何もかもが滑稽

何もかもが滑稽

映画、漫画、アニメなどが好きで、その事についての感想、思ったことなどを書いています。 それ以外の事も時々書きます。

映画「愛なき森で叫べ」感想 いろんな意味で気持ち悪い でもそれが魅力

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どうもきいつです


バイオレンス映画「愛なき森でですね」観ました

実際に起きた猟奇殺人事件に着想を得て作られた
2019年10月からNetflixで配信されたNetflixオリジナル映画
巧みな話術と大胆な行動で他人の心を操る
冷酷な男、村田が巻き起こす常軌を逸した世界が描かれます

「愛のむき出し」などの園子温が監督を務め
椎名桔平、満島真之介、日南響子、鎌滝えり
などが出演しています

 

あらすじ
上京してきたばかりのシンは
偶然知り合った仲間たちと共に自主映画を作ることになり
知人の妙子と美津子に出演を依頼する
そんな中、引きこもりの美津子の前に村田という謎の男が現れ
紳士的な村田に美津子は次第に惹かれていくが
彼の正体は冷酷な詐欺師だった

 

感想
いろんな意味で不快な映画
エロ、グロは当たり前
人物描写や出来事も気持ち悪い
でも、園子温らしい勢いとパワーがすごくあって
最後まで釘付けだった
やりたい放題な映画でした

 

ずっと観ようとは思って後回しになってましたが
やっと観ました

園子温の映画は好きですが
最近は観ていなくて
結構、久しぶりに観たと思います


そして、本作なんですが
やっぱり園子温らしい映画です
Netflixの配信作品というのもあってか
昔みたいなやりたい放題な作品

とにかく作りたい映画を作ったって感じ

だからクセがかなり強いですね
これは好きな人は好きだけど
嫌いな人はとことん嫌いな映画かも
嫌いな人の方が多いんじゃないか?

いろいろと不快な描写が満載で
その上、セリフ回しは演劇的
と言うか、大袈裟で過剰な演技だし

ストーリーもあるようで無いような
なんか掴み所が無かったりもする
そして、基本的に胸くそ悪い

一言で言えば
気持ち悪い映画

だからこそ、園子温らしい映画とも言えます
そもそも、この人の映画ってこんな映画ばっかりだし
今さらそこをツッコむ必要もない
むしろそれが観たいわけですし


本作や園子温の作品が嫌いな人は
今言ったような要素が嫌いな人が多いと思うけど
好きな人は逆にそんな所が好きなので

これは表裏一体
長所であり短所である

僕はそんな所がとても好きなので
本作も十分楽しめました

 

まず、本作は実際の事件に着想を得て作られた映画ですけど
リアリティは全くありません

さっきも言った通り演技は過剰だし演出も過剰
内容もかなりぶっ飛んでいて
あまり現実味はない

このリアリティの無さに文句を言う人も
たぶん多いんじゃないでしょうか

実際の事件を基にするならもっとリアルに伝えるべき
この事件の恐怖をリアルに描くべき
みたいに思う人もいると思う

ただ、本作は
この事件の真実やそれによる教訓を伝えるために作られた映画ではなく
この事件からインスピレーションを受けた園子温が
自分の世界を映画として表現した作品

だから、はなから現実を描く気なんて毛頭なくて
実際の事件なんて完全に無視の虚構だらけのフィクションを描いているわけです

だから、現実味が無いからこの映画はダメ
っていうのは、ちょっとナンセンスな気もする


むしろ、この嘘っぽい独特な園子温の世界に
浸れるかどうかの映画で
それによって完全に好き嫌いが別れると思います

 

まず、僕がこの映画で一番魅力的に思うのは
気持ち悪い登場人物たち

とにかくみんな気持ち悪いです

気持ち悪い奴と気持ち悪い奴が出会うことにより
より気持ち悪くなるという化学反応

独特なセリフ回しも相まって
すげー気持ち悪い


その中でも、椎名桔平が演じる村田が素晴らしいです
胸くそ悪すぎて魅力的

最低な詐欺師で
登場人物のほとんどをマインドコントロールして
好き勝手やり放題の鬼畜の所業
観ていてすごく胸くそ悪い

はじめは最低な奴だな… 嫌いだな…
と思って観てるんですけど
映画が進むにつれて好きになってくるんですよね

自分も騙されてしまってるのか?
と思ってしまう

村田が最低な奴なのはわかるけど
他にも最低な登場人物がたくさん出てくるので
そんな最低な奴らを痛い目に遭わせてくれたりするから
ちょっと気持ちよかったりするんですよね

最初から最後まで
悪が悪を制してるような映画で
そこにカタルシスみたいなものも感じる

そして、村田の胡散臭い喋り方
こんな奴を誰が信用するんだよってレベルの胡散臭さ

でも、これも観てるうちにクセになってきて
いつの間にかこの喋りを求めてしまってる
椎名桔平の渋い雰囲気も合わさって
すごく魅力的に感じてきます


他のキャラみんなインパクトが強くて
そして気持ち悪い

妙子を演じる日南響子もすごく良かった
普通に美人な風貌というのもあるし
声がすごくカッコよかったです

演技力もあると思うしすごく印象に残る人
彼女が登場すると画面を見入ってしまうような
魅力を持っています


満島真之介も絶妙なキモさを醸し出していてすごく好き

あの濃い顔がキャラクターにマッチしていて
すごく気持ち悪い
独特な顔立ちでもあるので
見ようによっては普通にイケメンでもあるけど
本作に限ってはキモい方向に傾いていて
素晴らしい魅力を放っていました

 

あと、やっぱりバイオレンス描写も
園子温らしくて好きですね

ほんとに嫌な暴力を描くのがうまい
観ていてゾワゾワしてきます

めっちゃグロテスクというのもあるけど
それよりも暴力を奮っているシーンがほんとに嫌なんですよ…
なんであんな嫌な暴力を描けるのか…

いろんな痛々しい場面がたくさんありますが
どんな痛々しいシーン、グロいシーンよりも
僕は村田のビンタが1番嫌です

ビンタなんてそんなに痛くはないと思いますよ
でも、あんな暴力的で嫌なビンタ見たこと無い
すげー嫌ですよ、あのビンタ

精神を追い詰めながらの
ペチ、ペチ、ペチと
見ているだけで精神が削られる

 

ストーリーに関しては
特にわかりやすく何かが起きて何かが解決するようなストーリーではなく
ひたすら村田による鬼畜の所業を見せられるような内容

普通に胸くそ悪くて不快なものが続きますが
ラストの展開は
なかなか気持ちがいい

全てを牛耳っていたと思っていた村田が
実は手のひらの上で転がされていたという

全然スッキリするラストではないけど
ここの怒濤の展開は気持ちいいですよね

はじめからあそこまで村田に従順だった2人に
すごく違和感があっただけに
ここの展開で少し納得させられた

結局全員悪い奴じゃん
全員自己中じゃん
と、あまりにもみんなが頭おかしくて
むしろ清々しい気持ちにもなりますよ

気持ち悪すぎて気持ちがいい


とは言え、このラストが唐突な気もしたし
ちょっと説明的すぎる気もした

急に回想シーンとか詰め込んでくるし
言葉で全部説明したりするから
取って付けた感は否めない

もう少しスムーズにラストも見せてほしかったかも


それと、やっぱり強引な映画でもあるので
そこが合わない人もいると思います

ほぼ、全編を通して力業でねじ伏せるような
めちゃくちゃな演出ですし
雑に個性をぶつけてくるような独特な作品

それが受け付けないのなら
この映画を楽しむことはできないと思います
受け付ける人の方が少ないだろうし

ただ、園子温全開のパワフルな強引さが好きな人からすれば
やっぱり最高な映画なんですよね

これに関しては好みの問題
無理矢理に好きになれというのも無理な話
みんなにおすすめできる映画ではないですね

 

個人的には園子温ワールド全開で
とても好きな映画でした
エロ、グロ、バイオレンス最高!!

気持ち悪さを最高に堪能できる素晴らしい映画
ゾワゾワと嫌な気分に浸りたいのなら
おすすめの映画です

 


愛のむきだし [Blu-ray]

 

 

映画「バトルシップ」感想 ただ派手に戦ってるだけ アホすぎて愛おしい

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どうもきいつです


SFアクション映画「バトルシップ」観ました

ハズブロ社が発売している同名のボードゲームを
題材にして作られた2012年のSFアクション大作
ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念作品でもあります
宇宙から飛来した謎のエイリアン軍団と
各国の連合艦隊が地球存亡を懸けて激闘を繰り広げます

監督は「ハンコック」などのピーター・バーグが務めています

 

あらすじ
ハワイ沖で大規模な軍事演習を行っていた
アメリカを中心とした世界各国の護衛艦隊の前に
突如、巨大なエイリアンの母船が出現し地球侵略を開始した
演習に参加していた新人将校のアレックスたちは
この強大な謎の侵略者たちに命懸けで立ち向かう

 

感想
ひたすら派手
巨大宇宙船に巨大艦隊が立ち向かうという
ただただ熱いだけの最高映画
ツッコミどころだらけだけど
それすら愛おしい

 

軽くテレビで観たことがありましたが
ちゃんと観ていなかったのであらためて観てみました

まあ、ちゃんと観ると必要なんてなかったのかもしれない
中身なんて全く無いですから
メッセージ性や物語の深さなんて全然ありません

この映画を一言で言えば
元気

元気のある映画でした

とにかく派手に戦ってるだけのアホな映画です
だからこそ最高にテンションが上がって最高に熱い

楽しめない人は楽しめないけど
楽しめる人は最高に楽しめると思います


ストーリーの話をすると
すごく単純で
宇宙人が地球に攻めてきて
それを倒すために必死に戦う
それだけの話

単細胞な映画ですよね

この中で描かれてるのは
派手に戦艦や街がぶっ壊れるシーンや
派手に宇宙船に大砲をぶちかますシーンなど
そんなのばっかり


まず、主人公がアホですもんね
冒頭からバーで一目惚れをして
チキンブリトーを手に入れるためにスーパーに忍び込みお縄につく

しょっぱなから何やってるんだよ
こいつは

そもそもチキンブリトーってなんだよ
日本人に馴染み無さすぎるだろ
この映画で初めて知ったわ
食べたくなったわ

まあ、この時点で主人公はバカってのが伝わってきますよね

その後も猪突猛進だったり短気だったり
ことごとくバカです

でも、この愚かな主人公が好き
こんな奴が宇宙人をぶっ倒す救世主になるなんて最高じゃないですか

最終的には一丁前にリーダーシップを取って
みんなを導いている

やっぱり主人公はこういうのがいい
クズが成長してすごくなる
そんなのが見たいんですよ

主人公なんてこんなのでいい

 

そして、さらに熱いのが

明らかに勝ち目の無いようなハイテクなスーパー宇宙船に
普通の軍艦で立ち向かうというところ

もちろん軍艦もハイテクで超強くはあるんですが
敵がいかにもSFなありえないハイテク技術の
どうやって勝つんだよってレベルの強さですから

アベンジャーズの敵レベルの奴らに
普通の軍艦で立ち向かうんですよ
そして勝つんですよ
めっちゃテンション上がりますね

最後なんて大昔のアナログ軍艦で戦ってますから
この展開も最高に熱いですよね

最後に勝ったときにはツッコミたくなります
なんで勝てるんだよ!?と

 

で、ただ熱くてアホな映画というだけでなく
映像が素晴らしい

めっちゃお金をかけているだけあって
すごくクオリティが高いです

宇宙船はもちろん軍艦も

そしてそれらが激しく攻撃しまくり
激しく爆発しまくる
街や軍艦は破壊され
それをド派手に見せてくれて最高

CGも超クオリティが高いです

高速道路がぶっ壊れるシーン最高
軍艦がぶっ壊れて沈むシーン最高

ディザスター映画的な派手にぶっ壊れる面白さも存分にあって気持ちがブチ上がる


宇宙人の装備や宇宙船の造形なんかはありがちなマンネリデザインだけど

むしろ、このあるあるなデザインが
この映画ではテンションが上がる要因にもなってると思う

単純に
わかりやすいエイリアンが現実的な軍艦にぶっ壊されるという構図に
すごく興奮させられるんですよ

他にもボールみたいなのが色々ぶっ壊したりとか
ミサイルみたいなのが色々ぶっ壊したりとか
とにかくぶっ壊してる

この映画はぶっ壊してるだけの映画ですね
最高です

 

そして、ツッコミどころも多いです

そもそも、このエイリアンは何しに地球に来たんだよ
目的が最後まで不明
なんかいろいろやってるけど何をやってるのかも謎

おそらく、このエイリアンたちは映画を盛り上げるために地球にやって来たんでしょう
それだけの存在


はじめ地球に飛来したときに人工衛星にぶつかって
宇宙船一機が墜落してましたけど
なんでこんなアホなことしてるんだよとツッコミたくなります

でも、これはエイリアンが身を呈してあえてぶつかってるんですよ
映画を盛り上げるために


それ以外にも
こいつら明らかかに勝てるほどの力持ってるのに
なぜか負けてます
あんなハイテク技術を持ち
破壊力抜群の武器を持っているのに
たかが軍艦に負ける
これは盛り上げるために負けてくれてるんです

エイリアンが装置で仲間呼ぼうとしてたけど
あの装置からブシューって出てるあれ何?
電波ですか?
電波ってあんなビームみたいに出るもんなんですか?
これも盛り上げてくれてるんですよ
電波が見えなかったら盛り上がらないですから


とにかくサービス精神旺盛なエイリアン
盛り上げ方がわかってる
盛り上げ上手なエイリアン


最高のエイリアンですね
彼らのお陰でこの映画が最高に盛り上がっていました

ツッコミどころと思っていたところは
実はエイリアンさんたちが命懸けで僕たち観客を楽しませようとしていた証なのではないか?

 

最高なアホ映画でしたね
感想もアホになって何書いてるかわかりません
でもいいじゃん楽しいから

ああチキンブリトー食いたい

 


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映画「トランス・ワールド」感想 地味だけどストーリー展開が面白かった

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どうもきいつです


サスペンス映画「トランス・ワールド」観ました

森に迷い込んだ3人の男女に待ち受ける
奇妙な運命を描いた2011年のサスペンス映画
別々の人生を歩んでいた3人が
不思議な森へ迷い込み互いの関係性や
この場に集められた真実に迫っていきます

監督はジャック・ヘラーが務めています

 

あらすじ
夫を探し森を歩いていたサマンサは古びた小屋へたどり着く
すると、そこへ車のトラブルで身動きのとれなくなったトムが現れ
その後、サマンサは小屋の外で倒れていたジョディを発見する
3人は森からの脱出を試みるが何度進んでも同じ小屋に戻ってしまい
やがてこの場所の真実が明らかになっていく

 

感想
低予算のワンシチュエーションで
かなり地味な映画ではあるけど
なかなか面白い展開に引き込まれた
結末がどうなるのか気になる作品でした
なんで?ってところは解消されなかったりはしますが…

 

Twitterで紹介されていてこの映画の存在を知り
面白そうだったのでアマプラで観てみました


全体的にはかなり地味な映画でしたけども
謎だらけのストーリーに引き込まれる
面白いサスペンスだったと思います

伏線をいろいろと散りばめて
それを気持ちよく回収してくれるタイプの映画

 

ネタバレ厳禁の映画だとも思うので
観たいと思う人は是非とも情報なしで観てほしいです

ウィキペディアとか映画サイトのあらすじとかでも
これダメだろってネタバレしてるので
本当に何も見ないで本作を観るのが一番

 

ここからは多少ネタバレもあると思いますので
気を付けてください

 

まず、映像的には
小屋の場面と森の中の場面しかないので
全然代わり映えしません

雰囲気があると言えばありますが
ちょっと退屈な映像なのは否めない


ただ、それを補えるだけの
ストーリーの面白さはあったと思います

はじめは少しつかみ所ががありません
登場人物もみんな謎な人物ばかりで
なぜこんな状況なのかも謎
物語がどこへ進んでいくのか全く予測できません

この時点で好奇心が湧いてくる
この映画はいったい何なのか?
とワクワクしてくるんですよね

すごくこの先に期待させられてしまいます


で、徐々に登場人物たちの素性が明らかになっていく
なぜこの場にいるのか
どんな生い立ちなのか
家族はいるのか

そんなのが段々とわかってきます

とは言え、それでもまだ意味がわからなかったりする
で、結局この場所はどこなのか?
なぜループしてるのか?

よくわからんことだらけなんですよね

3人が森へ迷う前にいた場所が
みんな全く別々の離れた場所だと発覚したときは
より頭がこんがらがって訳がわからなくなる


ただ、4人目が現れてからは話が大きく展開して
ここからは伏線回収が始まります

今までバラバラだったことが
4人目が現れることによって次々に繋がっていく

そういうことだったのか!!
と納得させられます


この映画は謎解きの見せ方が気持ちいいですね

ずっとよくわからない謎ばかりで頭を混乱させておいて
最終的に一気にそれらを全部繋げていくので
すごくスッキリする

ちょっと強引なところもあったりしますけど
それを差し引いても気持ちよさが勝ります


謎が解けてからは
スリル重視の展開になって
これがあることによって最後まで飽きずに観れました

この後どうなるんだ!?
上手くいくのか!?
というハラハラドキドキの展開で
一気に最後まで進んでいく

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「バタフライ・エフェクト」的なハラハラ感があって
とても楽しめました


ラストもハッピーエンドで
モヤモヤせず気持ちいい終わり方でしたし

B級低予算映画ですけど
なかなか面白い映画だったと思います

 

ただ、ちょっと不満もあります

一番引っ掛かるのは
結局、3人はなぜタイムスリップしてあの場所にいたのか?
という重要な謎は明かされない

ただ神がかり的な何かの力で起きたこと
と言ってしまえばそれで終わりだと思うけど

「バタフライ・エフェクト」や「天使がくれた時間」とかも
特に理由なく不思議なことが起きてますし

ただ、本作は登場人物全員に因果関係があるし
ストーリー上もそこに意味がありそうに進んでいくから
ただの不思議な現象で片付けられても
ちょっと納得がいかない

無理矢理でもSF的な理屈があるだけで
もっとこの映画に説得力が生まれたと思います

この部分が全く無いってだけで
すごくフワフワした印象になってしまってるんですよね


他にも、登場人物の個性が薄かった気がします
もっとキャラクターを濃くしてもよかったかも

なんかみんな地味で印象に残らない

基本的に3人だけのワンシチュエーションの映画なんだから
キャラクターに魅力がある方が見ていて楽しかったと思う

みんな暗い雰囲気の人たちで
会話シーンとかも少し暗すぎますよね
それに淡々としすぎてる
メリハリがないんです

だから、会話シーンがことごとくつまらなくなってます


あと、ラストシーンをちょっと見せすぎかな
とも思いました
なんか蛇足な感じかする

ジュディがあの店から出て終わり
でもよかったんじゃ…

そのあとのエンディングが説明臭い気がしてしまいました
あそこを見せてしまうより
想像させてくれた方が余韻が残ったと思うんですよ

もっと言えば
成功したかどうかわからないまま終わってもよかったかも

ここまで謎だらけでいろいろと想像を膨らませられた映画だし
最後も観客を突き放して想像を膨らませてくれるラストになら
もっと印象に残る映画になってたかもしれません
考察もしたくなったと思う


ちょっと雑だったり強引な部分もありましたが
全体的に良い雰囲気の映画だったし
アイデアやストーリー展開はとても面白かった

伏線回収が気持ちよくてスッキリ
無名の映画ですけども
なかなかの掘り出し物だと思います

 


トランス・ワールド [DVD]

 

 

YouTubeまじでつまらなくなったな

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どうもきいつです


今やテレビの時代からうってかわって
YouTubeの時代に変わってしまいましたが

YouTubeつまらなくなってないですか?

ここ最近というより
個人的には2、3年前くらいから
すでにつまらなくなる方向に進んでいたと思うんですよね

 

まず、僕はYouTubeのヘビーユーザーというわけではなく
自分で動画を作ったことも全くありませんが

サービスが開始したころからよく利用していましたし
今でもよく見ています

とは言え
いわゆるユーチューバーの動画にはさほど興味が無く
どんな人がどんな動画を投稿していて
誰が今の人気者なのかとかは全然知らない

よっぽど有名な人はさすがに知っていますし
そういう人たちがどんなことをしているかも
それなりに知っていますが
詳しくはないです


そんなライトにYouTubeを楽しんでいる僕なんですが
だからこそかYouTubeがつまらなくなってきてる
と感じているのかもしれない

 

僕の思うYouTubeの面白さって
何でもありのカオスなところなんですよ

世界中の誰もが動画を投稿でき
それを世界中の誰もが観ることができる

どこの馬の骨ともわからないヤバい人の動画から
ちゃんとした企業が作ったPVまで

そこには国境も身分も人種も関係なく
様々な表現をいつどんな時間でも見ることができます

探せば違法ギリギリの動画…
というか完全にアウトな動画もたくさんある
口ではそんな動画はダメと言っておきながら
正直、そんな動画も普通に見てしまってたりします

そんなヤバさ含めて
混沌とした世界に面白さを感じる

そんな中から掘り出し物の面白動画をみつけたり
ためになる素晴らしい動画を発見したり
感動的な芸術作品に出会ったりもできる

無数にある動画の中から
一期一会で自分の心に刺さる動画を
偶然引くことができる
そんなランダム性も面白かったりします

掘り下げれば掘り下げるほど
奥が深くて興味深い世界

それがYouTubeの魅力だと思います

 

しかし、今のYouTubeは
そんな面白さが薄まってきているように思える

表面的には
小学生の憧れの仕事にユーチューバーが入っていたり
テレビで活躍しているような有名な芸能人なども
YouTubeに参入してきたりと
今までに無いくらいの盛り上がりは感じます


でも、僕が感じるのは
テレビがつまらなくなったのと同じ理由で
テレビ以上のスピードでつまらなくなってきてる


僕はテレビも大好きで
つまらなくなったとは思うけど
いまだにテレビもよく見ます

僕が子供の頃はテレビ全盛期の時代で
そんな時代からテレビを見ている僕が思う
テレビがつまらなくなった理由は

明らかに視聴者に媚びすぎているところ

いかに視聴率を稼ぐか
クレームの来ない番組を作るか
そんなのばかりで

その結果、当たり障りのない量産型のテレビ番組ばかりになってしまった
クイズ、食べ物、おもしろ動画
ゴールデンタイムはそんなのばっかり

探せば面白い番組もあるけど
昔のような勢いは完全に無くなっています

 

で、YouTubeの話に戻すと
こっちも同じ道をたどってる

視聴者に媚びて量産型の動画が増えすぎ

新しくYouTubeはじめる素人も
テレビから参入してきた芸能人も
こぞって同じことばかりしてません?

テレビ以上になんでもありで規制も緩い場所なのに
今やテレビ以上にみんな同じことしかしてない

そりゃ探せば今でも独創的な動画はたくさんあるけど

結局、表面に出てくるのは
○○やってみた、商品紹介、ゲーム実況みたいな
これぞユーチューバーっぽい動画
そんなのばっかですやん

あとは大きい企業のPR
動画配信サービスに誘導するアニメ配信とか
歌手のMVとか


まあ、こうなってしまった原因は明確で
YouTubeという場所がただの金儲けの場と化してしまったからですよね

ユーチューバーって言葉が普通になり始めて
ユーチューバーが1つの職業として認められてきた頃から

YouTubeで動画を投稿する=お金が発生しなければ意味が無い
になってしまった

だから、みんな登録者数や再生数ばかりにこだわり
こうすればバズる
みたいな先人の言葉を鵜呑みにして
みんなそのマネばかり

いつの間にかユーチューバーとはこういうもの
って謎の常識が生まれて
みんなその型にはまってしまってる

ユーチューバーの編集方法とか
何故かあのカクカクとした不自然な間の詰め方が
当たり前になってたりするし
正直、個人的にはあれ気持ち悪いんですよね…

 

今のYouTubeは面白さよりも
如何に数を稼げるかが重要になってしまった

つまらないマンネリな動画でも
再生数や登録者数を増やすノウハウさえあれば
上位に行くことができる

面白くなくても有名芸能人なら
簡単に数を稼げる


そうなってしまうと
好きなことをやってるだけの本当に面白い人が埋もれて終わってしまうし
趣味でやってるだけの人も
全然目立つことがなくいつの間にか辞めてしまう

結局、生き残るのは数稼ぎが上手いだけの
つまらない動画なんですよ

 


そして、これは作り手側だけが悪いのかというと
たぶんそうではなくて

見るほうがバカになってきてるのも原因

悪い言い方をすれば
騙されていることに気付いてない人たち

つまらない動画なのに
流行ってるとか、なんかすごいらしい動画だという
それだけで群がってるんですよ

と言うか
そもそも面白さなんて求めていないのかも

これはYouTubeだけに限った事じゃないけど
頭を使わなくてできる暇つぶしを
現代の多くの人たちが求めている


YouTubeに関しては
本当は掘り下げていろんな動画を見つけることに
面白さの本質があるのに

今のYouTubeの視聴者のほとんどは
そんな面倒くさいことはせずに
上澄みの部分だけをすくって楽しんでると思い込んでいる
何が面白いのか何が素晴らしいのかは考えず
ただそれっぽい動画を見てそれっぽく楽しんでるだけ

 

これは今の映画、漫画、ゲーム、音楽なんかの他のジャンルでも
同じ事が言えると思います

受け取るだけで何も考えてない人がすごく多い

例えば映画にしてみても
みんなが面白いと言ってるから面白い
ディズニーだから面白い
とか、自分でどう思ったかの部分を考えてなかったりする人が多いですよね


漫画もなんか流行ってるから
という理由で行列に並んで買ったり

ゲームは何も考えずに暇をつぶせる
ガチャを引くだけの作業ゲームをひたすらやったり

 

そんな人たちを見てると
ただ時間とお金を暇つぶしのためだけに浪費しているように思えて
すごくもったいないなと感じてしまう

僕はたとえ趣味でも
いろんなものに触れたら
それについて考えて
結果的に自分の糧にしたいと思うので

こんな時間の使い方ってすごくもったいないと思ってしまうんですよ

 

なんか、ちょっと話がずれた気もしますが

僕が言いたいのは
どんなジャンルでも、お金儲け重視になると
つまらなくなってくる
YouTubeだけでなく漫画や映画なども

で、結局それがまかり通ってしまうのは
受け取る側の自分たちが何も考えずに
騙されてしまっているから
ただの金づるになってしまってるからです

文化を廃れさせないためにも
受け取る側のレベルも上げていかなければならないと思う

何が素晴らしいのか見極める目を
鍛えていくべき

それには、やっぱり考えることが大事です

 

 

映画「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」感想 スピーディーなテンポで楽しめる ちょっと内容薄すぎるけど

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どうもきいつです


ミステリー映画「オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主」観ました

ディーン・クーンツの小説「オッド・トーマスの霊感」を基に映画化された
2013年のミステリーアクション映画
霊感を持つ青年オッド・トーマスが
町に起きようとしている惨劇を食い止めるために
奔走する姿を描いています

「ハムナプトラ」「G.I.ジョー」などのスティーブン・ソマーズが監督を務め
映像を手掛けるのは「アバター」などのVFXチームBUFです

 

あらすじ
ダイナーでコックとして働くオッド・トーマスは
実は霊能力の持ち主だった
彼は死者の霊を見ると放っておけず
様々な事件を解決してきた
ある日、オッドは惨劇が近づくと現れる悪霊ボダッハを目撃し
それを阻止するために動き出す

 

感想
設定が面白いしハイテンポなスピードで
映画に引き込まれて楽しめました
そんなに長くない映画だし軽い気持ちで観るとちょうどいい
ただ、内容が薄すぎてすぐに忘れてしまいそうな映画

 

アマプラで配信されてるのを見つけて
なんとなく観てみました


どんな映画なのかもそんなに知らずに観ましたが
なかなか楽しめたと思います

ストーリーはわかりやすかったし
短くてテンポがいい映画なので
とても観やすい映画でした

B級っぽい空気はプンプン感じて
実際にB級な内容ではあるんですけど
意外と面白いかった

中二病な設定も個人的には大好物だし


そして、それと同時にたくさんある映画の中に
埋もれてしまっている理由もわかりましたけど…


まず、この映画
めちゃくちゃテンポがいいです
余計な説明、余計な人間ドラマは一切排除して
とにかくサクサクと物語が進んでいく

オッド・トーマスが活躍しているのはご存じでしょ?
と言わんばかりに
はじめから軽く説明する程度で
オッド・トーマスが普通に存在して活躍している

登場人物の関係性もすでに出来上がってるんですよ

恋人のストーミーや協力者の警察署長など
なんの説明もバックボーンも無しに
信頼関係も完全に築き上がっている

ドラマの第6話を急に見せられているような感覚です

とは言え、登場人物たちにはどこか魅力が備わっていて
多少描写不足でも気にならなかったりします

そんな設定でそんな世界なんだな
と納得できてしまっていました


普通なら
オッドとストーミーはどんな出会いをして
どうやって絆を深めていったのかとか
署長とはどんな事件を乗り越えて今の関係性に至ったのかとかを
細かく積み重ねて本題のストーリーに入っていたりすると思いますが

本作はそんなところはすっ飛ばして
ものの数分で本題のストーリーに入っていく

ストーミーとは運命で繋がっている
署長はよき理解者
みたいに雑にさらっと流して
さっさと惨劇を阻止しようと奮闘するオッドを見せますよ
みたいな
テンポがいいと言うより、もはやせっかち

ただ、ここまで潔かったら
むしろ気持ちがいい
中途半端にダラダラと長ったらしくやるより
こんなタイプの映画はこれくらいの勢いの方が楽しめる

そして、本題のストーリーの方も
とにかくテンポがよくて滞りなくストーリーが進んでいきます

これから起きるであろう惨劇の犯人は誰なのかを
解き明かしていくミステリーな内容ですが
謎解きよりアクションが多かったり
次から次へと話が展開していくので
こっちもほぼ勢い任せな内容

VFXの派手な映像も勢いだけのぶっ飛んだ映像

あまり知的さはないです

主人公が行き当たりばったりで行動して
なんやかんやで解決していく
みたいなちょっとアホな感じもする


その軽い内容がジェットコースター的に
最初から最後までノンストップで楽しめる要因でもあります

変に頭を使わなくてもいいんですよね
鼻くそほじってポテチ食いながら観るには
うってつけの映画

かなりアトラクションのような面白さがある作品だと思います

 

そんな感じで
勢いのよさ、テンポのよさという長所がります
でも、その反面
だからこそ全く記憶に残らない映画

公開されたのは7年前くらいですが
全く存在も知ることがなかったのは
この映画を観て理解できる

やっぱり、中身が空っぽなんですよね
全てにおいて薄いです

ラストの
実は…って展開も
衝撃な展開ではあるのにそこまで衝撃に感じれない

そもそも、本作の登場人物には全然感情移入できてないんですよね
ずっとそんなのは気にせずに見てましたけど
ラストの展開でその事に気づかされる

明らかに感動させようとしてる演出だからこそ
薄い映画だな…と現実に引き戻されました


それと、ミステリーの内容もショボすぎますね
すごくアホなミステリーで
ミステリーとしての見所は全然無いです

伏線らしい伏線は無く
犯人に関しては
実はこいつも悪いやつでしたの連続で
結局、全員犯人やんって状況に

その上、それぞれの犯人が印象が薄すぎるし
犯人に繋がるヒントなんかも全然なくて唐突
でも、なんとなくこいつ犯人だろうな
というのはわかってしまいます

犯人のボス的存在の正体なんかは
名前が上がっても
誰だっけ?状態でしたし…


一応やってることはミステリーですけど
知的さは全く無いですよね

主人公の行動なんかも
推理をして犯人に迫っていくと言うよりは
とりあえず行動してたらどうにかなるだろ
みたいな猪突猛進なタイプだったり

そして、最後は勢いだけで
全部解決してしまいましからね


もう少し頭のいいミステリーをやるだけでも
この映画の評価はだいぶ上がったと思いますよ


それと、インパクトが無い世界観や映像も
記憶に残らない原因ですね

CGを駆使した派手な映像はたくさんありますけど
どこかで見たことがあるような既視感が満載
この映画だからこそ見れる映像ってのが無いです

世界観や設定も同じで
面白くはあるけどなんかこういうの知ってるな
って感じで
全然インパクトが無い

世界観や設定は原作があるから変えるにも限界があるかもしれないけど
映像に関してはもっと独特な表現もできたと思うんですよね

ボダッハの造形とかもハリー・ポッターみたいなファンタジー映画に出来そうな
面白みのないデザインだったし

どうせならホラーテイストを強めてグロくするとか
ギレルモ・デル・トロみたいな独特な世界観を生み出すとか
そんなことでもしない限り
この薄い映画の内容では印象に残ることなんてないと思います

 

中身が全然無い薄い映画ですけど
暇なときに軽く観るなら全然楽しめると思います

まあ、数ある映画の中で
この映画を選ぶ理由があるのかと言うと
ないと断言できるけど

今の時点でも記憶から消えかかってる

 


オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(字幕版)

 

 

映画「オズの魔法使」感想 明るく楽しい可愛い映画

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どうもきいつです


ミュージカル映画「オズの魔法使」観ました

童話作家ライマン・フランク・ボームによる
童話を映画化した1939年のファンタジー作品
魔法の国オズに迷い混んだ少女ドロシーが
オズの魔法使いに会うために大冒険を繰り広げます

監督は「風と共に去りぬ」などのヴィクター・フレミング
ドロシーを演じるのはジュディ・ガーランドです

 

あらすじ
カンザスの農場に住む少女ドロシーは竜巻に巻き込まれ
目が覚めると魔法の国オズに迷い込んでいた
彼女は故郷に帰るため
道中に出会ったカカシ、ブリキ男、ライオンと共に
魔法使いのいるエメラルドシティを目指す

 

感想
かなり昔の映画だけどとても魅力的な映画
ミュージカルはとても楽しいし
世界観は美しくて
とても楽しい気持ちになる
昔の映画だからこそ工夫がたくさん凝らされていて
そういう意味でも興味深くて面白い


今まで観たことがなく
映画館で上映されてるのを知って
なんとなく観てきました

そもそも、原作も読んだことがない

すごく有名な作品だから存在は知っていましたが
大まかなストーリーすらも知らない状態でした

だからこそ、こんなに昔の映画だけどかなり新鮮な気持ちで見ることができた

ちなみに邦題は「オズの魔法使」で
送り仮名の“い”は要らないです
だから間違えてる訳じゃないですよ


本作はかなり昔の映画なわけですけども
だからと言って全然チープには見えませんでした

確かに今の映画と比べてしまうと
全然クリアな映像じゃないし
セットも全然リアルじゃないし
ストーリーだって大した内容じゃない

でも、普通に面白いと思ったし
とても魅力的に感じた

こんな過去の作品を観ると
やっぱり映画って

映像が美しいとかリアルだとか
ストーリーが斬新とか

それだけが魅力じゃないんだな
ってのが思い知らされますね

 

いろいろと印象に残るものが多かったのですが

まずは映像表現がとても面白いです
当然今のようにCGなんてあるわけもなく
モノクロからカラーに移り変わるくらいの時代の作品

そんな時代に作られたファンタジー映画なので
完全に作り物の世界だとわかってしまいます

だからって本作の映像がショボいのかと言うと
全然そんなことはなくて
むしろ、今のなんでもかんでも本物っぽくしてる映像より
こっちの方が魅力的にすら思える

本作は全てセットで魔法の世界を表現しています
実際の自然の風景なんて全然なくて
全てが作り物の世界
遠くに見える遠景なんかは絵で表現されていたりします

今の時代ならこんなの全部CGで表現できて
しかも全部本物のように作ることができますが
でも、本作のような魅力はCGでは生み出せないと思うんですよ

この映画を観てると遊園地に来たときのような楽しさを感じる
全部作り物だしチープにも感じてしまうけど
なんかワクワクさせられます
この世界に行きたいなって思わされます

それに全てセットと言っても
かなり広い場所を使ってるでしょうし
その隅々までを美術品で埋め尽くしていて
本当に魔法の世界を作ってしまってるんですよ

建物や木々、草花など
それらが色鮮やかで不思議な造形
世界観の作り込みが完璧でデザインセンスも素晴らしい

そんな作り込まれた世界だから
全部作り物だとわかっていても
オズの国が存在するんじゃないかと思わせるほどの説得力がある


他にもいろんな工夫がこらされた映像が多くて
特に印象的なのが
セピアの色の無い現実世界から色鮮やかなオズの国に迷い込む場面

色の変化で不思議な世界に迷い込んだことが
とても上手く表現できているし
観ている側もこの映像の変化でとてもワクワクさせられます

主人公と一緒にこの世界を体験しているような感覚になる

今の時代ならこんな表現は普通かもしれないけど
当時はまだカラーすら珍しいような時代
そんな時代にこの表現をするというのも
よく考えればなかなかの発想力だと思います


それ以外にも
どうやって撮ってるんだろう?
と思ってしまうような
工夫を凝らしているであろうシーンがたくさんあります

序盤の竜巻の場面とかは
本当に竜巻が来てるくらい
風が吹き荒れて物も飛ばされまくっている
これどうやってるんだろう?
ってすごく気になる

魔女がほうきに乗って飛んでるシーンや
魔女の手下の大群が空から飛来してドロシーを連れ去るシーンなんかも妙にリアルで
どうやってるんだろうなって思います

大昔の映画だからこそ
簡単に不思議な世界を表現できないから
そこをどうにかして表現しようと
たくさんの工夫が凝らされているという部分に
とても興味深く感じる映画でもありました

 

ストーリーに関してはなんのひねりもない
ただドロシーが故郷に帰るために魔法使いに会いに冒険をする
ってだけのシンプルな内容です
完全に子ども向け

それに、意味がわからん無理やりな展開もあったり
魔女の倒しかたとかあけっなすぎる
水をかけて溶けるってなんやねん

ストーリーだけを見れば普通すぎ強引すぎで
退屈にも感じますけど
それを補うほどキャラクターが魅力的だったり
ミュージカルが楽しかったりするので
全然退屈には感じなかった

ドロシーの仲間になるカカシ、ブリキ、ライオンは
みんな面白くて見ていて楽しいキャラ
衣装なんかも独特で好きです
みんな若干キモさもあるけどそこがいい

ドロシーも可愛くて魅力的
ずっと見てれます


ミュージカルシーンも楽しくてすごくいいですね
曲も全部いいです

序盤の「虹の彼方に」は誰でも知ってるような名曲だし
他の曲も基本、楽しい曲が多くて
曲を聴いてるだけでノリノリになってくる
振り付けも可愛かったりコミカルだったりするので
全体的に楽しい雰囲気の映画になってる

最初から最後まで遊園地みたいな映画なんですよね
童心に戻って楽しめるような

子どもが観ても大人が観ても
楽しい気持ちになるのは間違いないです


大昔の映画ですけど
だからこそ今観ることで興味深いところが
たくさんあったりします
それに単純に楽しめる映画でもある

今の時代の映画に無いものが
この時代の映画にあるのかもしれません

 


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映画「許された子どもたち」感想 胸くそ悪い だけですませちゃいけないこと これは現実

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どうもきいつです

ドラマ映画「許された子どもたち」観ました

実際に起きた複数の事件をモチーフに
同級生を殺し無罪になった少年と
それを取り囲む社会の姿を描いた社会派ドラマ
構想に8年の歳月をかけられて完成した自主製作映画です

「先生を流産させる会」「ミスミソウ」などの
内藤瑛亮が監督を務めています

 

あらすじ
中学1年生の市川絆星を含む4人の少年たちは
同級生の倉持樹をいじめるうちに殺害してしまった
警察に犯行を自供した絆星だったが
息子の無罪を信じる母親の説得により否認に転じる
そして、彼は少年審判で不処分となるが
世間では激しいバッシングが巻き起こっていた
そんな中、樹の両親は民事訴訟を起こし
少年たちの罪を問うことを決心する

 

感想
目を背けてはいけないものをたくさん見せつけられる
罪を償うとはどういうことか
贖罪の機会を奪ってるのは誰か
無責任な正義ほど悪ではないのか
今の時代に生きているならば考えなければならないこと

 

前から観たいと思っていた映画
当然、いい気分にはならないだろうなとは思っていましたが
気分が悪くなるどころじゃなかった

気分が悪くなるよりも
現代社会で生きるには考えなければならない問題を
無数に突きつけられて
そして、最後にはその問題について
自分で向き合い考えなければならない
そんな映画でした

この映画は最後まで観ても
何かが解決するわけでもなく
答えも提示されない
すごくモヤモヤします

でも、何かしら答えは出さなきゃならないし
全ての人間がこの問題について考えなければならない

 

この映画で取り上げられている主なものは
いじめ
少年犯罪
ネットでの断罪など

単純に上げればその3つですけど
それらが複雑に入り組んでいて
そこにはいろんな感情や思いもあり
全く一筋縄ではいきません

簡単に誰が悪いとか原因はなにかは
決めることができない


本作の中心となるのは
同級生を殺してしまった中学生の少年、絆星が
その罪とどう向き合っていくのかが描かれています

しかし、この映画をラストまで観ても
絆星が改心して心を入れ替えるわけでも
彼が罪を償うわけでもない

モヤモヤしか残らないラストです

何か答えが見つかるような
甘っちょろい幻想なんかではなく
とにかく、この映画は現実を突きつけてくる


本作で重要なのは
人を殺してしまった少年がどうして誕生してしまったのか
という部分ではなく
罪を犯してしまった少年をきっけに見えてくる
社会の歪み、人間の愚かさ
そういうものです

確かに人を殺めてしまえば
例え少年であろうと簡単に許されるべきことではないですが

それを取り巻く社会、環境
そこにも罪はあるんじゃないのか?
ということをこの映画を観ると考えてしまう


それを最も感じるのは
罪を犯してしまった少年から
罪を償う機会を奪ってしまうということ

許されてしまう事で赦しを得ることができなくなる
それが本作での一番の問題提起です


例えば絆星の母親は
息子を信じ幸せを願うがゆえ
彼の犯した罪を認めず彼の贖罪の機会を奪います

しかし、これは決して悪意があったり
罪から逃れようとしているわけではなく
息子を愛しているから信じているから
なんですよね

ただ、この母親は罪深い
彼女の行いのせいで
完全に取り返しのつかないことになってしまったのは間違いなくて
1人の少年が当然背負えないものを
一生背負わせてしまうことになる


それ以外にも
裁判所や弁護士も彼から贖罪の機会を遠ざけてしまいます
映画を観ている側からすれば
事の真相を全て知っているから
弁護士や裁判の判決などを見て腹立たしくも感じるけど
実際この人たちはただ仕事をこなしているだけで
何も悪いことなんてしていない

ただ、これもやっぱり罪深い

弁護士は勝つことが仕事だからそうするのは仕方ない
でも、それのせいで少年は完全に道を見失ってしまうわけです
そういうのを見ると
社会のシステムの歪みも見えてきます


この映画を観ると
例え無理やりにでも罪を償う事ができるということはどれだけ幸せなことなんだ
とさえ思えてしまう

特に中学生くらいの子供なんて
罪の重さなんかはさほどわかっていなくて
だから嘘をつくし同じ過ちを繰り返す

そこを導かなければならないのが
大人や社会のはずなのに
その大人や社会が罪を償うチャンスを奪ってしまう


その結果が
許された後の絆星の日常です

世間からバッシングや嫌がらせを受け
普通の生活なんて送れなくなる
という部分もありますが

最も重要なのは絆星の心で
許されてしまったことで
自分自身の心の中の闇を払えなくなってしまう

どうすれば赦されるのか
罪とは何なのか
自分のやってしまったことと世間がやっていることは何が違うのか

1人の子供の頭では到底解決できないようなものを背負い
それを先延ばしにして生きて行くしかない状況

そして、この映画はそれを抱えたまま終わっていきます
彼の将来には不安しかないし
いい方向に進むとは思えない

でも、終盤の絆星の暴走
これを観たときは少し彼に感情が戻ったように思えます
初めてここで自分の罪と向き合ったのかもしれない

このシーンがあるだけで
彼の人生は完全に終わったわけではないと感じれました

 

そしてもう一つ重要な
いじめやネットでのバッシング、必要以上の追い込み

これは現代社会の最も深い闇で
解決しなければならない問題

現在進行形でSNSの誹謗中傷問題なんかも話題になっていますが

こういう問題の厄介なところは
いじめてる人間やネットで誹謗中傷を描きこんでる輩は
それを悪いことだと思っていないところ

むしろ、奴らは正義の名のもとに悪を断罪しているつもりでいる
特にネットなんかは…


この人たちは罪の意識なんて全く無く
罪に問われることも無い

しかし、こいつらは完全に悪で
それを野放しにしている今の現状は
かなり危険だと思います

実際にそれによって社会が明らかに歪んできている
命を奪われてしまっている人だっているんですよ

この映画の中でも
いじめられる側にも原因がある
犯罪者は断罪されるべき
という理由でいじめ、バッシング、嫌がらせが行われ
最終的には殺人未遂の暴力まで発展する


そんなのを見せつけられていると
コイツらと犯罪者の違いって何なの?
と思えます

理由さえあれば人を傷つけても許されるのか?

そもそも
正義を振りかざして誰かを裁こうとしてるけど
お前らに何の権限があるんだよ

関係ないじゃん


こんな奴らの言っている正義なんかには
責任なんて全く伴っていなくて

ただ誰かの罪を裁いている風の
正義の味方になったつもりで
自分の欲望を満たしているだけ

そんなのただの悪人と言っても過言じゃない

無責任な正義ほど厄介な悪はないと思いますよ

 

ここまで、本作で提示されている問題について
いろいろと言いましたが

こんなにも考えさせられるのは
本作がとてもリアルだからです

暴力描写なんかは生々しく痛々しい
はじめの殺害シーンは目を背けたくなるほど
そんな場面を避けずにしっかりと描くことで
作品に重みが生まれ
よりリアルに感じれます


もちろんフィクションの作品ではありますが
実際の事件などをかなり参考にして作られていて
おそらく、それらの事件でのエピソードなども
取り入れてると思います

エンドロールに流れてくる参考文献の多さでも
それをうかがえる

これを見れば如何に現実の問題を
リアルに観客に伝えようとしているのがわかりますよね

そして、実際にとてもリアルに伝わってきて
自分たちもその問題に向き合わなければならないという気持ちにさせられる


演技の面でも本当にリアルで

特に主人公である絆星を演じている上村侑
彼の演技は本当にリアル

主人公と同年代でありながら
よくあんな演技ができますよね

表情なんかも絶妙な顔しますもん
不処分が決まったときの顔とか気持ちがゾワゾワとさせられた

わかりやすく表現してるんじゃなくて
今どんな事考えているんだろう?
こんな気持ちなのかな?
みたいに表情からいろいろと深読みさせられてしまいます

普通に絆星が怖くすら感じてしまいました
少年だからこその掴み所の無さとか


他の人たちの演技もすごいと思ったけど
特に上村侑がものすごく印象に残りましたね


この作品に携わった子供たちは
何ものにも代え難いものを得ていると思います
少なくともネットで馬鹿なことを書きこむような
大人には成長しないでしょう

 

本作を観ると
目を背けてきたような痛い現実を
これでもかと突きつけられます

だからこそ、たくさん考えさせられる
他人事ではなく
自分も向き合わねばならないという気持ちにさせられる

この作品が現代社会の歪みについて
考えさせられるきっかけになると思います

ただ、これについて1番考えなきゃならない馬鹿な奴らほど
この映画を観ることすらしないんだろうな…

 


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