何もかもが滑稽

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映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「チャイルド・プレイ」(2019)感想 あんなブサイクな人形が大人気になるはずがない

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どうもきいつです


ホラー映画「チャイルド・プレイ」観ました

1988年に第1作目が公開され
それ以降、計7作が製作された人気ホラーシリーズ
「チャイルド・プレイ」のリブート作品
可愛らしい見た目とは裏腹に残忍な殺人を繰り返す
恐怖の人形チャッキーを描いたホラー映画

「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」を
手掛けたプロデューサーのセス・グラハム=スミスと
デビッド・カッツェンバーグが製作
監督はラース・クレブバーグが務めています

 

www.nanimokamogakokkei.com

あらすじ
少年アンディは誕生日に母親から
バディ人形をもらう
その人形は最先端テクノロジーの
高度な機能を備えていた
人形にチャッキーと名付けて一緒に暮らし始めた
アンディだったが
次第に周囲で異変が起きはじめる

 

感想
今の時代に見合うよう時代に合わせて
リアルな路線でアレンジされているが
逆にリアリティが薄まっている
昔の作品を無理やり現代に当てはめたように
感じてしまいました

 

オリジナルの「チャイルド・プレイ」シリーズは
全作観てるわけではないけど
何作か観ていてそれなりに好きなシリーズです

特に1作目、2作目はかなり好き

そんな「チャイルド・プレイ」がリブートされるのは
期待していて楽しみでした

そして、実際に観ても
ホラー的な楽しさは詰まっていたし
それなりに面白いと思いましたが

なんか引っかかる所が多くあったり
いまいち盛り上がりに欠けるようにも
感じてしまった

それに、やっぱりオリジナルと比べてしまうし
比べると結局オリジナルのほうが好きですね

全体的に中途半端な映画だったように
思います

 

まずは、良かったところの話をすると


オリジナルの人形の中に殺人鬼の魂が入ってしまう
というオカルト的な設定から
AI搭載の人形が人工知能の暴走により暴れてしまう
というSF的な設定への変更は
なかなか面白いと思いました

大胆な発想だしオリジナルとの差別化も
図れています
オリジナルと同じことを繰り返すのではなく
攻めの姿勢で「チャイルド・プレイ」を
リブートしたのは好感が持てる

良くも悪くも全く別物の映画に
なっていました


ストーリーに関しては

シンプルでわかりやすくテンポも悪くない
すごく観やすい映画でした

設定が大きく変わっているので
オリジナルとはストーリー展開や登場人物は
全くと言っていいほど違っていますが
殺人人形チャッキーとの戦いという点は同じで
最後までスリルを味わえる内容です

ホラー的な怖さもそれなりにありましたし
R指定というだけのことはあって
残酷描写はかなりがんばってた
なかなかグロいシーンが多いです

スプラッターが好きなら満足できると思う
逆に言うと苦手な人はこの映画は無理ですね
血しぶきは飛ぶしグチャグチャになるし
かなりインパクトがありました

 

それなりに面白いホラー映画でしたが
すごく良かったかと言えばそんなことはない
むしろちょっと微妙だったかも…

全体的に中途半端な作品だったのかなと思う


リブートされた作品として見ても
1つの単体作品として見ても
すごく中途半端な部分が多いです


「チャイルド・プレイ」のリブートとしては
オリジナルの良かったところを削ぎ落として
表面的な部分だけを受け継いでる

その受け継いだ表面的な部分
ビジュアル面だったり全体の流れだったりは
1本の作品としてはとてもバランスが悪いです


作り手側がリブートするにあたって
現代の価値観に合った
リアルに見える「チャイルド・プレイ」を
作ろうとしているのは伝わってきます

現実味の無いオカルトな話から
AIの暴走というSFな物語に変えることで
より身近に感じれますし
AIに対する漠然とした恐怖も煽れると思う


ただ、この設定は「チャイルド・プレイ」の
リブートとしては失敗してる

チャッキーをAI搭載のロボットにすることで
オリジナルにあった
動くはずない人形が動くという怖さが削がれているし

人形の中身が殺人鬼ということで
感情の変化やユーモアが生まれて
個性的で魅力的な存在だったチャッキーが
ロボットになってしまうと
そういう部分が無くなってしまっています


逆に本作はオリジナルのチャッキー像に
引っ張られてしまっている部分もあります

ロボットのはずなのに
表情を変化させてしまっていたり
感情的に人を殺していたり
人を殺す理由がアンディへの執着心だったり

オリジナルのチャッキーが
人間的なキャラクターだったからなのか
本作のチャッキーも人間的な部分を
見せてしまっている

そこがとても違和感なんですよ

AIならAIで徹底してほしい
いくら暴走してるとはいえ
機械であることは変わりないんですから

でも、そうしてしまうと
それはもうチャッキーではないわけで
そもそも「チャイルド・プレイ」でこの設定は
無理があったんです

「チャイルド・プレイ」の魅力は
チャッキーの面白いキャラクター性と言っても
過言ではないです

その最大の魅力を失くしてしまうような設定へ
無理矢理変えてしまったことで
いろいろとバランスが崩れてしまった


そして、「チャイルド・プレイ」を
現代に置き換えてリアル感を出そうとすることで
逆に不自然な部分が大きく目立ってしまいます

特に不自然に思うのが
チャッキーのもとでもあるバディ人形が
世間で大人気のおもちゃである事

正直言ってこの人形が全然可愛くない

まず、この人形のデザインが古臭すぎでしょ
今の時代にこんなデザインの人形が
発売されると到底思えない

いくら最新技術で作られた
ハイテクおもちゃであっても
これが人気なのは絶対におかしいです
声がおっさんですしね


これも結局は
オリジナルに引っ張られてしまってるからです
オリジナルのデザインがこれだし
声もおっさんだったから

でも、これって1988年だから
受け入れられるデザインだし
声がおっさんなのは中身が
おっさんの殺人鬼だから納得ができたわけで

本作の設定で同じことをしてしまうと
違和感があっておかしくなってしまいます

けれど、そうでなかったら
それはチャッキーではないので
そこでやっぱりズレが生じてしまう


あと、バディ人形について
もう1つ言いたいことがあって

顔が可愛く無さすぎます

顔のデザインが気味悪さ優先に
なってしまってるんですよ

怖がらせたいのはわかるけど
こんな顔の人形の人気が出るわけない

こんな気持ち悪い人形が
発売日に大勢の人が集まるほどの
大人気商品だというのは
さすがにリアリティがないと思います


それに、オリジナル版のほうが
可愛い顔してましたしね

オリジナルは可愛いおもちゃが
だんだんと豹変していく姿で
恐怖を演出していたわけなんですが
本作ではそういう演出は全然無かったです

 

さらに、設定によるズレ以外にも
この映画が微妙に思えるところがあって

ちょっと余計な要素が多すぎると思う

伏線のように思えても
特に意味のない場面だったり
余計な設定のせいで話がぶれてしまったりと
ちょっとバランスが悪かった


例えば
アンディがバディ人形をプレゼントされた時に
人形が自分でチャッキーと名乗るんですが
意味ありそうだけど全く意味がない

じゃあアンディがチャッキーと名付ければよくない?
と思ってしまう


他にも
アンディの耳が悪い設定だったり
盗撮男の存在だったり

意味ありげだけど全然意味がない
後々の伏線でもないわけです

正直、そういう要素がすごく邪魔
ノイズでしかありません


あと、子供たちが活躍する
スタンドバイミー的な要素も全くいらないと思う
これのせいで話がぶれます

アンディの家族間の問題がメインなのかと
思っていたら
急にこんな要素が入ってきて
でもまた家族の問題に戻ってと
話がグラグラしてしまっていました

最終的にはこの物語が何を伝えたかったのか
いまいち不明のままフワッと終わってしまいます

 

それと、本作はコメディー的な演出も多いんですが
あまり面白くなかった

笑いの場面が中途半端ですね
笑いが弱いと思います

真面目にやってるのかギャグでやってるのかの
境界線が曖昧すぎですね

基本的に真面目に物語が進んで
時折りコメディーであろうシーンが入るんですが
真面目なところとトーンが変わらないし
雰囲気も一定なので
いまいち笑い所かどうかもわかりづらい

やってることもユーモアに富んでるわけでなく
よくあるブラックな笑いって感じで
そんなにお面白くもないです

 

結果的にリブートとしては失敗かな
って作品でした
この設定で「チャイルド・プレイ」でなく
オリジナルの作品を作っていれば
面白いSFホラーができたんじゃないのかとも
思ったりします

「チャイルド・プレイ」はオリジナルのほうが
恐怖もユーモアも上だったんじゃないでしょうかね

 


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