何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「トゥモロー・ワールド」感想 映像は素晴らしいと思う ただ、物語は漠然としすぎ

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どうもきいつです


SF映画「トゥモロー・ワールド」観ました

人類に子供が生まれなくなった未来の世界を
舞台にした2006年のSFエンターテイメント大作
P・D・ジェイムズのディストピア小説
「人類の子供たち」を原作に描かれています

監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
などのアルフォソン・キュアロンが務めています

 

あらすじ
西暦2027年、人類は18年間の長期にわたり
子供が生まれないという異常事態が続いていた
そんなある日、国家官僚のセオが何者かに
拉致されてしまう
セオを拉致したのは彼の元妻ジュリアンが率いる
反対組織で、彼女らは世界をひっくり返すような秘密を掴んでいた

 

感想
多用される長回しのワンカットシーンは
臨場感が溢れていて
画面に引き込まれるような魅力がありました
ただ、ストーリーや設定には
そんなに魅力を感じれず
最後まで大きな盛り上がりを見せてくれませんでした

 

SF映画を観たくなったので
なんとなくこの映画を観てみました

内容や作風を知らずに観たので
良くも悪くも新鮮な気持ちで
この映画を観ることができました


すごく面白かったとは思えなかったんですけど
所々に素晴らしいものを感じることが
できましたし
最後まで飽きることはありませんでした

 

この映画で特に印象に残るのは映像です
映像のセンスが素晴らしいと思います

本作はかなりワンカットシーンが
多い作品なんですよ

今となっては長回しの多い作品は
かなり増えてきていて普通に使われてますけど
この当時ではまだ珍しかったんじゃないでしょうか

ワンカットと言っても
本当のワンカットではなくて
いろいろ編集や加工はされてるでしょうけど
ワンカットに見えるシーンをたくさん使っています


その見せ方もただ淡々と長いシーンを
見せるわけではなくて
長いシーンの中で状況の変化や時間の流れなどを
表現しいていて
とても臨場感を感じる事ができます


例えば、セオたちが車で検問所へ向かう途中に
暴徒に襲われるシーンでは
はじめはほのぼのとした空気感で
セオとジュリアンがふざけ合ってるんですが

そこから一転して
前方から暴徒たちが襲ってきて
ジュリアンが命を落とすという
かなり緊迫感のある空気へ変わっていくんです

状況が真逆へと変化していく様子を
1つのシーンの中で見せられるので
すごく感情が揺さぶられる

まるで自分もその場にいるかのような
臨場感を味わえるんですよね


終盤の戦場の中セオがキーと赤ん坊を
助けに行くワンカットの場面も
かなり見応えがありました

戦場の銃撃の中でセオが立ち回っているだけでも
かなりの緊張感なんですが

戦闘が激しくなっていくにつれ
徐々に緊張感も高まっていきますし
このギリギリの状況でのスリルも味わえます

そして、キーと赤ん坊を救ってからの静寂の場面

観ていると頭がクラクラしてくるような
すごい場面になっていると思う
迫力もものすごいです

このワンカットシーンだけでも
とても面白いと思えます


本作の監督の後の作品もいくつか観てますが
「ゼロ・グラビティ」「ROMA/ローマ」
などにしても
とても映像にこだわりを持っている監督なんだと
思わされます

ワンカットというだけでなく
それぞれの見せ方も細かいですし
臨場感を大切にしている人なのかな
と思いました

 

そんな感じで
映像にはすごいこだわりを感じるし
素晴らしい映像に仕上がっているんですが

この監督の他作品を観ても思うことなんですけど

映像はすごい
でも、ストーリーはいまいちで
伝えたいメッセージもわかりづらい


すごい映像や作品の雰囲気で
観客を飲み込む力はあるんです

だから、この映画にしろ他の映画にしろ
絶賛している人はたくさんいます
僕自身も映像によってこの映画に引き込まれたし
面白いと思わされました

ただ、冷静になって考えてみると
物語の展開や世界観の設定などが
味気ないようにも思うし
結構雑なんじゃないかとも思える


ストーリーはとてもシンプルで
わかりやすい流れなんです
世界の希望である赤ん坊を目的地位に送り届ける
ただそれだけの話


そんなシンプルなストーリーを
とてもテンポ良く見せてる映画でもあって
とても観やすい作品なんですが

テンポが速すぎて
感情があまり追いつかないんですよね
余韻とかが全然無いんですよ


次々と人が死んでいったり
出会いと別れの多い物語で
そこにはいろんな感情が渦巻いているはず
なんですけど

そういった感情表現はあまり無く
とにかく主人公がミッションをこなしていってる
だけの映画になってしまってる

ジュリアンが死んだ場面でも
セオにとって大切な人だったはずですが
そんなに感情的になることも無く
さっさと次の展開に移り変わっていきます

キーの出産の場面でも
子供はありえないほどあっさりと産まれていますし
その後は幸せをかみしめるというわけでもなく
すぐに次の話へと流れていきます


こんな風にキャラクターの心情の変化や
感情の余韻などよりテンポが優先で
感情移入がとてもしづらいです
観ている側が気持ちを揺さぶられるようなことが
全然無いんですよ

だから、この映画が
無機質で作業的な印象になってしまう
映像の面ではリアリティがあるのに
物語にはリアリティを感じれないんですよね

 

そして、世界の設定や主人公の目的などが
あまりにも曖昧で漠然としている
というのもちょっと問題だと思う


設定に関しては

子供が産まれなくなった出生率0%の世界
イギリスへの世界中からの移民問題
奇跡的に妊娠したキーの存在

これらがこの映画の中でも
特に重要な要素なんですけど

この設定がことごとく漠然としている
なぜそうなったのかということが
全く掘り下げられないんです


子供が産まれなくなった原因は
完全に不明です
男性の異常なのか女性の異常なのか
何が原因でそうなったのか

そういうことはどうして起きたかわからないけど
なぜか起きてしまって世界が危機に陥っている
ってだけで済ましてしまう

キーの妊娠も
奇跡的に起きたこと
ただそれだけなんですよ


移民問題にしてみても
なんでイギリス以外の国が
崩壊してしまったのかは不明

移民を拒否している理由も
明確に説明されていないです

そもそも、少子化と移民問題は
全く別物だろうと思うんですけど
1つの原因があるから起きているように
語られています

そこにいまいち納得できない

原因が1つだったとして
それらの因果関係を説明してくれないと
こっちは全く腑に落ちません


そんな設定の曖昧さが
物語の終着点も曖昧にしてしまっています

 

主人公セオがキーと赤ん坊を
トゥモロー号という船に
送り届けようとするんですが

このゴール地点自体が曖昧過ぎるんですよ
送り届けたことで何が起きるのかは
全くわかりません

まず、赤ん坊がこの世界にとって
どう重要なのかが全然説明されない

この存在によって世界が変わるかのように
物語は進んで行きますが
なぜ変わるのか
どう変わるのか
そういった所は最後まで曖昧なまま


それに、終着点であるトゥモロー号も
結局なになのかは不明なんですよ
世界にとってどんな存在なのか
何をしている船なのか
そんな説明は全くありません


そんな曖昧な目的や
どんな重要性があるかわからない赤ん坊を
めぐって
命懸けで送り届けようとするセオや
赤ん坊を奪おうとする人間たちを
描いているんですけど

正直言うと
コイツら何やってるの?
と冷めた目で見てしまいますよね

結局、全員何やってるかわからないんですもん
世界のために戦っている風には
見せていますけども
こんなのは茶番にしか見えないですよ

この結末には
希望なんて感じれないし
何も解決なんてしていません

全部を奇跡で済ましてしまってる感じが
ちょっとバカっぽくも感じましたね

 

そして、この作品の
メッセージ性に関しても
少しわかりづらさを感じます

風刺的な要素もたくさんあると思いますが
いろいろと詰め込み過ぎで
まとまりが無いように思う

少子化、難民、テロ、紛争などの
様々な問題を取り上げているんでしょうし
それらの問題提起でもあると思いますが
何を中心に考えればいいのかわからないんですよね

なんかゴチャゴチャしてるんです

それに深いようで
そんなに深くないようにも思います

全てがストレートに描かれているので
ちょっと表面的に触れてるだけの気も
してしまうし
設定が曖昧というのもあって
テーマ自体も曖昧になってました

最終的には何を伝えたいのかということが
全く伝わってきませんでした

 

映像に関しては
素晴らしいレベルの作品でしたが

それ以外はあまりにフワッとしているので
いまいち面白さに欠ける映画でした

プラマイゼロくらいの映画だと思う

 


トゥモロー・ワールド [Blu-ray]

 

 

映画「よこがお」感想 語りすぎないからこそ想像力を掻き立てる

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どうもきいつです


サスペンス映画「よこがお」観ました


不条理な現実に巻き込まれた1人の善良な女性の
絶望と希望を描いたサスペンス
無実の加害者へと転落していく主人公の姿が
描かれていきます

「淵に立つ」などの深田晃司が
監督を務めています

 

あらすじ
訪問看護師の市子は周囲から熱く信頼されていた
なかでも訪問先の大石家の長女の基子には
勉強を見てやるほどの中で
基子は市子に憧れ以上の感情も抱いていた
ある日、とある事件をきっかけに市子の人生は
狂い始める

 

感想
とても暗く重苦しい内容
でも、すごく引き込まれる映画でした
気持ちのズレが生み出す悲劇は
観ていてつらい…
絶妙な人間の感情を描いていた作品でした
ただ、ちょっとチープさも感じてしまう作品

 

予告でこの作品を知って
面白そうだったので観に行ってきました

はじめのイメージ通りの
なかなか重たい映画でしたね

観終えたときは何とも言えない気持ちに
なってしまいました


人の様々な感情を複雑に描いていて
そこから生まれる理不尽を見せてくれる
そういうのを見ているととてもモヤモヤしますし

この映画を普通のミステリーやサスペンスとして
観てしまうと
劇中の事件や出来事を
全て描き切っているわけではないので
消化不良にも思ってしまう

ラストに関しても明確に何かが
解決するわけでもなく
こちら側に答えを委ねるような終わり方です

なので、後味がそんなに良くない映画かもしれないですね


でも、その中で描かれている人間ドラマは
重たいながらも心に刺さるものがあるし
主人公の市子もとても魅力的だと思う

説明が極端に少ない作品ではあるんですが
物語はシンプルでわかりやすく
見せ方も上手くてとても観やすい映画でした

登場人物のバックボーンや
人柄、その時の状況など
言葉では全然説明がありませんが
映画を観ているとなんとなく
それぞれの人間がどういう人間なのかが
わかってくる


作品の構成は
市子が甥が起こした事件により
不幸に転落していく過去のパートと
市子を陥れた基子へ復讐を図ろうとする
現在のパートに分かれていて

それを交互に画面を切り替えながら
物語が進んで行きます

過去と現在に行ったり来たりする
ちょっと複雑な構成ですが
そこに関してもとても観やすくなるように
工夫されていました

冒頭の始まりシーンで
市子が美容院で髪を染める場面で始まるので
ビジュアル的に現在の市子は髪を染めていると
印象づけられ

市子の姿を見るだけで
それが過去なのか現在なのかが
判断できるようになっています

なので、時間が切り替わっても
混乱するような事は全く無く
余計なところに頭を使わなくてすみます


そういうところを
わかりやすく作っているからこそ
人間の複雑な感情や言葉で語られない部分だけに
集中して観ることができたんだと思います


そして、話の流れ的には
とてもわかりやすい内容の作品なんですが

その中で描かれている出来事や
登場人物の内面なんかは
かなり説明不足なんですよね

特に基子なんて何考えているかわからない
変な女にしか見えないんですが

でも、よく観ていれば
細かい演出や会話のやり取りなどで
人間関係や状況がなんとなく見えてきます


喫茶店で勉強を教えている場面では
基子と妹のサキの市子への距離感の違いで
2人の市子に対する気持ちの違いが
感じる事ができます

サキにとっての市子はやっさしいおばさん
って感じの接し方ですけど
基子の場合は他人以上に好感を抱いている
というのが伝わってくる


市子と婚約者の戸塚の関係性も
ただ2人で雑談しながら歩いているだけなのに
なんとなく2人の関係性が伝わってきます


こういうのは
セリフや演出だけでなく
役者の演技力の賜物でもあるんでしょうね

それだけ本作には
演技力の高い役者が揃っていた
ということだと思います

 

そして、本作は
市子が理不尽な運命に翻弄される姿が
とても重要な作品なんですが
それと同じくらい基子の存在も重要だと思います

「よこがお」というタイトルは
横顔を見るとその反対側の顔が見えない
という人間の2面性を意味していると思う

だから、この映画では市子の
過去と現在の姿を交互に見せているんだと
思うんです

そこで描かれるのは
堅実に生きるも理不尽に不幸になる女性と
自分から全てを奪った人間への復讐に
憑りつかれた女性の姿

これだけでも見応えがあって
面白いんですが

基子の存在がさらにこの映画の面白さを
際立たせていると思います


市子の場合は
観る側に左右の横顔を
両方見せてくれるのだとすれば
基子は片方の横顔しか見せてくれない

その基子の見えない横顔を想像するのが
この映画の面白さなんじゃないかと思う


市子は主人公でこの物語の中心人物
ということもあり
彼女のいろんな面はほとんど映画内で
描かれきるわけです

それに対して基子は
感情もいまいち読み取りづらいし
やってることは支離滅裂にも思える

でも、細かい描写を追っていけば
彼女の想いもなんとなく掴めます


過去での基子は
ある程度ヒントもあるから
だいたいの彼女の気持ちは予測できるんですが
現代のパートでは
基子がほとんど登場しないんですよね
復讐後の彼女の反応も全く描かれません

だからこそ想像力が掻き立てられる

あの事件のあと基子はどんな気持ちだったのか
現在はどんな思いで生きているのか
復讐を受けてどう思ったのか
とかいろいろと考えさせられてしまいます


最終的には復讐が失敗に終わってしまった
という感じになってますけども
復讐は成功しているようにも思える

あの送られてきた写真を見て
いろんな意味で基子は
すごく傷ついたんじゃないのかな
とか想像してしまいます

事件の後、市子だけでなく
基子もすごく苦しんだんじゃないのかとも
思えますよね


そんな風に余白の部分を楽しめる
映画でもありました

 

ただ、ちょっと気になるとこもあって
なんかチープだな
と思ってしまうところがいくつかあります


まず、復讐の方法が
彼氏を寝取るって
ちょっと安っぽい感じがしてしまいました

なんかもっと他に方法が無かったのかな
とか考えてしまった

2人が結婚してるわけでもないし
付き合いたてのバカップルでも
ないですし
そりゃ別れることもあるだろと思う

それが復讐として
あまり成り立たないような気もして
ちょっと変に思ってしまいました

 

それと、マスコミやメディアの扱い方も
ステレオタイプで
ちょっと古臭さも感じてしまう

こういうマスコミやメディアの
問題点を映画の中で見せるという
意味も込められてるとは思うんですが

それの表面的な部分だけを
見せてるような気がします

確かにマスコミなどが
エンターテイメント的に事件を取り扱ったり
売り上げのために過剰な行動に出たり
問題点はたくさんあるし
僕自身もそういうのは好きじゃない

でも、この映画でのマスコミの描き方は
あまりにも一方的に思える
マスコミが悪の根源のようにも
見えてしまいます

でも現実はそう単純な問題でもないと思う
マスコミにも問題点はありますが
それを求めている側も存在するわけで


そういう問題も
ただ1面だけを見せるけじゃ
結局、マスコミとかとやってることが
変わらないんじゃないのかと
思うんですよ

人間ドラマを多面的に見せることは
できているんだから
こういった部分も多面的に見せることも
できたんじゃないでしょうか

 

ちょっと文句みたいなことも言いましが
面白い映画だというのは間違いないです

人間のいろんな感情を丁寧に描いている
とても素晴らしい作品だと思う
サスペンスというより
恋愛映画かもしれない

 


よこがお

 

 

映画「シークレット・ウインドウ」感想 ストーリー弱い オチが弱い ジョニー・デップは強すぎる

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どうもきいつです


サスペンス映画「シークレット・ウインドウ」観ました

スティーブン・キング作の
「秘密の窓、秘密の庭」を映像化した
2004年のサスペンススリラーです
とある小説家を襲う奇妙な事件を描いた作品

監督は「パニック・ルーム」「スパイダーマン」
などの脚本を手掛けてきたデビッド・コープが務め
主演はジョニー・デップです

 

あらすじ
人気作家レイニーの前に
レイニーが自分の小説を盗作したと言う
謎の男シューターが現れる
身に覚えのない言いがかりに彼は困惑するが
その日から周囲で奇妙な出来事が起こりだす

 

感想
全体的に地味すぎる印象
結末も大体予想通りだし
ちょっと微妙な映画でした
ジョニー・デップの演技は面白い

 

テレビで放映されていたので
観てみました

今までも何度かテレビでやっていたのを
観たことありましたが
最後まで観れていなかったんですよね

今回初めて最後まで観れました


なかなか不気味な雰囲気のサスペンスで
それだけなら好みの作風なんですけど
少しパンチが弱かったように思いました

全体的に地味に物語が進んでいて
淡々としすぎなのでちょっと退屈

印象に残るシーンってのも
全然の無いように思う

あまり記憶に残らない映画でしたね


物語は主人公レイニーが
盗作していると難癖つけてくる
変な男シューターに付け狙われ
嫌がらせをされるという
ご近所トラブルみたいな話

そのシューターが一体何者なのか
本当の目的は何なのか
という謎がこの作品の中心です


基本的にジョニー・デップが演じるレイニー
ばかりの映像が続くジョニー・デップの
一人芝居の独壇場みたいな映画で
それ自体は面白いしジョニー・デップの演技が
堪能できて楽しめるんですけど

終盤くらいまでこの映画の中では
レイニーとシューターの不毛なやり取りが
ずっと続くだけで
正直、かなり退屈なんですよ

そのやり取りが
知的な駆け引きだったり
ユーモアのある会話とかだったら
面白く観れると思いますが

盗作した、やってないの
繰り返しが続くだけなんで
すごくつまらないんです

しかも、2人はお互いを跳ね除けるだけで
話が平行線のまま
全然物語が進展していかなくて
だんだんと観ているのがしんどくなってくる


やっと話が進んで行くのは
死者が出たあたりですけど
もう終盤ですし
そこまでが長すぎるように感じる

それに終盤になると
急激にいろんなものを詰め込んできます
短い中で謎の真相を
描き切ろうとしてるようにも思えて
なんだかせわしないんですよね


前半のすごくダラダラと進んで行く分を
結末に向けての展開の部分に
分けてあげればいいのにと思ってしまいます
時間配分のバランスが悪いです


それに、終盤になると
急にスラッシャーホラーみたいに
なってしまうのも
とても気になってしまう

ここまではホラーではなく
静かなサスペンスだったにもかかわらず
終盤にホラーをぶち込んでくるのは
ちょっとまとまりが悪く見えてしまいます

あまりにもこの映画が地味になり過ぎたから
最後に無理やりインパクトのある場面を
入れているようにも思えてしまいました


こうするなら前半部分もホラーっぽく
すればいいと思うし
その方がまだ記憶に残る映画になったかも

 

そして、この映画の結末が
すごく弱いんですよね

このオチは結構早い段階で
予想できてしまいますし
今の時代に見てしまうと
やりつくされた感もあります

ラストのオチが重要な作品の割には
新鮮味が全然無いです
サスペンスやミステリーが好きな人なら
こんなオチで驚くわけもなく
おそらく想定内の展開ですよね


とは言っても2004年の映画で
それなりに古い映画です

当時ならまだそこまで古臭いオチでも
無かったとは思うんですけど
だからって当時なら斬新だったわけでもないと思う

1999年の「ファイト・クラブ」も
こんな感じのどんでん返しですし
古くはヒッチコックの「サイコ」なんかも
同じような展開ですし

オチで引っ張る映画にしては
そのオチに既視感があって弱すぎると思いました

 

この映画での唯一の見どころは
ジョニー・デップの演技だと思います

彼特有のクセのある演技は
観ていてとても面白いです
すごく存在感が際立っている

これだけでもこの映画にはだいぶプラスに
なっていると思いますね

でも、これは諸刃の剣でもあると思うんです

ジョニー・デップが強すぎて
他のキャラがすごく薄くなっている

特に本作の重要人物シューターの
キャラクターとしての弱さが目立ってしまってる

シューターは何をしでかすかわからない
すごくヤバい奴なんです
家は燃やすし人は殺すし
そして、何を考えているかわからない
不気味な存在でもある

でも、キャストの風貌からしても
普通のオッサンにしか見えない

ただでさえキャラが弱いのに
主人公がジョニー・デップなので
その対比でさらにシューターの存在が
弱く見えてしまいます


そんなことになるなら
ジョニー・デップがシューターを
演じていれば面白くなってそうですよね

レイニーを冴えない見た目の役者が演じて
ジョニー・デップがシューターを演じれば
不気味さや恐怖感ももっと表現できそうです

ジョニー・デップには普通の人間より
ヤバい奴を演じさせた方が
より本領を発揮できるんじゃないでしょうか

キャスティングに関しても
ちょっとバランスが悪かったですね

 

全体的にとても地味だし
バランスも悪かったし
それらを補えるような衝撃的なオチ
というわけでもありませんでした

記憶に残らないような印象の薄い映画に
なってしまっていたと思います

ジョニー・デップの演技だけは
楽しめるんじゃないですかね

 


シークレット・ウインドウ [Blu-ray]

 

 

映画「バニラ・スカイ」感想 オチが全ての映画 ただ、そのオチが好きじゃない

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どうもきいつです


サスペンス映画「バニラ・スカイ」観ました

1997年のスペイン映画「オープン・ユア・アイズ」のリメイク作品
完璧な男に巻き起こる不思議な運命を描た
2001年のサスペンス作品です
舞台をニューヨークに移していますが
ストーリーはオリジナルとほぼ同じ

監督はキャメロン・クロウが務め
主演はトム・クルーズです

 

あらすじ
完璧な人生を謳歌するデヴィッド・エイムスは
ジュリーという恋人もいて何不自由も無いはずが
どこか物足りなさを感じていた
そんなある日、彼は親友の恋人ソフィアに
一目惚れしてしまう
それを知ったジュリーは嫉妬にかられ
デヴィッドとともに心中を図ってしまう
一命をとりとめたデヴィッドだったが
その顔は怪我のために見るも無惨に変り果てる

 

感想
思った以上に平坦な物語で
いまいち面白く思えなかった
ラストのオチは
なるほどと納得はできたけど
じゃあ何でもありじゃん
って気持ちにもなってしまう

 

オリジナルの作品は知らなかったんですが
オススメのサスペンス映画に
この作品が挙がっていたので
なんとなく観てみました


個人的にはあまり乗れない映画でしたね

映像や雰囲気はいい感じなんですけど
物語の展開には面白さを感じれませんでした

終盤までは
ほとんど平坦な物語が続き
最後のあたりだけちょっとサスペンスっぽく
なってくるんですけど

そこからのオチは
そんなに強いラストでもないように思ったし
オチがこんなんじゃ
さすがになんでもありすぎて
今まで見てきたのは何だったのか
って気持ちにもなってしまいました

 

まず、この映画の中心でもある
主人公デヴィッドのことを
最後まで全然好きになれない

とても傲慢で自信家
超大金持ちのデヴィッド
イケメンでモテモテだし
何でも自分の思い通りで

だからこそ自己中心的で
他人のことは蔑ろにする

そんな、なかなか嫌な主人公なわけです


ここまでは全然いいんです

それがデヴィッドの魅力だと思うし
重要なのはこの物語を通して
彼がどう変化するのかということです

スタート地点が最悪な人間性なので
ここからはデヴィッドのいろんな面を見ることで
彼に感情移入していって
最後には好きになってるんだろうな
と期待しながら観ていたら

結局最後まで好きになれなかった


物語の中でデヴィッドの成長や
心の変化などは全然見せてくれずに
この映画は終わってしまいます

確かにデヴィッドは
心の葛藤やソフィアとの恋愛などを経て
いろいろ経験を積み
後半では精神的に追い詰められたりもします

出来事はいろいろと起きてるんですよ
その中でデヴィッドが成長してるようにも
見えるんですが
結局根本的なものが全く変わっていない
それに過去の自分を反省したりも無い


本作では
デヴィッドの恋人ジュリーが
すごくヤバいストーカー女みたいな
見せ方をされてるんですけど

彼女がそうなってしまうのもそりゃ当然だろ
と思いますよ

全ての元凶はデヴィッドですからね
このクズ男が彼女を蔑ろにした上に
一目惚れした美女をちやほやしてるんですから
腹立つに決まってますよ

彼女にヒステリックな一面もあるんでしょうが
全ての原因はデヴィッドの言動が
引き金になっているわけで

デヴィッドの運命が狂いだすのは
因果応報と言えると思います

だからこそ彼はそんな過去や
自分の過ちに向き合う必要があるし
それを乗り越えることで成長できるはず


でもですね
彼は最後までジュリーが悪い
というスタンスは変えないんですよ

彼女のせいで自分の人生が狂ったと思ってますし
死んだ彼女に対しての罪悪感も全く無い
そもそも、デヴィッドには自分が悪いという
発想が全然無いんですよね

だから、事故の後は
自分の顔が傷ついたことで落胆するだけだし
自分とソフィアの恋愛のことで頭がいっぱい

ジュリーのことなんて一切頭に無いんです

再びジュリーが目の前に現れるまでは
彼女のことは完全に忘れてる

出てきてたら出てきたで殺してしまいますしね


そして、結末に向けて進みだすと

デヴィッドは自分の未来がどうとか
自分の人生をどうするべきなのか
自分にとっての幸せとは何なのか
という話になってしまう

コイツずっと自分の事しか考えてないんですよ
とんだナルシスト野郎ですね

デヴィッドとソフィアのラブストーリーを
純愛みたいな見せ方もしてるけど
デヴィッドが何も成長してないから
そこに全然説得力が生まれてません

たぶんコイツはソフィアの気持ちなんかより
自分が好きな人と結ばれたい
という気持ちしかないと思う

こんなヤツを好きになれるはずがない
感情移入もできないし
コイツが物語の中心ということに
だんだんとイライラしてきます

主人公に好感を全く持てないという時点で
この映画自体も好きにはなれませんでした

 

それだけではなく
物語の展開にもあまり面白みを感じれないです

この映画で見せられるのって
ほとんどがデヴィッドのイケてる私生活
なんですよ

どんなにカッコよくスタイリッシュに
日々を過ごしているか
というのをひたすら見せられます

そんな中で顔が傷ついてしまう事で
デヴィッドは人生のどん底
みたいになってますけども

そんなの大したエピソードじゃないし
最終的に傷も治ってしまう

ソフィアとの恋愛もただラブラブで
2人のイチャイチャを見せつけられるだけですし

山も谷も無い平坦で幸せなだけの
何の面白みも無い映像がずっと続く
こんなのの何が面白いのか


この幸せな時間が続いている
ということには理由があって
その理由には納得もできますけども

だからといってダラダラと
抑揚の無い場面を見せ続けられても
面白いわけがないし
見てる側からすれば退屈でしかありません

 

ラストに近づくと
サスペンス的な展開が起きて
大きな謎が生まれることで
物語に一気に引き込まれていきます

そこからは
物語の真相や結末に対する興味で
グイグイと引っ張られる

世界が崩れ出していく様には
ハラハラさせられますし
真実に対する好奇心が掻き立てられます


だからこそ
この映画の真相を知った時に
ダマされた気持ちになってしまう
悪い意味でです

 

この映画で一番の問題は
このオチだと思う

このオチを絶賛している人もたくさんいますが
僕は全然良いと思えない

ここからはオチの話なんで
ネタバレになってしまいます

 

言ってしまうと
この映画の結末は夢オチです

今までのは全部夢でした
っていう終わり方

夢オチってすごく難しいと思うんですよ
だからこそ
そう簡単に手が出せないんだと思う

普通に映画のラストで
今までのは全部夢だったと言ってしまったら
そこまでに積み重ねてきたものが
完全に崩れ落ちてしまう

本作はまさしくそうなっていると思います


終盤のサスペンス展開で見せてきた
謎めいた出来事や意味深な場面
それらが
夢だからおかしかったんですよ
と大雑把にまとめられる

そこには伏線も何もなく
ただ夢だからおかしなことが起きていた
という強引な理屈


そして、今まで見せられてきた
デヴィッドの物語もほとんどが夢の中の出来事
今までのラブストーリーも
実は全部夢だったわけです

じゃあ、自分たちは今まで
何を見せられてきたのか
と思ってしまう


僕が指摘してきた
デヴィッドが成長していないとか
物語が平坦でつまらないとか
そんなのを言うこと自体が
無駄なことだったようにも思えてきますよね

 

最終的には
このまま夢の世界に留まるのか
目を覚まして現実に戻るかの
選択を迫られるわけですが

これに関しては
もう興味ないですよ

なんか究極の選択を迫られてる
みたいな感じになってますけども
デヴィッドがどっちを選ぼうとも
どうでもいいでしょ

最後はすごい決意をもって目覚めますけども

現実の世界に困難があるかどうかも
全然わかりませんし
デヴィッドが現実の世界に執着する要素も
全然無いでしょうに
希望があるわけでも目的を持ってるわけでもない

強い意志への裏付けが無いから
応援する気にもなれないし
この後どうなるかも全く興味が持てない


むしろ、夢の中でずっと幸せに
暮らしていればいいんじゃない
って思いますよ

だってコイツは自分に都合に良い世界にしか
興味が無いようなヤツでしょ
夢の世界のほうがよっぽどお似合いですよね


ともかく
本作での夢オチは
とてもいい結末とは思えない
ただ今までの積み重ねを壊しているだけでした

 

こういう映画が
観て損する映画なのか
と思えますね
この映画を観て感じたことが
全て無かったことのようになってしまう

トム・クルーズがカッコいいので
彼を見て満足できるなら
それでもいいかもしれませんけどね

 


バニラ・スカイ [Blu-ray]

 

 

映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」感想 癒される映画 でも、ちょっと物語が弱いかな

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どうもきいつです


伝記映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」観ました

ホームレスのストリートミュージシャンと
野良猫の運命の出会いを描いた実話の物語
「ボブという名のストリート・キャット」を
原作に実写映画化した2016年のイギリス映画

監督はロジャー・スポティスウッドが
務めています
猫のボブはほとんどのシーンで
本物のボブ自身が演じています

 

あらすじ
ロンドンのストリートミュージシャンの
ジェームズは夢も果たせず、薬物に依存し
家族にも見放され、ホームレスとして
どん底の人生を送っていた
そんな彼のもとに迷い込んできた野良猫
ボブと名付けたその猫との出会いが
彼の人生を大きく変える

 

感想
ほっこりと心温まる
良い映画でした
ただ実話ベースの映画でもあるので
物語の弱さを感じてしまった

 

Twitterでオススメされているのを見て
とても気になり観てみた映画

動物ものの作品が無条件で好きということもあり
ボブに癒されながら最後まで観てしまいました


薬物依存であったりホームレス生活であったり
かなりハードな人生を送っている主人公を
描いたちょっと重たい内容の映画なんですけど

作風はポップで暗すぎないので
とても観やすい映画だったと思います

笑えるようなコミカルなシーンもありますし
映像もそんなに暗い印象を受けない
そもそも、主人公がそんなに暗い人間ではない
というのもあって
全体的に明るい雰囲気の作品になっていました

 

そして、なんと言っても
この映画の魅力は猫ですよね

茶トラの猫ボブがとても可愛くて
それだけで心が癒される
猫が好きな人なら
これだけでも満足できるかもしれませんね

ほとんど画面にボブが映り続けているような映画で
ちゃんと可愛く見えるように映されている
主人公はジェームズですが
ボブがメインと言っても過言ではないです

このボブがまたとても落ち着いていて
おとなしい猫なんですよ
それが何とも言えない可愛さを
醸し出している


しかも、このボブを演じているのが
本物のボブだということにも驚きました

撮影には複数の猫を
使い分けてはいるみたいなんですが
基本は本物が演じているみたいです

特にギター演奏中の
ギターに乗っているボブの場面は
本物でないと上手くいかなかったみたいですね

そんな事実を知ると
ボブという猫はすごい猫なんだな
と思いますよね
すごく賢い猫です

それに
明らかに普通の猫じゃない
不思議な力を秘めてる猫なんじゃないのかな
とさえ思えてきます


そういった点からも見てみると

人間と猫の絆を感じる事ができるし
ジェームズにとってボブは重要な存在
運命を変えるほどの大きな存在だったということが
より伝わってきました

ペットって
ただ人間を癒すだけのものではなくて
人生を左右するほどの重要な道しるべに
なりえる存在なんだな
と思わされる


それは、具体的に人生を
どう歩んで行けばいいのかを
教えてくれるわけではないですし
困った時に助けてくれるわけでもないんですが

存在するだけで心の支えになってくれたり
生きる活力を与えてくれたり
勇気を出さなきゃいけない時に
背中を押してくれたりもする


この映画でも
ボブは特に何かをするわけじゃないんですよね
ただいるだけなんです

ボブがいることで
人々に注目されていくということは
実際に起きるんですが
重要なのはそこじゃなくて

ボブがいることで変化していく
ジェームズの心が重要


ジェームズとボブが出会うことで
大きな変化は起きないし
大きなドラマが生まれるわけでもない

でも、ボブと過ごすうちに
ジェームズの心は着々と変化し
気づけば大きく心が成長しています


猫の存在と薬物依存から抜け出したことに
因果関係が無いと言う人や
物語の中で猫が全然機能していないと言う人も
いると思うんですが

僕は全然そうは思っていなくて

これは、ペットを飼っていたことがある人なら
わかると思うんですが

人間とペットの関係性って
家族や友達などの人間関係とはまた違い
人間と動物だからこその特有の絆があるんですよ

その絆には意味とか理屈とかは無くて
とても抽象的なことだと思う


この映画でのボブの存在も
物語としての意味は無いかもしれませんが
ボブがいることで何かはあるんです

そんな、抽象的なものを
本作は描けていたと思います

 

そして、この映画は猫だけじゃなく

人間の優しさ、人間は捨てたもんじゃない
という部分と
その反面の
人間の調子の良さ、嫌な部分なんかを
感じる事ができる映画でもありました


冒頭はゴミをあさるジェームズから
物語が始まり
薬物依存に苦しむ姿や
友達が薬物によって命を落としたりと
かなりキツい場面も多かったりします

そこから見えてくるジェームズの姿は
自業自得のダメ人間でもあるし
とても可哀そうな人でもある

そんなジェームズの周りの人間から
人間の良い部分、悪い部分が
とてもストレートに伝わってきました


ジェームズをダメ人間と分かった上でも
彼を更生させようと
ソーシャルワーカーのヴァルは彼を信用して
手助けしますし
彼の父親や隣人のベティも
彼に優しく支えてあげている

こんなところから
人間の優しさを感じられる
どん底の中でも光はあるんだと思わされます


その反面
今まではジェームズに見向きもせず
忌み嫌っていたような人たちが
猫をつれるようになってから
急に可愛いとか言ってちやほやしだす

最終的にはそれがきっかけで
彼の人生が本になるわけですが

なんかすごく嫌なものを見てる気分になります

ただ猫が可愛いからと
今まで無視していた人間をもてはやす
これに気持ち悪さを感じます

そして、それが実話で
この映画はそれを基に作られている
なんかすごい皮肉にも思えますよね

この映画を観て
猫が可愛い、感動した
と言っている自分たちも
そんな人たちと全く同じなんですよ


これは意図してるわけではないかもしれませんが
結果的にそう見える作品です

自分自身を見直さなきゃならない気持ちにも
させられました

 

最終的にはとてもほっこりする
良い映画なんですけど

物語が弱すぎるという
弱点があります

これは実話を基にしている作品で
劇的なドラマが無いのも原因かもしれませんが
猫の可愛さに重きを置きすぎたのも
あるんじゃないかと思う

猫の可愛い仕草や動き
猫視点の映像など
そういうものにこだわりすぎて
肝心のジェームズの気持ちの描写が
疎かになっている

ジェームズの心の葛藤や
成長の姿なんかを
もうちょっと丁寧に深く描いていただけでも
物語のメリハリが生まれそうですし
感情移入ももっとできていたと思う

ボブだけでなく
ジェームズの言動や心の動きも
しっかりと見せてくれれば
この映画がさらに深い作品に
なっていたんじゃないでしょうか

 

猫好き、動物好き
ペットを飼っている人なら
心に刺さる映画だと思います

猫の可愛さも堪能できるし
人間の暖かさも感じれる
とても暖かい作品でした

 


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映画「ファニーゲーム」感想 引くほど胸糞悪い ただ、その中には意味も込められている

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どうもきいつです


スリラー映画「ファニーゲーム」観ました

1997年のカンヌ国際映画祭で
そのあまりの衝撃的な展開に途中で席を立つ
観客が続出したという作品

とある家族が巻き込まれる悲惨な出来事を
描いたオーストリアのスリラー映画です
日本では2001年に公開されました

「愛、アムール」などのミハエル・ハネケが
監督を務めています

 

あらすじ
バカンスのため湖のほとりの別荘へと向かう
ショーバー一家
別荘についた一家は明日のボート・セーリングの準備を始める
そこへ2人の青年が現れ、そこから一家は悲惨な運命をたどることになる

 

感想
とにかく胸糞悪い映画
救いも何もない
面白い映画でもない
でも、この映画は素晴らしい

 

胸糞悪い映画といえば
この「ファニーゲーム」の名が絶対挙がると言っても間違いないほど
胸糞悪い映画の代表格的な作品

タイトルだけでも知っている人はたくさんいると思います

僕もタイトルは昔から知ってたんですが
なかなか手が出せずにいて
今になってやっと観ました


バッドエンドでとても酷い映画だということは知っていたので
耐えれるよう構えて観たんですが
それでも結構キツかった…

グロい映画や鬱映画とかもよく観るし
多少は耐性もあるので大丈夫かと思っていたんですが
すげー気分が落ち込みましたね…


今まで観た映画の中でもトップクラスで嫌な映画でした

こんな映画オススメできませんね
嫌われてしまいます

 

何がそんなに嫌な映画なのかというと

そもそも、全然面白い映画じゃない
エンタメ要素は皆無です

ストーリーはほぼ無い
スリル、サスペンス、ミステリー
そんなものは全くありません

ブラックコメディーなのかと言うと
そうでもないですし

ホラー映画のような
驚きや恐怖を楽しむような映画
というわけでもないんですよね


この映画で見せられるのは
ひたすら理不尽な暴力
その暴力には意味も無ければ理由も無い

純粋にただ暴力を見せ続けられるんです


暴力を受ける側のショーバー一家は
全く悪いことをしてるわけでもなく
落ち度があるから狙われた
というわけじゃないんです

暴力を振るう側の2人組には明確に目的があるわけじゃない
お金目的とか恨みがあるからとか
そんな理由が全く無い

それどころか快楽で人を殺してるようにも
見えないんですよね

この2人には理由も目的も無く
ただ暴力の権化のような存在です


この映画は
そんな意味も何もない
悲惨なだけの暴力シーンを最後まで
淡々と見せられるだけの作品なんです

だから、この映画を観れば
ただ嫌な思いをして
気分が落ち込んでしまうだけなんです


この映画が嫌いな人はたくさんいるでしょうね
好きになる要素なんて全くありませんから

 

ただ、僕もこの映画を観て
すごく嫌な思いになったし気持ちは沈みましたけど

そこに何か込められている
ということは感じれました

こんな映画だからこそ
なぜ作られたのかという意味が込められていると思います

この映画を観て感じた嫌な思いにこそ
この映画の意味が込められている

そこがこの映画で1番重要なところだと思う

 

本作はことごとく観ている側の想いとは
真逆のほうに進んでいきます

家族はただ理不尽に暴力を受け続け
逃げたとしても捕まってしまう
悪い奴らは最後まで裁かれることも無い
そして、この事件がなぜ起きたのかは謎のまま

この映画を観ていると
起きてほしくない最悪の状況へと
どんどんと進んでいく


これって普通の映画とは
全く正反対のことをしています

普通はある程度映画を観ている側の思っている方向へと話が進んでいく
だからこそ、それが気持ちいいし爽快だし楽しい
悪い奴が最後に成敗さえるから気持ちが晴れて
その物語に理由があるからスッキリする

それがエンターテイメントだと思うんです


あえてこんなことをしているのは
まるで普段そういう映画を観て楽しんでいる自分たち観客への挑発のようにも思える

実際映画の中でこちら側に語りかける場面がありますが
あれもこちらへ対する挑発なんじゃないでしょうか


この映画はリアルな暴力を映像を通して伝える
という側面が大いにあると思いますが

それ以上に
そんな暴力性はお前たちの中にもあるんだぞ
というメッセージが込められているのかもしれない


この映画が嫌いと言う人、不快だと言う人は
ただ暴力描写が苦手とか
頭のおかしい2人が気持ち悪いとか
それだけじゃないと思うんです

本作は意外と残酷描写が少ないんですよ
暴力を振るったり人を殺したりするけど
直接的には全然そこを映していない
グロテスクな描写なんかはほとんど無いんです

じゃあ何がそこまで気に食わないのかと言うと
たぶん自分の思い通りにいかないからだと思う

この映画が全然自分の思っている通りに
進んでいかないから
すごくモヤモヤするし
だんだんとイラついてくる

逃げれそうな場面でも絶対に逃げきれないし
誰かが助けに入ることも絶対にない
劇的なドラマなんて全く起きないんです

そういう思い通りにいかない事へのいらだち
ってのが芽生えると思うんです

それが最終的には
この悪い2人組が死ねばいいのに
って気持ちになってくる

どこかでこの家族たちが反旗を翻して
この2人に復讐して殺してほしい
って暴力的な気持ちが生まれてくるんです


それを一番思い知らされるのが
例の終盤に起きる衝撃的な場面

あのシーンは一見は唐突すぎだし
支離滅裂な意味のわからないシーンなんですが

あの場面で
1回だけ、観てる人たちはスッキリしたと思うんですよ
絶対気持ち良くなってるはず

そこからの巻き戻しで
また、あの気持ちの悪い世界へ
引き戻されちゃうんですけどね…


この場面を見た時に
「今、人が殺されて気持ち良かったでしょ?
お前らそういうとこあるよな」
って言われてるような気持ちになりました

ここで完全に
自分は監督の手のひらの上で転がされてるな
と思わされてしまった

今まで暴力が怖い酷い
と思っていたはずなのに
暴力を肯定してしまう自分がいることにも
気づかされてしまうんですよね


普段はアクション映画、ヒーロー映画
さらに漫画やアニメなどの創作物で
正義の味方が悪を打ち倒すのを見て
とてもスッキリ爽快な気持ちになります

これらの暴力とこの映画で描かれている暴力は
別物のように思うんですけど
同じ暴力には変わりないんですよね

悪いやつは裁かれるべき
殺されても文句は言えない
やられたらやり返すのがあたりまえ
という気持ちもあると思うんですが

じゃあ、正義って何なのか? 悪とは何なのか?
理由さえあれば暴力は許されるのか?
と言う話にもなってくる

善悪なんて曖昧だし
暴力で解決なんて愚かなことです

やられたらやり返すの理論が通るなら
本作で最初に手を出したのは家族の父親で
2人はやり返してるだけなんですよね


これは、そんなエンターテイメント作品を
否定しているわけではなく

そんな作品を観て楽しんでいる自分たちの内にも
実は本作で描かれているような
暴力的な心が潜んでいるということ

この映画を観ることで
自分に秘められた暴力性にも
気づかされると思います

 

本作は観ていて気持ちいい映画ではない
マジで嫌な気分になります
でも、だからこそ込めれるメッセージがあるし
それが伝わる作品でした

オススメできる映画ではありませんが
クソ映画ではありませんよ

 


ファニーゲーム [DVD]

 

 

映画「スクリーム」感想 全く中身は無いけど これぞホラー

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どうもきいつです


ホラー映画「スクリーム」観ました

脚本家ケヴィン・ウィリアムソンの手がけた
意表をつく物語が話題を呼び
大ヒットを記録したホラーシリーズの第1弾
マスクをかぶった謎の人物に
命を狙われる女子高生を描いた1996年のホラーサスペンス

監督は「エルム街の悪夢」など
多くのホラー映画を手掛けてきた
ウェス・クレイヴンが務めています

 

あらすじ
高校生ケイシーとその恋人が
マスクをかぶった者によって
惨殺されるという事件が起こった
やがて犯人はケイシーのクラスメイトでもある
シドニーに迫る
町には外出禁止令が敷かれるが
そんな中、学生たちは大はしゃぎしていた
そこへ殺人鬼が現れる

 

感想
今観るとちょっとベタ過ぎて
古臭くは感じますが
テンポ良く人が襲われてなかなか楽しい
お化け屋敷映画でした
中身は全く無いアホな映画

 

とても有名なホラー映画
でも、今回初めて観ました

あのオバケみたいな風貌は
昔からいろんな所で目にすることが
あったのですが
映画の内容についてはほとんど知りませんでした
殺人鬼が人を殺すってことくらいの知識しかなかった

昔の映画ですし
今観るとどうなのかな…?
とすこし不安もありましたが
観てみると案外楽しめました


確かに昔の映画ってこともあって
かなりベタな展開が多く
次に何が起こるのかとかは
安易に予測できてしまいますし
ホラーのパターンを踏襲したような
お手本のような作品でした

それでも、それなりに驚かされもしますし
ベタだからこその楽しさも感じれる

終盤の殺人鬼が本領発揮し出してからは
バタバタと人を殺していき
なかなかハイになる展開でした

血しぶき飛び散るスプラッター描写も
たくさんありましたし
ホラーとして見どころ満載だと思います


ストーリーの内容はかなり薄くて
ほとんど人が殺されてるだけの映画です
一応、どんでん返し的な犯人の正体とかも
ありますけど大体予想できますし

だからこそ軽い気持ちで観ると楽しめる
ポップコーンを食べながら観るのが丁度いい


それと、登場人物の女の子たちが可愛い上に
無駄にエロいというのも良かった
ホラー映画にはやっぱり無駄なエロさが
重要ですよね

特に主人公シドニーの友達テイタムが
めっちゃエロかった
すごくおっぱいデカいし
やたらピチピチの服着てるし
主人公よりそっちに目がいってしまいましたよ


そして、思っていたよりコメディーなんですね
タイトルからして絶叫する系のホラー
なのかと思ってました

意外とブラックコメディー的な要素が多かったです
でも、あんまり笑えはしませんでしたけど

そこはやっぱり古い映画だからなのかな
とは思います
今と昔じゃ笑いのセンスもズレてきますしね


サスペンス要素に関しては
今となっては犯人を
予測できてしまうかもしれませんが

公開当時であれば
結構、意外な犯人だったのかもしれませんよね

犯人が予測できてしまっているわけですが
2転、3転したりミスリードがあったりと
仕掛けも用意されているので
わかった上でもそれなりに楽しめました

 

基本的にとても楽しめた映画でしたけど
これどうなの?
という部分も多少あります


まずは、ちょっと長すぎると思いました
あの薄い内容で2時間近くはちょっと長く感じます

90分くらいがちょうど良かったんじゃないかと
思いました

もうちょっとサクサク観れたら
ストレスも感じなくて
もっと爽快感が出てたかもしれない


あと、殺人鬼がすごく弱い

これってどっちなんでしょうか
狙ってるんですかね?
見ようによっては面白くもあるんですが

なんか男はあっけなく殺してしまうんですが
女性を殺そうとするときは結構やり返されるし
負けてることが多い
かなり手こずるんですよね

しかも、反撃されるたびに
「おふっ」とか「うわ」とか声出すし
ちょっと笑ってしまう
動きもなんかコミカルですし

面白いっちゃ面白いんですけど
ちょっと怖さが薄れるというか
ヤバい殺人鬼のはずなのに可愛く見えてしまうんですよ

そういうのもあって、ホラー映画のはずですが
ゾクゾクするような怖さは
全く無かったように思います

 

それと、映画タイトルなんかを
いちいち挙げるのがちょっと鼻につく

別にそんな気になるほどのことじゃないけど
なんかいろんな映画のタイトルとかを
口にするんですよ

「羊たちの沈黙」がどうとか
「13日の金曜日」がどうだとか

はじめのうちはいいけど
それが何回も続くから
また言ってるよ…
と、だんだんなんか気になってくる

映画オタクというキャラ付けだとは思うけど
ちょっとくどかった


ただ、そんなこと言いだしたら
キリがない映画でもあります

ほとんどツッコミどころのかなり雑な設定

犯人の計画は穴だらけだと思うし
殺人事件が起きてシドニーが狙われてる中
のうのうとどんちゃん騒ぎしてたり
登場人物の言動がおかしかったりと

いろいろ変なところが多いですが

そんなに真剣に観る映画でも無いし
そんなところに真面目にツッコんでるのが
バカバカしく思えてきます

真面目な映画を観たければ
真面目な映画を観ればいいだけで

そもそも、こんなホラー映画に
高尚なものは求めてないし
こんなものはテキトーに観るのがちょうどいい

ホラー映画に意味なんてないんですから

 

昔の映画ですが全然楽しめました
ザ・ホラー映画というくらいの
王道なホラー

何も考えず気楽に観れば
最高に楽しめる映画だと思います

 


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