何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「シーフォーミー」感想 主人公が最低すぎて最後まで好きになれない

どうもきいつです


スリラー映画「シーフォーミー」観ました

視覚障害者の少女が強盗に巻き込まれ
視覚障害サポートアプリを利用して強盗集団に立ち向かう新感覚スリラー
カナダの作品です

監督はランドール・オキタ
主演を務めるのは実際に視覚障害者でもあるスカイラー・ダベンポートです

 

あらすじ
目の不自由なソフィは視覚障害者であることを逆手に取り
ペットシッターのアルバイトで訪れた豪邸で盗みを働いていた
しかし、そこへ武装し強盗集団が侵入してきた
命の危険を感じたソフィは視覚障害サポートアプリ“シーフォーミー”を起動する
彼女はアプリを通じて元軍人のケリーの助言をもとに窮地を切り抜けていく

 

感想
とにかく主人公が最初から最後まで最低
全く好きになれませんでした
ハッピーエンドっぽくなってるのが納得できない
アイデアや設定は面白いけどいまいち上手く生かせてなかったようにも思う

 

設定が面白そうだったので観てきました

視覚障害者がアプリを使って強盗に立ち向かうって設定はなかなか面白いですよね
それだけですごく興味を惹かれました

視覚障害者を扱った作品と言えば「ドント・ブリーズ」や「見えない目撃者」とかがあります
本作もそれらと似た作風ではあるけど
少し地味かな
まあ、低予算でしょうしB級映画って感じです


ストーリーはとてもシンプルで
視覚障害者の女の子が侵入してきた強盗集団に立ち向かう
という内容

その中で
視覚障害のハンデであったり
サポートアプリを利用して逃げたり戦ったり
が描かれるわけです

特にサポートアプリの存在が
こういう映画では斬新だと思いました

本来ならこのアプリ
アプリの向こう側にいるサポーターが
視覚障害の目となり指示やアドバイスを出して補助するためのもの

本作でも視覚障害者がアプリによってサポートを受けますが
家に強盗が侵入してきたという状況

ここをどうサポートを受けて切り抜けていくのか
という面白さがありました

サポーターの女性が元軍人でFPSゲーム好きで
主人公を操作して強盗を倒すって展開は
なかなか面白い発想でしたね

ハンデがあるからこそハラハラドキドキする展開も多くて
スリラーとしては楽しんで観ることができたと思います

 

障害者を扱う作品としても
ただの弱者としての障害者を描くだけでなく
本作の場合は主人公を悪い人間として描いている

障害者だからってみんな善人ではないし
みんなが助けを求めてるわけでもない
本作は障害者を一人の人間として描いてるんですよね

そこには
障害者を腫れ物扱いする現状に一石投じたかったのかなと思わされた


それなりに楽しめるスリラー映画にはなっていましたが
本作にはすごく引っかかる部分があって

それは主人公があまりにも最低すぎる

そのせいで観終えた後はめっちゃモヤモヤしてしまいます


さっきも言いましたけど
本作は主人公をただのか弱い障害者として描くのではなく
強かでズルい人間として描かれています

これは意図してのことなのは理解できる

ただ、最後までこいつが全然成長しないし改心もしません
さらにこいつのせいで事態は最悪の方向にどんどんと転がっていく
挙げ句の果てには被害者面

正直、この主人公には全く好感を持てないし共感もできない

それならそれで
結末を後味の悪いバッドエンドにしたりすれば
そこに意味を感じる可能性はあります

しかし、本作のラストは
主人公のソフィが心を入れ換えて新たな人生のスタートを切る
みたいな終わりかたなんですよ

これが本当にスゲー嫌な終わりかたでしたよね

ソフィは全くお咎めなしで
いまいち改心したそぶりもなく
ただ窮地を切り抜けたというだけて
こいつ1人だけがすっきりして終わってる

この女、4人も人殺してるし
こいつのせいで警察官も死んでるし
盗みをしてたことは有耶無耶だし

最後にハッピーエンドっぽくなってるのがめっちゃくちゃ気持ち悪いです

新たなスタートを切るのなら
警察に捕まって檻の中からでも始めてくれなければ納得できないっすよ

 

それと倫理的にどうなのかと思う部分もあります

アプリのサポーターの人がソフィに指示を出し
強盗たちを銃で倒していく場面がありますが

ここはエンタメ的に面白いシーンにしたいのはわかるんです

でも、強盗たちが殺されて仕方ないほどの悪なのか?
と思ってしまいました

この強盗たちは確かに悪い人間ではあるけど
普通に話が通じるし
事態が悪くなれば最悪の事態は避けようとする

ソフィが強盗に立ち向かう場面では
強盗を殺すのが正当防衛みたいになってたけど

そもそも、ソフィが強盗に取り引きを持ちかけたのが事の発端だし
その後も状況が変わればコロコロと言動を変えて被害者面

強盗が人を殺してしまったり
ソフィの命を狙ったりするのも
ソフィが仕向けてるようなもんですからね
強盗たちの行動はソフィの自分勝手な言動に左右されてるんです

ある意味、強盗たちも追い込まれて選択肢が無くなってるわけですよ

強盗たちが不可抗力でそうするしかないのに
FPSゲームのように戦う場面を見せられてしまうと
単純に印象が悪い

話の通じない極悪人とか
問答無用で殺しにくる殺人鬼とかなら
そんな見せ方でも印象が悪くならなかったと思うけど

本作の場合は観ていて倫理観を疑ってしまう

 

あとは、もっと設定を生かした展開も見せてほしかったですかね

FPSっぽい戦いかたとかは
倫理的なことは置いといて
見せ方としては面白かったてす

でも、それ以外は
アプリを通して主人公が遠隔操作される
って設定が面白く機能してる場面は無かったかな

ソフィが取り引きを持ちかけてからは
アプリなんてそっちのけだし
終盤のではマホの充電が切れてから運だけで戦ってたし

サポートアプリを使ったギミックがもっとあってもよかったかも

スマホの充電が切れるのは予測できたけど
それでアプリが蚊帳の外になってしまうのがもったいないですよね

それと、目が見えないことでもっとピンチを作ったり展開を広げることもできたと思う

ただ逃げてるだけ
ただパニックになってるだけ
ってのが多くてちょっとつまらなかった

 

発想は面白かったけど
それを最大限に生かせてなかったですかね

それにしても主人公の描写にはもっとやりようがあったんじゃないでしょうか
いくらなんでも印象が悪すぎ

ここまで嫌いになれる主人公はなかなかいないと思います