と伏線が用意されているので
それが最終的にはどう繋がるのか
期待でめっちゃワクワクさせられる

サスペンス映画としてすごく気持ちが煽られていくんです


しかし、最後まで観るとその期待を裏切られる…
今までのは何だったんだよ
って感じです

この映画
気持ちを煽るだけ煽って
後は放ったらかしなんですよね

最後には全て解決して伏線を回収した感じに仕上げてるんですけど
全然納得できないラスト

これはどういうこと?
なんで?
みたいなことのオンパレードです

色々と引っ掛かることが多い中で
僕が特に引っ掛かったのが

現実か妄想かわからない曖昧な描写
最終的にこれの答えがよくわからない

こんなタイプの作品はよくあって
特に本作は「シャッター・アイランド」にとても似ています

主人公が病気で妄言を吐いているのか
実は主人公の言っていることが事実なのか
それが映画を観ている側も曖昧でわからなくなってくるような作風

こんな作品はラストも曖昧で観客に答えを投げ掛ける作品も多いですが


本作の場合は
最終的には主人公が正しかったってオチです

そこに至るまでに明らかに妄想のような描写があったり
幻覚のような表現があったりします

そして、結局それらはなんだったのかの説明がない

あの場所の水を飲んでたから幻覚を見たのか?
じゃあ、あの水は一体どんな効果があるのか?
人体にどんな影響を及ぼすのか?

そんな細かいことの描写や説明がないから
最後に解決してる風に見せられても
全然納得できないんですよ

ロックハートがおかしくなってしまうということに
理屈が通ってないんですよね

現実と妄想を曖昧に描くのはいいけど
それはただ観客を混乱させるためだけに
ぶち込んだだけの要素にしか感じることができませんでした

「シャッター・アイランド」は曖昧なラストですけど
そのラストには納得させられますよ


他にも
なんでウナギ?って疑問はぬぐえないですね
結局、水がすごいのかウナギがすごいのか
そこがよくわからんし

人の体にウナギを入れ込んで不老長寿の薬を抽出してる描写があったけど
水の効力がすごいからウナギが何百年も長生きしてるとかも言ってたし

ウナギがピラニアみたいに人間を襲ったりもしてるし
でもハンナはなぜか襲われてないし

牛の体の中に寄生してたり

で、あのウナギはなんなんだよ

ウナギの設定がブレ過ぎなんですよね
ウナギがいろんなことに多用され過ぎてて
つじつまが合わなくて意味がわからなくなってくる

映像的に面白さがあったりはするけども
ウナギに関しては本当に納得できないことが多いです

 

そして、所長とハンナの正体ですが
ラストのすごくいい場面でこれでもかと
この真実が明かされます

溜めて溜めてのこの展開

でも、なんとなく正体わかってたし…
すごく弱いオチ…

伏線やヒントがわかりやすく散りばめられているおかげで
中盤辺りでなんとなく真相がわかってきます

そこからもう一捻りくらい展開があるのかと思いましたが
想像どおりのことが明かされるだけで拍子抜け

しかも、そこまではサスペンス重視で煽っていたのに
最後は安易な敵とのバトル展開になるのも
正直ちょっと萎えました

ロックハートとハンナが自転車でどこかに消えていくラストシーンもよくわからん

このラストシーンで気付かされたけど
人間ドラマが薄かったんですね

ロックハートとハンナの関係性や交流をほとんど描いていないから
このラストが意味のわからないことに
なってしまってるんだと思う


あと、物語とメッセージ性の噛み合いの悪さも
すごく気になってしまった

この映画のメッセージをシンプルに言えば
仕事のやりすぎは体に毒だよ
ってことだと思います

ただ、この物語の中ではそのメッセージが全然機能していない

ロックハートが仕事のやりすぎ仕事に執着しすぎるがゆえに
この悲惨な出来事に巻き込まれたのなら
それを経ての成長や教訓を感じることができると思います

でも、本作は全然そんなのは関係なく
ただ、たまたまロックハートがその療養所にいくことになったから巻き込まれてるだけ

父親が仕事が原因で自殺したみたいな
仕事のことを臭わすような描写を入れ込んできても
それとこれとは別問題

この一連の出来事をロックハートが乗り越えたところで
仕事に対する気持ちの変化を表すエピソードは本筋と関係ないから
なんか変な感じになってしまってる

仕事により得た富や名声にこだわる人間だから
ウナギを体に入れて不老長寿の薬を抽出されても
幸せを感じることができるとか謎理論を展開したり

ラストのロックハートが会社の人間を振り切り
俺は自由だー
みたいなのも全然よくわからなかったり

無理やりメッセージを入れ込んでるようで
無駄にややこしくしてしまい意味不明になってる

 

それに、この映画長すぎる
2時間半くらいあります

別に長いのが悪いとは言いませんけど
この映画の場合はそんな長い尺が必要あるのか?

結構、同じような展開を繰り返してたりするし

ロックハートが諦めてしまうけど復活する
みたいなのが2回くらいありましたよ

長くて退屈だったわけではないですが
この長さは無駄な気がします


本当に「シャッター・アイランド」の劣化版みたいな映画だったかもしれませんね

デイン・デハーンがディカプリオに似てるから
余計に「シャッター・アイランド」が頭をよぎるし

やってることはかなり似てるけど
中身のクオリティの違いはは一目瞭然です


終盤になるまではとても引き込まれる魅力満載の映画ですが
終盤が悪すぎる
緻密に作られた作品と思ったら
実はすごく大雑把で適当な映画でした

この設定なら絶対にもっと面白くできたはず
もったいないですね

 


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