何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「東京リベンジャーズ」感想 面白くない つまらない ダイジェスト以下のクソ

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どうもきいつです


アクション映画「東京リベンジャーズ」観ました

和久井健による人気漫画「東京卍リベンジャーズ」を実写映画化した作品
どん底の人生を送る青年が不良だった高校時代にタイムリープし
元恋人の死を回避するために奔走するSFアクション

監督は「ぐらんぶる」などの英勉
主演を務めるのは北村匠海です

 

あらすじ
フリーターの花垣武道は
元恋人の橘日向が死んだことをニュースで知り
それに東京卍會が絡んでいることも知るのだった
その翌日、駅のホームで何者かに線路に落とされた武道
しかし、気付くと不良だった頃にタイムリープしていた
過去に戻った武道は
日向の死を回避するために東京卍會に接触する

 

感想
唐突に始まり唐突に終る
原作のエピソードを適当にチョイスして
適当に並べただけのような映画
改悪もすごく多い
登場人物たちの描きかたも下手くそ
なかなか酷い映画でした

 

原作は読んでいませんが
現在放送中のアニメは観ています
そんな作品の実写版ということで観に行ってきました

今、若干ブームになりつつある「東京卍リベンジャーズ」
てか、ブームになってるんですかね?

たまたま初日に観ましたけども
なかなか客が多く入っていました
イケメン若手俳優多数出演というのもあり
客層は若い女性が多かった
中高生くらいも多かったですね


僕は原作を読んでいないしファンというほどではありません

アニメは結構面白くて毎週観ていますが
めちゃくちゃハマってるってわけでもない

正直、面白くはあるけども
タイムリープをあまり活用できてなかったり
主人公がちょっと馬鹿すぎたりと
少しイライラもしてしまう作品で
手放しで絶賛できる作品とは思ってませんし

スタートダッシュはよかったけど…
って印象

まあ、ヤンキー漫画としては
とても面白い内容ですが

 

原作の話はそれくらいで
ここからは映画の話です


なかなか評判は良くて
絶賛してる人もそこそこいるようです

ただ、個人的には
かなり酷い映画だったな…
という感想

絶賛してる人には悪いですけど
正直言ってクソレベルの映画だと思う

悪くない部分もあるにはあるけど
そんなのごく一部で
基本的にダメダメな映画ですね

 

まずこの映画の良かったところから

キャストがハマってる
以上

 

ここからは悪い部分

この映画は基本的に原作のダイジェストみたいな内容です
出来事を連ねてるだけで
中身はカラッポ

原作でのドラケンの命を救うまでを映画化していますが
そこに至るまでを
ひたすら駆け足で追っていくだけの内容です

2時間でまとめてるというのもあり
カットされてるエピソードや登場人物も多く
さらに変更されてる部分も多々ある

それに関しては仕方ないことですが
取捨選択のセンスは全くないですかね

何故そこをカットする?
何故それを残す?
というものはすごく多い

 

いろいろと悪いところだらけだけど
1番の問題は
カタルシスが無いということ

人間ドラマを全く描かず
とにかくエピソードを詰め込んでるだけの作風なので

感動的なシーンや熱くなるシーンは
ことごとく気持ちが昂りません

武道が過去を変えても
武道と日向のキスシーンも
武道がキヨマサに勝っても
ドラケンの命が助かっても

感動もなにもなく
全然気持ちが揺さぶられないわけです

感動した熱くなったと言う人もいますけど
単に記号的な部分に反応してるだけだろうし

名シーンらしきものは多く用意されているけど
そこに至るまでのプロセスがほぼ無い
この映画の物語の見せ方は本当に下手くそで
盛り上げ方が全くなってないですよね


この映画がそうなってしまっている原因は明確で
キャラクターを全然描けてないから

ぱっと見はキャストがハマってるし
魅力的な雰囲気を醸し出してはいるけど
実際は中身がカラッポで
原作のようなキャラの魅力は1つも引き出せていません


この作品の主人公である武道ですら
主人公として全く機能していない

彼の原動力や心の葛藤など
こっちが理解できないまま
ただストーリーが駆け足で進んでいく

この作品で重要なのは
過去を辿ることでの武道の成長ですが

彼の心の変化や成長などがあまりに唐突
なぜ?の部分は全く描かれません

なので、いつの間にか成長して
よくわからんまま良い感じになって終わってるみたいな

クズな自分を変えるため
昔の彼女を救うため
マイキーやドラケンを好きになったから

そんな気持ちが武道の原動力ではあるけど
描写があまりにおざなりで
とにかく武道が薄っぺらい主人公になってしまっています

今の自分の人生にどれだけ後悔しているかもほぼ描かれず
武道と日向の関係性もテキトーでなんとなく恋愛っぽくしてるだけ
マイキーやドラケンへの尊敬や愛着も生まれないままラストの展開へ進んでいく

人間ドラマを描く気なんてさらさらない
と言わんばかりの薄っぺらさ

ストーリーがそうだから
という理由だけでキャラクターが動かされているんです


それに、主人公以外のみんなも描写不足ですよね

日向なんてただの置物状態ですし
武道の友達はみんな空気
マイキーとドラケンの友情なんて1ミリも見せてくれない


あまりにもカラッポな映画なので
これについて語れと言われても無理ですよね

原作では
もっとタイムリープ上手く活用しろよとか
武道さすがに馬鹿すぎるだろとか
ツッコミどころも多いけど

この映画に関しては
そんなツッコミどころにすら辿り着いていない
それ以前の問題なんですよ…

 

あと、センスの無さはかなりにじみ出ている

例えば
武道と日向の出会い
これは完全に映画オリジナルです

これはマジで酷いです
原作と違うからダメというよりは
ちょっとダサすぎる

コンビニで客に絡まれてたのを助けたから
とか…

発想力やオリジナリティは無いんですかね
よくこんなのを重要な場面に持ってきますよ
恥ずかしくないんでしょうか?


現在パートでは
マイキーや稀咲が意味深に何回も登場するけど
無意味ですよね

これに関しては“っぽく”してるだけです
別に意味はないけど出しとけば“っぽく”見える
それだけだと思う


所々で稀咲や半間を登場させてますが
映画のストーリー上ではほぼ関わりがなく
ただ登場させてるだけ

続編を匂わせたいんだろうけど
1つの作品としては余計な要素でしかなく
こいつら誰だよで終わってしまいます

終盤は何故かマイキーと長内を戦わせてたけど
ここで半間を出せばよかったんじゃない?
長内に苦戦するマイキーとかなんかちょっと違うでしょ

てか、この映画
マイキーとドラケンの最強感が薄いんだよ


武道の友達たちが助けにくるタイミングも改悪で
何故ここを変えたんだろう?
という疑問しか生まれない
原作通りでいいだろ

そんな細かい部分にセンスの無さが現れてますよね


ラストシーンもセンスがないです
現在に戻り日向に会いに行くと
笑顔の日向に向かえられ唐突に終わり

これもダサい終わりかた

久しぶりにこんな酷いラストシーンを見た気がする


原作通りにすればいいところを変えていたり
そこは必要ないだろってところが原作通りだったり

何回も言うけど
センスがない


言うの忘れてたけど
ケンカのアクションシーンもただ戦ってるだけでつまらなかったです

もうちょい工夫を凝らせよ
と思った

 

いろいろと酷い
これはやっつけ仕事ですかね…

まあ、人気漫画を人気俳優で実写化すれば
客はたくさん入るし金儲け大成功ですね
クソ映画でも面白いって言ってくれますし

楽な仕事ですよ


この程度の映画でも絶賛されるし
べつにこだわって面白い映画を作る必要なんてないんじゃない?

評判し良いし続編も作られるんじゃない?

邦画終わってますね

 


東京卍リベンジャーズ(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 

映画「キャラクター」感想 はりつめた緊張感にハラハラさせられる

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どうもきいつです


サスペンス映画「キャラクター」観ました

売れない漫画家が偶然目撃した猟奇殺人犯をモデルに漫画を描き
それにより運命が翻弄されていく姿を描いたサスペンス
浦沢直樹の作品にストーリー共同制作者として携わってきた長崎尚志のオリジナル脚本を映画化した作品です

監督は「帝一の國」などの永井聡
出演するのは菅田将暉、SEKAI NO OWARIのボーカルFukaseなどです

 

あらすじ
漫画家のアシスタントをしている山城圭吾は
悪役をリアルに描くことができず漫画家としてデビューすることもままならなかった
ある日、スケッチに訪れた一軒家で殺人現場と犯人を目撃し
それをモデルにキャラクターを作り上げた漫画が大ヒットする
しかし、山城の漫画で描いた事件が次々と発生しだす

 

感想
なかなか予測のつかない物語に引き込まれる
常に緊張感のある世界観とスリルのある展開にハラハラとさせられました
細かい作り込みも素晴らしい

 

前から少し気になっていた作品で
公開から日にちは経っていたけど観に行ってきました

最近は原作ありの映画やリメイクなどが多い中で映画のオリジナル作品ということで期待していました

実際に期待通りに面白かった
サスペンス映画として出来がいいと思う

ストーリーは作り込まれてるし
映像にこだわりも感じる
スリル満点の演出にハラハラもさせられました

個人的にもこんな映画は大好物で
最後まで楽しんで観ることができました

 

まず、ストーリーですが
オリジナリティがあって面白いです

殺人犯をモデルに描いた漫画がヒットし
今度は逆に殺人犯が漫画を模倣した殺人を始めるという話

はじめのうちは
この殺人犯は一体何者なのか?
もしかしたら漫画家が殺人犯なのか?
と、いろいろ考え

先の展開を予想するも
なかなか読めないストーリーで物語にどんどん引き込まれていきます

謎が謎を呼ぶストーリーに
少し疑心暗鬼にもなってしまう

悲惨な殺人事件が発生し
その事件の真相に迫るのがメインの映画ですけども

その中で漫画家の葛藤や事件を追う刑事の姿など
人間ドラマもほどよく描かれていて
そこに感情移入もさせられてしまいます

若干、雑な展開や勢い任せな部分もあるにはあるけど
全体的に上手くまとまってるし
細かいことはさほど気にならないような完成度だと思います


そして、そんなストーリーの背景になる部分の作り込みもかなり気合いが入っています

やっぱりこの映画のメインにもなる殺人
この描写が攻めてます

直接殺すシーンは以外と少ないんですが
死体が本当にグロくて気持ち悪いものに仕上がってる
苦手な人ならキツいかな
ってくらいの描写になっています

ただ、この死体の描写から殺人犯の狂気や異常さが伝わる
この残虐な描写があるからこそ
この映画にリアリティと緊張感を生み出すことができていると思います


そして、もう1つすごいと思ったのが
漫画のクオリティ

漫画の設定はおそらく細かく作られていると思いますし
漫画の絵もかなりクオリティが高いです

漫画を題材にした映画やドラマって
劇中の漫画のクオリティが低くて
こんな漫画売れないだろ
って思ってしまうことも多々ありますけど

本作の場合は
売れてる漫画だと言われれば納得できるほど
劇中の漫画がちゃんと作り込まれている

絵のクオリティが高いから
絵が上手いと言われている主人公にも納得できるんですよね

細かい小道具が作り込まれていることで
この映画に説得力が生まれています

これだけで面白いものを作ろうとする気合いが感じられる

 

あとは、演出や映像の見せ方にもこだわりがあって
ストーリーに合った緊張感が生まれています

全体的に緊張感のある作風で
常にヒリヒリするような映画なんですが

所々に驚かされてしまう怖い演出があったり
ギリギリでスリル満点な展開があったりと
メリハリがあって最後まで退屈しません

緊張感が高まったところで
派手な出来事が発生するので
心がかなり揺さぶられたりもします

タイミングが絶妙で
起きてほしくないタイミングで嫌なことが起きるんですよね

こういうことをされると
さらに映画の中に引き込まれてしまいます


主人公の山城の漫画を描くスタイル
アナログとデジタルとの使い分けも面白くて

本当に描きたいものがあればアナログの手描きで
心が不安定で無理やり漫画を描いているときはデジタル

この漫画の描き方の違いだけで
言葉なくして山城の心の変化や決意を表現しています

漫画家が主人公というのを上手く活用していて
感心させられる表現でした


ラストの不穏で後味の悪い感じも良かったですね
こんな嫌な終わりかたは個人的にも好きだし
この余韻があるから記憶に残る映画にもなっている

 

そして、役者陣も素晴らしくて
この配役はセンスがいいと思います

有名どころを集めたメンツになってますが
みんな能力も伴っていて
豪華なだけのキャスティングになっていない

無駄に出すぎてはいないけど
ちゃんと存在感を放っている人ばかりですよね

それに、本作が俳優デビューのFukaseですが
全然他の俳優に負けてなかったし
ベテランの中にポツンと彼がいる異質さが
妙に殺人犯とマッチしていてより存在感を放っていました

このキャスティングは上手いなと思います

 

面白い映画でしたけども
1つ言うとすれば

殺人犯のキャラがちょっとテンプレ過ぎるかな…

如何にもこれがサイコパス
みたいになっていて
オリジナリティや面白みがあまりない

初登場時から
ヤバい奴ですって雰囲気を醸し出していて
ギャップなんかも全然ありませんでしたし

部屋の中の感じとかも
如何にもな内装でしたしね

普通そうな人だけど実はヤバい
みたいなキャラのほうが怖さもあると思いますし


それに悪人としての哲学もなく
キャラ自体が薄い印象になっている

最終的に
この犯人はカラッポな人間だった
というオチもあるので
あえて哲学や思想を描かなかったんだろうとも思うけど

なら、それはそれで
中身が無いからこその異常さなんかも見せてほしかったかな

この殺人犯が
いまいち濃い存在感を放っていなくて
少しもったいないなと思ってしまいました

もっと記憶に残るキャラになっていれば
さらにこの映画は素晴らしい作品になっていたと思います

 

多少、文句も言ってしまいましたが
概ね大満足な映画

実写化やリメイクでもない
映画オリジナルの作品で
このレベルの面白い作品が出てくるのは嬉しいことですよね

邦画がつまらないという人もいますけど
やっぱり邦画は面白い

 


帝一の國 豪華絢爛版Blu-ray

 

 

映画「学校の怪談」感想 ホラーというより ワクワクする冒険譚

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どうもきいつです


ホラー映画「学校の怪談」観ました

当日、小学生の間で流行っていた学校の怪談ブームを受けて作られたホラー映画
1995年の日本アカデミー賞では脚本賞と美術賞にノミネートされました

監督は平山秀幸が務めています

 

あらすじ
一学期終業式の日の夕方
小学2年生の美夏は立ち入り禁止の旧校舎に迷い込んでしまう
そして、美夏を心配し探していた5年生で姉の亜樹も旧校舎に踏み込んでしまった
そこにいたのは
亜樹の同級生の研輔と将太、4年生の均、6年生の香織だった
5人は旧校舎に閉じ込められ目の前にはお化けが現れた

 

感想
子ども向け映画には間違いないけど
シンプルなストーリーと子どもたちの冒険にはワクワクさせられます
当時の手作り感のある特撮映像も面白い
大人になった今でも楽しんで観れました

 

子どもの頃に何回も観ていた映画
久しぶりに観てみました

思い出補正があるかもしれませんけど
かなり好きな作品で
久しぶりに観てみてもやっぱりおもしろかったです


かなり昔の映画ですし
今観るととてもチープで
あまりリアルではないかもしれません

最新のCGで作られた映像になれてしまっていると
こんな古くさい映画を受け付けない人も多いかも

ただ、この時代だからこその魅力が存分にあって面白い映像になっていると思います

本作がリアルなCGで作られていたとしたら
こんな魅力のある作品にはなっていなかったはず

出来ることが制限されているから
いろんな工夫が凝らされ
手作り感のある独特な世界観が生まれている

 

まず、ストーリーの話ですが
かなりシンプルでわかりやすい

明らかに子ども向けの内容で
そんなに深いものはないですし
別にひねったストーリーでもありません

子どもたちがお化けによって学校に閉じ込められて
脱出するために奮闘する
ただそれだけの物語です

その中にジュブナイル的な要素が詰め込まれていて
ワクワクしながら観ることができます

それに、ジャンルは一応ホラーですけど
そんなに怖くなく
あくまで子ども向け

おどろおどろしいクリーチャーを見せられるだけでなく
どこか可愛かったり
なんか滑稽で笑えたり
お化けたちにキャラクター性があって好感が持てます

大人が観れば
子どもだましで安っぽいかもしれないけど
だから懐かしさを感じたり
独特な雰囲気に引き込まれていきます

 

そして、この時代の映画だからこその
今の映画にはない工夫の凝らされた面白い映像が本作の最大の魅力です

CG技術は今ほど発達していないですし
ましてや日本では
お金の面や技術の面で出来ることはかなり限られていたと思います

そんな中でも面白いものを作ろうと
手を変え品を変え
様々な方法で楽しませようとしてくれる

 

例えばクリーチャーの造形はとても面白いです

「学校の怪談」と言えばテケテケです
このテケテケも面白いですよね

うわさ話に出てくる本来のテケテケって
下半身がなく鎌を持って子ども達の脚を奪いに来る
というかなり怖いお化けです
「地獄先生ぬ~べ~」に登場したテケテケなんてトラウマもので
めちゃくちゃ怖いお化けなわけです

でも本作のテケテケは下半身はありますし
見た目はサルっぽくもある
なんかよくわからないお化けになってる

でも、それがこの映画の成功した要因でもあって

テケテケをキャラクター的にデフォルメ…
と言うか、全く別物のデザインにすることで
どこか可愛くて好感の持てるマスコットになりました

可愛いだけでなくちょっと気持ち悪いのもいいですよね

このキャラがいるお陰で
本作がただ怖いだけのホラーではなく
怖いけど楽しいワクワクする映画になってると思う


それ以外のお化け達もバリエーションに富んでいて
1つの映画の中なのに
いろんなタイプのクリーチャーが登場して
全然飽きないんですよね

ラスボス的な存在のクマヒゲさんなんかは
B級の洋画に出てきそうな造形

明らかに「遊星からの物体X」などの影響を受けています

口からクモがでてきたり
体を突き破ってクリーチャーの本体が現れたり
子ども向けにしてはちょっとキモすぎるけど
そこが逆に子ども達の記憶に残るものになっている

なかなかのインパクトですよね


口裂け女も特殊メイクでかなりの異形に仕上がってます
一瞬しか登場しないのに記憶に焼き付く
これはトラウマになるやつです

口元が必要以上に誇張されてて
思っている口裂け女を超えてくる

他にもゾンビがいたり
スイカのメリーさんがいたり

この映画ってお化けのジャンルなんなんだよ?
って思うほど様々な見せ方で
怖がらせ楽しませてくれます

 

さらに、特撮の技法も様々で
いろんな方法でいろんな表現をしています

CGや合成はもちろん使ってますけど
手作りの部分が大半で
特殊メイクや小道具、背景のセットなどにはかなりこだわりを感じます

アナログな方法での撮影も多いし
ミニチュアを合成した映像なんかもある
粘土を使ったストップモーションアニメなども使われています

とにかく使える技法は全部使ってるんじゃないかというほど
いろんな工夫が詰め込まれていて

今ではCGでどれだけでもリアルにすることはできるだろうけど
本作のようなチープなようでリアルな絶妙なバランスは生まれないと思う

限られたものの中で作られた全力の映像は
本当に魅力的で
それを観ているだけでワクワクしてしまいます

そんな世界の中を子どもたちが大冒険する
たまらないですよ


この映画の狙いは
ただ怖がらせるだけでなく
子ども達が楽しめる作品にすることだろうし
それがかなり上手くいってます

余計なものを省いたテンポのよさもありますし
最初から最後までジェットコースターのように進んでいく

子どもを楽しませるためにこだわり抜いたからこそ
本作が多くの人の記憶に残る映画になっているんだと思います

 

大人になった今観ると
細かい部分に対するこだわりにも気付けて
よりこの映画の魅力を感じることができました

昔の映画だけど
今の子どもが観ても楽しめる作品だと思います

夏になると観たくなります

 


劇場版 学校の怪談 DVD-BOX

 

 

映画「クルエラ」感想 結局どっちにしたいの?

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どうもきいつです


ディズニー映画「クルエラ」観ました

アニメ映画「101匹わんちゃん」に登場する
悪役クルエラの誕生秘話を映画化した作品
1970年代ロンドンを舞台に
デザイナーを目指すエステラが邪悪なクルエラへ変貌を遂げる姿が描かれます

監督は「アイ・トーニャ 史上最大のスキャンダル」などのクレイグ・ギレスピー
主人公クルエラを演じるのは「ラ・ラ・ランド」などのエマ・ストーンです

 

あらすじ
エステラは才能ある少し変わった少女だった
母親を失った彼女は1人でロンドンに向かい
出会ったジャスパーとホーレスと共に泥棒生活を送ることに
10年後ファッションスキルを磨いていたエステラは
カリスマファッションデザイナーのバロネスと出会う

 

感想
ヴィランを描きたいのか真っ当な主人公を描きたいのか
どっちつかずで中途半端
ストーリーもよくある普通の内容で
いまいち面白味がありませんでした

 

前から少し気になっていたので観に行ってきました
「101匹わんちゃん」は子どもの頃に観たことがありますけど
ほぼ忘れてます
確か実写版も観たことある

ストーリーはかなり単純だったと思いますし
クルエラは犬の毛皮で服を作ろうとする
みたいなわかりやすい悪役だった気がする

僕はその程度の知識で思い入れもさほどありません


レビューなんかを見ていると絶賛してる人も多いんですけど
正直、それほどのものかな…?
と少し疑問に思ってしまった

そんなに面白くなかったですかね…


本作は
最近のヴィランを主人公にする
みたいなブームに乗っかった作品なのかなと思います

同じディズニー映画なら「マレフィセント」とかありますし
アメコミもヴィランが主人公の作品が増えてますし

何よりも
悪役の誕生秘話というのには
「ジョーカー」の成功にあやかってるのかな
とかも思ってしまいます

 

で、この映画は
「ジョーカー」にはなれなかったな
って印象でした

同じヴィラン主人公ものなら
「マレフィセント」や「ヴェノム」みたいな感じですかね

ヴィランを主人公にしているけど
結局はいつものやつ
みたいな映画です


ストーリー自体はそんなに悪くないと思います
ディズニーがいつもやっている王道な流れで
主人公が悪い奴をやっつける映画

この映画の場合は
クルエラが悪どいバロネスを退治する話です

良く言えば王道
悪く言えばマンネリな映画ではありますが
つまらなくはないと思います

序盤はちょっと退屈だけど
クルエラの復讐が始まってからは面白くなってきます
盛り上がるシーンもそれなりにあって
ある程度は面白くて観ることができました

ディズニーってこともあり
映像のクオリティも高いですし
悪くはない映画です

ただ、記憶に残るような映画ではなかった

いまいちインパクトもありませんし
特別面白いわけでもない

どんでん返しの予想外な展開もありますが
想定外ではあるもののよくある展開で
そこまで驚きはなかったり

この映画だからこその強みはありませんよね

 

で、この映画で1番問題なのは
クルエラのキャラクターが中途半端すぎるところだと思います

宣伝なんかでは悪役の誕生秘話って感じですけども
実際に観てみると
そこまで悪役として描かれていませんし
かと言って
正義のヒロインってわけでもない

結局、クルエラをどうしたかったんだよ?
って思うほど
どっちつかずの曖昧なキャラになっていました


本作はあくまで「101匹わんちゃん」の前日譚という位置付けですが
そこまで繋がってないかな
くらいの浅い繋がり

本作のクルエラが後のクルエラになるのかどうかは置いといて観ることもできます

なので、「101匹わんちゃん」のクルエラと性格が違いすぎるのはスルーして
1つの作品として観る方がいいかもしれません


とは言え
クルエラのキャラクターはブレブレで
そんなにいいキャラでないのは否めない

ブレブレなので
こっちもどんな気持ちでクルエラを見ればいいのかわからなくなる

たぶん、最終的には「101匹わんちゃん」のクルエラに持っていきたいんだろうけど

ストーリーが
悪人をやっつけるだけのいつものディズニー映画なので
そこでズレが生じてるんですよ

ストーリーのジャンルで言えば「101匹わんちゃん」とやってることは変わらないですから


じゃあ「マレフィセント」のような
実はマレフィセントはいい人でした
みたいにいっそのこと別物の話にしてしまえばいいと思うけど
そこまでも行ききっていない


映画の中では
復讐に燃えるクルエラをメインに描いていて
復讐のためならクレイジーになってやる
みたいなキャラにしてはいますけど

実際はそんなにクレイジーではなくて
むしろ良識のあるまともな人間ですしね

普通に優しいし仲間思いだし
普通の善良な主人公になってます


比べるのは悪いですけど
「ジョーカー」のように
深い闇や人間の邪悪さなんかは全く描けていなくて
本当にただのディズニー映画でしかないんですよ

ならヴィランを主人公にするなんて
背伸びするようなことはやめればいいのに


僕は毎回このタイプの映画を見るたびに言いますけど
ヴィランを主人公にするなら
ヒーロー主人公の映画と同じにしないでほしい

ヴィランを扱う意義を見せてほしいんですよね


この映画の場合も
クルエラを後の悪役として描こうとはしているけど
本作のヴィランであるバロネスがそれを食ってしまうほど
上を行く悪人として描かれています

それがあるから
結果的にヴィランとしてのクルエラは完全に薄まっていて
魅力もなにもないなって感じ


ヴィランの前日譚なのに単純な勧善懲悪な物語に矛盾を感じるし
勧善懲悪なのにクルエラを善人として描いていない矛盾もある

悪人を主役にするのなら
善悪では説明できないグレーな部分を掘り下げる必要があると思う

「ジョーカー」はそんな部分がかなり深く描かれていて
素晴らしい作品になっていたわけですが

本作は何もかもが中途半端で
全く深い映画にはなっていませんでした

 

ただ、エマ・ストーンはとても魅力的で
それだけでこの映画を観れてしまうのは間違いないです

クルエラのキャラ自体は中途半端で魅力なんてないけども
エマ・ストーンの魅力で全てを補っていました

逆に言えば
エマ・ストーンに頼りっきりの映画とも言えますよね
その時点でレベルは低いのかな…

 

とりあえずヴィランを主人公にすればいい
とりあえずエマ・ストーンにやらせればいい
みたいな意識の低さを感じる映画

ある意味
最近のディズニーらしい映画ではありますかね

今思えば「101匹わんちゃん」のクルエラをピックアップするセンスもよくわからないかな…

ディズニーなら無条件で大絶賛な人なら満足できるんじゃないでしょうか?

 


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映画「プラットフォーム」感想 この風刺には納得させられる

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どうもきいつです


スリラー映画「プラットフォーム」観ました

中央に穴の空いた部屋で目覚めた男の
極限状態の日々を描いたスペインのスリラー映画
シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀作品賞など4部門を受賞しています

スペインの監督ガルター・ガステル=ウルティアの長編初作品です

 

あらすじ
ゴレンが目を覚ますと
そこは中央に四角の穴のある謎の部屋だった
そこは塔の48階層で上下には無数の部屋が続いている
ゴレンは同じ階にいた老人トリマカシから
1ヶ月ごとに階層が入れ替わること
食事が摂れるのはプラットフォームが自分の階層にある間だけ
というルールを聞かされるのだった

 

感想
独特な世界観な上に抽象的で難解
でも、描かれている社会風刺はストレートで納得させられるものがある
先の展開が読めないハラハラ感もあって
最後まで映画に引き込まれました

 

劇場で公開しているときにとても観たかったんですが観れていなく
Netflixで配信が始まったので観てみました


かなり独特な設定と世界観で
観終えたときは放心状態

どういうことだったんだろう?
この建物は何だったんだろう?
と、頭の中がハテナでいっぱい

結局、謎が謎のまま終わってしまう映画で
なかなか掴み所がなくて難解な印象でした

とは言え、つまらなかったわけではなく
この不思議な世界に引き込まれ
殺伐とした展開やグロくて刺激的な映像
先の読めない物語にハラハラさせられて
面白く観ることができました


まず、この映画の作りって
「CUBE」なんかとすごく似ています

謎の場所に何もわからず放り込まれて
そこのルールに従い脱出を目指す
というシンプルな内容

謎が謎のまま終わっていくのも
「CUBE」と同じですよね


ただ、本作の場合は
かなり社会風刺が全面的に押し出されていて
裏のテーマなんかもありそうです

そんな要素が観ていて理解しがたく
掴み所のない映画にもなっています


でも、スリラー映画としてなかなか面白く
理解できなくてもそれなりに楽しめる

このタイプのスリラー映画の醍醐味と言えば
やっぱり人間の本性が露になる姿
これが観ていて面白く思う反面
とても怖くもあります

自分ならこの状況に陥ったらどうなるのか
などもつい考えてしまいますよね

この映画の場合は
“食べる”ということがかなり重要

設定がとても面白くて
上の階層から順番に
決まった量の食べ物が運ばれてきます

もちろん上の階層の人ほど
好きなものを好きなだけ食べることができる
逆に下の階層の人は全く食べることができません

この設定が人間の愚かさや醜さをあぶり出すのにうってつけと言うか

とにかく人間の嫌な部分をこれでもかと見せつけられる
しかも、これが人間の本質的な部分でもあって
自分もこの人たちと同じなんじゃないかな
とも思わされてしまいます


さらに意地悪なのが
1つの部屋に2人いて
同じ階層で1ヶ月間過ごさなければならない
というところ

これがあるからやっぱり最終的には…

50階くらいまでは
残飯と言えど食べるものはギリギリ残っていて
死ぬことはありません
ただ、それより下は全く食べることはできず
空腹で過ごさなければならない

この極限状態に陥るからこそ
人間としての葛藤が生まれてくるわけです

生きるために罪を犯さなければならない
人間をやめなければならない
主人公もその状況に陥ります
ここは究極の選択になって来ますよね

それに伴って
かなり過激で気持ち悪い映像もたくさんあります

軽いところで言うと
食べ散らかした残飯はなかなか気持ち悪い

はじめは豪華絢爛な食べ物たちが
あっという間に汚ならしく食べ散らかされます
これによって人間の醜さがより表れます


そして、やはり飢餓が続くと…

かなりグロい場面も多くて
不快なんてレベルではないかも
苦手な人は無理な描写の連続です

そんな過激だったり気持ち悪い描写があるからこそ
この映画のテーマが深まっていると思う

単純にそんな描写にゾクゾクさせられて
どんどん映画に引き込まれる魅力も生まれています


終盤の展開はなかなか盛り上がりがあって
この建物の謎に迫っていったりもするので
ますます引き込まれていきます

最下層に近づくにつれて
地獄絵図のようなものが次々と現れる

人がいなければ部屋に止まらないテーブル
下に行けば止まらない部屋がたくさんあるわけですよ

謎に迫っていくワクワク感がありつつも
すごく恐怖心も煽られます

最終的には謎が解けるわけではなく
は?って思ってしまう結末です

でも、希望を感じられる終わりでもあって
どこか満足感もありました


スリラー映画として普通に面白い作品で
個人的にも好きなタイプの映画でした

 

そして、難解とは言いましたが
社会風刺はかなりストレートに描かれています

これは見たままのもので
格差社会や資本主義の社会を風刺している

簡単に言えば
裕福ならば好きなものを好きなだけ食べれるけど
貧困ならその食べ残ししか食べれない
さらに下に行けば行くほど得るものが少なくなってしまう

今の社会そのものだな
と思えるほどストレートですよね


さらに、この映画ではランダムに階層が入れ替わるというシステムがあって
そこから見えてくるものは

結局、裕福であっても貧困であっても
根本は何も変わらない

例え上層で裕福に暮らしていたとしても
下層に行けば途端に生きるために見境なく醜くなってしまう

下層の苦しみを知っていたとしても
上層になれば下層を見下し
下層の人の事など考えもせずに
欲しいものを好きなだけ食らうんです

そこに人間の本性があって
観ていて少しイライラもしてしまう


この映画を観て
人間はここまで醜くはないと不快に思う人もいるかもしれません

でも、現実の世界の人間もこんなもんだったりします

それに気付けてないだけで
自分もそんな醜い人間の可能性はあります

自分の生き方を改めなければならないんじゃないか
と思わされる部分もありました


それともう1つ思ったのが
世界の構造を変えるためには
下から叫んでるだけじゃ無理なのかな
ということ

下の人間がどんなに騒ごうが
世界は何も変わらないんですよね

そもそも下の人間のことなんて気にしていないんですから

結局は上層の人間が立ち上がることでしか
世界が動き出さない

この映画でも
主人公のゴレンが上層に来たとき
世界を変えようと動き出したからこそ
この塔に初めて変化が起きてくる

自分が幸せだから他はどうでもいいのか
自分の幸せをなげうってでも世界を変えようとするのか
これは難しい

この映画を観て
自分ならどうするか
それを考えるだけでも何か得るものがあるのかもしれません

 

あと、この映画は
キリスト教的な価値観でも作られていると思います

この映画の謎を紐解くには重要な要素だと思う
ただ、僕はこのへんの知識には疎いので
あまり深くは理解できませんでした

そんな知識があれば
よりこの映画を深く考察できるのかもしれませんね

 

少し抽象的で掴み所のない映画ではありますが
やってることはとても興味深くて
最後まで目を離せない映画でした

観た後にもいろいろと考えることができて
噛めば噛むほど味わいのある映画なんじゃないでしょうか

一見の価値はあると思います

 


プラットフォーム (Blu-ray+DVDセット)

 

 

映画「Arc アーク」感想 哲学的なようで実は薄っぺらい映画

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どうもきいつです


SF映画「Arc アーク」観ました

SF作家ケン・リュウの短編小説「円弧(アーク)」を実写映画化した作品
不老不死が実現した近未来を舞台に
永遠の命を得た女性の運命が描かれます

監督は「愚行録」「蜜蜂と遠雷」などの石川慶
主演を務めるのは芳根京子です

 

あらすじ
放浪生活を送っていたリナは
やがて人生の師となるエマと出会い
遺体を生前のような姿に保つボディワークスという仕事に就くことになる
一方、エマの弟の天音は
その技術を発展させた不老不死の研究に取り組んでいた
そして、30歳になったリナは不老不死の処置を受け人類で初めて永遠の命を得るのだった

 

感想
哲学的な映画にしたかったんだろうけど
正直、かなり薄っぺらい
雰囲気だけは重苦しいけど中身はカラッポ
無駄な演出、説明不足、世界観の押し付け
そんなのが多いので観ていてとても退屈でした

 

予告を見て気になっていたのと
芳根京子が好きなのとで
この映画を観に行ってきました

不老不死をテーマにした作品ということで
興味をそそられ期待もしていました

実際に観てみると
なかなかつまらないな
という印象

それにこの作品の作りがちょっとズルくて
あまり好感が持てませんでした


この映画を好きという人や
絶賛している人なんかもいますし
その気持ちがわからなくもないですが

正直言って
騙されてると思いますよ


この映画のズルさって
つまらないと言っちゃいけない空気を出してるところなんですよね

なんとなく凄そうな映画で
なんとなく深そうな映画
批判する奴はわかってない
みたいな

実際に
独特な雰囲気のSFな世界観であったり
アートっぽいビジュアルや演出であったり
生と死をテーマにした哲学的な物語だったり

それっぽい要素がたくさん詰め込まれています

面白くはないけれどアートで深いメッセージ性のある映画
って感じの作品になっている

でも、実は
全然アートでもないし全然哲学的でもない
抽象的にしておけばそれっぽく見えることをいいことに
いろんな事から逃げてる手抜き映画です


そんな作風が自分的には
どうも好きにはなれないし
むしろ腹立たしくもある
ちょっとなめられてる感じがしますしね

 

まずはSF映画として本作がどうなのかですが
かなり雑だと思います

とても独特な世界観で
第一印象はどこか魅力的ではありますが

映画を観ていくうちに
この映画がいかに雰囲気で誤魔化しているのかがわかってきます

SFの設定や表現を手抜きしているのは間違いない


序盤に出てくるボディワークスという職業なんかは
なんとなくそれっぽい映像で
未来っぽい雰囲気は出せています

ただ細かい部分はかなりテキトーで
ツッコミどころが多いです

エマが糸みたいなのを引っ張り死体のポーズを作っていますが
そもそも、この作業が何なのかよくわからん

その上
これはエマにしかできないこと
とかセリフで言わせてるけど

なにそれ…?って感じですよね
いまいちそういう部分は説明不足で

そういう世界観だから
で誤魔化してるんですよ


この映画って基本的に
説明が難しかったり
作り込みが面倒くさそうな設定だったりは
‘’そういうもんだから”で誤魔化してる

嘘でもこじつけでもいいから
SFをやるのなら
設定は作り込んでほしいですよね

 

それ以外にも
この映画は世界観も雰囲気で誤魔化してます

設定は近未来なんですが
本作は全然未来っぽくないです

はじめは物語の背景がどこか無機質で
未来っぽい感じはするんですよ

ただ、後半になると現代の田舎の島が舞台になります

そしてそこに住んでいる老人たちは
どう見ても昭和初期生まれのおじいちゃんとおばあちゃんばかり

途中でアナログカメラを懐かしいと言っていたり
昭和臭いネズミのおもちゃを子どもにあげていたり

設定上では
この老人たちは今現在の子供たちであるはずなのに
何故か価値観が昭和なんです

たぶん何も考えずにこの映画を作ってるんでしょうね

老人=昭和
っていう思考停止した発想なんですよ


で、リナが島の外へ出て都会へ行く場面がありますけど
この時の都会の背景が
ただの今の都会
この背景は東京のビル群だろうけど

あと煙が上がる工業地帯をむやみに見せてたり

工夫も何もない


長い年月を生きる女性を描いた作品なら
背景や人物の見た目
世界の価値観
そういうものの変化は絶対に見せるべきだと思う

この映画って
背景も全然変化しないし
人物の服装などの見た目の変化も無い
時代の移り変わりなんかも全く描かれていなくて

全ての時間が止まってるのかよ
と思ってしまう


主人公の時間が止まっているんだから
その周りの時間は動いていないと
この映画のテーマに沿ってなくない?

 

そして、問題なのが
不老不死の扱い方がちょっとおかしいです

この映画の世界で行われている不老不死の処置って
実はただのアンチエイジングです
別に人が死ななくなった訳じゃないです

それはそれで別に悪くはないけど
不老と不死をごっちゃにしていることが問題

これもやっぱり設定の詰めが甘いからでしょうね

何も考えずに
歳をとらなければ死なない
って馬鹿な発想

世の中、老衰で寿命を全うするなんて少数ですよ

で、そういう部分の説明もなく
雰囲気で不老不死みたいにやってる

 

とにかく、SFとして本当に詰めが甘い
テキトーに作った手抜きです

 


でも、そういう部分を誤魔化すズルさはあって
なんとなくいい映画っぽく見せてます

中でも
生と死をテーマにした
なんとなく重くて深そうな雰囲気

それがあるから文句を言いにくい映画に仕上がっています


しかし、実際は表面的な事ばかりで
核心には触れていません

登場人物の内面などは全く描かず
出来事ばかりを並べているだけ

感情移入なんて全くできないし
普通の人間以上に長生きしている主人公ですけど
本当に薄っぺらい人生です

主人公の人生を描くことで
生と死について切り込まなければなないはずが
そもそも、この主人公が何も考えてないですからね

周りの意見に流されてるだけの女です


結末に関しても
長生きするのやーめた
で、普通に老化してます

都合が良すぎて
よりこのテーマを薄っぺらくしてますよね


他にも
この映画の中の架空の社会問題なんかも見せられるけど
架空の世界の架空の問題なんて
全然ピンとこない

それを深く描くならまだしも
たいして説明もしないし軽く流すし
なんかそれっぽいだけで
そこからは何も伝わってこない

深いっぽいけど
中身はカラッポです

 


それと、演出に関しても
雰囲気だけで中身が無いですよね

なんとなくアートっぽくはあるけど
やってることは意味不明でただ雰囲気だけ

途中からずっとモノクロになるけど
あれ本当に意味わかりません

無駄にモノクロにしてるだけ


それ以外では
ボディワークスの依頼に来た人や
島の入居希望の人たちなど
なんかドキュメンタリーっぽくやってたけど
無駄に長いし意味不明
狙いが全くわかりません


基本、無駄なシーンがすごく多い映画でもありました

 

この映画って
誤魔化すことばっかりで

SF映画としても
メッセージ性のある映画としても
アート映画としても
全く向き合って作られていないなと思った

なんとなくすごそうな映画だし
文句を言えない雰囲気があるし
ある意味成功してるんじゃない?

僕はこの映画には騙されない

 


蜜蜂と遠雷Blu-ray通常版

 

 

映画「ザ・サイレンス 闇のハンター」感想 やりたいことはわかるけど… いろいろと中途半端

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どうもきいつです


ホラー映画「ザ・サイレンス 闇のハンター」観ました

ティム・レボン作のホラー小説の映画化
音に反応し襲ってくる凶暴な飛行生物が解き放たれた世界を舞台に
生き残りをかけて旅をする家族の姿を描いたサバイバルホラー
Netflixで2019年4月より配信されています

監督は「アナベル 死霊館の人形」のジョン・R・レオネッティが務めています

 

あらすじ
3年前に事故で聴力を失ったアリーは
両親、祖母、弟の5人で平凡な生活を送っていた
しかし、突如空から謎の生物が襲来する
その生物は音を察知し人間たちに襲いかかるのだった
アリーたち街を抜け出し安全な土地を求めてさまようこととなる

 

感想
なんとなくやりたいことは伝わってきます
でも、いろんな要素を詰め込んでるわりに
そのどれもが中途半端
あまり印象に残る映画ではありませんでした

 

「クワイエット・プレイス」に似ている映画
ということで気になったので観てみました

実際にかなり設定が似ているし
やってることも似ている

原作があるということで
たぶんパクリではないと思いますが

「クワイエット・プレイス」のヒットを受けて作られた可能性はなきにしもあらずですね


とは言え
似てると言えど違う部分もそれなりにあるし
差別化は出来てるのかな
とは思います

ただ、比べてしまうのは否めませんが…


で、この映画が面白いのかとと言うと
特別面白くはないかな…
めちゃくちゃつまらないわけではないけど
この映画だからこそ飛び抜けたものはない

「クワイエット・プレイス」もそんなに面白いと思わなかったし
個人的にはさほど好きでもないけど
こっちの方が音を出してはいけない
という緊張感の出し方は上手かったかも

2019年に配信が始まってるけど
全く話題にならなかったのが納得できるような内容でした


とは言え
良かったと思う部分もあったので
まずそこから言っていきます

「クワイエット・プレイス」に比べると
絶望的な世界観は良かったと思います

舞台の範囲が広いというのもありますし
クリーチャーの数がめっちゃ多かったりもするので
いつ殺されてもおかしくないという雰囲気は作れていました

アメリカ全体が襲われていく描写もあって
世界が崩壊していく様も描かれています

なので、なんかヤバいって感じは
観ている側にも伝わってくる

そのへんは「クワイエット・プレイス」以上に表現できていたと思う


あとは
エマ・ワトソン似の主人公が可愛かったのと
それなりに手話が活用されていたのは
「クワイエット・プレイス」よりは良かった点かも

まあ、良かったのはそれくらいで
それ以外はいまいちで
あまりパッとしない映画になっています

 

この映画で特に気になるのは
全体的に中途半端な要素が多い
全部が中途半端なので結局この映画自体も中途半端

なんとなくやりたいことは伝わるけど
核心には触れていなくて
すごくふわっとした印象です


メインはやはり音に反応するクリーチャーなわけですが
これの扱いもあまり上手くなくて
ホラーやモンスターパニックとしてもかなり微妙です

ホラー的な怖さはあまりなく
驚かされたりゾクゾクさせられたり
恐怖心を煽られることが少ない

パニック映画としても盛り上がりに欠けて
ギリギリな展開や衝撃的な展開などはほぼないです

クリーチャーにいつ襲われてもおかしくない状況ではありますけど
音に反応するという設定がブレブレで
襲ってくることもあれば全然襲ってこないこともある

小さい音に反応して来たりもするけど
まあまあ大きい音を出しても無反応だったりします

その場にクリーチャーがいるかどうか
というのもあるかもしれないけど
基本的に作り手側の都合に合わせて動かされてるって感じがしますよね

そういうのがあるから緊張感が生まれてきません

それにクリーチャー自体も小さく強そうには見えないので
あまり怖くないかな…

数が多いという恐怖はあるけども
デザインもシンプル過ぎるので
いまいちパンチが弱いなって印象でした

 

そして、クリーチャーに襲われる以外の要素もいろいろ詰め込まれていて
それがすごく中途半端

後半になると
荒廃した世界で暮らす家族の前に
謎のカルト集団が現れます

絶望的な世界にカルト集団
というのは設定だけでは魅力的にも感じます
「クワイエット・プレイス」にはこんな要素はなく差別化も出来てますしね

ただ、結果的にカルト集団の存在がノイズにしかなっていなくて
すごくもったいないです

なんとなくカルト集団を使ってやりたいことはわかるんですよ
でも、決定打に欠けると言うか…

カルト集団が現れてからはすごくふわっとした物語になってしまいます
カルト集団が登場したことによって
モンスターパニックの部分も削がれてしまいますしね

モンスターよりも人間の方が怖いって話にもなっていかないし
カルト集団から物語が展開していくわけでもない

主人公が連れ去られそうになる
という軽いトラブルが発生して終わりです
カルト集団のやってることが小者くさくて
ただの強盗って感じ

主人公が狙われる理由に関しても
なんとなく
やりたいことはわからんでもないけど
核心に迫ってないから意味不明になってる

カルト集団やそこからの展開があまりに中途半端で
その要素の魅力を全く引き出せていませんでした
ストーリの邪魔をしているだけ


それと、環境に適応するみたいなことを押してる映画でもあるけど
そこもなかなか中途半端で
あまり上手く扱えていないです

はじめのほうで主人公の適応能力が高い
みたいなことを言ってますが
それがいまいち生かされず
ダラダラと話が進んでいく

その上、主人公がほぼ活躍していなかったりもします
聴力が無いからこそ有利になるとか
その適応能力の高さで危機を切り抜けるとか
そんな展開は全く無く
彼氏に会いたいだけの頭お花畑女でしかない

活躍してるのはほぼお父さんだけでした
お父さんの方が適応能力あるよね

ラストの場面で
それっぽいことを言って締めてるけど
それにも全然納得いかないし

人間の適応能力とか言うよりも
単純にクリーチャーが寒さに弱かっただけじゃん
何カッコつけてるんだよ
としか思いませんでした

 

それぞれの要素をもっと深く描けば面白くなったかもしれません
90分の映画に無理矢理詰め込んでるから薄くなったのかなとも思います

「クワイエット・プレイス」がヒットして
この映画がヒットしなかった理由は
この映画を観たら納得できました