何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ペンギン・ハイウェイ」感想 理屈とか意味なんかどうでもいい エウレカだよ


どうもきいつです



アニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」観ました

 

「夜は短し歩けよ乙女」「有頂天家族」
などの人気小説を生み出した
森見登美彦によるSF小説を
アニメ映画化した2018年の作品
スタジオコロリド初の長編作品です

 

小学生の少年が
海の無い街に突如現れたペンギンの謎を
解明するために奮闘する物語





あらすじ
小学4年生のアオヤマ君が暮らす郊外の街に
突如ペンギンが現れた
アオヤマ君は海の無い街に
なぜペンギンたちが現れたのか
その謎を解くために研究を始める
そんな中、お姉さんが投げたコーラの缶が
ペンギンに変身するところを目撃する



感想
全然意味は分からないが
少年の成長物語としては
面白かったです
キャラクターたちが
とても好印象



全体的にかなりシュールな世界観です

街中に急にペンギンが溢れたり
森の奥の草原に謎の球体が浮いていたり

そして、そんな変な状況を
不思議に思いながらも
どこか普通に受け入れている人々たち

明らかに非現実的な事が起きているのに
こういう事もあるだろうな
くらいの感じで受け止めています
それがとてもシュールに感じる


それぞれの設定もなかなか難解で
最後まで観てもあまり意味が分からない

結局、ペンギンやお姉さんは何だったのか
ジャバウォックって何なのか
あの球体はなぜ生まれたのか
どれも全然はっきり解明されません

そこは自分で考察するしかないです



そんな、シュールで意味不明の
わけのわからない映画なんですが

ジュブナイル映画として
普通に面白かったし
ワクワクさせられました

少年時代や夏休みのノスタルジーな
懐かしいような気持ちを味わいながら
子供たちの冒険物語として
とても楽しめる内容です


この映画は
ややこしい謎とかは放っといて
少年たちの冒険を楽しむのが
正解なんじゃないのかと思いました

理屈とか意味とかは二の次でいいと思います

少年のひと夏の冒険
淡い恋心、友情
そして少し成長する姿

これを味わう作品です



こんなシュールで変な世界の中で
これを成り立たせているのは
やっぱりリアルな表現だと思います

アニメの表現もそうですが
人物描写もリアルに描けていると思います


主人公アオヤマ君はとても頭が良くて
大人びた少年ですが
そこに違和感が無く
ちゃんと子供にも見えます

大人に近づきたくて
ちょっと背伸びしてる感じとか
子供だからこその好奇心の旺盛さ
それゆえに頭が良い
この時代を全力で楽しんでる様子が
伝わってきます


フィクションの大人びた子供の表現って
なんか冷めてて冷静、頭が良い、論理的
人を小バカにしている
みたいなテンプレートなのが
すごく多くて
いつも、そういうのを見て萎えていたんですが

本作の場合は
頭が良くて大人びているのも伝わり
なおかつちゃんと子供
ってのが表現できていると思いました

生意気だけど憎めない
大人びてるけど子供らしい子供

そういうキャラの作り込みが
実在感やリアル感を生んでいると思います



お姉さんの描き方も同じで
普通の大人の女性を描くのではなくて
子供から見た大人の女性
というのを徹底していると思う

どこか掴み所が無かったり
少し壁を感じるような雰囲気だったり

おっぱいってワードも
たくさん出てくる作品ですけど

このおっぱいの描き方も
子供から見たおっぱいって感じで
そこまでいやらしい感じではなく
なんかちょっと気になるもの
みたいに表現にできていたと思う


他のキャラクターもとても良かったです

アオヤマ君の同級生たちも
みんなキャラが立っていますし

アオヤマ君のお父さんは
そんなに登場しませんが
とても存在感があったし
すごく良い事を言う

街中に溢れるペンギンたちも
可愛かったです

全体的にキャラクターに好感を持てる
作品だと思います



映像のクオリティも
とても高かったと思います

細かいところまで精密に描いています
とてもリアルな表現です

非現実的な部分も実在感があるし
絵を見るだけで説得力を感じる

作画クオリティも
とても素晴らしかった



そして、この映画が良かったのは
リアルとシュールのメリハリが
しっかりとしていたからだと思います


森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」
これのアニメ映画は
正直、かなり酷かったと思います

この作品の場合は
シュールな物語をシュールで表現して
その世界にリアルさを感じない
映像面だけでなく登場人物たちも
変な事をするだけで
中身もカラッポでした


それに比べると本作は
かなり出来がいいと思いました

どちらも
意味が分かりづらい作品ですが
「ペンギン・ハイウェイ」は
その世界観の表現に説得力が感じられる

だから、ただシュールなだけでなく
その世界に人間が生きている
という事が伝わってきます

シュールを活かすには
リアルな表現が必須なんだなと
あらためて感じさせられました


どちらも森見登美彦の不思議な世界観の
映像化作品ですが
作る人間が違うだけで
こんなにも作品の善し悪しが
変わってくるんですね



いろいろ考察の余地もある作品
それだけでなく
ひと夏の少年の成長物語としても
すごく良かったと思います

シュールだけどノスタルジックで
どこか懐かしくも思う
エモい映画でした





ペンギン・ハイウェイ Blu-ray コレクターズエディション