何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「キュア ~禁断の隔離病棟~」感想 期待を膨らますだけ膨らませといてオチが弱い

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どうもきいつです


サスペンス映画「キュア ~禁断の隔離病棟~」観ました

秘密を抱える療養所に足を踏み入れた青年に襲いかかる恐怖と
その療養所の真実に迫る姿を描いた2016年のサスペンススリラー

監督は「ザ・リング」「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどのゴア・ヴァービンスキー
「クロニクル」などのデイン・デハーンが主演を務めています

 


あらすじ
ウォールストリートの金融会社で働く
野心家でエリートのロックハートは
社長のペンブロークがスイスの療養所に行ったきり
帰ってこないため迎えにいくように命じられる
現地に到着した彼は面会を求めるが面会時間が過ぎていたため断られ
仕方なくホテルへ戻ることにしたが道中事故にあってしまい目覚めると療養所のベッドにいた
そこで治療を受けることとなったロックハートは
様々な恐怖に見舞われ療養所の真実を知っていく

 

感想
謎が謎を呼ぶ展開に映画の中に引き込まれていきました
この映画の結末に期待を煽られ
ワクワクして気持ちが盛り上がります
でも、その期待は裏切られ
結局どういうことだよ!?
ってツッコミどころが多すぎる
全然すっきりしないラストでした

 

Netflixで見かけて
前から気にはなっていたけどなかなか見れていなかった作品
主演のデイン・デハーンが好きというのもあって
観てみました


ほぼ知識がなくホラーなのかサスペンスなのか
それすらよくわからない状態で観ましたが
それなりに楽しめる映画だったと思います

日本では劇場公開されていない作品らしいですけど
なんとなくその理由はわかったかも…

この映画はとても面白いってわけではなく
つまらなくはないけどインパクトが弱いって感じの映画
なんかどこかで見たことあるような既視感もあります
そして、何よりオチが微妙

世界観や雰囲気は独特で魅力があって
いろんな謎や伏線がちりばめられているので
とても引き込まれる映画なんですけど

終盤の展開で全て台無しだと思うんですよね
そう思うともったいない映画です


まず、序盤から中盤にかけてはすごく面白いんですよ

一体この場所は何なのか?
療養所の所長や謎の少女ハンナの正体は?
何が現実で何が妄想なのか?

謎だらけの物語に好奇心が掻き立てられます
さらに謎が謎を呼ぶ展開にますます映画に引き込まれていく

物語の真相や結末が気になってしょうがない
色々と伏線が用意されているので
それが最終的にはどう繋がるのか
期待でめっちゃワクワクさせられる

サスペンス映画としてすごく気持ちが煽られていくんです


しかし、最後まで観るとその期待を裏切られる…
今までのは何だったんだよ
って感じです

この映画
気持ちを煽るだけ煽って
後は放ったらかしなんですよね

最後には全て解決して伏線を回収した感じに仕上げてるんですけど
全然納得できないラスト

これはどういうこと?
なんで?
みたいなことのオンパレードです

色々と引っ掛かることが多い中で
僕が特に引っ掛かったのが

現実か妄想かわからない曖昧な描写
最終的にこれの答えがよくわからない

こんなタイプの作品はよくあって
特に本作は「シャッター・アイランド」にとても似ています

主人公が病気で妄言を吐いているのか
実は主人公の言っていることが事実なのか
それが映画を観ている側も曖昧でわからなくなってくるような作風

こんな作品はラストも曖昧で観客に答えを投げ掛ける作品も多いですが


本作の場合は
最終的には主人公が正しかったってオチです

そこに至るまでに明らかに妄想のような描写があったり
幻覚のような表現があったりします

そして、結局それらはなんだったのかの説明がない

あの場所の水を飲んでたから幻覚を見たのか?
じゃあ、あの水は一体どんな効果があるのか?
人体にどんな影響を及ぼすのか?

そんな細かいことの描写や説明がないから
最後に解決してる風に見せられても
全然納得できないんですよ

ロックハートがおかしくなってしまうということに
理屈が通ってないんですよね

現実と妄想を曖昧に描くのはいいけど
それはただ観客を混乱させるためだけに
ぶち込んだだけの要素にしか感じることができませんでした

「シャッター・アイランド」は曖昧なラストですけど
そのラストには納得させられますよ


他にも
なんでウナギ?って疑問はぬぐえないですね
結局、水がすごいのかウナギがすごいのか
そこがよくわからんし

人の体にウナギを入れ込んで不老長寿の薬を抽出してる描写があったけど
水の効力がすごいからウナギが何百年も長生きしてるとかも言ってたし

ウナギがピラニアみたいに人間を襲ったりもしてるし
でもハンナはなぜか襲われてないし

牛の体の中に寄生してたり

で、あのウナギはなんなんだよ

ウナギの設定がブレ過ぎなんですよね
ウナギがいろんなことに多用され過ぎてて
つじつまが合わなくて意味がわからなくなってくる

映像的に面白さがあったりはするけども
ウナギに関しては本当に納得できないことが多いです

 

そして、所長とハンナの正体ですが
ラストのすごくいい場面でこれでもかと
この真実が明かされます

溜めて溜めてのこの展開

でも、なんとなく正体わかってたし…
すごく弱いオチ…

伏線やヒントがわかりやすく散りばめられているおかげで
中盤辺りでなんとなく真相がわかってきます

そこからもう一捻りくらい展開があるのかと思いましたが
想像どおりのことが明かされるだけで拍子抜け

しかも、そこまではサスペンス重視で煽っていたのに
最後は安易な敵とのバトル展開になるのも
正直ちょっと萎えました

ロックハートとハンナが自転車でどこかに消えていくラストシーンもよくわからん

このラストシーンで気付かされたけど
人間ドラマが薄かったんですね

ロックハートとハンナの関係性や交流をほとんど描いていないから
このラストが意味のわからないことに
なってしまってるんだと思う


あと、物語とメッセージ性の噛み合いの悪さも
すごく気になってしまった

この映画のメッセージをシンプルに言えば
仕事のやりすぎは体に毒だよ
ってことだと思います

ただ、この物語の中ではそのメッセージが全然機能していない

ロックハートが仕事のやりすぎ仕事に執着しすぎるがゆえに
この悲惨な出来事に巻き込まれたのなら
それを経ての成長や教訓を感じることができると思います

でも、本作は全然そんなのは関係なく
ただ、たまたまロックハートがその療養所にいくことになったから巻き込まれてるだけ

父親が仕事が原因で自殺したみたいな
仕事のことを臭わすような描写を入れ込んできても
それとこれとは別問題

この一連の出来事をロックハートが乗り越えたところで
仕事に対する気持ちの変化を表すエピソードは本筋と関係ないから
なんか変な感じになってしまってる

仕事により得た富や名声にこだわる人間だから
ウナギを体に入れて不老長寿の薬を抽出されても
幸せを感じることができるとか謎理論を展開したり

ラストのロックハートが会社の人間を振り切り
俺は自由だー
みたいなのも全然よくわからなかったり

無理やりメッセージを入れ込んでるようで
無駄にややこしくしてしまい意味不明になってる

 

それに、この映画長すぎる
2時間半くらいあります

別に長いのが悪いとは言いませんけど
この映画の場合はそんな長い尺が必要あるのか?

結構、同じような展開を繰り返してたりするし

ロックハートが諦めてしまうけど復活する
みたいなのが2回くらいありましたよ

長くて退屈だったわけではないですが
この長さは無駄な気がします


本当に「シャッター・アイランド」の劣化版みたいな映画だったかもしれませんね

デイン・デハーンがディカプリオに似てるから
余計に「シャッター・アイランド」が頭をよぎるし

やってることはかなり似てるけど
中身のクオリティの違いはは一目瞭然です


終盤になるまではとても引き込まれる魅力満載の映画ですが
終盤が悪すぎる
緻密に作られた作品と思ったら
実はすごく大雑把で適当な映画でした

この設定なら絶対にもっと面白くできたはず
もったいないですね

 


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