どうもきいつです
ホラー映画「超擬態人間」観ました
赤子を抱える男の幽霊を描いた伊藤晴雨の幽霊画「怪談乳房榎図」に着想を得て
幼児虐待をテーマに描いたホラー映画
監督は「狂覗」などの藤井秀剛です
あらすじ
ある朝、風摩は深い森の中で目を覚まし
傍らには息子の蓮がいた
風摩は状況を呑み込めず混乱する
一方、山中を車で走る結婚間近の男女とその女性の父親は慣れない道に迷い
その挙げ句、車が故障してしまう
そんなか彼らに謎の男が忍び寄る
感想
攻めたことをやってるし
面白いことをやろうとしてるのはわかります
ただ、基本的にわかりづらかった
映像もストーリーもよくわからない
そこにすごくストレスを感じてしまいました
以前から気になっていたので
観に行ってきました
なかなか攻めたホラー映画ということは聞いていたので
刺激的なものを求めて行ってきたわけですが
そこは期待通りかなり満足です
なかなかグロい描写は多かったし
独特な雰囲気にはとても魅力を感じました
とてもクセの強い作品なので
苦手な人はとことん苦手な映画だと思う
日本のホラーでは珍しいスラッシャーホラーなのも新鮮でした
日本のホラーは心霊系が多くて
こんなタイプの映画はあまりないし
そこはかなり楽しめる要素だと思います
それに様々なホラー作品のオマージュも散りばめていて
そこもなかなか面白いと思います
「悪魔のいけにえ」「死霊のはらわた」など
それ以外にも海外のスプラッターホラーの影響はかなり受けている
ホラー好きならわかるようなものが多いです
そんなオマージュを探すのも楽しいかも
それもあってか
評判はなかなかいいです
絶賛してる人も多い
ただ、個人的にはそこまでハマりませんでした
確かにコアなホラー映画ファンなら
オマージュにテンション上がったり
攻めた作風に好感が持てたりもするでしょうけど
それを取っ払ってしまうと
別にそんなに面白い映画ではないような気がする
僕がこの映画を微妙だと思う1番の理由は
すごく見づらい映画というところ
最初から最後まで全部が見づらくて
かなりストレスでした
まず映像なんですが
基本的にブレる映像が多くてかなり見づらい
最後までそんな感じて続くのてかなり疲れます
別にブレる映像自体はそんなに嫌いじゃなくて
ブレているほうが臨場感が生まれたり
不安感を煽られたり
安っぽさを誤魔化せたり
そんな効果はあると思います
でも、本作の場合は
あまりにもそんな映像ばかりになっていて
肝心の見せ場のシーンですら
何をやってるのかわからない状態なんです
この映画のメインとも言える鮮烈なスプラッターシーンに関しても
すごく画面が揺れたり切り替わったりで
何が起きてるのか全然わからない
誰が何をしたのか?
誰が殺されたのか?
どう殺されたのか?
そんなのが全然わからない
スプラッター描写を誉めてる人もたくさんいるけど
僕は全然納得できていない
もっとちゃんと見せろよと思ってしまいました
確かにやってること自体は攻めていてかなりグロテスクだったりはするけど
それがちゃんと伝わらなかったら意味なくない?
それとセリフなんですが
これが本当に聞き取りづらいです
何を言ってるのかわからない時が多かった
ボソボソと喋ることでリアルさや臨場感は出せると思います
多少聞き取りづらい箇所があるくらいなら
いい効果にもなるでしょうけど
本作はちょっと多すぎるかなと思う
聞き取りづらさが尾を引くというか…
今なんて言ったの?
と無駄に気になって集中を削がれる部分がかなり多い
ボソボソ喋りゃリアルってわけでもないし
せめて重要なセリフははっきり喋ってほしい
そして、ストーリーや設定なんですが
これも本当にわかりづらい
考察しがいがあると言う人もいるかもしれませんが
本作の場合は無駄に難解と言うか…
難しいと言うより伝わってこないと言うほうが正しいかも
すごくいろんなことをやってるんですよ
児童虐待や原発など社会問題の要素を入れるインテリな感じとか
人体実験やクローンなどSF要素を盛り込んだり
それぞれのキャラクターにも細かい設定があったり
それを様々なホラー映画のオマージュをもって
スラッシャーホラーとして作り上げている
もうね…詰め込みすぎなんですよ
どれか1つの要素でも1本映画を作れそうです
あまりにごちゃごちゃしていて
結局、何を見せたい映画なんだよ
と思えてくる
児童虐待が最大のテーマらしいですけど
それですら児童虐待について何を伝えたいのかわからない
虐待をすれば
それから身を守るために子どもは
虐待するような大人に成長するってこと?
よくわからん
SFっぽい設定も説明はほぼされず
最後まで全貌は掴めません
最後まで謎を残すというやり方は嫌いじゃないけど
この映画の場合はマイナスな気がする
こんなスラッシャーホラーって爽快感が必要だと思うんですよ
ただ、本作の場合は爽快感が全くない
何故ないのかと言うと
謎が多すぎるから
いろいろと詰め込んでややこしくしてるから
肝心のホラー部分が霞んでしまう
常に無駄にいろいろと考えさせられてしまうんですよね
今どういう状況なのかとか
クローンてことはこれはどの風摩なのかとか
そっちばかりに気をとられてテンポも悪く感じる
他にも登場人物の設定も無駄にややこしい
詐欺師の親子や騙されている男
結婚式場の案内人
研究所の男
この人たちって正直言ってどうでもいいキャラ
でも、細かくキャラ設定があって
それがすごくややこしい
それがノイズなんですよね
スラッシャーホラーなんて主人公だけ細かい設定があれば十分で
それ以外は適当でいいと思う
無駄に設定が細かいからすごく散る
てか、この映画って主人公誰だよ
もっとシンプルにするほうが絶対によかった
で、こんなタイプの映画の理想の形って
映画を観てるときは鮮烈な映像にテンションを上げて
あっという間に観終わって
その後に考察できるような深さがあれば最高だと思う
でも、本作は
映画を観てる最中も無駄に考えさせられて
そのせいで鮮烈な映像に集中できず
詰め込みすぎだから何を伝えたいのかもわからない
テンポが悪いし爽快感も無い
すごく長い時間に感じました
やりたいことはわかるんですけど
もう少し観客が見やすい映画を作ってほしい
なんか自己満足な映画なんですよね…
観客に不親切な映画だなと思いました
アイデアはとても面白いし
インパクトのある映像もたくさんある
音の使い方も上手くて恐怖心を煽られます
そんないい部分もたくさんあるからもったいない
邦画にしてはかなり攻めた映画で
その点はやっぱり評価されるのが当然だと思います
ただ、こういう映画は
何も考えずに楽しませてくれるのが1番
見せ方が悪くて
無駄に考えさせられる映画で
最後まで全然乗りきれませんでした