何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「MEN 同じ顔の男たち」感想 地獄のおじさんマトリョーシカ

どうもきいつです


ホラー映画「MEN 同じ顔の男たち」観ました

とある田舎町を訪れた女性が
同じ顔の男たちと遭遇し奇妙な現象に見舞われるホラー作品
夫の死を目撃したトラウマと目の前に現れる同じ顔の男たち恐怖に対峙する女性の姿が描かれます

監督は「エクス・マキナ」などのアレックス・ガーランド
主演は「もう終わりにしよう。」などのジェシー・バックリーです

 

あらすじ
夫の死を目の当たりにしたハーパーは
心の傷を癒すためイギリスの田舎町に訪れる
豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリーの出迎えを受けそこで過ごすことになる
町を散策するハーパーだったが
そこで出会う男たちは皆同じ顔だった
そこから彼女は奇妙な出来事に見舞われていく

 

感想
正直言って意味がわかりません
起承転結のあるストーリーでもなくて
結局、なんかよくわからん
ただ、映像の美しさや所々の恐怖演出など
最後まで観させられてしまう魅力もある
特に終盤のアレはグロいけど見入ってしまった

 

予告を見て気になっていたので観てきました
同監督の「エクス・マキナ」はなかなか面白い作品だったので本作にも期待していた

で、率直な感想は
なんか意味わからん


最後まで観ても結局どういうことだったのかわからないタイプの映画ですね

この時点で好き嫌いが分かれるであろう作品です

特に起承転結のあるまともなストーリーが好きな人からすれば
本作にはあまり好感を持てないかもしれません

僕はと言うと
意味がわからないなりにも
それなりに楽しめました

この映画の気持ち悪さはかなり好きかもしれません
ホラーとしての怖さも感じることができました


本作は考察ありきかなって作風で
いろいろと意味は込められていると思います
観終えた後に考察するって楽しみかたもありかな

ただ、僕は深く考察できるほどこの映画を理解できなかったし
未だに意味不明な映画だったな
という印象しかありません

なんとなく理解できるような気もするけど
やっぱり全然しっくり来ない

 

とは言え
この映画はあまり意味を考えすぎなくてもいいのかとも思います
雰囲気を楽しむだけでも成立してる気もする

むしろ、あまり考えすぎると変に疲れるというか…

何も考えずに観る方が単純に面白く観ることができるんじゃないでしょうか

本作はそう思わせてくれるほど映像や演出に魅力がある
それだけで最後まで観せられてしまうわけですよ

やはり、印象に残るのは美しい映像です

大自然の映像が単純に美しく思え
その美しさに引き込まれていく

でも、ただ美しいだけでなく
美しいからこそどこか不穏で不気味さすら感じます

これは「エクス・マキナ」にも共通しますよね
美しい反面、不気味な世界観
決してわざとらしく不気味に表現しているわけではないのに
何故か気持ち悪くて居心地の悪さを感じる映像です


そして、所々に散りばめられているホラーな演出
これも最後まで飽きずに観れる要因です

わかりやすくスリリングな場面もあれば
見ようによっちゃ笑ってしまいそうなシュールな場面もある

例えば
裸のおじさんが窓ガラス越しにこちらを覗いてるけど主人公が全然気づかないとか
あのシーンは正直ちょっと笑ってしまったけど
その後のスリリングな展開で結果的に怖かったですし

トンネルの向こうから奇声を発しながら走ってくるのとか普通に気持ち悪くてゾクゾクする

終盤になるとなかなか怒濤の展開で
意味はわからないけど怖いし気持ち悪いし
普通に面白いですよね


あと、個人的に良かったと思ったのは
劇中で全く顔が同じことに言及しないとこ

予告とかでは“同じ顔の男たち”をすごく煽っていて
さぞかし映画の中でその謎が解き明かされるかのような宣伝になってるけども

実際は同じ顔であることに全然触れないんですよ

主人公も気づいてるのか気づいてないのか同じ顔であることにツッコむこともなく
もちろん同じ顔の理由も解き明かされず
モヤモヤする人も多いかと思います

でも、誰もが気になりツッコミたくなるようなことを完全にスルーすることで
この映画がより気持ち悪くなってることは確かで

そんなモヤモヤでさえあえて与えられてるようにも感じるんですよね

 

そして、なんと言っても
この映画で1番インパクトがあったのが
終盤のアレですよ

おじさんからおじさんが無限に産まれてくるという地獄絵図
地獄のおじさんマトリョーシカです

マジでグロい
でも、なんかグロいと言ってはいけないような空気感もある
そんなとこもなんか気持ち悪い

この映像を観れただけで
本作を観た甲斐があったと思えました

それくらい衝撃的で刺激的
発想が斜め上のクレイジーな映像です
監督がこの映画でやりたかったのはこれなのかな

是非観て欲しいですね
ただ自己責任ですのでご了承ください


それに、この場面がただ気持ち悪いだけでなく
ここから本作の伝えたいことがなんとなく伝わってくるのはすごいですね

この映画って
おそらく男に対する不信感や男の愚かさを描いていると思う

主人公とその夫の関係性からそういうものは見えてくるけど
終盤のあのシーンでよりズドーンと響くと言うか

無限に産まれてくるおじさんを見る主人公の目からは
恐怖ではなく蔑みや哀れみを感じれる
それは女性の目から見た男の愚かさみたいなものだと思う
女性の母性に依存する男の幼児性ですかね

具体的な映像や言葉でそれを表現せず
抽象的な映像でそれを表現しているのはなかなか面白いですよね

単にグロくてインパクトがあるだけでなく
どこか知的な芸術性も感じれる

そんな部分も個人的に好感を持てる要因だったかもしれません

 

単純明快なストーリーではなく考察ありきのややこしい映画ではあると思いますが
映画の中に引き込まれる魅力は十分にあって面白く観ることができました

それに、何も考えずに観ても
この映画が表現したいものは必ず伝わってくると思います

考えるよりも感じるタイプの映画かな

 


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