何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「キャスパー」感想 子ども向けだけど楽しんで観れる

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どうもきいつです


ファンタジー映画「キャスパー」観ました

テレビアニメシリーズなどで人気を博した「キャスパー」を
CGを駆使して実写映画化した1995年のファンタジー映画
幽霊退治を依頼された親子と幽霊キャスパーとの交流が描かれます

監督はブラッド・シルバーリング
主演を務めるのは「アダムス・ファミリー」などに
出演したクリスティーナ・リッチです

 

あらすじ
幽霊専門にセラピーを行うハーヴェイ博士と娘のキャットは
幽霊屋敷から幽霊を追い出そうとするキャリガンから以来を受け屋敷に住み込むことになる
そこには意地悪なゴースト3人とキャスパーが住み着いていたのだった
そして、キャットは心優しいキャスパーに心を開いていく

 

感想
この時代らしいファミリー向けファンタジーって感じ
シンプルに楽しめるエンターテイメント
ベタなギャグにも笑わされた
そして、やっぱりクリスティーナ・リッチは可愛い

 

子どもの頃にテレビでやってるのを観た記憶がありましたが
ほとんど内容を覚えてなかったので久しぶりに観てみました

そして、久しぶりに観てみても
ほぼ思い出すこともなく
キャスパーってこんな見た目だっけ?
と思ってしまうほど
ほとんど初見みたいなもの

 

本作は完全に子ども向けのファンタジー映画です
大人が見るとちょっと子どもっぽすぎて乗れない映画かもしれません

でも、僕は結構楽しんで観れた


個人的には
この時代のノリが懐かしく感じれるし
まだCGがそこまで発展してないからこその
独特の雰囲気はとても好き

とは言え
本作はかなりCGを頑張っている映画

キャスパーをはじめとするゴーストたちはみんなCGで描かれています

半透明な姿にデザインはアニメ的でデフォルメされている

それなりに古い映画で
CGもまだ発展途上の時代なんですけど
意外と実写に馴染んでいてそこまで違和感がありません

全然、今の時代に見ても通用すると思う

もしかしたら今の邦画のCGよりも本作のCGのほうが全然レベルが高いんじゃないでしょうか

公開当時ならこのCGだけでも
見る価値のある作品だったかもしれません


それに、ただCGの技術が高かっただけでなく
見せ方も上手いんだと思う

CGがリアル重視ではなくてキャラクター性重視なんですよね

だから、キャスパーたちが血の通っている存在に感じれる
偽物っぽくなってない

CGって如何に想像上のものをリアルに見せるか
ということが大事ですけど
本作の場合は見た目をリアルにすることより
生きたキャラクターを生み出すことにこだわりを感じます

表情や体の動きなどにこだわりを持って作られていると思う

完全に表現はアニメなんですけど
キャラクターが生き生きして存在感が溢れているから
実写の世界にいても妙に馴染んでるんですよ

この映画はCGがリアルというだけでなく
描きかたがとても良かったんだと思います

 

で、CGが良かっただけでなく
ストーリーもなかなか面白いです

キャスパーとキャットの交流を中心に
少女の成長、淡い恋愛、親子の絆
などが描かれます

そして、悪者と戦ったりアドベンチャー的な展開だったり
エンターテイメントな楽しさもたくさんある

何よりシンプルでわかりやすい内容だから
子どもがちゃんと楽しめる映画になっています

子どもっぽいストーリーではありますが
大人の僕が観ても全然面白いと思える内容でした

全然深いストーリーではないけど
軽い気持ちで観るにはちょうどいい

如何にも子ども向けのエンターテイメントで
そこがこの映画の魅力です


ストーリーの中でのキャラクターの描きかたも良くて
みんなとても個性的です

キャスパーとキャットは純粋で可愛らしい
お父さんやゴースト3人組はいい意味でイカれてます
悪者2人はアホな感じがこの時代の映画っぽくて好き

このキャラたちを見てるだけで楽しいですね

キャット役のクリスティーナ・リッチは見た目もすごく可愛いです

「バッファロー’66」のクリスティーナ・リッチは超絶天使ですけど
子どもの頃の彼女も超絶天使ですね


あと、コメディー描写も好き
子ども向けでかなりベタな笑いが多いけど
だからこそ普通に面白いですよね

ゴースト3人組とお父さんの悪ノリな絡みは笑わされましたし
悪者の踏んだり蹴ったりな感じも面白い

学校の教室で
キャスパーが生徒たちの両足の靴ヒモを結んで
立ち上がったら全員ずっこけるってやつは
めっちゃベタすぎるけど
めっちゃ好き

笑いが変に捻ってないから
すごく笑いやすかったですね

 

概ね面白い映画ではありましたが
所々が雑なのは否めません

特に気になったのが
命が軽すぎる

謎の液体1つで生き返ってしまうのは
なんじゃそりゃと思ってしまうし

それありきで簡単に死んでしまう敵の女もちょっと…

父親が死んでしまうのもギャグすぎるし
そのあとあっさりと生き返ってしまうし

そもそも、生き返ることに誰も倫理的な疑問を抱かないという…

まあ、子ども向け作品だし
これくらいの軽さで良かったような気もする
重すぎたら重すぎたでなんか違うと思うし

それ以外にもかなりご都合主義な展開は多くて
ちょっと安っぽいかなとは思いました


あと、無駄だなと思ったのが
キャットの同級生の意地悪女とイケメン男子

この2人がなんかでしゃばってたけど
結局、必要なかったですよね

イケメンがキャットを不本意ながら騙したり
意地悪女がパーティーでキャットを驚かせようとしたり
なんかいろいろとやってたけど
ストーリー上で全く繋がっていなくて
それらが全然生きてなかった

てか、こいつらが何をしたいのかわからない…

そこまで邪魔には思わなかったけど
少し引っ掛かってしまいました

 

個人的には懐かしさも感じれる映画で
最後まで楽しんで観ることができました
CGのレベルは当時としてはかなり高いと思う

CGだけでなくセットなんかも当時の映画らしい作り込みで魅力的
アトラクションみたいで子どもは楽しいと思います

シンプルでわかりやすく
子ども向けエンターテイメントとして
とてもいい出来の作品なんじゃないでしょうか

 


キャスパー [Blu-ray]

 

 

映画「ババドック ~暗闇の魔物~」感想 うまく子育ての辛さを比喩してる

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どうもきいつです


ホラー映画「ババドック ~暗闇の魔物~」観ました

一冊の絵本を手にしたことから
謎の怪物が親子を襲う恐怖を描いた
2014年オーストラリアのホラー映画
シッチェス映画祭をはじめ世界各地の映画祭で絶賛された作品

監督はジェニファー・ケントです

 

あらすじ
夫を事故で亡くしたアメリアは息子のサミュエルと2人暮らしで
学校で問題ばかり起こす息子の扱いに悩まされていた
そんなある夜
サミュエルが「ミスター・ババドック」という絵本を持ってきて読んで欲しいとせがまれる
アメリアは仕方なく読むが
それをきっかけに不可解な現象が起きはじめる

 

感想
情緒不安定な母親に情緒不安定な息子
その描写が妙にリアルで不安な気持ちにさせられる
ホラー描写は大人しめだけどじわじわと恐怖を感じさせられます
ホラーというファンタジーな話だけど
内容は子育ての辛さをリアルに描いた映画だと思いました

 

おすすめされているのを見かけて
気になって観てみました

あまり話題にも上がらなくて存在も全然知らない作品でしたが
観てみるとなかなか面白い映画

ホラーとしての怖さや魅力がありつつ
描かれている本質はシングルマザーの苦悩という
どこかリアルで
自分にとっても他人事ではない話なのかも
と思わされるような映画
とても興味深い内容でした

 

まず、ホラー映画として見てみると
若干地味な印象なのは否めません

わかりやすくビックリする演出や
グロさや気持ち悪さのある造形などもありません

物語自体も淡々としていて
ちょっと眠くなってしまうかもしれない

ただ、所々には不気味な映像や演出があるし
じわじわと迫ってくる恐怖を丁寧に描いていたりもします

そして、主人公のアメリアと息子のサミュエルの描写に
とても不安な気持ちを煽られる

爆発的な恐怖はないんですけど
いつの間にか精神をじわじわと削られているような怖さのあるホラー

どちらかと言えば日本のホラーに近いかもしれません

 

個人的に印象に残る場面も多くて


「ミスター・ババドック」の絵本なんかは
本当に不気味で独特な魅力もありました

飛び出す絵本なんですけども
その画風は可愛くも見えるけど不気味でもあって
こんな絵本普通にありそうだなって感じ

そもそもババドックってなんだよ
って気味の悪さがすごくあるし


さりげない場面でも
部屋に掛かってる服が人に見えてしまう
って表現とかは
ちょっと共感できたりもします

さりげない日常の場面にアメリアが過敏になっていく様は
精神の不安定さや心が壊れていく様子を上手く表現できていたと思う


アメリアが夢うつつで見るテレビの画面
これも絶妙に奇妙な映像になってて面白かった

自分もウトウトとテレビを見てるときに
こんな夢とテレビの間みたいな経験したことがある

この時のシーンって特別驚かしたり怖がらせたり
というシーンにはなってないけど
なんか不安感を煽られます

地味に気持ち悪い映像になっていて
個人的にもかなり好きな場面です


あと、やっぱり終盤に近づくにつれて壊れて変貌していくアメリアの姿は普通に怖いですね

はじめでは考えられないほど暴力的になるし
狂気に満ちた姿には
恐怖心よりも不安な気持ちのほうが強く感じたかも


次々と何かが起きるタイプのホラーではないですけど
終始、張りつめた緊張感で
なにも起きていなくてもどこか恐怖を感じる

上手く怖い雰囲気を醸し出している作品だったと思います

 

そして、この映画が興味深いのは
ただ怖いだけのホラーではなくて
人間の心の闇を比喩している作品だというところ

本作のテーマは子育ての大変さ
シングルマザーのアメリアの苦悩がホラーとして描かれている

ババドックという存在が
人間の精神が崩れていく様そのものだと思います

アメリアはいい母親であろうと常に思っているかなり真面目な人で
息子のサミュエルを上手く育てようと奮闘しています

ただ、サミュエルはおそらく発達障害で言動は他の子どもとは少し違っている
年齢的にも若干反抗期だったりもするし
サミュエルに振り回されっぱなしなわけです

この時のサミュエルの描写はとてもリアルで
観ているこっちも精神をやられそうになるほど

正直、サミュエルを可愛いとは思えない

アメリアの気持ちがとても理解できます


そんな日常を続ける中での心の変化を
ババドックという怪物で比喩されているんです

ババドックの特徴として
存在を否定するほど強大になる
というものがあります

アメリアはババドックのことを否定し続けます
そしてババドックにどんどんと侵食されていく
これが重要なポイントで

ババドック=人間の心の闇
だと考えることができると思います

アメリアはババドックを否定すると同時に
理想的でない自分の環境や気持ちを否定しているように見える

例えばサミュエルの存在
サミュエルは明らかに他の子どもとは違います
いわゆる普通ではない子ども

おそらく発達障害であるサミュエルですが
そんな子どもにはそれに合った育て方があります

でも、アメリアはそんな現実には向き合わず
サミュエルが普通であることを強要しようとします
理想的ではない子どもの姿を否定してるんですよね


他にも
アメリア自身の心の衰弱を否定していたりもします
自分は弱っていないと心に嘘をつき
誰かに助けを求めることもしない
彼女にとって理想の母親とは
自分一人でしっかりと子どもを育てること

今の弱っている精神や上手く子育てできていない自分は理想とはかけ離れていて
そんな現状を認めることができないんです

その結果、アメリアはうつ病になってしまっているのかなと思えます


何よりアメリアが一番否定していたのが
夫を失ったのは息子のせいだと思っている気持ち

これを否定し続けることで最終的には気持ちが爆発し
サミュエルの命を狙うことになってしまう

終盤のアメリアの暴走はババドックに取り憑かれたから
のようにも思えるけど

おそらくこの時の言動は
今まで押さえつけていた心の中の怪物が
一気に溢れだしてしまったからのようにも考えれます

これがアメリアの本心で本当の姿でもあると思う


そして、ラストのシーンでは
ババドックを地下室で飼い慣らす場面で幕を閉じます

これはアメリアが自分の本心を受け入れ
心をコントロールすることをできるようになった
という表現に感じれる


こういう描写から
ババドックとは誰もが持っている人間の心の闇なのかなと思えました

これは誰しもが普遍的に持ってるものだろうし
シングルマザーの子育てとなると
よりその部分が濃く現れてくるんじゃないでしょうか

本作は
そんな心の中の怪物と
どう向き合っていくのかを描いている

子育てによる精神の崩壊を
ババドックという怪物やホラー表現で上手く比喩した作品でした

 

ホラーとしては地味な作品だと思います
つまらないと思う人もいるかもしれない

でも、この映画で描かれているものはとても興味深くて
そこから学べるものもあるはず

誰の心の中にもババドックのような怪物はいて
その怪物を否定するのではなく
受け入れ認めなければならない

この映画を観て
自分や誰かの心の苦しみに気づくことができるかもしれません

 


ババドック 暗闇の魔物 [DVD]

 

 

映画「FOUND ファウンド」感想 衝撃的な気持ち悪さだけど 結局、何を見せたかったのか?

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どうもきいつです


サスペンス映画「FOUND ファウンド」みました

兄が殺人鬼だと知った少年の運命を描いた2012年のサスペンスホラー
約8000ドルという低予算映画でありながら
トロント・アフターダーク映画祭最優秀作品賞など世界各国の映画賞を獲得した作品

監督はスコット・シャーマーが務めています

 

あらすじ
ホラー映画が大好きな11歳の少年のマーティは
家族の秘密を覗き見することが楽しみだった
そんなマーティは
ある日、兄の部屋のクローゼットの中に
人間の生首が隠されているのを発見してしまう

 

感想
衝撃的で鮮烈な映像にはゾッとさせられる
グロテスクな描写はかなり攻めていると思いました
ただ、面白さはいまひとつで全体的にフワッとした印象
何を伝えたいのかがブレていて最終的にあまり腑に落ちない


なんなく気になったので
Netflixで配信されているのを観てみました

賞を取ったりそれなりに評価されてる映画みたいですね

そもそも、僕は全然存在も知らなく
ただホラーっぽいから観てみたってだけで
期待を抱いたりもしてませんでした


実際に観てみると
想像以上にショッキングな映像が多くて
これはなかなか攻めてるなと思わされた

スプラッターやグロに耐性が無い人は絶対に無理な映画ですよね
本当に気持ち悪いです
気分が悪くなると思う


僕の場合はそんなのには慣れてるし
むしろ、これくらいの衝撃的な映像を見せてくれたほうがゾクゾクする

特に劇中映画の「ヘッドレス」は洒落にならん
よくこんなもん見せてくれたな
と思ってしまうレベル
悪趣味にもほどがあります

しかも、それをなかなかの長尺で見せられる
これは耐性がある人でも不快感を強く感じると思います


終盤の場面もなかなか気持ち悪いですが
こっちは直接的な映像は見せられず
グロさもそんなになかったりする

でも、いろいろ想像をさせられてしまう演出で
これはこれでとても気持ち悪かったりします


マーティの兄のキャラクターも魅力的で
かなりのサイコパスで狂気に満ちていたと思う

ラスト付近の狂いっぷりは気持ち悪い
観ているこっちも情緒不安定になりそうでした


とにかく、この映画はすごく気持ち悪い映画で
この映画を撮った人は病んでるんじゃないかと思わされるほどでした


この気持ち悪い作風が本作の魅力だと思いますが
正直言って
面白いかどうかというと
あまり面白い映画ではありません

衝撃的な映像はあるものの
基本的に淡々としたストーリーでとても地味な映画でもある
特に中盤を過ぎるあたりまではかなり退屈で
ちょっと眠くなってしまいました

で、後半が盛り上がるのかというと
そこまで盛り上がるわけでもなく
最後まであまりパッとしない印象の作品

中盤を過ぎたあたりのマーティが同級生の生首を発見したあたりから
面白い展開にはなってきます

ただ、なんか痒いところに手が届かないような
もう一歩何かが足りない状況がひたすら続く

そこがこの映画のパンチの弱さの要因だと思うんですよね


本作を最後まで観て思うのは
何を表現したかったのか
何を見せたかったのか
何を伝えたかったのか
それがわからない

本作の軸となるのは
少年マーティの物語なんですけども
これもマーティの何を描き表現したかったのか
いまいち明確に感じとることができなかった

思春期ならではの苦悩する少年ではありますが
兄や両親に対する思い
学校でのいじめのつらさ
ホラーを必要以上に好きな性格

いろいろと要素が詰め込まれてるけど
それぞれが独立していてあまり繋がっていないようにも思えます

明確にこれというテーマが提示されていれば
それを中心に観ることもできるでしょうが

本作は
どんな視点で
どんな気持ちで
何を中心に見ればいいのかよくわからなくて
観ている側の気持ちも少しブレできます

グロテスクな映像を見せたいのか
シリアルキラーの怖さなのか
いじめや差別への問題提起なのか
切ない兄弟愛なのか

いろんな要素が別々の方向を向いているようで
全然掴み所がないんですよね


さっきも言いましたけど
マーティが同級生の生首を発見してから
ラストの展開に入るくらいまで
このあたりはすごく良くて
物語が盛り上がってくる兆しも感じる

ここでこの映画が表現したいものが掴めそうになるんです
この映画はこういう方向性の作品なんだろうな
と少しわかりかけてくる

でも、いいところで切り捨てたように
核心の部分が有耶無耶になってしまってる気がするんですよね…

もうちょっとでわかりかけてたのに
方向性がちょっとズレてしまい
結局、何を表現したかったのかが闇の中

ラストの展開なんかも
なんとなく意味合いはわかるんですけど
これと言う決定打に欠ける

いろいろ中途半端に終わってしまって
とても惜しい映画のように思いました

結果的に本作はあらすじ以上のものは無かったのかもしれない

 

あと、気になったのは
全体的にかなりチープ
映像や登場人物など全体的に安っぽいです
低予算だからと言えばそれでおしまいですけど

学生の自主制作みたいな雰囲気のチープさ
これはさすがに気になってしまいました

 

映像はかなり刺激的で攻めていると作品です
それだけですごいものを見てしまった
という気持ちにはなるし
本作を観て損はなかったようにも思う

とは言え、そんなに面白い映画ではなかったし
誰かにおすすめできるかと言えば
絶対におすすめはできない映画

もう一歩深い部分にまで踏み込んでくれれば
カルト的な映画になっていたかもしれません

 


FOUND ファウンド [DVD]

 

 

映画「ビバリウム」感想 この気持ち悪さにハマるかハマらないか

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どうもきいつです


スリラー映画「ビバリウム」観ました

奇妙な住宅街を抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー
アイルランド、デンマーク、ベルギー合作の作品

監督はロルカン・フィネガン
脚本はギャレット・シャンリーです

 

あらすじ
新居を探すジェマとトムの2人は
たまたま足を踏み入れた不動産屋で
全く同じ家が建ち並ぶ住宅街を紹介され内見に向かうことになる
内見を終えると不動産屋の姿が見当たらず
そのまま帰ろうとする2人だが住宅街から出れなくなってしまった
そして、2人の前に赤ん坊の入ったダンボールが届く

 

感想
不気味な雰囲気が最後まで続く気持ち悪い映画
この気持ち悪さにハマれば好きになれるかも
僕はこの映画がそこそこ好き
ただ、いまいちパンチが弱くて
物足りなさがあるのは否めません

 


いい評判も聞くし
ちょっと怖そうな雰囲気の映画だったので
気になって観に行ってきました


サスペンスと言うか
ミステリーと言うか
ホラーと言うか
ジャンルはいまいち明確には言えないけど
とにかく気持ち悪い映画というのは間違いない

最初から最後まで気持ち悪さで押し通したような映画

正直、雰囲気映画だと思いますし
そこにハマれるかどうかで好き嫌いは分かれると思います

僕の場合は
この雰囲気は嫌いじゃないし
どちらかと言えばハマったと思う


規則正しく同じ家が建ち並ぶ街の景色や
丸い雲が浮かぶ空
シュルレアリスムの絵画のような風景はとても美しく見えるけど
そこが逆に気持ち悪くもある

カッコウの托卵を人間に当てはめるという設定やストーリーは
なかなか不気味で興味深い

その中では不気味で気持ち悪い描写が多く
観ているだけで不安な気持ちにさせられます

あの子どもなんて全てにおいて気味が悪いですよね

全体的に気持ち悪さを凝縮したような映画で
そこがこの作品の魅力だと思います


明確なストーリーがあるわけではないので
少し掴み所のない作品ではありますが

主人公のカップルと2人が育てることになった子どもとの奇妙な生活は
気味が悪くもどこかこの世界観に引き込まれていきます

見た目は普通の子どもだけど言動がとにかく気持ち悪く
それを育てなければならない2人の絶望感たるや

2人の精神が摩耗していく姿には
観ているこっちも不安にさせられてしまいます

 

全体的に不気味な雰囲気が魅力的で
個人的にも好きなタイプの映画ではありますが

正直言ってちょっと物足りないです

好きではあるけど
記憶にはあまり残らない映画だとも思いました


結局は雰囲気映画で終わっていて
そこが物足りなさの要因

はじめのうちは独特で不気味な世界観に引き込まれるんですが
特にストーリーも展開もない淡々とした内容が続くだけなので
ちょっと飽きてきます

終盤なんかも
さほど盛り上がりもありませんし
謎が解決するわけでもないので
すごくフワッとした感じであまり腑に落ちません

淡々とした中でも深い何かが描かれているのならそれなりに納得はできるんですが
人間ドラマやメッセージ性もちょっと薄くて
あまり深みを感じることができなかった


極限の状況に置かれているジェマとトムの関係性なんかもさほど波風は立たずに
関係性がいまいち壊れない
険悪になったりはするけど
基本的にお互い個人行動をしていて接点が少ないし

子どもに対してジェマに母性が目覚めたりもするけど
そこもあっさりとした描写で
そこから物語が展開していくこともありません

こんなに気持ち悪い映画なんだから
人間がもっと狂っていく姿は見せてほしかったかも

人物描写が重要な作品だとも思いますが
いまいち感情移入もしづらいので
結局は最後までこの映画の出来事が他人事でしかない

3人の生活の場面が退屈なので
もう少しインパクトのある展開なんかもほしかったです

なので、そんなに感情が揺さぶられる様なこともありませんでした


メッセージ性に関しても
あまり深いものは感じなかった


映画のメッセージなんてこじつけでどうにでもなるし
観てる側がこじつけてる部分も大いにある
ただ、本作はこじつけありきな感じ

インテリな人は勝手にこじつけて
この映画は深い
とか言いそうな気もしますけど

実際は托卵を人間に当てはめたら気持ち悪いでしょ
ってアイデアだけの映画だと思うんです

個人的には
托卵をテーマにして
家族の曖昧さや人間の不安定さなどが
ブラックに描かれていくんだろうと予想していたんですけど

あまりそのへんは深掘りされるわけもなく
得たいの知れないものを育てさせられるホラー
みたいな作品で
それ以上でもそれ以下でもない

だから
結局、この映画は何を伝えたかったのかが
いまいちわからないんですよね

風刺や教訓を描いているようで
実はそんなものは全然なかったりする

シュールな作風や独特な雰囲気で
なんかすごい映画っぽい感じはするんですけどね…

 

で、サスペンスやホラーとしては見てみても
ちょっとパンチが弱くて物足りないです

気持ち悪い映画ではあるけど
あと一歩ゾクゾクする怖さには及んでない

軽く怖さのあるシーンは存在するけど
もう一発くらい
とんでもないものを見たかった気はします


オチに関しては
悪くはないけど少し既視感がある

星新一や藤子・F・不二雄の短編作とかでありそうなオチ
今の時代の作品にしては捻りがないかな…

このラストは普通に予想もできてしまうので
驚きも全然ありませんでした


それに、大して謎が解けるわけでもないし
そのへんもモヤモヤしますよね

謎を残すことで余韻に浸れる作品もあるけど
本作の場合は
これは一体なんの話だったんだ?
と疑問の気持ちのほうが大きかった

 

まあ、雰囲気はとてもいいし
好きな人は好きな映画だと思います
僕もこの雰囲気はとても好きだし

とは言え
中途半端な部分は多くて
これと言った強みがある映画ではないのかも

あまり印象に残る映画ではなかったです

 

 

映画「ブレイブ-群青戦記-」感想 思ったより殺伐としてる お涙頂戴は少ないほうがよかったかな…

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どうもきいつです


アクション映画「ブレイブ-群青戦記-」観ました

週間ヤングジャンプで連載されていた
笠原真樹による漫画「群青戦記 グンジョーセンキ」を実写化したアクション大作
戦国時代にタイムスリップしたスポーツ名門校の高校生たちが
生き残るために奮闘する姿が描かれます

監督は「踊る大捜査線」シリーズなどの本広克行
主演は新田真剣佑が務めています

 

あらすじ
スポーツの名門校である私立星徳高校に通う
弓道部の西野蒼は目立つのが苦手で
練習に打ち込むばかりの日々を送っていた
ある日、校庭に雷が落ちると
校舎ごと蒼たち生徒が戦国時代にタイムスリップしてしまった
そして、それぞれが部活で培った能力を活かし
戦いに挑むこととなる

 

感想
アホみたいな設定だけど内容は想像以上にシリアス
序盤から過激なシーンも多くてギャップに驚かされました
アクションもそれなりに楽しめる映画ではあるけど
もう少し設定を生かせたような気もします
あと、お涙頂戴が多すぎて冷める

 

部活VS戦国武将ってアホな設定に惹かれて観てきました
内容が面白いかどうかより
この設定だけで観たくなってしまう

原作が漫画なのは後から知りました

よく考えれば
めっちゃヤンジャンっぽい設定とストーリーのような気はしますけど


予告で見た雰囲気や無茶のある設定
売り出し中の若手俳優がメインだったり
というのもあって
かなりライトな中高生向けの映画のイメージがあったんですけど

実際に観てみると想像以上に殺伐とした世界観でストーリーもかなりシリアス
思ってたのと結構違った

逆にどの層に向けた映画なんだよと少し思いましたけど


タイムスリップした序盤なんかは
めちゃくちゃ人が死ぬし若干グロさもあるし
ちょっとしたゾンビ映画みたいな雰囲気

ここがなかなか過激なシーンになっていて
個人的にはいいギャップでした

この映画ってこんな映画なの!?
と、テンションもちょっと上がった

逆にここで不快な気持ちになる人もいるかも…

良くも悪くも
タイムスリップ直後のバイオレンスな映像には引き込まれるものがありました
少しB級なノリもあって僕好みです

そこからの
生徒たちが部活の能力を活かして善戦しだす展開もなかなか面白い

その時の映像の見せ方もよくて
ちょっとしたカタルシスも感じました

部活の力で戦国時代を戦う
というのはこの作品のメインでもあるので
そこはよかったと思う


その後も善戦はしつつも
所詮は現代の高校生でやはり劣性
容赦なく高校生たちが死んでいくのは
心苦しい気持ちにさせられながらも
その反面ゾクゾクした気持ちやワクワクした気持ちにもさせられる

それに、アクションも頑張っていたし
カッコいいシーンもあって
見映えもよかったと思います


アホな設定を大真面目にやるというのは
この映画の面白い部分だと思いました
本広監督の真面目さがいい方向に転んでいたと思う

 

そんな感じで
そこまで悪い映画だとは思いませんでしたが
やっぱり微妙なところも多くて
そこが引っ掛かる映画でもあります


中でも気になってしまうのが
お涙頂戴がちょっとくどい

感動させようとするのが見え見えで
観ていて冷めてしまいます

メインのキャラが死ぬ度に
感動的な曲が流れ
生きている人間が涙ながらに呼び掛ける
その間、敵は空気を読んで停止

そのパターンが幾度となく繰り返されます

こんなの1本の映画に1回だけで十分ですよ
このパターンは1本の映画に1回しか使ってはいけないと法律で定めて欲しいくらい

同じパターンのお涙頂戴シーンが繰り返されるので
これが3、4回続くと
さすがにもういいよ…って気持ちにさせられます

容赦なく人を殺しまくってた敵たちが
この時だけ殺しに来ないのも違和感しかありませんし…


そんなのがあるから
容赦なく人が死ぬ理不尽な世界ではあるけど
作者に生死がコントロールされてる感じがしてしまい
いまいちリアリティが無いんですよね
全部が作者のさじ加減なんです

重要なキャラクターは無条件で生き残り
死ぬときはちょうどいいタイミングで死ぬ

どうでもいいキャラはあっけなく死ぬけど
重要なキャラクターは死ぬ間際も優遇されている

明らかに弱い科学部が何故か最後まで生き残って
1番強いはずの主人公の親友が感動的なタイミングで死んだりする

いろいろと作者の思惑が見え透いていて
この映画がちょっと嘘っぽく感じてしまうんです

そもそも、こんなブッ飛んだ無理のある設定なので根本が嘘なんですけども
その中でリアリティのあるドラマが描かれれば
真実味は増すと思います

ここ最近の漫画界で流行ってるような
理不尽に人が死ぬ系のストーリーですが
内容がチープなのであまり重みは感じませんでした

 

それと、部活VS戦国武将って設定も
そこまで生かされてなかったかな…

部活の特徴を生かした戦いかたは見せてくれるんですが
もう1歩足りない感じはしました

基本的に乱戦してるだけの場面が多くて
弓道部だから、野球部だから、ボクシング部だから
という部活の強みや
それで勝てるギミックみたいなものはあまりなくて

とりあえず戦ってるだけってシーンが多かったです

あと、やっぱり未来から来てるんだから
そこを生かしてもっと戦ってほしかったですよね

学校には図書室もあるし歴史の教科書だってあるし
タブレットやドローンもあるわけです

戦略を立てる知将みたいなキャラがいてもよかったのに

基本的に戦い方が脳筋なので
いくらなんでも馬鹿っぽいかと思いました

科学部や頭の良い生徒などがもっと活躍する展開とかがあってもよかったかも


戦いのパターンも
最初は善戦
でも途中からは圧されてみんな死んでしまう
ってパターンの繰り返しだから
終盤は戦いの場面に飽きてしまう

戦いにもっと仕掛けやバリエーションが豊富だったほうが面白かったと思います

原作にはそんな細かい描写があるのかもしれないですが
この映画に関しては
戦闘シーンが稚拙なのは否めない

 

他にも細かいツッコミどころはあって
ちょくちょくそれがノイズに感じてしまいます


未来に戻る方法なんて
そんな簡単に戻れるんかい!?
とツッコミたくなってしまう

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」的な方法ですけど
いくらなんでも都合がよすぎるかと…


あと、所々のコミカル描写が
ちょっと空気を読めてない

終盤の科学部が手品で花を出すシーンとか
ちょっとムカつきましたからね

あれだけ仲間が死んで時間もない状況で
あのノリはさすがにサイコです

あのキャラがサイコなのか
こんなシーンをブチ込む監督がサイコなのか
それはわからない

こんなにシリアスな作風なら
最後までシリアスで貫くべきだと思いました

 

で、最後の最後でめちゃくちゃ気になったのが
学校再開するの早すぎない?

ヒロインの怪我が治ってなかったし
たぶん戻ってそんなに時間が経ってない

そんな状況で普通の日常に戻って
徳川家康の肖像画がアイツになってる
ほっこり
じゃないよ

生徒だけでなく先生も死んでるだろうし
何よりタイムスリップしてたわけだし
あの学校の対応力の速さは半端無いですね

世の学校はこの高校を見習うべきです


それ以外だと
登場人物の名前のテロップを2回もだしたりするのは
さすがに観客を馬鹿にしすぎだと思ったし
エピローグは蛇足なような気がしたし

全体的に親切に説明しすぎてましたね

なんとなくわかればいいじゃんってことも
変に説明してたと思います

無駄に真面目なんですよね…


高校生なのにみんな年齢層高めなのも気になった


文句を言い出すといろいろ出てくる映画でもありますね

 

アイデアは面白いですけども
詰めが甘くて完成度はちょっと低かったかも

面白い部分もあって
つまらない映画てはないとは思うけど
胸を張って面白いとおすすめできる映画ではないかな…

まあ、原作の漫画には興味を惹かれました

 


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映画「太陽は動かない」感想 面白いけどなんか惜しい

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どうもきいつです


アクション映画「太陽は動かない」観ました

吉田修一によるスパイアクション小説「太陽は動かない」「森は知っている」を原作に実写映画化した作品
爆弾を体に埋め込まれた2人のエージェントが
極秘情報をめぐる戦いに挑みます

監督は「海猿」「暗殺教室」などの
ヒットシリーズを手掛ける羽住英一郎
出演するのは藤原竜也、竹内涼真などです

 

あらすじ
謎の組織AN通信に所属する鷹野と田岡は
心臓に爆弾が埋め込まれ
24時間ごとに死の危険が迫ってくる
そんな2人のエージェントが
人類の未来を左右する次世代エネルギーの情報をめぐり
各国のエージェントたちと極秘情報の争奪戦を繰り広げる

 

感想
すごく好きな部分もあったけど
全体的にはいまいちな印象
さすがにいろいろ詰め込みすぎだと思う
お金もかけてるだろうし
かなりがんばってる映画だろうと思うので
だからこそちょっと惜しい映画でした

 

結構前から予告で目にしていて気になっていた作品
公開延期を経てようやく公開されたので観に行ってきました

原作は読んでいなくて
前日譚的なドラマも放送されていたらしいですがそれも観ていません

とは言え
この映画単体で1つの作品になっているので
ドラマは観なくても大丈夫かと思います


内容はそんなに難しくなくてシンプル
王道のスパイアクションものって感じ
邦画と言うより少し洋画っぽい雰囲気も感じました

この映画は
好きだと思える部分と微妙だと思う部分が極端で
結果的にちょっと微妙だな
と思ってしまう映画でした


まず、好きだった部分の話からすると

アクションはかなりがんばってると思う

冒頭から激しいアクションシーンからスタートします

この場面は
ちょっとバイオレンスで痛々しいアクションだったり
街を縦横無尽に駆け巡るカーアクションだったり
かなり見応えがありました

この時点でかなり引き込まれて
これめっちゃ好きなやつ!!
と、テンションをとても上げてもらえた

それ以降も
大ピンチからの車突入
列車に飛び乗ってのアクション
美女との格闘など
ベタだけど王道のアクションがとても僕好みで好きな要素です

それと、本作はブルガリアでの海外ロケも行われていて
かなりスケールの大きな作品にもなってます

2人のエージェントが世界を股にかけて活躍する物語なんですよ

ここがちょっと邦画っぽくないスケールの大きさで
邦画特有のショボさがあまり無かった

洋画のスパイ映画っぽい雰囲気もあって
そこにもテンションが上げられました


そして、キャラクターも魅力的で
主人公の鷹野と相棒の田岡はすごくいいコンビ

これは単純に演じている藤原竜也と竹内涼真がすごくいいんですよね
この2人だからよかったのかも

正直、劇中でのキャラの描写は薄いんですよ
ただ、演じている2人の存在感がそれをカバーしてた

ライバル的なキャラがカタコトの日本語を喋っているのも
個人的には好きです

鷹野のライバルの韓国人や美女の女スパイが
かなりカタコトなので
それが気になる人もいそうですけど

僕はこのカタコトが逆に世界を舞台にしている雰囲気を出していたと思いました

特に鷹野のライバルのデイビット・キムがすごく格好よかった
カタコトで喋るめっちゃ強いやつっていいですよね

 

そんな良いところがたくさんあるんですが
逆に微妙なところもたくさんある
それがかなり足を引っ張っていたことは否めません


特に詰め込みすぎなのはかなり気になってしまいます
110分の映画の割にちょっと要素が多いと思う

中でも回想シーンは全部要らなかったんじゃないかと思うんですよね

本作は
鷹野と田岡の2人がスパイとして戦いを繰り広げる現在パートと
鷹野がエージェントになるまでの過去パートが
平行して描かれます

この現在パートと過去パートが
交互に入れ替わり立ち替わりで見せられるわけです

この見せ方が正直言って
上手くないな…と思わされました

しょっちゅうシーンが入れ替わるので
結局メインのストーリーが分かりにくくて
すごくややこしくなってきます

別々に分ければかなりシンプルでわかりやすい内容だとは思うんです
でも、見せ方が無駄に複雑になってて
何故か難解な映画に思えてしまう

で、この映画のメインってなんなの?
と最後まで観てもフワッとした印象で終わってしまう

原作を2本分ブチ込んでるんだから
そりゃそうなると思いますが…

この映画は原作の「太陽は動かない」だけを原作にして
シンプルなスパイアクションにしてるほうが
絶対にわかりやすくて面白くなってたはず

原作読んでないけど絶対にそう


それに、過去パートが無いほうが
現在の登場人物をもっと深掘りできただろうし

正直、回想を見せられる鷹野ですら
なんか感情移入できないんですよね…

これは
現行で起きてることに対してのキャラたちの思いが
全然描かれてないのが原因だと思う

現在パートと過去パートの話が
繋がってるようで実は全然繋がってないし

回想が入る度にストーリーは滞りますしね

結果的に過去パートが無駄で必要ない
全然いい効果を生んでません

逆にこれがあるから話がとっ散らかってるんですよ

ここが邦画の悪いところですかね…
ちょっと感動的と言うか
いい話みたいなのにしたいんでしょうね


そういうのもあって
現代パートのミッションのスリルは弱いですね

もうちょっとハラハラドキドキしたかった

ちょくちょく過去パートを挟むから
いいとこで場面が変わって気持ちが冷めるんです

それと、爆弾のタイムリミットの設定が
そんなに使われていなかったのも
なんか物足りないです

こんなタイプの映画ってスリルは大事だと思うんですけどね…

 

あと、さっきすごく誉めたアクションシーン

単体で見ればすごく好きですけど
全体を通して見ると
アクションシーンがあまりに少なすぎる

これは本当にもったいない

アクションシーンもっと見せてくれよ

それに、1番盛り上がったのが冒頭のシーンで
それ以降は尻すぼみ
これももったいないですよね

終盤なんてもっとアクションで盛り上げてほしかったです

終盤は謎の感動路線に行ってしまって
本当に拍子抜け
感動なんて求めてないから

この映画は感動で盛り上げるんじゃなくて
アクションでしょ!?

最後はただ船が沈んでいくだけで
大したアクションシーンはなく
中途半端に終わってしまいます

これで終わり?
とかなり物足りなさを感じてしまいました

 

他に引っ掛かったのは
場面が切り替わると急展開してるところ

例えば
ヘリコプターが墜落して次の場面になると
鷹野だけが捕まって拷問を受けてるとか

その間はどうしたんだよ?
とちょっとモヤモヤする

他にもそういうのが多くて
時間や位置関係とかがちょっと混乱してしまいます

そういうものが
この映画を無駄に難解にしてしまっている要因だと思う


なんかこの映画
構成が悪いと思いました

いい要素がたくさんあるのに
それをブチ壊してしまってますよね
本当にもったいない

 

面白いと思える部分は
個人的にもかなり好みで好感の持てる作品でした
ただ上手くない部分もかなり多くてそこがすごく惜しい
邦画としてはがんばってるのにもったいない…

設定や世界観は好きなので
連続ドラマのほうも少し観てみたいと思わされました

 


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映画「劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal」感想 内容が薄い 退屈なシーンが多い 眠くなる

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どうもきいつです


アニメ映画「劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal」前編、後編観ました

武内直子によるコミックをアニメ化し1990年代に大人気となった
「美少女戦士セーラームーン」の25年ぶりとなる劇場版
原作コミックのデッドムーン編を映画化した前後編の2部作になっています
月と地球を支配しようと企む謎のサーカス団に
セーラームーンたちが立ち向かう姿が描かれます

原作者の武内直子を総監修に迎え
テレビアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」の第3期に続いて今千秋が監督を務めています

 

あらすじ
今世紀最大の皆既日食に世間が沸く中
月野うさぎとちびうさはペガサスから助けを求められる
一方で街に謎のサーカス団“デッドムーンサーカス”が現れ世界を支配しようと企んでいた
それを阻止するためセーラー戦士たちは戦いを挑む

 

感想
全体的に中身が薄い
設定を説明されてるだけのような映画で全然面白味がありませんでした
アニメ映像も綺麗なだけで魅力はない
セーラームーンさえ見れればいいって人しか満足できないと思います

 


セーラームーンの旧アニメがとても好きなので
久々の劇場版ということで観に行ってきました

前編を観たのは1月だったんですが
前編があまりに中途半端に終わったので
後編を観た今のタイミングでの感想です


正直言って
ちょっと期待はずれな映画でした

これは前編を観た時点でも思っていて
この時点でかなり気持ちが冷めていました

もう後編を観るのやめようかと思ったくらい

でも、前編は観てるし
どうせなら観てしまおうと思って観ました
気持ちが冷めていたのもあり
後編を観たのは公開からかなり遅れてからです


そもそも
本作は少し前に放送されてた「美少女戦士セーラームーンCrystal」の続編的な位置付けで
昔やってたアニメとは別物
そこは重要だと思います

Crystalは原作を忠実にアニメ化したシリーズ
なので、昔のアニメ版とはちょっとノリも違います

で、僕はCrystalのほうも観てましたけど
あまりに面白くなかった印象でした
だから、あまりちゃんと観てません

その流れがあるわけで
じゃあ、この映画が面白くないのも納得できます

てか、僕は原作漫画は全く読んでいなくて
昔のテレビアニメ版しか見てないんです

だから、原作漫画がどうこうは言えないんですけど
忠実に再現したアニメがあまり面白くないということは
原作漫画もあまり面白くないんじゃないか?
と思ってしまう

 

この映画が面白くないと思った要因はいろいろあります


まず、基本的にストーリーを追ってるだけの内容で中身が全然無いんですよね

人間ドラマを深く描いてるわけでもないし
面白い展開があるわけでもないし
深いメッセージが込められてるわけでもないし

とにかく、すごく淡々としていて
ただ設定を説明しているだけのような映画

盛り上りもそんなにありませんでした

前後編に分けられてるけど
こんな内容なら分ける必要なんてないと思う

これくらいの薄い内容なら90分でもできるんじゃないでしょうかね…

 

前編のセーラームーン以外の4人が
それぞれの悩みや葛藤を乗り越え成長する
というのはまだマシだったと思います

とは言え
個々のエピソードが深いわけでもないし
同じ事を4回繰り返してるだけなので途中からは退屈です

そして、結局
前編ではそんなに印象に残るシーンもなく
あっさりと終わってしまう

前編のラストはピンチで終わるという
引きを持たせた終わりかたではありましたが
全然後編を観たいとは思わされなかった

前編だけではあまりに薄すぎて
感想を書けないなと思ってしまったほどですから

 

そして、後編なんですが
こっちは前編以上に退屈だったかもしれません

ほとんどか説明みたいなシーンばかりで
めっちゃ眠くなる
設定を説明してストーリーを追ってるだけなんですよね…

しかも、その設定やストーリーが面白いのかというと
全然面白くないというか…

昔ながらの…と言うより
昔の漫画やアニメって感じの古さで
新鮮味なんて全然なくてちょっと古くさい

そりゃ昔の漫画が原作なので仕方ないですけどね


ただ、僕は
内容が薄いからダメ
ストーリーが古くさいからダメ
なんてことは全然思ってなくて

この作品の1番ダメなところは
演出が壊滅的なところだと思うんです


そもそも、内容が薄かろうがストーリーが古かろうが
セーラームーンという存在だけで魅力は十分にあって
それさえあればいくらだって面白い作品は作れるはずなんですよ

長い年月を経て積み重なった重みがセーラームーンにはある

なのに本作はそこを全然生かせてない
てか、アニメとしてめちゃくちゃクオリティが低いと思う

絵が綺麗なのは間違いないです
でも、綺麗な絵でアニメ化しました
で終わってる作品

キャラをカッコよく見せたり可愛く見せたりはできてないし
構図や動きを魅力的に描くこともできていない
キャラの気持ちを表現することもできていない
背景にリアリティを生み出すこともできてない

ただ動いてるだけのアニメで命なんて吹き込まれてないです

ほとんど止まって喋ってるだけで
動きのある映像も全然無いんですよね

観ていて楽しくないんですよ

目玉でもある変身シーンやバトルシーンなんかも使い回しみたいなのばかりで
面白味が全然ないですよね

同じ変身シーンを繰り返すなら
違う演出で見せてみるとかあると思うし

それに、変身シーンは昔のアニメの変身シーンをCGアニメで綺麗にリメイクしました
って感じなんですけど
同じ事をやってるだけなので
やっぱりセルアニメのオリジナルの方が全然魅力的だなと思ってしまう

本作の変身はただ絵が綺麗になってるだけであっさりしすぎ
オリジナルを保ちつつも
もっとカッコよく見せる表現は絶対にあるはず


必殺技に関しても
同じ映像を何回も使うんだったら
別の角度から見せるとか
別のキャラの技を同時進行で見せるとか
やりようはいろいろとあると思う

1人が技を出して
次にまた1人が技を出す
みたいな順番待ちでやってるのとか
臨場感もないし画面に動きもないし
バトルシーンとして全然面白くない

昔ながらの様式美の重要さもわかります
これを見なきゃセーラームーンじゃない
ってのもあるので
定番は絶対に必要なんですけども

本作の場合は様式美に甘んじて
手抜きしてるようにしか思えない

本当はそこからさらに工夫して面白いものを作るべきだと思う


旧アニメの劇場版1作目はたった60分ほどしかなくて
ストーリーもかなりシンプル
変身や必殺技はテレビの使い回しではあるものの
これは本当に素晴らしい作品でとても面白い作品です

そこにはやっぱりアニメに対する思い入れや
面白いものを作るためのこだわりがあって
だからこそ感動するし胸が熱くなる作品に仕上がっていたんだと思う


本作はそれの3倍くらいの時間の長さがあるにも関わらず
中身は空っぽで映像の魅力も全然ない
最初から最後までずっと退屈

原作をとりあえずアニメ化しただけで
そこから先のこだわりが全くない作品だと思うわけです


「セーラームーンCrystal」の時点で
過去の遺産にすがった再アニメ化って感じはするし
あまり志の高いアニメではなかったのかなと思う

 

あと、これも演出の話ですが
旧アニメのOP曲「ムーンライト伝説」を使わなかったのは謎すぎますね

セーラームーンと言えばこの曲でしょ!?

後編のセーラームーンがエターナルセーラームーンになって敵を倒す場面
ここは絶対にこの曲でしょ
そうすればもっと盛り上がったと思いますよ

実際はこの場面で知らない曲が流れてました
この曲自体はそんなに悪くはないんですけど

こういうところがセンスないなって思う

エンドロールでは旧アニメのED曲のカバーが流れてたのに
1番セーラームーンらしい「ムーンライト伝説」が1度も流れないのは謎

昔からのファンをターゲット層にしてるだろうし
絶対に押さえなきゃならないところを外してるのは
ちょっとどうかしてますよね…

 

無条件にセーラームーンならなんでもいいと言うのなら
この映画でも満足できるのかもしれない

でも、普通に面白いものを見たいのなら
この映画は本当に駄作です

僕が思うセーラームーンのアニメの最大の魅力は
アニメに対する情熱やこだわりだと思うので

それがない本作は全く魅力のない映画だと思います

 


美少女戦士セーラームーン Blu-ray COLLECTION VOL.1