何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「機動戦士ガンダムF91」感想 急展開すぎてちょっと理解が追い付かない…

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どうもきいつです


アニメ映画「機動戦士ガンダムF91」観ました

「機動戦士ガンダム」のメインスタッフが集結し
新たな時代設定と登場人物により描かれた1991年の劇場版オリジナル作品
時代設定は「機動戦士ガンダム」の一年戦争から40年以上の月日が経った
宇宙世紀0123年が舞台

監督はガンダムシリーズを手掛けてきた富野由悠季が務めています

 

www.nanimokamogakokkei.com

 

あらすじ
宇宙世紀0123年
平和になれ腐敗した地球連邦軍に対し
コスモ貴族主義を掲げるクロスボーン・バンガードが宣戦を布告する
民間人の少年シーブックは混乱の中
連邦の最新モビルスーツF91に乗り戦うことになってしまう

 

感想
アニメのクオリティはとても高い
細かいところまで綺麗に描写されていて
素晴らしいアニメ映像でした
モビルスーツのデザインもどれもカッコよくて魅力的
ただ、ストーリーがあまりに急で気持ちがついていかない
感情移入も理解も全然追い付きませんでした

 

ガンダムシリーズは好きですが
本作は観たことがなかったので観てみました


1991年とかなり昔のアニメ映画ではありますが
映像のクオリティはかなり高いです

今の時代に見ても全然古臭くない
むしろ、当時のセル画で描かれているアニメだからこその美しさは
今の時代のデジタルアニメよりも優れてるんじゃないかとも思わされます


特に序盤の展開は映像的にも派手だし
すごくワクワクさせられます

平凡な生活が突如戦場に変わるという展開は
物語の始まりとしても心を掴まれる

モビルスーツは今までより少し小さくなってるけど
それでも巨大なロボットが戦闘するシーンは大迫力だし
そんな戦場の中を駆け回る主人公たちの姿にはハラハラさせられます

物語の掴みは完璧だったと思う

 

モビルスーツのデザインに関しては賛否ありますが
個人的にはかなり好き

敵モビルスーツのデザインがかなり一新されてるし
なかなか地味だったりするので評判はあまりよくないけど
結構カッコいいと思います
ビギナ・ギナは色合いや形がとても好み
デナン・ゾンのガスマスクみたいな顔も好き

主人公機のF91も普通にカッコいいですし

ラスボスのラフレシアも独特なデザインで魅力的だと思います

それにモビルスーツの変化によって時代の移り変わりなんかも感じれる
博物館にザクが展示されていたりするのは
あの時代は過去なんだなと思わされる

地球連邦が未だにジェガンを使ってる設定は
連邦が変化せず腐敗している感じが出ていますよね

モビルスーツで時代の変化や情勢を表すのは
ガンダムシリーズならではの方法だと思います
こういうのはとても面白くて好きです

 

しかし、映像の美しさやデザインの良さは素晴らしいんですが
どうもストーリーがかなり微妙

というかストーリーの流れや設定など
根本的な部分は面白いと思うんですよ
ただその見せ方がめちゃくちゃ悪いと思う

とにかく展開が急すぎて全然ついていけない
なんかよくわからんままエンディングになっています

これは仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれない

そもそもテレビシリーズ用の企画を映画にしてるみたいですし
そりゃ詰め込みすぎにもなるし駆け足にもなるでしょうね

とは言え、映画用にもう少しわかりやすい作品にするべきだとも思う

本作はやりたいことを詰め込んで
結局バランスが崩れてしまったって感じだと思います

そういうのもあり
この映画は基本的に何かが起きているだけの物語で
中身が空っぽになってしまっている

出来事は淡々と描かれてはいるんですが
何故そうなったか
それぞれの思惑は何なのか
何のために戦ってるのか
そんな説明が全然ない

その上、主人公を含めた登場人物みんなに魅力がなく感情移入も全然できません

最後まで観ても
何が起きて何が解決したのか?
登場人物はどんな気持ちなのか?
結局この映画は何をやってたんだよ
って感じで何も納得できずに終わってしまいます

この物語のメインでもある
地球連邦軍とクロス・バンガード戦いは
何故戦ってるのかもよくわからん状態だったりします

はじめは得たいの知れないクロス・バンガードの襲撃でワクワクさせられるけど
その後も何がしたい組織なのかよくわからないままですしね…

コスモ貴族主義ってのもどういう思想なのかいまいちピンとこなかったりするし

クロス・バンガードやコスモ貴族主義とか
漠然と魅力を感じることができるだけに
深掘りされないのがすごくもったいない


そして、何よりも登場人物の魅力のなさが
本作の最大の欠点だと思えます

主人公のシーブックも全然魅力がない
そもそもシーブックに全くクセがなくて
普通すぎるんですよね

あえて普通な主人公にしたんだろうけど
ただ普通なだけなので面白味がない

ストーリー上で成長してる感じもないし
葛藤や苦悩もすごく薄い

最後までずっとフワッとして掴み所のないキャラです

ただでさえ薄いキャラなのに
ストーリーが急ぎ足なので余計に感情移入もできず
ただただ地味な主人公で終わってしまっていました


そしてヒロインのセシリーもちょっと酷い

一見信念を持ってそうなキャラなのに
なんか行動がブレブレで
ただ優柔不断でフラフラしてる女にしか見えないです
なので好感が持てないんですよね

芯が通ってないキャラなのに
敵味方を行ったり来たりするもんだから
何がしたいのか全然わからん

他のキャラも結局よくわからなくて
思い入れが全然わかない

ラスボスの鉄仮面も思想や信念を感じれない
かと言って狂気とかもあまりない
すごく薄いキャラになってました


それもこれも
登場人物が多すぎるからなんですよ
2時間程度の映画で重要な人物が多すぎる

シーブックの友達だけでも無駄に多いし
敵の幹部とかもいっぱいいるし

しかも、みんなに見せ場を作ろうとしてたりもするから
1人1人がめっちゃ薄まってしまってる

登場人物の顔の違いとかもわからなくなってきますからね

テレビシリーズでやっと描ききれるくらいの人間の数を
たった2時間の映画に詰め込んでしまってるから
そりゃまとまらないよなと思う
絶対にもっとカットするべきでした


正直、この映画を初見で面白いと思える人は少ないんじゃないかと思います

相当ガンダムが好きで
この映画を何回も観て自分なりに消化しきれて
やっと面白いと言えるような作品なんじないかと…

1回観ただけじゃ好きになるのは難しいような気がします


だけど、戦闘シーンはやっぱりカッコよくて
そこで若干持ち直せてもいる

戦闘がカッコいいからある程度は満足度を得られます

特にF91とラフレシアの戦いはすごく良かった
これを見れただけでも納得はできるかなと思う

質量を持った残像とか意味不明だけど
なんかカッコいいし

戦闘シーンはガンダムらしい派手さもあって
かなり楽しむことはできました

 

ストーリー、世界観、設定など
普通に面白くなり得る素材が多いだけにすごくもったいないですよね

これはテレビシリーズで観たかった
長い時間かけることができるテレビアニメなら
絶対に面白くなっていたと思います
1年かけた作品ならいろいろ深掘りもできただろうし

ただ、映画だからこその作画の力の入れ具合もあると思うので
そういった点では劇場版でよかったのかもしれない

新たなガンダムの形として作られた作品だけど
未だに続編が作られていない理由は
本作を観て納得させられました

 


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