何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「真・鮫島事件」感想 アイデアは面白いけどそれだけかな…

f:id:kiitsu01:20201207132138p:plain

どうもきいつです


ホラー映画「真・鮫島事件」観ました

インターネット上で囁かれる都市伝説“鮫島事件”を題材に描かれたホラー映画
鮫島事件の真相に触れようとする若者たちが
呪いにより恐怖に襲われていきます

「心霊写真部 劇場版」「トモダチゲーム」などの
永江二郎が監督を務めています

 

あらすじ
菜奈は高校の友達と毎年行っている部活会に今年はリモートで参加した
仲間たちで楽しく盛り上がる中、友達の1人あゆみは不参加だった
しかし、しばらくしてあゆみの恋人が画面に映り
怒鳴り声をあげあゆみの死を知らせる
そこから仲間の3人が“鮫島事件”の真相に触れたことが発覚する

 

感想
コロナやリモート飲み会など
現代社会を舞台にした設定は面白い
この時代だから生まれた作品だと思います
でも、アイデアだけでそこから先は微妙
ワンパターンな演出や設定の粗さが目立つ映画でした

 

元ネタの鮫島事件の都市伝説に懐かしさを感じて本作を観に行ってきました

この鮫島事件の都市伝説は
ネットではとても有名

流行ったのは10年くらい前ですかね?
真相を知る人間は誰もいない
という“牛の首”と同じタイプの都市伝説

今さら?って感じもちょっとありますけど
とても気になっていた映画でした

 

本作が面白かったのかと言うと
ちょっと微妙

アイデアがよくて面白くなりそうな雰囲気を醸し出してはいますが
なんかちょっといまいちな出来でもったいなかった
アイデアだけで終わってしまってる印象でした


この映画は新型コロナウイルスが流行している
今の時代だから生まれた作品で
そこはすごく面白い発想

オンライン飲み会という舞台設定で描かれるホラーというのは興味深いです

他にもネット特有の行きすぎた正義感や
コロナになぞらえた鮫島事件の解釈など
いろいろと面白い部分はたくさんある

でも、それを生かしきれていない
と言うか
ただそんな要素を入れてるだけで
深掘りは全くされません

そこは本当に拍子抜けで
無駄に期待させられたなって感じ

オンライン飲み会に関しても
面白い設定ではあるものの
その設定があまり生きてこない

画面に映っている自分の後ろになにかいる
みたいなのはたまにあるけど
それくらいであとはさほど意味をなしてないんですよね

なんかちょっと半端なんですよね
POV風な場面もあれば普通の映画のような場面もあって
どっち付かずで無駄に見づらいだけだったりする

どうせやるなら
最後まで全部パソコン画面だけの映像で展開するとか
それくらいのことをやってほしかったです

実際にそんな映画もあるし
できないことではないでしょ
何番煎じで新鮮味は薄いかもしれないけど
まだ、今なら全然ありですよ


それと、致命的なのが
恐怖演出が稚拙すぎると思います

全体の流れややってることは王道のホラーで
それに関しては好感が持てるんですけど

それにしてもワンパターンですよね

基本的に大きい音でビビらす
というのがひたすら続きます

デカい物音やデカい声
ほとんどそれだけ
不気味な雰囲気を作って恐怖を煽る
みたいなことはあまりせず
とにかく音を連発みたいな…

これはもはや恐怖を感じていると言うよりも
大きい音にビックリしてるだけ
音量もやたらデカいし
あの音量には少し不快さも感じてしまいました

その他は
急にオバケが出てきてビックリ
みたいな演出が多用されてたり

パソコン映像の乱れとかもくどいほど何回もやるしただ見づらいだけでした

とにかく、同じことの繰り返しで飽きてきますよね
怖がらしたり楽しませたりする工夫が全然されてないんですよ

同じアジア圏のホラー映画なら
韓国の「コンジアム」や台湾の「呪われの橋」など最近観ましたけども
これらも面白いアイデアと王道ホラー
そして低予算という
本作とタイプが似てるホラー映画です

でも、この2作はちゃんと楽しませようとする工夫が凝らされている
すごく怖いしすごく面白いんですよ

それに比べて本作はレベルが低いですよね
ホラーに関しても日本の映画は
同じアジア圏の映画に完全に負けていると思わされます

本作は
とりあえず怖いっぽい要素があれば怖いでしょ
みたいな志の低さを感じてしまいます

そして、1番の問題は
この映画が最近の邦画ホラーの中でも
まだましな方だということ
まじで今の邦画はヤバいなと思います…

本作はちゃんとホラー映画をやろうという気持ちは見えますからね

 

そして、この映画が稚拙なのは
ホラー演出だけではなく設定も

設定の詰めが甘いというか
ツッコミどころがかなり多い
それがノイズで余計なことを考えてしまいます

言い出したらきりがないですけど

例えば
鮫島事件という言葉を聞いたら呪われるってことですけども
じゃあ聞く前に出てきてた幽霊みたいなのは何なの?
早い段階でそこに引っかかる

呪いを解くためにいろいろやるけど
結果的にそんな方法はなくて鮫島事件の真相はわからない
ってオチなのに
お兄ちゃんが呪われるのはおかしくない?

お兄ちゃんは鮫島事件って言葉を聞いてないし
行った場所は全然関係ない場所でしょ


スマホ使えない電話使えないとか言ってたのに
次の場面ではすんなり使えてたり
鮫島事件を調べたらめっちゃ情報出てきたり

何よりも登場人物のリアクションがおかしいんですよ
なんの確証も実際の現状もまともに把握できてないのに
やたらとパニックになったり
逆に謎の確信で突き進んでいったり

映画を観てるこっちとしては
この人たちの情緒に全然ついていけない

誰々が死んだー!死にたくないー!とかわめいてるけど
実際に死んでるかわからんやん
パソコンの画面だけで判断できんでしょ

無駄にギャーギャー言ってるだけで
うるさくて恐怖感も煽られないし
滑稽なギャグ映画として観たら笑えるかも


とは言え
終盤の勢いはお化け屋敷感もあって
そこまで悪くなかったように思う

ワンパターンだけど力ずくで怖がらせようとしてたし
怖いと思わされるシーンも多々ありました


それに異世界の表現もよかったです
主人公のいる部屋にお兄ちゃんが帰って来たときはなかなか面白い
いるはずなのにいないってのは異次元感があってワクワクしました

他によかったところは…

武田玲奈の短パン姿が見れたことですかね
あれはよかったですね

それとオープニング
懐かしさもあるしとてもワクワクさせられるオープニングでした

いいとこはそれくらいかな

 

アイデアはよかったんですけど
中身がそれに伴っていなかったです
せっかくのアイデアがもったいない

もっと設定を練って
ホラー演出は工夫してほしかった

低予算でちゃんとホラーをやろうとしていたところには好感が持てましたけど
もうちょっとレベルが高いものを観たかった

 


心霊写真部劇場版 [Blu-ray]

 

 

映画「ホモ・サピエンスの涙」感想 不思議すぎる映画 これはもはや絵画

f:id:kiitsu01:20201207131217p:plain

どうもきいつです


ドラマ映画「ホモ・サピエンスの涙」観ました

年齢も性別も時代も違う人々の悲劇や喜劇が描かれるスウェーデンの作品
全33シーンをワンシーンワンカットで撮影されています

「さよなら、人類」などで知られる
スウェーデンの奇才ロイ・アンダーソンが監督を務めています

 

あらすじ
上空を浮遊し荒廃した街を眺めるカップル
この世に絶望し信仰を失った牧師
数年ぶりに再開した友人に無視される男
これから愛に出会う青年
音楽に合わせ道端で踊る若者たち
そんな様々な人たちの姿が描かれる

 

感想
作風が独特すぎて
最初はこの作品をどう受け取ればいいのか戸惑ってしまう
でも、映画ではなく絵画だと思えば
本作はすんなりと受け入れることができました
やっていることは興味深くて面白い

 

たまたま存在を知り興味が湧いたので観に行ってきました

予告映像も見ず
ほぼ前情報もなく観に行ったので
この独特な作風にはかなり驚かされた

なにこれ?って思わされる変な映画
これはもはや映画ではないのかもしれない

 

本作は賛否が別れるだろうなって映画で
この映画をどう観るのかは難しい

ストーリーは全く無くて
メッセージも伝わってこない
一体何を見せられているんだろうと思ってしまう

この映画を観ている途中に寝てしまう人もいるでしょう
途中退場する人もいると思う

映画的には決して面白い作品とは言えないです


ただ、途中から
これは映画じゃないな
と思えてくる

本作は映画として観てしまうと
何をやってるかよくわからない意味不明な作品なんですけど
これを美術館で絵画を観てると思えば
とてもしっくりきました

本作は映画鑑賞と言うより絵画鑑賞なんですよ
だから、ストーリーなんて必要ない

33の短いエピソードが淡々とオムニバスのように続きますけど
それぞれの繋がりはや細かいドラマ性なんか無くても成立する

1つ1つのエピソードが独立した作品で
個々の作品の中から感じとるものは鑑賞者に委ねられます

そんな作品なので
本作を映画的な価値観で意味を求めてしまうと
ちょっと噛み合わないと思う

エンタメ性とかストーリー性とかメッセージ性とか
そういうものを向こうからは与えてくれない
自分で見い出さなければならないんです

1本の映画の中からたった1場面を抜き取り見せられ
そこから全てを想像しなければならない
というようなものを33も見せつけられるわけです

だから、本作を受け入れられない人は本当に受け入れられないんだろうなと思う

本作はアート映画と言うよりも完全にアートで
根本的に映画とは違う何かをやってるんですよ

 

でも、見方を変えてしまえば
本作はとても興味深くて面白い

この作品の世界に引き込まれて
魅力に気付くことができると思います

この映画は絵画を意識して作られているのは間違いなくて
監督はこの映画を美術館のような作品にしたかったんだと思います

映画的にはかなり奇抜で掴み所のない作品に仕上がっているけども
本作を美術館で観る絵画だと思えば
かなり王道なことをしている

まず、それぞれのエピソードを1枚の絵画として観れば
構図、色彩、人物の動きなど
全部がとても計算し尽くされてます

特に物の配置や画面の角度は絵画的に作られていて
どの人物に注目させたいのか
このエピソードのメインはなになのか
というのが映像だけで理解できる作りになってます

セリフで説明したりカメラの動きで注目させたりは一切せずに
全く動きのないワンショットでちゃんと理解できる

やってることは完全に絵画を描くときの技法で
絵画としては普通なことをやってるんですよね


そして、本作は1人の作家の個展でもあって
1つ1つの作品から感じ取れるものもあれば
全体を通して感じ取れるものもある

全体を通して監督の作家性やテーマが一貫しているので
全体的にも1つの世界観が生まれています

本作の場合は
人間の切なさ、愚かさ、滑稽さが込められていて
ちょっと悲壮感を漂わせつつもどこか笑えたりもする

とてもネガティブな姿を描きつつも
その人間らしさに少し希望も感じさせられます

そんな本作の全体的にあるなんとなくの雰囲気を楽しむのも
美術館で絵画を観ているときの感覚と同じ

雰囲気を味わうのも本作の楽しみ方の1つだと思います


さらに、本作の上映時間は76分と少し短め

これも美術館に入って出てくるまでの時間くらいでちょうどいい
これよりも長ければ観るのがちょっとしんどくなってくると思いますし
短ければ少し物足りないと思う

そんな部分も計算されてるのかなと思わされます

 

で、やっぱり本作は映画なので
映画を観る気持ちで観てしまう
なので、戸惑ってしまう人も多くなると思います

美術館によく行く人なんかは
結構すんなりとこの映画を受け入れることができるでしょうが

普段から美術館で絵画を観ることがない人は
本作を映画としてしか見れないと思うんです

だから、1つのエピソードの中に
ストーリーやメッセージを感じ取らなければ
意味を見い出ださなければ
空白を埋めなければ
と使命感に駆られてしまう人もいるかも

絵画を観るときでも
そういう楽しみ方がありますけども
それだけではない

空白を埋めるのではなく
空白を味わうという楽しみ方もあります

本作も無理をして意味を探してストーリーやメッセージを求め
それで頭の中の空白を埋めなくても

なんとなくこの映画の雰囲気を味わう
というのも一興だと思います

頭の中を空っぽにして
神様のような視点で本作の登場人物たちを眺めるだけでも
どこか面白さを感じれる

 

あと、本作の面白さは
動くというところです

これは絵画では表現できない部分で
本作だからこその特徴

構図がとても計算されていると言いましたけど
人物の動きもかなり計算されています

動くタイミングや移動する位置など
そこまでしっかりと計算されているから
本作は動く絵画として成立しています

映画の映像としては明らかに人間の動きは不自然であり得ない
人物の配置や全く動かない人物がいたり
現実世界ではおかしいですもんね

でも、絵画として見れば
すごくバランスがよくて見映えがいいです

この動きがあるから
本作は美術作品としても面白い作風になっていて
本作だからこその唯一無二の魅力が引き出せています

 

この映画は今までに観たことのない作風で
とても楽しめました
たまにはこんな不思議な映画を観るのもいいもんです

ちょっと独特すぎて受け入れ難い映画かもしれないけど
見方を変えればとても興味深くて面白い

観て損はない映画だと思います

 


さよなら、人類 [DVD]

 

 

映画「STAND BY ME ドラえもん2」感想 エピソードがバラバラでなんかよくわからん

f:id:kiitsu01:20201205232419p:plain

どうもきいつです


アニメ映画「STAND BY ME ドラえもん2」観ました

2014年に公開された
国民的アニメ「ドラえもん」初の3DCGアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」の続編
原作漫画のエピソード「おばあちゃんのおもいで」を基に
前作の「のび太の結婚前夜」の翌日の結婚式当日が描かれます

監督は前作から引き続き八木竜一が務め
脚本と共同監督を山崎貴が担当しています

 

あらすじ
ある日、優しかったおばあちゃんがくれたぬいぐるみを見つけたのび太は
おばあちゃんに会いたいと思い立つ
ドラえもんを説得し3歳だった頃の過去に戻ったのび太は
おばあちゃんとばったり出会ってしまう
そして、のび太の将来お嫁さんを見たいという
おばあちゃんの願いを叶えるために
のび太とドラえもんは未来を目指す

 

感想
思ったよりお涙頂戴じゃなかったのは良かった
ドラえもんらしい作品ではありました
でも、全体のまとまりが悪くて
個々のエピソードが全然繋がっていない
結局なにを見せたかったんだろう…?

 

この映画は全然観る気がありませんでした
そもそも前作「STAND BY ME ドラえもん」も観ていない
でも、お誘いがあったので観に行くことに…

CMなんかを見ているだけだと
個人的にあまり好きな映画じゃないだろうなと
敬遠していました
“ドラ泣き”とか言ってるし
こんな泣くことを強要してるような宣伝好きじゃないし

ただ、実際に観てみると
そこまでお涙頂戴ではなかったです

確かに泣かそうとしているシーンはあるけども
そこまで臭い演出ではないと思う

これは完全に
感動の押し売りをする日本特有の宣伝方法による弊害ですよね…

この宣伝のせいで
この映画が気持ち悪いと思ってしまう人は
少なからずいるでしょう
僕がそうですし

もうそろそろ、こんな宣伝方法やめろよと思う…

正直言って
本作よりも「鬼滅の刃」劇場版のほうが
よっぽどお涙頂戴の臭い演出でしたよ
この映画は感動なんかよりも
子どもが楽しめる楽しい映画です

そういった点では
とてもドラえもんらしい作品

本作を酷評する感想もちらほら見かけるけど
そんなに悪い映画ではないと思います

 

まず、本作は「STAND BY ME ドラえもん」の続編でもあります
なので、前作を観ていなければ理解できないのか?
という疑問も生まれると思う

でも、その心配はあまりいりません
前作を観ていなくても全然理解できる
僕も観ていませんでしたけど普通に理解できました

本作は前回描かれた
原作で言えば「のび太の結婚前夜」のその後の物語が中心になりますけども
別に細かいところがわかってなくてもなんとなく理解できます

「STAND BY ME ドラえもん」を観てなくても
「のび太の結婚前夜」を知ってればわかるし
知らなくてもわかる
とてもシンプルな物語だと思う

ドラえもんだし
そんなに複雑な要素はそもそもないですし
「ドラえもん」とはなにか
さえわかっていれば十分


この映画の中では
家族愛、夫婦愛、友情など
そういうのがわかりやすくシンプルに表現されている映画なので
家族、友人、恋人と観に行くにはちょうどいい映画です
遊びやデートで軽く観に行けばそれなりに楽しめるはず

 

とは言え
不満が多かったのも否めない

ちょっと、全体的に子供騙しな映画かな
と思ってしまう雑な映画でもあります


本作は1つのストーリーではなくて
原作の複数のエピソードを複数混ぜ合わせたような内容で

原作の「おばあちゃんのおもいで」「ぼくの生まれた日」「45年後…」などのエピソードを
「のび太の結婚前夜」のその後という
本作オリジナルのストーリーを中心に描いています

本作オリジナルのストーリーの中に
複数の原作エピソードを詰め込むってやりかたは全然ありだと思うんですけども

この映画はそれがあまり上手くいっていませんでした

結婚が怖くなって逃げだした未来ののび太の物語と
その他のエピソードが全然噛み合ってないんですよね


全ての発端は
のび太のおばあちゃんが
のび太の将来のお嫁さんを観たいと言ったことがきっかけなんですが
これがそもそも不自然
無理やりなんですよ

のび太の結婚のエピソードに繋げるため
無理やりおばあちゃんにそんなセリフを言わせてるようにも聞こえて
かなり印象が悪い

おばあちゃんの願望というよりも
物語を無理やり繋げるための制作側の都合でしかない

まあ、ここは百歩譲って
辻褄があってるから良しとします


その後の
のび太と大人のび太が入れ替わるドタバタコメディーや
のび太の生まれた日での名前の由来のエピソードは
もう繋がってすらない

のび太入れ替わりのエピソードは
話の流れ的に普通に考えて
大人のび太が成長するエピソードでなければならない

これを経て
大人のび太が結婚への決意を固める
というのが真っ当な物語だと思うんです

でもね…
このエピソードによって大人のび太が成長しないんですよ
てか、この映画では大人のび太は成長しない

なんとなく成長した風には見せてるけど
実は何も変化していない

これがこの映画の印象をかなり悪くしている

しずかちゃんが海よりも広い心をもって
そのままののび太を受け入れ
のび太はそれに甘んじてしまうという
何じゃそれってオチ…

ここは
そんなしずかちゃんに見合う男にならなければと心を入れ替えろよ
なにしずかちゃんに甘えてんだよ
と思わされてしまう

のび太がガチのダメ男で終わってしまうのは
かなり後味が悪かったです

じゃあ、何も成長しないこのエピソードって何の意味があったの?
このエピソードがのび太の結婚を決意する要因には全くなっていない
ただイタい大人のび太の姿を見せつけられるだけ

今まで観ていたのは何だったのかと思ってしまいました


そして、のび太の名前のエピソード
これはホントに唐突過ぎて目が点になった…

序盤にのび太が
僕はこの家の子供じゃないんだ
みたいな事を軽く言ってたけど
まさかこれが伏線ですか…?

入れ替わりのエピソードが終わったら
のび太と大人のび太が顔を見合わせて
当然のごとく過去を目指しましたけども
えっ!?って感じですよね

これって結婚式でののび太のスピーチのためだけにぶち込まれてるんですよ
こんなの無くても全然いい
いくらなんでも無理やり過ぎです


結局、それぞれのエピソードが全く上手く繋がっていなくて
何を見せたいのかな?って状況になってる
なんかごちゃごちゃな映画でした


何を見せたいのかわからん
で言えば
変に複雑なSF描写も気になった

たぶん山崎貴監督はこんなSF設定好きなんでしょうね
本作のSFは理論的には辻褄があってるし
見せ方も悪くないと思う

でも、ドラえもんでやることなのかな…
とは思ってしまいます

伏線散りばめて回収みたいなのをやってたけど
本作に関してはノイズでしかなかった

序盤で不思議なことが起きて
後々それがなんだったのか判明する
というタイムリープものの定番なんですが
無駄にストーリーがややこしくなってました

シンプルなドラえもんを見せたいのか
複雑なSFを見せたいのか
ここもごちゃごちゃしている

 

あと、アニメ表現に関しては
山崎貴監督が関わってはいるけど
偽物のディズニーっぽさはあまり無くてよかったです

この前観た「ルパン三世 THE FIRST」に比べると全然良かった
若干大げさな表現もあるけど
それが「ドラえもん」には合っているように感じました

キャラデザもディズニーっぽくはなく
「ドラえもん」を損なわないデザインでした

 

観る前は宣伝のせいで気持ち悪さすら感じていた本作ですが
実際に観てみると全然ありかな
と思えました

軽い気持ちで観るファミリー向け映画としては
全然楽しめる内容だと思う

ツッコミどころが多く子供騙しな作品で
名作アニメとは言えませんけど
「ドラえもん」の映画としてはそこまで悪くはないじゃないでしょうか

とにかく、日本の映画の宣伝のやり方はもうちょっと考えたほうがいい

 


STAND BY ME ドラえもん(ブルーレイ通常版) [Blu-ray]

 

 

映画「佐々木、イン、マイマイン」感想 ラストの勢いはすごかった

f:id:kiitsu01:20201205193449p:plain

どうもきいつです


青春映画「佐々木、イン、マイマイン」観ました

売れない俳優の青年と
彼の高校時代の友達の佐々木の姿を描いた青春映画
過去と現在に向き合っていく若者の姿が描かれていきます

King Gnuや平井堅のミュージックビデオなどを手掛ける山内拓也が監督を務めています

 

あらすじ
俳優になるため上京した石井悠二は
俳優として鳴かず飛ばずで恋人との同姓生活もうまくいかない日々を送っていた
そんな中、悠二は高校の友達の多田と再開する
そして、高校時代に圧倒的な存在感を放っていた佐々木のことを思い出していく

 

感想
なんとなくノスタルジーを感じれる映画
自分に重なる部分も大いにあって心に刺さりました
ちょっと意味がわからないところも多いけど終盤の勢いはすごかった

 

前から気になっていた映画で観に行ってきました
どんな内容なのかあまり想像もつかないまま観てきましたが
なかなか不思議な映画

面白いのかどうかは正直わからないけど
心に刺さるものはありましたし
最後の怒濤の勢いには完全に気持ちを持っていかれた

自分の人生と照らし合わせても
どこか近いものを感じれました

しかも
楽しかったあの青春
ではなくて

あまり思い出したくないような
でも、思い返すといい思い出だった
みたいな
絶妙な青春の思い出を思い起こされました

それに
今の自分の現状や自分の弱さ
そんな部分をチクチクとつつくような
自分の痛々しさを間接的に見せられたような気もする

 

本作の中心となるのは
主人公の悠二と悠二の同級生の佐々木なんですが

この2人がとても共感させられる存在です

自分がこの2人と同じような境遇や経験を経てきたのかと言うと
別にそういうわけでもなくて

この2人に比べれば家庭環境はかなり恵まれている
それに、大人になってからも
この2人ほどくすぶって生きてはいない

でも、自分の中には悠二と佐々木がいるような気がするんですよ


特に悠二はこの映画の主人公で
観る人みんなが彼の目線で物語を見ます

なので、いつの間にか悠二に感情移入してるし
悠二のなんでも後回しにしてしまう性格は
自分の痛いところを突かれているような気もして痛々しい気持ちになります

悠二のくすぶっている様子は
とても自分と重なる部分もあって
観ていてなんかちょっと苦しくなる

なんとなく生きていて
本当に自分がやらなきゃならないことはわかっているのに
そこから目を背けてしまっている感じ

まるで自分の嫌な部分を見せられているようです


そして、佐々木なんですが
佐々木に自分を重ね合わせることもできるけど
自分と言うより
学生時代こんな奴いたよなってキャラ

これは、佐々木みたいに
すぐに服を脱ぐとか
おちゃらけていてハイテンションだとか
クラスの人気者だとか
そういうことだけではなくて

自分に無いものを持っていて
すごく充実して楽しい生活を送っているように見える人

学生時代ならちょっと羨ましくも思える存在


悠二や佐々木の高校時代の姿を見ていると
なんかノスタルジックで
自分の高校時代も思い起こされます

でも、それは楽しかった思い出と言うより
ちょっと痛々しくて寂しい思い出で
すこし嫌な思い出でもあります

本作の回想シーンも
すごく楽しかった高校時代の思い出でありながら
孤独ややるせなさも感じさせられる

そして、そんな過去があるから今の自分がある

何気ない出来事や何気ない言葉
そんなのが自分にとって大きな影響を与えている
そんなことが自分を作り上げているようにも思わされます


で、もう1つ思わされるのが
佐々木みたいな人間でも
実はいろいろと抱えて悩んでいる

いつも調子に乗ってしょうもないことを言ってる佐々木もやっぱり同じ人間で
実は悠二も佐々木もそんなに違わない

悠二は佐々木を思い出し
太陽のように明るい佐々木に憧れていたんだと思う
悠二の中では10年経っても佐々木は相変わらず全裸で踊っているんです


でも、悠二が見ている佐々木は
佐々木が悠二に見せている佐々木であって
全てを見せているわけではありません

高校卒業から5年後に再会したときに
悠二は佐々木が変わっていないと言ってたけど
それも佐々木があの頃の姿を悠二に見せていたからかも

実際は佐々木にも変化はあっただろうし
どうしようもない人生の中で足掻いたんじゃないかと思う

最後に悠二は
佐々木の友人の苗村の存在や佐々木の死に直面して
止まっていたと思っていた佐々木の時間が
実は動いていたと知る

そこで、やっと自分だけが取り残されていたと気づいたんじゃないでしょうか

だから、自分も前に進まなければと決断できたんだと思います

そして、自分が救ってあげなくちゃと思っていた佐々木に
実は自分が救われていたことにも気付くんです


どんな人にも佐々木みたいな存在がいると思うんですよね
そんな人の存在が意外と自分の人生を左右しているのかもしれない

 

そして、本作でなんかすごいなと思わされたのが
ラストのシーン

これは正直言って
どういうこと?
ってラストなんですけど

これに関してはいろいろと人によって解釈が違うと思います

でも、これって深く考えなくてもいいんじゃない?

単純にこのシーンで気持ちが奮い立たされる
最後の佐々木コールと全裸の佐々木の躍りが
自分を鼓舞してくれているような気持ちになる

それだけで十分だと思うんですよ

この場面を観ることで
なんか頑張ろう!!
って気持ちになる

このラストシーンだけのための映画と言っても過言ではないと思う

怒濤の勢いのこのシーンを見せ付けられれば
どんな人もスゲーものを見たって気持ちになるはず

最後には映画を観ている自分も
心の中で佐々木コールを叫んでいました

 

自分の学生時代を思い出し
ノスタルジーに浸れる作品ですが
これからの自分の未来についても考えさせられた
本作のラストシーンには
ここから先へ前進するための勇気を貰えたような気がします

製作陣の熱量や勢いも感じられる面白い映画でした

 

 

映画「ルパン三世 THE FIRST」感想 普通すぎてつまらん オリジナリティが全くない

f:id:kiitsu01:20201203152153p:plain

どうもきいつです


アニメ映画「ルパン三世 THE FIRST」観ました

モンキー・パンチ原作の国民的アニメ「ルパン三世」の劇場版
「ルパン三世」では初の3DCGアニメーションの作品です
因縁のお宝獲得に乗り出すルパンたちの姿が描かれます

「STAND BY ME ドラえもん」「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」など
数々の3DCGアニメを手掛けてきた山崎貴が監督と脚本を務めています

 

あらすじ
ルパン一世が唯一盗むことができず
第2次世界大戦中にはナチスが追い求めたという
公庫学者ブレッソンが遺した伝説のお宝“ブレッソンダイアリー”
史上最高難度のお宝を手に入れるべくルパンたちが動き出す

 

感想
ライトな層ならそれなりに楽しめる映画なんじゃないかと思います
でも、普段から映画やアニメを観る人
ルパン三世が好きな人
そういう人が見れば既視感だらけでつまらない
オリジナリティが無さすぎて記憶に残らない映画

 

映画館で上映されているときは完全にスルーでしたが
テレビで放送されていたので観てみました

もともと僕はそんなに「ルパン三世」には思い入れがなく
原作に比べてどうとか
今までのテレビアニメや劇場版と比べてどうとか
そういうのは全くありません

それに、時代や監督によって作風が違って
「ルパン三世」と言えばこれ
みたいなのがないと思いますし

本作も
数多くある「ルパン三世」の中の1つ
と思えば全然ありなんじゃないでしょうか


とは言え
そんなのを抜きにして観ても
個人的にはそんなに好きではないです


まず、本作を見終えたとき
めちゃくちゃつまらない映画
とは思いませんでした

それなりに最後まで飽きずに観れましたし
普段、映画やアニメを観ない人たちなら
本作を面白いと思えるんじゃないかな
とも思った

でも、嫌いな部分は多かったし
何よりも
記憶に残らない映画だな…
と感じました

この映画は普通にそれなりに面白い映画
ただ、普通すぎてつまらない映画なんですよね


この映画がやってることって
ディズニーみたいなアニメ表現
「インディー・ジョーンズ」っぽいよくあるお宝アドベンチャー
宮崎駿リスペクトの「カリオストロの城」っぽいルパン

とにかく片っ端から既視感だらけの連続で
全く新鮮味がない

まあ、「ルパン三世」ってそもそもお約束ありきのシリーズでもありますが
本作はそれにしてもオリジナリティがない

オリジナリティがないのは百歩譲っていいとして
その全部がただの劣化版


どの要素もそれっぽいけど
本家に比べると全然及ばない微妙なもので
この映画を観る必要性を感じれません

これを観るなら「カリオストロの城」を観たほうが全然有意義な時間を過ごせると思う


で、僕が特に引っ掛かるのが
ディズニーっぽいアニメ表現

これが本当になんか無理です
観ていてとても気持ち悪く感じる

山崎貴監督がディズニーをすごく意識しているのは伝わってきます

3DCGアニメを作るにあたって
ディズニーアニメを目指し
ディズニーアニメのような作品を作りたい
という気持ちが大きいんだと思う

その志はとても素晴らしいとは思うんです

でも、意識しすぎて
ディズニーの偽物アニメみたくなってしまってる

ディズニーっぽいキャラデザだったり
ディズニーっぽいキャラの動きや表情

キャラに関しては特にディズニーっぽさが強くてオリジナリティなんて全くない

その上、完全なコピーにもなっていなくて
偽ディズニーアニメで終わってしまってます


中でも
キャラの表情や動きがホントに気持ち悪くて
これどうにかならんかったのかな…

ディズニーらしい大袈裟な表情や動きなんですけど
これが最初から最後までずっと続く

ディズニーもここまで終始大袈裟な表現ではないと思いますよ
本家は大袈裟な表現にもメリハリがある

本作のキャラクターは表情がとてもくどくて観ていて疲れてくる
常に表情が大きく変化してるんですよね…

体の動きも全部が演技臭い表現で気持ち悪い

あざといという言葉がしっくりくる
登場人物の全てが大袈裟であざといんですよ


ここまで大袈裟にされるとリアリティも全然感じれなくて
キャラの存在そのものが嘘っぽく見えてしまいます

一応ルパンという名前の付いたキャラクターですけど
それはルパンという名前の偽物の存在でしかない

ファンタジーでフィクションな存在のルパンで存在しないことが当たり前ですが
その存在しないキャラを存在するように描くから物語に没頭できる

本作の場合は
ルパンがただの作り物なので
ルパンが作り物ならストーリーも作り物
この作品自体が全て作り物

そう感じさせられて
作品の中に入り込めないんですよね

アニメの声優が棒演技とかよく言われることがありますけど
本作はアニメキャラクター自体が棒演技で
声優がどうこう以前の問題なんですよ

 

そして、アニメ表現が酷いだけではなく
キャラクター描写もなかなか酷い

描写が薄くてキャラクターの魅力が全然ありません

ルパンやその仲間たちは
描写が薄かろうが長い歴史の積み重ねで存在そのものに魅力があって
なにもしなくても結構ルパンとして成り立ってしまいます

ルパンってだけで魅力があるキャラクターなんです

でも、それは土台があるから生まれる魅力であって
決して山崎監督の力ではない


肝心なのは
本作オリジナルのキャラクター

本当にこれは魅力が全く無くて
敵も味方もみんな空気みたいな存在です

そもそもキャラ設定がテンプレでオリジナリティに欠けるし
インパクトのある見せ場もさほどない

ヒロインもぱっと見はなんか可愛い雰囲気があるけど
そこから先の描写は浅くしか描かれないから魅力を感じれず
ただそこにいるだけの存在で終わってしまう

敵の科学者やナチスの人とかも
最後までテンプレな存在で深堀りもされず
敵としてぱっとしない

特にナチスの人なんか
ただ立ってるだけの人ですからね
こいつ何もしてないよ

ただヒトラー崇拝するだけの人で
あっさり倒されて死んでしまう
ラスボスの位置なのにショボすぎる

終盤にはそんなオリジナルキャラ3人だけのドラマパートが用意されてるけど
あれは地獄ですよね

思い入れのない3人がいろいろとやりあって
謎の感動展開になってたけど
あんなの誰が興味あるの?

とにかくルパン一味以外のキャラクターは
ホントに酷かったです

 

あと気になったのは
派手なシーンがなんかショボい

これもやっぱりアニメ表現が悪いと思う

動きがとてもぬめっとしていて
メリハリが無いように感じました

五右衛門が斬鉄剣で飛行機を斬るシーンも
キレが無くてあまり格好よくない

ルパンがレーザーくぐり抜けるシーンも
一番の見せ場と思いますけどやっぱりキレが無いですよね

アクションシーンは基本キレが無くて
全部ショボく感じました

アニメの動きに関して
本作は全部メリハリが無かったです

 

それと、終盤の謎解きアドベンチャーは
本当にクソみたいでしたね
アホな謎解きを見せられ
ハラハラドキドキは全く無くてつまらん

最後なんて
ただ身体能力だけで切り抜けてるし

あのときの決めポーズはダサかったな…

 

めっちゃ文句言いましたけど
人生で初めて観る映画やアニメがこれなら面白く観れるんじゃない?

既視感だらけだけど
その元になるものがなければ
既視感なんて無いわけですし

普段からよく映画やアニメに触れてる人なら
本作は毒にも薬にもならないような作品だと思う

いや、毒にはなるかも

 


ルパン三世 THE FIRST[Blu-ray通常版]

 

 

映画「誰も眠らない森」感想 面白くないような面白いような

f:id:kiitsu01:20201123230227p:plain

どうもきいつです


ホラー映画「誰も眠らない森」観ました

森へキャンプに訪れた少年少女たちが
得たいの知れない何かに襲われる姿を描いた
ポーランドのスプラッターホラー
2020年10月よりNetflixで配信されたNetflixオリジナル映画です

監督はバルトシュ・M・コワルスキ が務めています

 

あらすじ
ネット依存を治すためキャンプに参加した若者たち
少年少女たちはそれぞれ悩みを抱えていた
ゾーシャもまた過去にトラウマを抱えていた
そんな彼女たちはチームに別れて3日間のハイキングへ向かう
しかし、その森には異形の化け物が潜んでいたのだった

 

感想
スプラッターホラーとしては面白い部類
グロくて刺激的な映像にはゾクゾクさせられました
ただ、それ以外は微妙かも
面白いような面白くないような
スラッシャー系のホラーが好きなら楽しめるかな

 

Netflixで配信されているのを見つけ
なんとなく観てみました

軽い気持ちで観たからなのか
それなりに楽しめる映画でした


かなりグロいスプラッター表現も多いので
そういうのに耐性がある人しか観れないと思うし
そこに面白さを感じなければ
最後まで楽しむことができないような映画ではあります

個人的にはこんなホラーは好きな方なので
ありがちなスラッシャー映画のストーリー含め
楽しむことができました


特にグロい表現はかなり攻めていて
なかなか衝撃的な映像も多い

スプラッターあるあるの
生首、内臓、貫通、木を砕く機械とか
とにかく全部てんこ盛りみたいな
気持ち悪い描写がほんとに多くて最高

それに、悩めるティーンエイジャーたちを
容赦なくぐちゃぐちゃに殺していくのもよかった

淡い恋があったり
悩みを吐き出し心が少し晴れたり
自分との葛藤を繰り広げていたり
これだけを取り出せば青春物語として爽やかな内容なのに

それをブチ壊すかのように
よくわからん異形の化け物が容赦なく若者たちを惨殺
これは面白かった

調子に乗った若者が殺されまくるパターンはよくあるけど
悩みを抱えつつ前向きに前進しようとする若者をここまで容赦なく殺してしまうとは

いい感じに悩みが解消したり成長したりしたりするけれど
その次の場面でグロすぎる殺され方を見せられると
ギャップのすごさにちょっと笑ってしまうくらい

悩めるティーンエイジャーとグロいスラッシャーホラーの組み合わせは
ちょっと新鮮な気もしたし
面白い組み合わせだと思いました

 

とは言え
めっちゃ面白かったかと言うと
ちょっと微妙で

やってる内容は昔からあるスラッシャーホラーであまり新鮮さはありません
若者が何者かに殺されていく
という単純なものが繰り返されるだけ

「13日の金曜日」なんかとほぼ同じ
てか、かなり「13日の金曜日」みたいなホラー映画を意識して
オマージュしてる作品ではありますが

そんな作風には好感も持てるんですけども
やっぱり面白味には欠けるかなと思いました


ストーリーに関しては
定番の王道スラッシャーホラーって感じで
とても見やすさはあるし
求めているものは見せてくれる

でも、ちょっと雑なんですよね

特に気になったのが
何かが起きそうで何も起きないところ
そんな場面がとても多かった

化け物の過去を知っているおじさんや
ヤバそうな神父
化け物のたちの回想シーン

どれもすごく意味深なんですけども
結局、全部放ったらかしで
あれはなんだったんだ…?
と思わされるだけなんですよね

で、どうなるの?と思わされるけど
そこから先は何もない
無駄に消化不良に感じさせられてしまいます

化け物のたちの回想シーンなんて
今まで王道な展開が続くなか
急にSFみたいな雰囲気になって
ちょっとヴェノムみたいな設定にワクワクさせられたんですけども

そこから先はその設定が生きることもなく
まるで無かったかのように物語が進んでいく

意外な展開が起きると思わして
やっぱり定番のスラッシャーホラー

あのワクワクはなんだったんだよ!
返せよ!


ネット依存の少年少女たちという設定も
全然生かせてなかったりします

スマホ依存やSNS依存は現代の社会問題でもあって
そういうテーマで切り込んだメッセージが込められている作品なのかな
と、はじめは思わされるんですよ

低俗なホラーでありながら社会を切る
って雰囲気を醸しながら
結局、醸すだけ
ただのスラッシャーホラーで終わってしまいます

なんかもったいない

どうせならそこを深く掘り下げればいいじゃん
ネット依存の子どもたちという設定が
意味をなしてないんですよ

ホラー映画としてスマホの存在が邪魔だから
それを取り上げるための口実でしかない


あと、主人公ゾーシャの過去も
意味があるようで意味がなかった

何回もフラッシュバックして
過去のトラウマを見せられるけど
あれなんだったの?

本筋とも全然関わりがないし
親が自撮りをしていてそれが原因で事故に遭い
トラウマになっているらしく
そこがスマホ依存と繋がってるような気もするけど
冷静に考えたら繋がってない

過去のトラウマを乗り越えて化け物たちに挑む
という原動力になってるように見えるけど
冷静に考えるとなってない

そもそもゾーシャはスマホ依存なの?
なぜあのキャンプに参加したのか?
そこが謎
ゾーシャって何者なんだよ
そこがこの映画の1番のミステリー

ただ、ゾーシャが化け物たちをブッ倒すって展開は爽快で気持ちよかったですけどね
このラスト付近の展開は好きです

それに、ゾーシャが可愛くて魅力的
それがあるから多少雑な設定でも許せる


ゾーシャ以外の他の登場人物も魅力はあるので
それだけでこの映画を最後まで観ることができました

ぽっちゃりメガネの男子もいい味だしてましたね

そんな魅力的なキャラたちが容赦なく殺されていくのは
この映画の魅力でもあるかもしれません

 

雑な設定とストーリーが気になる映画で
もう少し練ってほしかったかなとは思います

でも、王道で定番なスラッシャーホラーは単純に楽しめましたし
グロい描写は鮮烈で刺激的

このタイプの映画が好きで軽い気持ちで観れば
それなりに楽しめるホラー映画だと思います

 

 

映画「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」感想 相変わらず高いクオリティ ただ、ちょっと子ども向け

f:id:kiitsu01:20201121195613p:plain

どうもきいつです


アニメ映画「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」観ました

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」「コララインとボタンの魔女」などの
アニメーションスタジオのライカが手掛けるストップモーションアニメ
ある研究者が人類の祖先だという生きる化石と旅に出る物語

監督は同じライカ作品「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を手掛けたクリス・バトラー
主人公の声を演じるのはヒュー・ジャックマンです

 

あらすじ
未知の生命体を探し求めるライオネル卿は
自らの手で伝説の生き物見つけ存在を証明し
自身の才能を世に示すために旅に出る
やがて彼は人類の祖先にあたるビッグフットに遭遇する
孤独なビッグフットの親族を探すために
ライオネル卿は伝説のシャングリラ目指すことになる

 

感想
いつものごとく
とてもクオリティの高いストップモーションアニメに驚かされる
その映像のためだけに観る価値はあるかも
でも、ストーリーはちょっと子ども向けなのか
物足りなさは否めませんでした

 

ライカの作品はとても好きで
本作もかなり期待して観に行ってきました


ライカの作品と言えば
もちろんストップモーションアニメで
これが毎回すごいクオリティ

かなりの労力を費やされている作品ばかりで
それだけでライカの作品にはものすごいエネルギーを感じる

本作も同様で
やっぱりものすごいアニメとして完成しています


ストップモーションアニメとは思えないほど
動きはかなり滑らかで普通の動画と比べても
全然違和感がない

なにも知らずに本作を観れば
普通のCGアニメと思ってしまうかもしれません

でも、ストップモーションアニメだからこその
独特な雰囲気というのも醸し出していて

よく見ればキャラクターみんなが人形だというのはわかりますし
どこか温かみも感じることができる

表情の変化なども本当に細かくて
人形だけど完全に命が吹き込まれています
登場人物の数に表情の種類の数
人物だけでも相当な手間隙がかけられていると思います


とにかく
膨大な時間、たくさんのスタッフ、広いスタジオ、莫大なお金
1つの作品にさまざまなものを費やし狂ったほどにこだわり抜かれた本作はもはや芸術

芸術作品として最高の映画だと思います
それだけで一見の価値あり

 

と、ここまですごく誉めましたけども
正直、ちょっとストーリーは微妙かな…と思いました

過去のライカ作品と比べても
今回はかなり子ども向けな気がしてしまう

そんなに深い内容でもないし
ストーリー自体もあまりに普通すぎるテンプレな内容
わかりやすいシンプルなストーリーではあるけど
大人が観るとかなり物足りなさを感じると思います


山なし谷なしの盛り上がりにかける印象も強かった
いつ盛り上がるのかな?と思っていたら
いつの間にかエンディング
これがかなり物足りなさを感じてしまう要因だと思う

あまり物語が大きく展開しないんですよね
印象に残るシーンがない

全体的に全てがトントン拍子で進んでいき
冒険することがメインの映画なのに
スリルが感じれなくてワクワクさせられないんです

それに冒険してる感や旅をしてる感も薄い

画面が切り替われば目的地についてしまってたりするので
時間経過は短く感じてしまうし
長い距離を移動している感じも全然ない

道中にあまり大きい出来事も起きず
ロードムービーとしては面白味に欠ける

本当は相当な距離を移動している物語なのに
数キロ移動してるくらいにしか思えないんですよね…

ここはもっと冒険しているというワクワク感を感じさせてほしかった


それと、主人公のライオネル
これもかなり微妙だったなと思う

このライオネルのキャラがかなり中途半端なんですよね
それのせいで本作のテーマも薄れてしまってる

本作のテーマは進化だと思います
それをライオネルの成長を通して表現しようとしてるのはわかるんですが

ライオネルの成長の描写があまり上手くないんですよね…

言ってしまえば
本作の中でライオネルが成長してるようにはあまり見えない

成長するということは
人間が変化するということですけど

最初と最後のライオネルの変化の振り幅が小さすぎるんです

自分が認められたいという名声を求め行動していたライオネルが
最終的に本当に大切なものを見つける
というシンプルでよくある流れではあるんですが

最初の自分のためだけに行動するライオネルも
べつにそこまで悪い人間には見えない
普通に優しさを感じれるところがあったり
大きい見返りを求めることなく行動したりもする

ビッグフットのリンクをヒマラヤまで送り届けようとするのも
すごくリスクがあるけどかなり簡単に引き受けてしまうし

てか、本物のビッグフットを目の前にして
捕獲しようとしない時点でライオネルは良識のあるまともな人だと思いますし

それにライオネルのバックボーンが描かれていないので
なぜそこまで名声を求めるのかや
彼の心に抱えている問題点とか
そんなのが全然見えてこなくて
ライオネルの行動原理がわかりづらい

主人公だけどあまり感情移入ができません

しかも、中途半端に嫌な奴でもあるので
ちょっと印象も悪くてそこまで好きにもなれない

ライオネルのキャラクターの魅力が引き出せてないんですよね


あと、ライオネルとリンクの友情物語でもありますが

ここも
はじめから最後まで2人の仲は良好で
最終的な2人の絆が深まりましたってラストも
あまりインパクトがない

リンクはライオネルを最初から信頼してるし
ライオネルもリンクを邪険に扱ってるわけではないですし

言葉ではリンクを召し使い的な扱いをしてるけど
行動としてはそこまでこき使っている描写もないですしね

2人の関係性に波風を立たせないと
友情が深まったと言われてもあまり感動はできないです


ただ、リンクのキャラクターは個性的でとても魅力的
コミカルで愛嬌があって好感が持てます

リンクの言動全てが微笑ましくて
ちょっとしたギャグ描写もクスッと笑ってしまいます

リンクの存在だけでも
この映画の雰囲気はかなりよくなってると思います


とは言え、他のキャラクターはライオネル同様で魅力がちょっと弱い

ヒロインもいまいち魅力がなかったし
敵もちょっとショボすぎるかな…

リンク以外のキャラがみんな印象薄い
ビジュアルでは魅力を出せてるんですけど
中身がないのかな…とも思わされました

 

本作は他のライカ作品と比べてみてもテーマの深みが弱くて
心に刺さるようなメッセージも感じませんでした

他の作品はシンプルながらも
どこか引き込まれるような記憶に残る場面や
ワクワクしたりハラハラドキドキするような
面白いストーリー展開があったんですが
今回はその辺がとても弱かったなと思います

作品への情熱やこだわりはとても感じれるけど
映画としての面白さは微妙

子どもなら楽しめるレベルの作品で終わってしまっていたのはもったいなかったですね

ライカならもっと面白い映画を作れるはず

 


KUBO/クボ 二本の弦の秘密 [Blu-ray]