何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ウィッチ」感想 全然怖くないと思ったけど よく考えたら怖いかも

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どうもきいつです


ホラー映画「ウィッチ」観ました

第31回サンダンス映画祭で
監督賞に輝いた2016年の作品
魔女をテーマに
赤子をさらわれた家族が
次第に狂気の淵へと転落していく姿を描いた
ファンタジーホラー映画です

監督のロバート・エガースは
本作が初監督作
主演の少女を演じるのは「スプリット」などの
アニャ・テイラー=ジョイです

 

あらすじ
1630年のニューイングランド
信仰心のあついキリスト教徒の一家が
森の近くの荒れ地へ移り住んでくる
そんなある日、赤ん坊のサムが突如
姿を減してしまう
一家が悲しみにくれる中、父ウィリアムは
娘のトマシンが魔女ではないかと疑い始める

 

感想
第一印象は
怖くない、よくわからない
でしたが
後から考えると
実はすごく怖い映画だったかも
と思わされる
深読みすることや考察したりもできる
なかなか興味深い映画でした

 

アニャ・テイラー=ジョイが
すごく好きなので
まだ観ていなかった本作を観てみました

やっぱり可愛いですね
彼女が見れただけで
本作を観る価値がありました

それだけで満足の映画
なんですけども


アニャ・テイラー=ジョイの魅力だけでなく
本作はとても興味深い映画でした

ホラー映画ですけど
わかりやすく面白いとか
わかりやすく怖い
って映画ではなかったので

つまらない映画だと思ってしまう人も
いるかもしれませんが
深く考えると面白い映画だと思います

正直、僕も第一印象は
なんだかよく分からない映画
だったんですけど

観終えた後に
よくよく考えてみると
なかなか怖さもありますし
面白い要素も多い作品に思えてきました

 

軽く観てしまうと
本当に意味があまりわかりません

最後まで観ても
真相はさほど解明する訳じゃないし

意味深な場面が多いですが
意図がわかりづらい

そもそもキリスト教の価値観や宗教観が
かなり重要な作品でもあるので
それに馴染みがあまりない
日本人からすれば
ちょっと理解しがたいことが多いです


でも、後からでも調べれば
それなりに理解できたりはすると思うので
宗教的な部分はそこまで難しいわけでも
ありませんでした

黒山羊、うさぎ、林檎や
映画の中での意味ありげな物や言動
そういうものたちがキリスト教では
どういった意味があるのか
ってことだけでも調べれば

これらが意図しているものが
なんとなくわかってくると思いますよ

 

で、この映画は
観る人や考え方の違いによって
解釈や見えかたが変わる作品だと
思います
怖さに関しても同じで
どんな角度からこの映画を観るかによって
怖さの種類が変わってくる


単純に魔女や悪魔の
オカルト的な怖さなのか
人間の醜さや心の闇などの
現実的な怖さなのか

たぶん観る人によって
解釈が違ってきます

同じ人が観たとしても
1回目と2回目では
見えかたが変わってくるかもしれない


そんな、答えが1つに絞られていないような
作品でした

だから、観終えた後も
いろいろ考察することができて
楽しいんですよね

ああでもない、こうでもない
と思いを巡らせてみたり
誰かの考察を読んで違った考え方を
見てみたり
友達と議論してみたり

そういった楽しみかたができる
映画なんだと思います

 

個人的な考えでは

トマシンは早い段階で魔女になってた説か
実は魔女なんていなかった説
がしっくりきますね


トマシンがはじめから魔女だった場合なら
この物語はめっちゃ怖いと思いますよ

それぞれのシーンがいちいち怖く見えます

トマシンの表情なんかも怖く思える
なかなかハードな状況にもかかわらず
あまり表情に変化が無かったりもしますし

ラストの惨劇も衝撃ですし
実は全部トマシンの計画通り
だったようにも思える終わりかたです


魔女がいなかったと考えると
それはそれで気持ち悪さがある

人間の醜さ、弱さがすごく浮き彫りに
なると思います

不幸で絶望的な環境に置かれることで
たとえ家族であろうと疑心暗鬼になったり
憎しみが生まれたり

そして、最後の惨劇ですよ

魔女がいないと考えると
また違った怖さを感じれます

 

そんな感じで
考察する面白さがある作品ですが
魅力はそれだけではないです


この映画は終始暗い雰囲気で
すごくじめじめした映画
そして、ラストはかなりのバッドエンドで
後味はすごく悪いです

でもですね
この最悪なバッドエンドなんですが
意外と気持ちいいんですよ
カタルシスを感じます


なぜかというと
トマシンが最悪な環境から
最後には解放されるからです

父親のプライドによって
望んでいない貧困生活を
余儀なくされて

赤ちゃんがいなくなったことで
母親からは強く当たられる

双子の兄妹はわがままで
言うこと聞かないし

トマシンはかなり鬱屈した気持ちを
抱え込んでいるわけです


だから、トマシン目線で考えると
この物語の結末は意外とハッピー
だったのかとも思える

それがラストの表情にも表れているんじゃ
ないですかね
あの不敵な笑みには
いろいろ込められていそうですね

 

それと、ビジュアル面もとても魅力的
不気味で不穏な空気感ではありますが
美しくもある映像です

自然の美しさを表現しつつも
自然の怖さ、気味悪さを
感じることができる

トマシンもとても美しく映されています
だからこそ、ちょっと不安にも感じる
美しいからこその不安定さが
表現されていると思います

そんな美しい映像の中に
気持ち悪い描写も所々にあり
そのギャップで不安な気持ちにも
させられます

特に魔女のインパクトはなかなかですね
あれは普通に怖いし
生々しさがあって気持ち悪い

映像的な魅力も十分にある
作品でしたね

すごく引き込まれる映像でした

 

アニャ・テイラー=ジョイの
可愛さだけでも満足できる映画
なんですけども
1本の作品としてとても魅力的でした

観れば観るほど
考えれば考えるほど
面白さに気付ける映画だったと
思います

怖くないようでかなり怖い作品でした

 


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