何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「フェリシーと夢のトウシューズ」感想 夢さえ持っていれば全て上手くいくのか?

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どうもきいつです

 

アニメ映画「フェリシーと夢のトウシューズ」観ました

バレリーナを夢見る少女が
パリへ行き夢をかなえるために
奮闘する姿を描いた2016年の
フランス、カナダ合作のアニメーション映画

「カンフー・パンダ」などに携わった
アニメーションディレクターが
本作も手がけています

 

あらすじ
踊ることが大好きなフェリシーは
バレリーナを夢見ていた
施設に暮らしていた彼女は
親友のヴィクターと共に施設を抜け出し
憧れのパリを目指す
そして、フェリシーは掃除婦のオデットと
出会い、夢に向かい努力を重ねていく

 

感想
完全に女の子向けのサクセスストーリー
なので自分に合わなかった
それは置いといても
ちょっとベタ過ぎるかなとも
思いました
そしてちょっと教育に悪い気もする

 

特にこの映画が
観たかったわけではないんですが
暇だったんでちょっと観てみました


これは完全に女の子向けのアニメですね

昔からよくあるような
女の子向けスポ根って感じですね
アタックNo.1とかエースをねらえ!とか
そういうのに近いと思います

内容が少女漫画的な要素が多いですし
小学生以下の女の子が喜びそうな映画

なので
大人、ましてや男はあまり楽しめないと思う

でも、子供向けなら
それはそれでいいと思いますし
それなら子供が楽しめればいいんですよ

ただ、悪い意味で頭がお花畑な映画だとも
感じてしまい
正直、子供にもあまり見せたくない映画かも

 

ストーリーは至ってシンプルで

環境に恵まれていない女の子が
バレリーナを目指し
夢と希望をもって努力をし
最終的に夢を掴むサクセスストーリー

これだけ聞けば良い話なんですけども


でも、描き方があまり良くないと思う


主人公のフェリシーは
夢と希望を持った天真爛漫な女の子
なんでけど

一途に夢を叶えたいと思う気持ちがあるだけで
全てが許されてしまったり
何もかもが上手くいってしまうのが
とても引っかかるんですよね


基本的にフェリシーに全然好感を持てない
むしろちょっと嫌いなくらいです

フェリシーの行動は
全てが自分本位でわがままだと思うし
そこが改善されることも無く

物語自体もフェリシーの夢が叶うかどうか
という部分しか描かれなくて
結局この映画自体にも
好感が持てないんですよね


でも、フェリシーは
別に性格が悪いわけではないんですよ
子供らしく純粋で可愛らしいキャラクター
ではあります

自分の気持ちに素直であるが故に
過ちを犯し道を踏み外したりもする

そういうのは普通のことだし
それ自体には不快感も何もない

むしろストーリーの原動力にもなるし
必要な要素だと思うんです


しかし、それらの処理の仕方が
悪いんですよ
雑というか、テキトーというか

フェリシーの障害の乗り越え方や
失敗から立ち直りだったりが
ただ気持ちが強いからとか
周りの大人がフェリシーに甘いから
ってだけで解決してしまってる

気持ちの大切さを描いている割には
フェリシー以外の人間の気持ちは
蔑ろにされてたりもします

大人たちがフェリシーに甘くて
彼女の過ちを簡単に許してしまうから
フェリシーの心が成長しているようにも見えず
反省してるのかどうかもわかりません

なんか、夢さえ持っていれば
何もかもが上手くいって幸せになれるよ
って言っている
馬鹿な映画にしか見えないです


この映画って
周りの人間が異常なほどフェリシーに
優しくて協力的だから成立してますけど

現実世界に当てはめると
無条件にこんな優しくしてくれる人間なんて
絶対にいるわけないし
気持ちだけで解決できることばかりじゃないです

 

フェリシー目線でこの映画を観れば
幸せなサクセスストーリーにも見えますけど
視点を変えればなかなか酷いことに気づきます

例えばフェリシーと共に
レッスンを受けている生徒たちから見ると

急に現れた全くのド素人が
たった数日のうちに
自分の上に行ってしまうんですよ
たまったもんじゃないです

その理由も
夢を持つ気持ちが強いからとか
必死に努力したからとか言う理由

バレエのクラスを落とされていった子たちも
フェリシーより前から練習してただろうし
夢も持ってるでしょう
この子たちの気持ちが蔑ろにされているのが
あまり納得できないです


そして、フェリシーのライバルのカミーユと
カミーユの母親
この2人の目線から見ると
やっぱりこの物語に納得できない

この2人は嫌な奴らではあるんです
典型的な性格悪い金持ち親子
って感じのキャラクター

でも冷静に見ると
完全にこの親子って被害者ですよね

カミーユに届くはずの
バレエ学校からの手紙を
フェリシーに盗まれて
その上、フェリシーが自分と偽って
代わりにバレエ学校に入学してるんですよ

挙句の果てに感情論だけで
くるみ割り人形への出演権を
奪われてしまうんですから

そりゃ母親もブチギレますわ

それにカミーユの母親の描写が
ディズニーの悪役ばりに
悪の権化の様に描かれてるのが
ちょっと気持ち悪い

この母親って
確かに自分の価値観を
子供に押し付けてる節はありますし
良い母親ではないかもしれませんが
この描き方はちょっと偏り過ぎだと思う

それに、母親が悪者だから
フェリシーがした行為が許されてるようにも見える

悪い人間になら悪いことをしてもいい
みたいな歪んだ考え方に感じてしまう

実際にフェリシーがやったことに対しての
反省なんかも描かれていませんし

 

それもこれも
結局はフェリシーの心の成長が
描かれていないのがダメなのかな
と思います

悪いことをしたら謝って反省する
道を踏み外したら後悔して
前に進むための糧にする
夢とは何か、大切なものとは何か
という事にしっかりと向き合う

そういう描写があまりにも薄過ぎて
全く成長を感じない

はじめの人生を舐め腐った考え方のままで
最後まで行ってしまうので
最終的には気持ち悪さだけ残ってしまいます

フェリシーの成長をもっとしっかりと
描いていれば
ちょっとくらい強引に都合よく物語が進んでも
たぶん納得できたと思います

感情論で解決
というのにも説得力が出たと思う

 

子供向け映画に細かいことばかり言って
大人げないな
と思われるかもしれませんが

子供向けだからこそ
倫理的な部分はしっかり作ってほしい


この映画を観て
夢のために努力しよう
と思う子供もいると思いますが

夢さえ持ってれば幸せになれる
と頭がお花畑な考え方を
持ってしまう可能性もあると思う

子供に見せるからこそ
人生の厳しさや残酷な部分も
必要だと思います

ただ夢さえ信じて努力すれば
幸せになれる
と美しい部分だけ見せるのは
教育にも良くないんじゃないですかね?

 

アニメのクオリティは
高かったと思いますし
登場人物のキャラも悪くなかったです

だからこそもうちょっと
しっかりした内容にしてほしかった

表面的には楽しめるかもしれませんが
深い部分を見ると良い映画とは思えない

 


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