何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

漫画「百万畳ラビリンス」感想 不思議な世界に冒険心をくすぐられる

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どうもきいつです




なんとなく絵が綺麗だったのでこの漫画を読んでみました
これが、なかなか良い漫画でした

 

全2巻とすごく短くて読みやすい漫画です
でも、短いですが内容はちゃんと詰まってます
ジャンルは脱出系です
閉じ込められた場所から脱出するやつです
映画で言えば「CUBE」みたいな感じです

でも、この漫画の場合は密室ではなく
広大に広がる世界です

そして、こういう脱出系の作品って
ホラーだったりグロだったり
殺伐としてるものが多いと思うんですが
この作品はそういう描写は一切ないです
むしろほのぼのしてる



この作品の舞台は
同じような部屋がひたすら続いている巨大な建物
空間の概念も普通でなく
部屋と部屋の繋がりがおかしかったり
ループしている場所もある

そんな不思議な場所に
2人の女子大生、礼香と庸子が迷い込んだところから物語が始まります



この漫画の魅力は
やっぱりこの不思議な世界観ですね

建物が無造作に連なってるビジュアルだけでもワクワクします
部屋の中もおかしくて
家具が置いてある場所やドアや窓の位置が変なんです

主人公たちはそんな中を散策して
脱出への糸口を探ります

一見めちゃくちゃでカオスな世界なんですが
実はこの世界にもちゃんと規則性があって
主人公たちがその規則性を見つけながら
時にはそれを利用して困難を乗り越えて行く様が
この漫画の面白みだと感じましたね

この世界のルールが結構ゲーム的なんですよね
というか、この漫画はゲームがテーマの1つになっているんですが

この世界にある同じものは全部リンクしてます
今世界にあるちゃぶ台は全部同じちゃぶ台
コップは全部同じコップ
木は全部同じ木
と、全部がコピペされたようになってます

そもそもこの世界自体がゲームのバグのような世界だったりします

そして、主人公の礼香はかなりのゲームオタク
それもゲームのバグを見つけるのが好きな女の子

その能力を生かして、この訳のわからない世界を
上手く立ち回ります

その描写がなかなか面白いです
ゲームが好きな人はすごく楽しめるんじゃないでしょうか



ストーリーもサスペンス的な要素があってなかなか面白いです
そもそもこんな謎の世界から物語が始まるので
その謎に段々近づいて行くのもあって
次から次へと読んでしまいます
気付けば読み終わってましたね


この作品は上巻と下巻で2つの構成に分かれています
上巻はこの世界のルールの謎を解いていきます
下巻はこの世界の正体に迫っていきます

なので下巻からはちょっと雰囲気が変わって
SFチックになります

こういう変化もあったので最後まで飽きずに読むことができました



そしてキャラクターも魅力的ですね

この漫画はほぼ2人しか登場しません
主人公の礼香と、その友達の庸子です
上巻は本当にこの2人だけで話が進みます

主人公の礼香は変な子です
すごい自由で
道のないような場所に好奇心で突っ込んでいくような子です

一般的な人から見ると変わり者
でも礼香からすればその自分は普通の自分
それ故に彼女自身も悩んでいます
自分の居場所がないんですよね


対して庸子は普通の人です
普通に常識的な考えを持っています
礼香みたいな変わり者を受け入れる
寛容な心も持っています


この2人のやり取りがすごく優しいんですよ
ボケツッコミの面白さもあるんですが
お互いを理解し合って尊重してる
そういうのがすごい癒されます

こういうジャンルの作品って極限状態に追い込まれて
すごく険悪なムードになったりしがちですが
この2人は最後までお互いを思いやってるんですよね
心温まりますよ



それと、絵がすごく上手いですね
シンプルなんですが、すごくしっかりしてると思う
背景も細かくてすごく綺麗なんですが
人間の描き方がうまいと思う
デッサンがしっかりしていて形に違和感が全然ないですね
いろんな角度、いろんなポーズをとっていても
全く違和感が無い
なので、何が起きてるか、何をしてるのかが分かりやすいので
すごい読みやすかったです



この作品、とてもクオリティの高い作品でした
絵、ストーリー、構成
どれもが高いレベルだと思います
全2巻と読みやすいですし
是非、読んでもらいたいです





百万畳ラビリンス(上) (ヤングキングコミックス)