何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「ロン 僕のポンコツ・ボット」感想 面倒くさいからこそ友情は深まる

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どうもきいつです


アニメ映画「ロン 僕のポンコツ・ボット」観ました

最新式のロボットと友達のいない少年との友情を描いたアニメ映画
ロボットと少年が本当の友情を探し冒険を繰り広げます
制作はロックスミス・アニメーション

監督を務めるのはジャン=フィリップ・ヴァインとサラ・スミスです

 

あらすじ
インターネット、写真撮影、ゲームなど様々な機能を備え
さらに、友達になってくれる上に友達を探してくれるロボット型デバイス“Bボット”
誰もがBボットと暮らす世界で
孤独な少年バーニーの元にやって来たのは不良品Bボットのロンだった
アナログでポンコツなロンに
バーニーは友達の作り方から教えることにするのだった

 

感想
シンプルでわかりやすい映画でした
よくあるストーリーではあるけど
そこで描かれる物語には心打たれる
人と人との繋がりの大切さを教えられました

 

なんとなく気になっていたので観てきました

観る前の本作のイメージは
よくある人間とロボットの友情みたいなものと思っていましたが
実際観てみてもその通りで
そんなにひねった内容の映画ではありません

子ども向けのシンプルで王道なSFファンタジーって感じのアニメ映画です

なのでかなり観やすい映画かなと思います
子どもなら十分に楽しんで観れます

そして、そんな王道な物語の中で
現代社会を映した要素も多くて
今の時代だからこそのメッセージ性を感じる作品でもありました

ただシンプルに友情をテーマに描いただけでなく
この時代だからの
友情のあり方や友情への向き合いかたを教えてくれる

そんな点では
とても子どもに見せたいと思わされる作品

 

本作はロックスミス・アニメーション初のアニメ映画ということなんですが
クオリティは普通に高いです

ストーリーも面白いですし
アニメ映像はとてもきれい
ディズニーアニメやピクサーにもそんなに負けてないんじゃないかと思う


アニメの動きや背景の美しさは
他のアニメの映画と遜色なく
世界観の表現は「ベイマックス」とかそっち系のに似てなくもないけど
デザインはそこそこ個性があったと思います


ストーリーに関しては
正直、ちょっとテンポは悪いかなと思いました

同じような場面を繰り返すことが多かったので
その辺は工夫してほしかった気がする

特にバーニーとロンの友情が深まるエピソードは似たようなパターンが多くて
中盤あたりは中だるみを感じてしまいます

2人が森をさ迷う場面はちょっと長かったですよね

もっとスピーディーに物語を進めてくれれば
さらに面白くなったと思います

とは言え
所々に派手なシーンがあったりしますし
スピード感のあるアクションもあったりするので
それなりにテンポの悪さは誤魔化せてました

それに、やはり終盤の盛り上がりがとても良かったし
結末もすごく良いので
終わりよければ全て良しで
全体の印象が良くなってます

結果的に面白い映画を観た気持ちになれる

部分的に見れば微妙なところもあるけど
総合的にはバランスよくなってたのかな
と思います

 

何よりも本作の良かったところは
友情というテーマの描きかた
これが心に刺さるようなものでした

本作の世界観は
万能AIロボットのBボットを1人1台持っている近未来で
ぱっと見ではありえない世界のようにも思えますが

よく考えればこのBボットって
現実世界で言うスマホそのもので
実はかなりストレートに現代社会を鏡に映したような作品
わりと社会風刺をした映画だったりします


便利な道具を使っているようで使われてしまっている人々が描かれ

Bボットを生み出した会社には
理想を追い求める開発者や利益を追い求める経営者がいたりする

もはや現代社会そのもののようにも思えてきます

そんな中でアナログなバーニーとロンの友情を描くことで
人と人との繋がりかたを教えてくれます


本作が1番言いたいことは
ネットが発達してSNSが普及し簡単に人と繋がれるようになったことへの警鐘
だと思うんです

SNSなんかを使えば
同じ趣味、同じ好み、同じ価値観の人たちと
すぐに簡単に繋がれ友達になれる
そんな人たちと何百、何千と繋がれるわけです
友達100人なんて簡単にできてしまう

で、そこには本当の友情はあるのか?
という問題提起をこの映画はしています


バーニーとロンの友情の築きかたは
めちゃくちゃ面倒くさくて遠回りです

ポンコツのロンに友達とは何かを一から教えて
でも、全く伝わっていなかったり
そんなポンコツ具合にバーニーはうんざりで
時にはケンカもしたり
すれ違ったり

そんなアナログで遠回りなやり取りを繰り返すことで
2人の友情が深まっていく

そんな面倒くさいことを繰り返すことで
本当の友情が育まれていくんです

全く違う者同士が
価値観や好みの違いを受け入れていくことで
より人と人とが深く繋がれる

バーニーとロンの2人を見ていると
根本的な友達の作り方を
もう一度思い出させてもらったような気がする


一方、バーニーとロン以外の人たちを見ると

Bボットによって相性ピッタリの人が簡単に見つかり
すぐに仲良くなれるし
Bボット自体も持ち主の理想の友達だったりする

これって全然悪いことではないし
コスパは最高だと思います

ただ、これって完全に損得勘定なんですよね
自分にとって得になる人と繋がりたい
損になる人は切り捨てる

それ自体は悪いことではないと思いますけど
友達ってそういうものではないとも思う

損得が関係なく一緒にいれるのが友達で
友達作りに打算なんかしてたら人と深く繋がることなんてできないです

SNSなんかで浅い繋がりに満足して
さらに、それをステータスとして誇ってなんていたら
将来的に寂しい人間になってしまいそうですよね

今の子どもはスマホを持ってるなんて当たり前で
だからこそ人間関係の築きかたに歪みが生じているのは否めない

本作はそんな未来への危惧を込めたメッセージを伝えようとしていたんじゃないでしょうか


でも、ただ問題提起をするだけでなく

本作のラスト
バーニーとロンが世界を変えてしまうという結末には
希望を感じさせられます

この結末は
個人的にもかなり好き

それにラストにはちょっと感動もさせられました

 

結果的にとても良い映画だな
という印象
こういう映画は子どもたちに見てほしいなと思います

シンプルな内容はとても観やすいし
メッセージもストレートに伝わってくるので
子どもにもしっかりと伝わると思う

エンタメ的にも楽しめる
面白い映画だったと思います