何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「RRR」感想 これぞエンタメの極み

どうもきいつです


インド映画「RRR」観ました

イギリス植民地時代のインドを舞台に
2人の男の友情と使命と闘いが描かれるアクション大作

日本でも大きな話題を集めた「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャウマリが監督を務めます

 

あらすじ
1920年。イギリス植民地時代のインド
英国軍にさらわれた少女を救うため立ち上がったビーム
大義のため英国政府の警察官となったラーマ
それぞれ使命を抱える2人はある出来事をきっかけに出会い
そして、互いの素性を知らないまま親友になる
しかし、2人は対立する立場で
ビームとラーマは命を懸けて戦うことになるのだった

 

感想
3時間の長い映画だけど最後まで全く飽きずずっと面白かった
ストーリーに心を刺激され
歌やダンスには楽しまされ
アクションには大興奮させられる
まさに究極のエンタメ

 

やっと観に行ってきました
前から話題になってたのですごく気になっていた作品

かなり面白かったので2回観に行ってしまいました
2回目はIMAX
最高でした


観る前は
インド映画って上映時間が長いので
最後まで大丈夫かな…?
という不安もありましたが

実際に観てみると
時間の長さなんて気にならないくらい面白い

確かに長さを感じる映画ではあるけど
決して退屈な時間は無く
終始ずっと面白い

いろんな意味で楽しませてくれる映画でした

すごく長い映画なのに全然飽きずに観れるのは
移り変わりが激しいからなのかなと思います
この映画を1本観ると
2、3本映画を観たような感覚にすらなっている

1本の映画の中でいろんな気持ちにさせてくれます

この映画を観ると喜怒哀楽全ての感情を感じれますよね
いや、喜怒哀楽以上のもっとさまざまな感情を呼び起こされたかも

とにかく、展開の移り変わりがたくさんあるし
物語の変化によってこちらの気持ちも刺激される


ストーリー自体は単純でさほど複雑なものはありません

物語の中心は2人の男の使命と戦いが描かれます

シンプルな内容ではあるけど
先の展開はとても気になり
この先どうなるんだろう?と最後まで興味が持続する


その中に
友情と対立
様々な形の愛
歴史的な背景
激しいアクション
歌とダンス

これでもかとエンタメ要素がてんこ盛りな作品です


ストーリーの見せ方もシンプルで
大きく分けると3つの章に分けれます

ビーム中心の物語
ラーマ中心の物語
結末へ向けての物語
この3つが分かりやすく描かれていてとても見やすいです

それに、それぞれの章に見せ場がしっかりあって
クライマックス的な盛り上がりもそれぞれに見せてくれる

それぞれの章が一本の映画としても成り立つんじゃないでしょうか

 

序盤はプロローグって感じで
ビームとラーマの出会いまでが描かれます
でも、この序盤でさえいろんなものが詰め込まれていて

なんと言えばいいか…
とにかくすごいんですよ

ビームと虎の戦いとかもすごいし
ラーマの無双もすごいし

主人公2人の初登場シーンから時間使いすぎだろってくらい時間を割いて
でも、間延びしてるわけでもなく
シンプルに面白い場面になっていて心を掴まれます

2人の出会いがクライマックスでもいいんじゃないか
と思わされるほど冒頭から全力投球なんですよね

てか、タイトルロゴが出るまでもめっちゃ長い
でも全然最高です


そして、ビームとラーマの出会いから友情を築いていくパート
ここは基本的にビームが中心になります
雰囲気は少しほのぼのとほっこり

コミカルで笑えたり
ビームの可愛さに微笑ましくなったり
ラーマの優しさに暖かくさせられたり

ゆったりした流れにはなるけど
2人の交流が普通に面白いく
所々に緊張感のある場面も散りばめられているのでメリハリもある

観ている側からすれば
ビームとラーマはいずれ対立することは予測できているので
ずっとこのまま幸せな時間が続けばいいのにと思ってしまいますよね

それに、インド映画定番の
歌とキレキレのダンスシーン
これはやっぱり最高
単純に楽しい

動きは激しいしノリはいいし
やっぱりインド映画はこれがなきゃなって感じ
いつものごとく歌とダンスがめっちゃ長い
でも、キレキレのダンスは最高に楽しく全く飽きない
むしろずっと観ていたいほど

そして、来てほしくなかったけど
ビームとラーマが対立します

ここでは2人が仲良くしていたほのぼのシーンが効いていて
すごく切なくなります

この2人を戦わすとか本当に残酷
でも最高

ビームが捕らわれた少女を助け出すためにイギリス側の屋敷に突撃し
そこからのビームとラーマの対峙
激しいしバトルが繰り広げられます

ここがめちゃくちゃ派手で盛り上がる
こんなもんクライマックスですよ

動物たちが暴れまわり
ビームも暴れまわり
ラーマも暴れまわる

映像的にもド派手で大迫力な場面になっています
まあテンション上がりますよね

で、普通の映画ならここで終わりますが
本作の場合はまだ折り返し地点
まだまだこの映画は続きます

 

ビームがイギリス側に捕まってからは殺伐としてかなりシリアス
ここからはラーマ中心の物語に変わります

残酷で痛々しい場面も多々ある
ビームに対する拷問なんてなかなか見てられない…

ラーマの過去もかなり壮絶で
残酷であり現実的なやるせなさを感じさせられます

そして、イギリスのいけ好かない連中に
観ている側もヘイトがこれでもかと溜まっていく
このヘイトも本作にとっては重要なポイントになります

そんな残酷な場面からの
ラーマの決意と戦いには感動させられますよね
またまたクライマックスです

ビームのために命を懸けるラーマの姿には感動させられる
ハードな使命を背負いながらも葛藤し
最後には親友を選ぶ
泣けます…

 

で、最終章
ここはめっちゃ盛り上がります

ビームとラーマの共闘は最高だし
アクションは最高だし
歌もなんか荘厳だし
イギリスはぶっ倒されるし

イギリスにはヘイトが溜まりまくってるので
ビームとラーマが敵をバタバタと無双していくのはマジで気持ちがいい
カタルシスが半端無い

ここまでにビームとラーマのすれ違いや切ない対決を見せられていただけに
やっと2人の気持ちが繋がり
力を合わせて強大な敵に立ち向かう展開には
マジで心が昂る
興奮します

さらにアクションもめちゃくちゃド派手で
とにかくテンションがブチ上がる
人殺しまくり爆発しまくり最高

映像の見せ方もすごくカッコいい

脱獄する時の肩車バトルなんかも斬新で面白かったですね
斬新なだけでなく普通にカッコいいアクションにもなってるし


で、誰もが納得のハッピーエンドで幕を閉じます

ご都合主義だと思う人もいるかもしれないけど
個人的にはこの終わりかたは最高だと思います

なんか幸せな気持ちになると言うか
観終えた時には満足感と幸福感で胸が一杯

エンドロールの歌とダンスも素晴らしい
この世界にずっと浸ってたいなと思ってしまう


最初から最後まで
本当に面白い映画でしたね

それに、ただ面白いだけでなく
本作からはエネルギーを感じます

どんどんと伸びている現状のインドという国だからこそ
文化の面でもエネルギーに満ち溢れているんじゃないかと思います

ハリウッド映画と比べても全然引けを取らないクオリティ

正直、今の日本にこんな映画作れない…
悲しいけど日本は文化の面でもどんどんと衰退している気がします

まあ、日本の映画のことなんてどうでもいいか

 

本作は観るとすごく元気になれるし
感動するし
幸福感に満たされるし
熱い気持ちにもさせられるし

エンタメってこういうもんですよね

小難しい映画も悪くはないけど
やっぱりこんな楽しくて気分爽快な映画は最高に好き
何回でも観たくなる

 


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久しぶりに映画「セブン」を観たらサイコパスな殺人鬼に共感していた話

 

どうもきいつです

かなり久しぶりに「セブン」を観ました
すると、自分の中に新たな気付きがありました


「セブン」は1995年のサスペンス映画
監督はデヴィッド・フュンチャー
脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
主演はブラッド・ピット
他にはモーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、ケヴィン・スペイシーなども出演しています

とある街で“七つの大罪”になぞらえた連続殺人事件が発生し
その事件を追う刑事たちの姿を描いた作品

 

初めて本作を観たのはずいぶん前で
たぶん10年くらい前?
いや、もっと昔かもしれません

かなり前に観た作品なので内容もうろ覚えで
忘れている部分も多かった

ただ、やはり結末は衝撃的で眼に焼き付いてましたし
グロくて気持ち悪い描写も多く刺激的な描写は印象深く記憶に残ってる
当時としてはなかなか鮮烈な映画だったのではないでしょうか

僕が初めて本作を観たとき
陰湿でグロく気持ち悪い描写にゾクゾクさせられ
ラストの展開とブラピの表情には心を掻き乱された記憶があります

そして、この事件の犯人
ケヴィン・スペイシーが演じるジョン・ドゥには
ヤバいサイコパスという印象を持っていた

 

で、最近になり改めて本作を観てみると
ちょっと印象が変わってたんですよね

映画全体の雰囲気や面白さとかは
以前に観たときの印象とさほど変わりませんでしたが
ジョン・ドゥの見えかたが少し変わりました

 

まず、本作の重要な要素でもある“七つの大罪”の話をすると

七つの大罪とは
キリスト教において罪の根元とされる悪しき感情
“傲慢” “嫉妬” “憤怒” “怠惰” “強欲” “暴食” “色欲”の7つを言います

これが本作のテーマであり最も重要なポイントなわけです


ジョン・ドゥはそんな七つの大罪をモチーフに
かなりイカれた猟奇的な殺人を繰り返します
これだけを見ればサイコなヤバいやつ
てか、実際にサイコなヤバい奴であるのは間違いないですが…

しかし、終盤に彼が殺人を犯した動機が語られるのですが
それを知ると共感できてしまったんですよ
むしろ、ジョン・ドゥの感覚は何も狂ってはいないんじゃないかと思えたほど

簡単にジョン・ドゥの動機を説明すると
モラルが腐敗したお前ら街の人間たちに
この殺人を以て如何に貴様らが狂っているのかを知らしめてやる
みたいな感じですかね

これは映画を観ている人たちに向けられたメッセージでもあって
本作のメッセージとジョン・ドゥの思想はリンクしています
メタ的な構造ですよね


ジョン・ドゥは
“七つの大罪”の根元的な悪しき感情に囚われ
自らの感情や欲望をコントロールできていない人間たちを憂い
そして、苛立っている人なんです

そんなジョン・ドゥの思想が
今の僕の気持ちと重なる部分もあり
めっちゃこいつの言ってること分かるわー
ってなりました

正直、僕も今の人間たちを憂いて苛立っています


今の日本は
この映画の舞台となる雨の止まない街と似ている
今の日本には“七つの大罪”が蔓延っている
そして、誰もそれに気付いていない

 

ここからは僕が日々の生活で感じていることを
“七つの大罪”に当てはめていきます

 

“傲慢”
これはSNSの発展と共に顕著になったように思います
インスタ映えとかが分かりやすい例かと

如何に自分は美しいか格好いいか充実しているかを
SNS上でアピールしている人は多いです

Twitterなんかでは
如何に特別か優れているか賢いかを
学歴や収入や趣味なんかでアピールして
そして、マウントを取り合っている
みたいな光景はよく目にします

まあ、これが実力や努力に伴うプライドであれば健全だと思いますけど

実際は
写真を加工して原型がないほと美しく見せていたり
知識もないのに知ったかぶりして賢く見せていたり
根拠もないのに上から目線で他人を見下したり

嘘や虚栄心にまみれた彼らのプライドは
とても不健全に思えます

SNSの発展でよりお手軽に人からの注目や称賛を得れるようになったことで
人々に歪みが生じてきているのかなと思う

 

“嫉妬”
これもまたSNSでよく目にしますけど
他人に嫉妬して攻撃的になる人が多いですよね…

幸せそうな人、成功した人、高い能力を持つ人
こういった人たちを羨み妬み
そして、足を引っ張ってやろうとする人たち

よく芸能人がSNSで炎上したりするけど
嫉妬からくるパターンも多いんじゃないでしょうか
てか、ほぼ嫉妬ですよね

何かといちゃもんをつけて正論っぽい言葉を振りかざし攻撃的に噛みつきます
もっともらしい理論で自分を正当化してるけど
結局は妬み嫉みをぶつけているだけ

こんな人たちは
とにかく揚げ足を取って攻撃してくる

根本にあるのは
自分に対する劣等感からくる嫉妬なんでしょうね

SNSで必要以上に執念深く攻撃する奴らなんて
所詮は時間を持て余し心の隙間を埋めるために他人を攻撃している雑魚です


“憤怒”
これまたSNSの話になるけど
マジで怒ってる人多いですよね
しかも、自分に全く関係ない事に怒ってたりする
例えば芸能人の不倫とか

自分が侮辱されたとか
自分の大切な人が傷つけられたとかで怒るのならまだ全然理解できる

でも、ネットの世界では自分と関わりのないものに対しキレ散らかしてる人がすごく多い

これの原因はやはり匿名性かな
正体がバレなければ好き放題に暴れ回れる

怒るにもエネルギーは必要だしリスクも伴う
しかし、素性が明らかでなければ無責任に怒り放題なわけです

そして、無責任な怒りをぶつけられた人もまた怒り
負の連鎖です
これの行き着く先は戦争ですね

 

“怠惰”
これに関して最近思うのは
思考停止した諦めですかね
人生を諦めてる人がすごく多いなと思う

キャッチーな話題で言えば親ガチャとかですか

確かに子供は親を選べず
最低な親のもとに生まれてくる人は少なくありません
親だけでなく金銭面であったり地域であったり
人生のスタートはランダムなガチャと言っても過言じゃない

ただ、環境が恵まれなかったからと思考停止して諦めてしまうのはいかがなものか

親ガチャだけでなく
何も考えず流れに身を任せて生きていく人
誰かの指示をただこなすだけの人
そんな思考停止した生き方は怠惰の罪だと僕は思うわけです

どんな最悪な環境であろうと
自分自身や自分の人生には向き合うことが必要なんじゃないでしょうか

自分の環境、自分に与えられた境遇だからこそ
自分がやるべき事、やらなければならない事があると思う

 

“強欲”
これはいつの時代もですが
自分の欲のために他人を蔑ろにして踏みつけるような人は多くいますよね
最近では転売ヤーとか

でも、1番問題なのは
多くを持っている人ほどさらに多くを求めること

政治家が腐っているのも強欲が故
大企業の不祥事なんかも強欲が故

上にいる多くを得た人間が下にいる持たざる弱者から止めどなく搾取する現状
考えるだけでしんどくなってくる…

 

“暴食”
これはちょっとぴんと来ない気もするけど
みんな食べ過ぎなのは否めないと思う
食べ過ぎは体に毒ですから
僕も他人のことは言えない…

で、ちょっと視点を変えてみると
食べ物だけでなく今の人たちは多くのものを必要以上に摂取しすぎかな

例えばサブスクとかね
これってバイキング食べ放題みたいなもんじゃないですか

最近ではコスパだタイパだと言って
倍速再生で映画やドラマなどをとにかく大量に観るみたいな

これもある意味
暴食と言えるんじゃないでしょうか

食べ物にしろそれ以外にしろ
味わってしっかり咀嚼することで自分の糧になるわけですよ

それを噛まずに呑み込むだけでは
栄養にはならないしむしろ体に悪い

無駄な知識や情報を大量に摂取し
それが脂肪のようにまとわりついて
それによって身動きが取りづらくなってる人なんかもいると思います

暴食はいろんな感情や欲望を抑えれなくなるきっかけにもなるだろうし
多くを摂取したいという気持ちを制御するのは大切なのかもしれない

 

“色欲”
色欲で思い付くのは不倫や性犯罪とか
最近で言えばパパ活とかですかね

性欲そのものは罪ではないけど
愛の無い性欲は悪いことへ繋がると思います
これによる悪影響は
分かりやすいところで病気の蔓延や
産まれた子供を育てれないとか

不倫に関しては愛があるのならば罪深いことではないのかもしれない

まあ、これもネットの進化によって顕著になってるだろうし
複雑にもなってますよね

ネットを使えば犯罪者も動きやすいだろうし
パパ活みたいな援助交際もやり易いでしょ

SNSやマッチングアプリを使えば
とりあえず性欲を発散したい人同士が簡単に繋がれたりもするわけです

あと、ちょっと本来の色欲の罪とは意味が違うかもしれないけど
アイドル、VTuber、二次元キャラとかに必要以上に入れ込んでる人も不健全に思うんですよね…

趣味として程よく楽しむのなら問題ないけど
入れ込みすぎて破滅に向かってるような人もいますし

そこにハマることで現実から目を背け無気力になってしまったり
酷ければストーカーや憎悪して攻撃的になったりもする

本来の色欲の罪は性欲を抑えれない罪だけど
この人たちは性欲ではなく恋愛感情を抑えれない
矛盾してるけど愛の無い恋愛感情のように思ったりもします

 

こんな感じで大雑把に分けていろいろ言ってきましたけども
現実はもっと複雑で
多くの人の感情や欲望が反応しあって入り組み連鎖していると思います
簡単に一括りにはできませんよね


で、結局何が言いたいのかと言うと
世の中、自分の感情や欲望をコントロールできていない人が増えすぎな気がします

いろんな要因はあるだろうけど
本当にみんな自分勝手


個人が多少なり身勝手に感情や欲望を発散しているだけなら大して問題ないだろうけど
そういう人が増えてくると社会全体が荒んでくる

ジョン・ドゥはそんな社会を嘆いていたんです
そして、そこに一石投じてやろうとしたわけですよね

「セブン」で描かれていた街のように
今の日本はどんどんと荒んでいってるように思う


七つの大罪で言われる感情や欲望は
決して無ければいいものではなくて
これが生きる原動力にもなります

自信が自分の言動の裏付けになり
欲するものを得るために努力する
怒りや妬みは行動を起こすためのきっかけ
誰かを愛せばそのために頑張れる
食べることでエネルギーを摂取し
時には休息を取って心や体を回復する
生きるために必要なことです

ただ、やはり現状はバランスは崩れて
みんな必要以上の感情や欲望に呑まれているように感じます


僕自身ができることは
自分はそうならないように自分自身を抑制することぐらいで
他人を変えることなんて到底できない

多くの人が身勝手に振る舞い社会がどんどんと荒んでいこうが
それを止めることなんて全くできないやるせなさ

絶望すら感じてしまいます…


七つの大罪は罪の始まりみたいなもんで
これ自体はたぶんそんなに問題はないんですよ
でも、ここから始まり止まることなく社会が悪い方向へ進んでいけば
想像もしたくないような未来が待っているんだろうなと…

 

結局、この映画のように
人間は一度痛い目を見なければ自分の罪深さに気づけないのかもしれない

目には目を
歯には歯を
罪には罪を
今の社会にはジョン・ドゥのような人間が必要なのかもしれませんね

なんか嫌な世の中…

 


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映画「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」感想 主役不在でよくやったなと思う

どうもきいつです


アクション映画「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」観ました

MCUの1作としてヒットを記録した「ブラックパンサー」の続編
国王ティ・チャラを失ったワカンダに新たな敵が迫ります
主人公ティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年に死去したが代役を立てずに続編が製作されました

監督と脚本は前作から引き続きライアン・クーグラーが務めます

 

あらすじ
ワカンダの国王ティ・チャラが病により命を落とす
国中が悲しみに包まれる中
ティ・チャラの母ラモンダが玉座に着き新たな一歩を踏み出そうとしていた
しかし、ワカンダに海の王国タカロンの驚異が迫ってくる

 

感想
前作の主役がいない中でここまでの映画を作ったのには素直にすごいと思わされる
それ故に無理が生じてるは否めない
良くも悪くも重すぎる
でも、これは仕方のないことなのかな…

 


「ブラックパンサー」の続編という事で観てきました

前作は好きな作品ではありましたが
主役を演じるチャドウィック・ボーズマンが急逝したので
続きはどうなるのかなと思っていました

そして続編が作られたわけなんですが
かなり特殊な続編になっています


普通なら
なんらかの理由で前作の主役を立てられないとなった場合
代役を立てるとか
作品自体が打ち切られるとか
別の形で再スタートするとか

大体そんな感じになると思います


しかし、本作の場合は
主人公が不在の状態で完全な続編を作っています
こんな形の続編って前代未聞なんじゃないでしょうか

これはMCUのシリーズだからできたことでもあるだろうし
チャドウィック・ボーズマンのブラックパンサーに対する強い思いがあったからこその本作なのかもしれません

望んで作られた形ではないですが
結果的に本作は唯一無二の攻めた作品になっています

そんな背景も含めて
本作は観て損はない映画なのかと思う

 

で、ここからは本作の内容について話します

個人的な感想を正直に言うと
そこまですごく面白い映画とは思えませんでした

悪くはないけど
想像以上の面白さはなかったかな


とは言え
中心でもあるティ・チャラがいないのに
ここまでの形を作り上げたのは天晴れですかね

本来はティ・チャラありきで続編が企画されていただろうし

本作は「ブラックパンサー」の形を損なわず
ちゃんと続編として成立させてる
難しいことをやってのけた作品なのは間違いない

チャドウィック・ボーズマンへの感謝や追悼の気持ちも大いに込められているので
そこに目頭が熱くなったりもしました

最初のマーベルのロゴで泣きそうになる

劇中でも大切な人を失ったことへの悲しみに溢れていて
そこから立ち直り先に進んでいくという物語には
単純に心を打たれました

 

ただ、それ故に重すぎる映画でもあります
この重さに少ししんどさすら感じる
これは仕方のないことなんですけどね

背景に主役の死があるだけに
観ているこっちも常にお通夜の気持ちと言うか…

暗めのストーリーも相まって
最後までどんよりした気持ちが続きます
やっぱりなんか終始悲しいんですよね

そこがアクション映画としてはスカッとしない
アクションシーンをあまり楽しんで観れなかったりもします

 

それから、主人公ティ・チャラが不在での弊害も感じてしまいました

本作は新しいブラックパンサー誕生の物語でもあります
ティ・チャラの妹シュリが引き継ぎ
新たなブラックパンサーへとなります

シュリは次期の王女になる立場で
彼女が真の王女へ成長する姿が本作で描かれるわけです

これって前作でやったこと結局似てしまっていて
同じことの繰り返しになってるんです

前作はティ・チャラが王へ成長する姿が描かれ
ブラックパンサー誕生の物語になってました
本作もそれとやってることは同じ

これに関してもやはり仕方のないことで
主役不在で前作のブラックパンサーを損なわずに続編を作るには
もう一度、同じ立場のシュリでブラックパンサーの誕生を描くしかない

ただ、観ている側からすると
前と同じだなと思ってしまうのは否めません

 

あと、他にも不満に思うことはちょくちょくあって

全体的に動機が薄いかなと思う

例えばシュリが世界を憎んでいる描写がありますが
ティ・チャラが死んだのは病気だし
何に対して怒っているか感情移入があまりできなかった

何もできなかった憤りでやけくそになってるのかな?
とか想像はできるけど
いまいち描写不足のような気がしました

ワカンダとタカロンが戦う理由もちょっと薄いような…
タカロンの王ネイモアがやたらとワカンダに対して好戦的なのもよくわからんし

もっと平和的に話し合おうよ
と思わされてしまう
てか、両国とも他に戦うべき相手がいるんじゃないか?

戦争をテーマにしてるとは思うんですが
ストーリーの都合で無理やりこの2つの国が戦わされてるように見えてしまいました

 

アクションシーンに関しても少し不満があります

全体的にアクションが少なめなのもありますし
アクション自体も大味な気がしました

終盤にアクションが詰め込まれているんですが
乱戦に次ぐ乱戦なので
観ていて散漫に感じた

本作はワカンダ全体を主役にしたような作品でもあるので
みんなに見せ場があるわけです

なので、1つ1つの場面が物足りない
メインでもあるブラックパンサーすら中途半端なアクションで終わっています

船の上での戦いが続くので代わり映えなく
地味な印象も強かったですかね

せめて、もっとブラックパンサーの戦いは見せてほしかった

 

あと、これも仕方ないことではあるけど
タロカン国の人たちの見た目がめっちゃアバターと被る

上映前にアバターの予告を見せられてるから余計に思ってしまった

アバターの予告を見たお陰で変なノイズが入りました

たぶんどこの映画館でも上映前にアバターの予告をやってると思うので
映画館で観るのならこれは避けられない…

 

批判的な意見が多くなったけど

相変わらずデザイン面なんかはめっちゃ良いし
アフリカ民族とSFの組み合わせな世界観もすごく好き
独特な音楽とかもすごく良いですよね

それに登場人物たちはみんなカッコいいです


無理なことを無理やりしてる映画だけど
そこにはこだわりやチャドウィック・ボーズマンへの思いなど
強い気持ちが込められてるのは間違いなく
感動させられます

本作のような作品はなかなか生まれないと思う
なので一見の価値はあります

 


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映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」感想 らしさに囚われる男たちには哀れみすら感じる

どうもきいつです


サスペンス映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」観ました

完璧な生活が保証されている街を舞台に
理想的な生活を送る女性の周囲で起きる不可解な現象が描かれます

監督は「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」で長編初監督を務めたオリヴィア・ワイルド
主演は「ミッドサマー」などのローレンス・ピューです

 

あらすじ
完璧な生活を保証された理想の街で夫のジャックと幸せな日々を過ごすアリス
ある日、彼女は隣人の女性が赤い服の男達に連れ去られるのを目撃する
それ以降、アリスの周りで不可解な現象が頻発しだし精神が不安定になっていくのだった

 

感想
理想的すぎてもはや気味の悪いこの世界
終盤にはこの世界に納得させられる
スリリングな展開もあって楽しめました
それにしても、男達の姿が滑稽だったな
哀れ…

 

予告を見て気になっていた作品でした
予告の段階ではどんな映画なのか予測ができず
ワクワクした気持ちで観てきました

 

どことなく掴み所の無い世界観だったり
物語の方向性もなかなか見えてこない作風ですが
終盤に明かされるこの世界の全貌には納得させるれる

まあ、ちょっとありがちなオチではあるけど
個人的にはすっきりしたし
嫌いな展開じゃないです

興味はずっと持続したので
最後まで飽きずに楽しめました

 

やはり、本作が面白いのは
前半と後半のギャップですよね

前半の理想的な幸せ生活からの
後半での世界の真実が判明
これが人間の愚かさや気持ち悪さを表現できていて好きです


まず、前半部分はと言うと
理想的な街でのラブラブイチャイチャ夫婦の生活が見せられます

お洒落な街で
お洒落な服を着て
お洒落な音楽が流れ
理想的な生活を送っている主人公のアリスや夫のジャック、隣人の家族たち

みんな仲良く裕福に何の不満もないような多幸感に溢れる最高の人生

とにかく理想郷を絵にしたような幸せが描かれているんですよ

観ている側も
映像的な美しさやノリの良いBGMから
この画面の中に憧れを抱いてしまうほど

観ているだけで楽しい気持ちにさせられる


ただ、あまりに理想的すぎるこの世界に
少し気持ち悪さを感じるのは否めない

規則的な並びや動きであったり
同じ日々の繰り返しであったり
みんなが同じような生活を営んでいたり

そこに若干、違和感を感じる
不穏な空気が漂っている
そこになんとなくモヤモヤさせられます


主人公のアリスは
そんな違和感に疑問を感じだし
そこからはちょっとホラーな展開になっていきます

幻覚のようなものが見えたり
急に変な行動をしてしまったり

この描写にはなかなか不安を煽られ
この辺からは怖くなってきますよね
シュールな怪現象や幻想的な映像などビジュアル的にも面白く観れました

ここからは謎がより深まるので
どんどんと本作の世界に引き込まれていきます
先の展開が気になり興味津々です


そして終盤になると真相が明かされますが
これがすっきりするので満足感がある

そこまで斬新なオチではないんですけども
今までの違和感や散りばめられていたヒントや伏線が
終盤の真相に繋がっていくので
気持ちよさがありますよね

怒濤の展開で一気に押し寄せてくる感じもあるので
ラストスパートはかなり盛り上がります

終盤はスリリングな描写も増えてきてエンタメ的な楽しさも満載

観終えたときはシンプルに面白い映画だったなと思えました

 

王道だけど
ミステリーやサスペンスの作りとしてはしっかりしていて
安定感がありました

 

で、本作の中心となるのはテーマですよね
本作のテーマは
わかりやすいほどフェミなやつです

男尊女卑からの女性の解放がそのまんま描かれたような作品になっている

女性らしさを強要された主人公が
そんな世界から脱出しようと抗う物語ですからね


単純に考えれば
女らしさを強要される女性は可哀想
女にも女の人生がある
みたいな女性側の強い主張のようにも思えるけど

個人的には
男性に対する哀れみのようなものが本作から感じられました

女性は女性で女らしさを求められているわけですが
男性は男性で男らしさに縛られていると言うか

日本でもそんな人多いじゃないですか
男なら外で金を稼ぎ家庭の中心で家族を支え
その金で妻を満足させ幸せな家庭を築く
みたいな

本作ではそれが如何に滑稽なことなのかが描かれています


アリスの夫ジャックにしても
現実の世界ではアリスが外でバリバリ働き
ジャックは仕事をしてるのかどうかもわからない状況

そこでアリスの人生を奪ってまでも
自分の理想の世界を築き上げそれを強要する

とにかく、自分の理想の“らしさ”に囚われるジャックの姿は滑稽だし哀れすぎる

ジャックだけでなく
本作に登場する男性はみんな“らしさ”に囚われた哀れな人たちなんですよね
言ってしまえば
この男たちはみんなオナニーしてるだけのようなもんなんですから

結果的に男たちの理想の“らしさ”を具現化した世界は崩壊してしまうわけで
ある意味、男たちも解放されたのかなと思ったり

本作は
女性の女らしさからの解放を描きつつ
男性の男らしさからの解放も描いていたのかもしれません


僕自身は昔から
よくある男らしさみたいな考え方に気持ち悪さを感じていたタイプなので
本作の男たちの滑稽さはより客観的に感じれたんですかね

“らしさ”というものは
強要されるにしても自分自身を縛りつけるにしても
自分を見失うことのきっかけになるのかなと思わされました

 

フェミ的なメッセージが込められてますが
一方的に男性が悪いと言ってる映画でもなく
男性は男性で縛られていて可哀想だな
みたいな目線の作品にもなっていました

エンタメ的にも楽しめる要素はたくさんあったし
なかなかクオリティの高い映画だったんじゃないかと思います

 


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映画「土を喰らう十二ヶ月」感想 シンプルだからこそ 気づかされることがある

どうもきいつです


ドラマ映画「土を喰らう十二ヶ月」観ました

水上勉のエッセイ「土を喰う日々-わが精進十二ヶ月-」を原案に作られたヒューマンドラマ
長野の自然に囲まれ生活を送るとある作家の日々が描かれます

監督と脚本を務めるのは「ナビィの恋」などの中江祐司
劇中の料理を手掛けるのは料理研究家の土井善春
主演はミュージシャンで俳優の沢田研二です

 

あらすじ
長野の人里離れた山荘で暮らす作家のツトム
彼は山で採れる実やキノコ
畑で自ら育てた野菜などを料理して
四季を感じながら日々を送り執筆をしていた
時々、東京から訪れる編集者であり恋人の真知子と幸せな時間を過ごす
一方、ツトムは13年前に亡くした妻の遺骨を墓に納められずにいた

 

感想
ストーリーや説明がほぼ無い映画
シンプルな料理、シンプルな自然、シンプルな人間、シンプルな人生が描かれている
如何に自分が添加物まみれの生き方をしているか気づかされた

 

間違って本作のチケットを買ってしまったので観てきました
本当はブラックパンサー観るつもりだった…

そもそも、この映画の存在すら知らなくて
どういった内容なのかも想像がつかず
全く未知の映画

まあ、こういう映画体験もたまには悪くない

 

かなり不安もありましたが
実際に観てみるとなかなか面白い映画でした

とは言え
わかりやすく面白い映画でもなくて
はっきり言ってエンタメではないです

ちょっと独特な作風なので
観る人を選ぶ映画かもしれません

僕はこんな映画は結構好きですかね

 

本作の特徴としては
ストーリーらしいストーリーはありません

大自然の中で生活するおじさんの生活が淡々と描かれる映画
所々にイベントらしい出来事もありますが
基本的に明確なストーリーはありません

そして、登場人物のバックボーンや関係性などもそこまで深く描かれず
全体的にかなり掴み所の無い映画かと思う

自然の風景と質素な食事がひたすら映し出され
主人公のツトムの日々を見せられるだけ


これだけだとつまらない映画と思われるかもしれないですが
全然そんなことなく
むしろ、とても興味深い内容だし良い映画です
本作を観ることで心を洗われたような気持ちにもなりました

 

本作は例えると
添加物のない素朴な料理
だと思ってください

ハリウッド超大作や日本の漫画実写映画とか
こういう作品は添加物まみれのジャンクフードみたいなもんですかね

伏線だとか
奇抜な設定だとか
定番の展開だとか
オマージュだとか
全米が泣いただとか

とにかくいろんな調味料をぶち込んだ味の濃いやつ
食べ過ぎたら体に悪いやつ
それはそれで美味しいんですがね


本作の場合は
そういったものを削ぎ落としたような作品で
味が薄いのは間違いない

ただ、だからこそシンプルな何かをストレートに感じることができる映画なんです

味わい深い映画だと思います


この映画で特に考えさせられるのは人生や生死についてです

明確にこちらへメッセージを突きつけてくるわけではないけども
ツトムの日々の生活を観ることで
自分の人生についてや生死についてを
つい考えてしまう

シンプルな料理を食べシンプルな自然に囲まれシンプルな日々を過ごしているツトムを観ていると
自分が如何に余計なものにまみれているか
いろんなものに縛られているのか
が見えてくる

生きることに意味を求めすぎてるのかな?
とも思えてきます


生きるということは動くこと
動けばお腹が減る
お腹が減ったときにご飯を食べれば美味い
みたいなことが劇中で言われますが

本当にそうですよね
結局、生きるってそういうことなんですよ

添加物にまみれた生き方をしていると
根本的なことを忘れてしまう


死に関しても
未来のことを考えてしまうから死が怖くなる
起きてから寝るまでの1日で生を実感できれば
自ずと死ぬことへの恐怖が薄れるのかもしれません


この映画を観たら
幸せとは何なのか?
生きることの目的とは?
みたいなことを考える前に
生死についての根本的なことを思い出させられる

それが結果的に生きる目的や幸せにも繋がってくるのかもしれませんね

 

日本の四季や自然そのものの風景
添加物のない精進料理などが本作のメインでもあるけど

これが添加物のないシンプルな作風ともマッチしていて
相乗効果でより本作に込められた思いが際立っています

背景である自然の景色に美しいと思わされたり
ツトムの作る料理を美味しそうと思わされたりすることで
自分が生きていることを感じさせられると言うか

この映画って理解するよりも
感じ取る映画なのかもしれませんね

 

それと、本作の面白いところは
明確なストーリーがないし説明も少ないけど
その向こう側にストーリーや登場人物のバックボーンが見えてくるところです

なんとなくいろんなことを想像させられてしまうんですよね

ツトムはこんな人生を送ってきたのかな?とか
この人たちの関係性ってこうなのかな?とか
観ているといろいろ頭に浮かんでくる

これは、やはり曖昧な中にも
その延長線上に何かが見えてくるような見せ方をしてるからなのかな
と思います

例えばツトムの妻の母親の葬式の場面
人付き合いが無かったから葬式にもあまり人が来ないだろう
と言っていたけど
実際に葬式をやると意外と人が集まってきた
というエピソードです

義母の内面やバックボーンは全くわからないけど
このエピソードから義母についてなんか想像させられてしまいます

基本的にドキュメンタリーのような作風なんですけども
その先にしっかりと人間を描いているので
ストーリーや説明がなくとも地に足が着いてるんですよね
生きている人間を感じることができる

ただストーリーが薄い映画というわけではなく
しっかりと中身は作られている映画たと思います

ちゃんと劇中の人間が生きているように思えるから
生死についてのメッセージにも説得力があります

 

あと、言っておきたいのが
犬が可愛い

ツトムが飼っている犬さんしょがめっちゃ可愛いです
癒しです
これだけで5億点の映画

実はこの犬
タレント犬ではなく一般家庭で飼われている犬らしい

だからこそ素朴で自然な飼い犬って感じですね
ちょっとぽっちゃりしてます

この犬のキャスティングも本作にはピッタリだったと思います

 

沢田研二がすごく良いキャスティングだったとか
土井善春監修だけあって料理がめちゃくちゃ美味しそうだとか
本作の魅力はまだまだある

たまたま観ることになった映画でしたが
とても良い映画に出会えた

添加物のない本作を観たことで
心を洗われたように思います
デトックスしたような

今の自分の精神状態にもピッタリとハマったような気がする

味の濃いジャンクフードもいいけど
たまにはこんな精進料理も悪くないですよ

 


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特撮「仮面ライダーBLACK SUN」感想 思いは伝わってくるけど 雑さが気になる

どうもきいつです


特撮ドラマ「仮面ライダーBLACK SUN」観ました

1987年に放送されていた「仮面ライダーBLACK」のリブート作品
人間と怪人が共存する複雑な社会で戦いに身を投じる者たちが描かれます
Amazonプライムビデオにて全10話が独占配信されています

監督は「孤狼の血」などの白石和彌
出演するのは西島秀俊、中村倫也などです

 

あらすじ
2022年、人間と怪人が共存を掲げてから50年が経った
怪人差別の撤廃を訴える少女の和泉葵は南光太郎と出会う
彼は次期創世王のブラックサンと呼ばれる男だった
そして、もう1人の創世王の候補である秋月信彦も動き出す
彼らの再開がやがて大きなうねりとなっていく

 

感想
仮面ライダーだけどほぼ白石和彌って感じの内容
バイオレンスで社会風刺ゴリゴリな仮面ライダー
やってること自体は面白いけどかなり雑さも目立ってました
特にキャラクターは薄いかな…

 

「仮面ライダーBLACK」のリブート作品ということで楽しみにしていました
白石和彌が監督するという部分でもとても楽しみにしていた作品

この2つの組み合わせというだけで期待してしまいますよね


オリジナルの「仮面ライダーBLACK」に関しては
僕が生まれる直前の作品なのでリアルタイムでは観てないけども
子供の頃にビデオで観てました
ギリギリ仮面ライダーBLACKごっことかもしてましたし

友達と2人でブラックとシャドームーンになって戦ってましたよ
その時はRXだったかもしれないけど

なので思い入れはそれなりにある作品ですね
だからこそ本作に期待も膨らんでいた


で、本作の話ですが
やはり白石和彌が監督というだけあり
らしい作品になっています

バイオレンスあり社会風刺ありの
いかにも大人向けって感じの仮面ライダー
なかなか暗い雰囲気の作品でもある

一応、R18指定で子供は観れません

グロい描写や痛々しい描写はなかなか多く
差別をテーマにしていたり
近代日本の闇の部分を仮面ライダーの設定に当てはめて表現していたりと
やってることは面白く興味深い

そんな中でも
特撮らしい表現を損なわず
昔ながらの特撮ヒーローを意識して作られていたし
オリジナルの「仮面ライダーBLACK」をリスペクトしている要素もたくさんあります

特に最終話のOPなんか
単純でチョロいと思われるかもしれないけど
気持ちがめっちゃ上がりましたしね

細かい部分でもオマージュはたくさんありました

ビルゲニアとかもすごく良いと思うんですよ
普通ならこいつは排除されるか別ものとして再構築されるかが妥当だと思うけど
そこをちゃんとビルゲニアとして登場させている

正直、ビルゲニアだけ明らかに浮いてるし
ツッコミどころの1つにはなってしまってるけど
あえて挑んでるのは伝わるので
これには好感を持てますよね
ビルゲニアの存在が本作の良い味になってた


白石和彌の色を出しつつも特撮ということもしっかりと意識されていて
面白い作品を作ろうという気概を感じられます

最近のレギュラー放送されている質が落ちた仮面ライダーよりも
よっぽど高い志を持って作られていると思うし
それだけで好感を持てますかね

 

そして、賛否が分かれそうな風刺的な描写
政治批判だったり差別問題だったり

仮面ライダーにそんな思想やメッセージはいらない
みたいな意見もちょくちょく見受けられましたが
個人的にはこういう作風もありだと思いますかね

むしろ、仮面ライダーでこういうことをやってしまうのは面白い試みをだと思う


差別団体の描写とかすごくリアルで観ているだけでモヤモヤさせられてしまいます
胸くそ悪いしやるせないし
めっちゃ嫌な気分にさせられる

ルー大柴が演じる総理大臣なんて
いろんな意味で嫌な見せ方してますよね
誇張してるようで
でもどこかリアルでもあって
意地悪な描写のしかたと言うか

白石和彌監督らしく
人間の闇の部分や嫌な部分の見せ方はとても上手くて
目を瞑りたくなるような胸くそ悪さを感じつつ
それがリアルの世界にもリンクしてるような

こういう描写から現実の世界についてもつい考えさせられてしまう


そんな点では白石和彌によって作られた意義を感じれますし
仮面ライダーとしても個性が光った作品になっているのではないでしょうか

 

やってることは面白く好感が持てる作品ではありましたが
本作が雑なのは否めなくて
そこにはちょっと引っ掛かります


特に気になるのは人物描写の薄さ
本作は人物の内面や言動が薄っぺらいんですよね

ストーリーや展開は全然悪くなくて
観ていて話の続きが気になって
10話のドラマではあるものの一気に最後まで観たくなる作品にはなっています

ただ、ストーリーが先走ってキャラクターが置いてけぼり

登場人物がみんな
ストーリーを進めるためだけの駒になっている

それは本当にもったいないなと思う
そのせいて作品自体も薄っぺらくなってます


中心人物の南光太郎と秋月信彦は西島秀俊と中村倫也が演じていますが
そもそもこの2人の能力が高いからか
単純にこの2人が演じているということだけで存在感や説得力があるんですよ

なので、それだけで観れてしまうっちゃ観れてしまうわけです

でも、やはり2人の関係性の描写やドラマは薄く
ただの幼馴染みってだけなので
それ以上の友情や絆は観ていても感じられず

結果、2人の対立や対決ではさほど盛り上がらないし
最後の決着にもカタルシスは感じれない

光太郎と葵の関係性にしたって
2人が交流する間もなくストーリーだけがどんどん進んでいくので
この2人の言動に説得力がないんですよね

ストーリー上は光太郎と葵の絆が深まってる前提の展開だけど
実際は他人以上に絆が深まってるようには全く思えず
そこにすごく解離を感じてしまう

葵に関しては
家族との関係性が中途半端で
父親との別れの場面が変な感じになってますよね

自分が怪人側になったときも
差別反対を主張してたわりにすごく拒絶していたので嫌なキャラに見えてしまってた

ここは当事者になることで見えてくる人間の愚かさを描いているのはなんとなく理解できるけど
人物描写が薄いからいまいち伝わってないように思えました


他のキャラも基本的に何を考えているのか不明で
何をするにしても原動力が曖昧なんです

ビルゲニアの最期とかも
場面としては格好いい感じではあるものの
やっぱり何を考えてるのかよくわからないので
あまり乗り切れず盛り上がりに欠けるなと思ってしまった

コウモリ、クジラ、ノミも
何故ブラックサンの味方側になってるのかよくわからなかったり

全体的に人物描写はすごく雑な印象でした

 

それと、回想シーン
本作は現在のパートと過去のパートが同時進行で描かれます
この作風は面白いと思うけど

過去パートがストーリーの説明にしかなってないのは残念
回想シーンが
昔こんなことがありましたよ
という答え合わせでしかない
それ以上のものは何もない

これもまた人物描写の話になるけど
過去パートもただ出来事だけが描かれて
それぞれの人物の関係性や心境の変化などはいまいち描かれません

キーパーソンのゆかりも結局は最後まで何を考えてるのかわからんかったし

あえてミステリアスに謎のまま終わらせたのかもしれないけど
ゆかりの存在が曖昧なせいでストーリーがフワッとしてしまってキレが悪く感じた

ゆかりを取り巻く光太郎と信彦の感情も曖昧で
過去パートは説明以外の部分が本当にフワフワなんです

正直言うと
過去パートは観るのダルかった


あとは、ツッコミどころも多くて
そこがノイズになったりもしてる

気になったとこで言えば
葵がぶちギレて二度とこんな店に来ないと言っていた喫茶店にまた行ってたりとか

キングストーンが取り出し可能で
いまいち設定がよくわからなかったり
キングストーン周りの設定は変な部分が多かった印象

怪人たちはみんな改造されて生まれた存在なのに
一部の怪人以外みんな改造されていることを知らないのは
さすがに強引すぎるような…

雀の男の子
あれは生殖で生まれたのか?
だとしたら話がおかしくならんか?
とか

いろいろと引っ掛かる点は多かった

「仮面ライダーBLACK」の設定を
強引にリアリティのある世界に置き換えているので
無理が生じるのは仕方ないことなのかもしれませんが

 

そして、アクションですが
正直、これもちょっと微妙かな…

バイオレンスな描写が多いしグロかったりもするので
第一印象はなかなかインパクトがあります

白石和彌作品らしい頭踏みつけ腹蹴りみたいな痛々しい暴力描写も満載で
それを仮面ライダーで見れるのは面白い

ただ、全体的にあまりアクションにスカッとしないしちょっと地味

アクションにギミックもないので面白いバトルシーンにもなってないんですよね

最後のブラックサンとシャドームーンの戦いも
格好いい雰囲気はあるものの
すごく物足りなかった

もう少し現実離れした派手なアクションがあっても良かったのかも

せめて最後はライダーキックで決めて欲しかったかな

そもそもアクションシーン自体が少なめだったので
そこはかなり不満でした

 

ちょっと否定的な意見が多くなったけど
造形とかはかなり好きです

ブラックサンとシャドームーンはめっちゃ格好いいと思います
バッタ怪人状態も好き

創世王もよかったですね

昔ながらの特撮スーツにこだわっていて
手作り感が強くかなりチープさはあるけども
個人的にはこのチープさがすごく好きだし
本作からは日本の特撮ヒーローの魅力をとても感じることができました


何よりも変身がすごく良かった
ダサいほど本気で熱くポーズを決めて変身します

リアルで暗い作風なので
この変身シーンがやたら浮いていてバランスがおかしくもなってるけど
だからこそ変身が際立つ

ダサすぎるからこそ
逆にめちゃくちゃ格好よくて盛り上がりがあるんですよ

やっぱり変身はこうでなくちゃ
と思わされました

 

不満もそれなりにあったけど
ここ数年の日曜にやってる仮面ライダーがあまりにも酷いので
その反動で本作はすごく良い作品に思えました

ニチアサ仮面ライダーよりも全然特撮に向き合って真摯に作られた仮面ライダーだったんじゃないでしょうか

配信限定でも
こういう路線の仮面ライダーは今後も続いていって欲しいですね

 


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映画「貞子DX」感想 恐怖なんて全く無い 完全にコメディー

どうもきいつです


ホラー映画「貞子DX」観ました

「リング」シリーズに登場する貞子がもたらす恐怖を描いた作品
IQ200の主人公が貞子の呪いの謎を解明するため奔走します

監督は「屍人荘の殺人」「仮面病棟」などの木村ひさし
主演は「妖怪シェアハウス」などの小芝風花です

 

あらすじ
呪いのビデオを見た者が死亡する事件が全国各地で発生する
IQ200の天才大学院生の文華は
テレビで共演した霊媒師Kenshinに事件解明を挑まれるが
彼女は呪いなど存在しないと断言する
そんな時、文華の妹が呪いのビデオを見てしまい
文華はその呪いを解くためにビデオにまつわる謎に挑む

 

感想
貞子は恐怖を捨てた
この映画は完全にギャグに振り切っています
ここまで振り切ればもはや天晴れ
しょうもないけど笑わされました

 

全然期待してませんでしたが
小芝風花ちゃんが出ているということで観てきました


これは賛否が分かれそうですね

貞子にホラーを求めているとこの映画はホントにクソだと思うけど
そういうのを気にせずギャグ映画として本作を観れば笑える作品だと思います

僕は笑えました
やってることはめっちゃしょうもないけど
だからこそ笑えたのかも


そもそも、本作は完全にホラーを捨てています
ホラー風のコメディーと言っても過言ではない
全然怖くないです
貞子もギャグ扱いですよ

それが気に食わないと言う人も多いだろうけど

もはや、貞子に恐怖を求めるのは無理なのかな
とかも思っちゃいます

公式で貞子が始球式に出たりしてるし
YouTubeで変なこともしてるし
もう貞子を見ても怖いと思えない現状がある

だからこその今回の「貞子DX」なのかな

真面目に貞子を怖く描いたところで微妙な映画を連発してるし
いっそのことギャグに振り切れば作品として面白くなるんじゃないか
という判断で作られた映画なのかもしれない

 

で、本作はそれが上手くいってるなと思わされました

まず、貞子だしこの映画の入口はホラーなわけです
ホラーと思って本作を観る人が大半だと思う
ホラー映画なのにしょうもないギャグを連発されると萎えますよね

例えば僕が最近観たやつだと「“それ”がいる森」とか
あれは最後までどんな気持ちで観ればいいのかわからなかったわけです
真面目なのかふざけてるのか

ただ、本作の場合は
はじめからコメディー映画ですよと示してくれます
だからホラーの固定概念を捨てれるんですよね

最初から本作が怖さを捨ててる映画なんだなと気づけるのは
主人公の設定

本作の主人公はIQ200の天才女子大学院生
このIQ200ってのがいいですよね

IQ200というワード1つで
主人公が天才ですよってのを説明しつつ
この映画はアホな映画ですよってのも説明できてる

IQ180でもIQ224でもダメで
IQ200ってのが本当にアホっぽくて良い


他にも登場人物は基本的にみんな胡散臭いし
終始ずっとユルい空気感が漂ってるし

序盤からホラー映画ではなくコメディー映画を観る気持ちに切り替わってました
観てるこっちもなんかヘラヘラしてる

 

そして、ギャグの質の話をすると
正直、スベってるなってことも多くて
決して笑いの質が高いとは言えない

でも、この映画自体がすごくユルユルなので
これくらいが丁度よかったのかもしれません

それに、あからさまなボケツッコミみたいな笑いがないので
スベってても自然に流れていくというか
スベってることがそんなに気にならなかったりもする


それにちゃんと笑えるところもそれなりにありましたしね

例えば貞子の見た目が親戚のおじさんになってるのとか
アホらしくてめっちゃ笑いました

登場人物の温度差も面白くて
主人公の文華と占い師の王司とのやり取りは笑えましたね
死ぬかもしれないと怯えている妹と常にマイペースなお母さんの2人も笑えた

貞子に殺される時のでんぐり返しもいいですね
なんでこんな死に方するんだよと思ってたら
終盤に謎が解ける
伏線回収ですね
マジでくだらない

ホラー定番の音で驚かすやつも笑わしにかかってました
どうでもいいタイミングで大きい音が鳴って登場人物みんながビクってなる
しかもそれが何回もくどい
本当にしょうもないことばっかりやってる

個人的には好きなタイプの笑いもそれなりにあったので満足できました

 

あとはストーリーも悪くなかったと思います

一応ちゃんと謎解きミステリーをやっていて
謎解明を目指してキャラクターが動きます

ミステリーに関しても笑いと同じで質は高くないけど
それ故にユルい空気感を出せていた

IQ200のクセに事の真相に気づくの遅すぎるし
推理の内容もショボいし
本当にユルユルです

とは言え結末には納得させられました
ユルユルのわりにはちゃんと着地してて
それなりにストーリーはまとまってる

なんか絶妙なバランスを保ってますよね

結果的に笑いにしろミステリーにしろユルさが良い方向に転んでいたと思います

 

それとやはり小芝風花ちゃんが魅力的ですよね
それだけで僕は満足でした
かわいいです

IQ200なのに言ってることはショボくアホみたいなキャラクターのはずなのに
そこを何故か賢く見えるように演じてましたし
言葉にも何故か説得力があったりと
こんな変なキャラクターをちゃんと演じれるのは素直にすごいと思った

かわいいだけでなく演技力もちゃんとあるんです

いつも変なドラマや映画に出てるけど
実力はあるんですよね
もう少しまともな作品に恵まれてほしい…

 

ホラーを捨て切ってしまったことに抵抗がある人もいるでしょうが
固定概念を捨ててみるものいいと思う

貞子だからって怖くある必要はない
むしろ貞子だからこそふざけることで面白くなるのかもしれない

この映画で怖い貞子は死んだ

 


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